168:二人ぼっちの戦場
こっちの方が紳士的じゃない?
身軽になった体で道を歩いていく。目覚めるときはこちらの世界が多いのだが私としてはこっちの世界はあんまり好きではない。そこは彼だって同意見だろう。
この世界で化け物相手にドンパチするよりもルナやサキやアカリを愛でることの方が私にとって優先順位が高くなるのは当然の結論だろう。
彼の行動についてとやかく言わないのはその結果彼女たちと仲良くなれるからでありむしろ私としてはもっとぐいぐいと行ってほしいまである。
ただまあそこまで食い意地張ってしまうと嫌われてしまうだろうし何よりプラトニックな恋愛も悪くはないのだからまあ及第点くらいは上げてもいいと思っている。
「でも彼って意外に女の子の扱い上手いわね。ふふ、これからも頑張ってほしいわね」
ちょこちょこ刺激を与えるために出てくるけどねと口には出さずに心の中で思っていると視界の隅で動く影を見つける。
少し出遅れてしまったかしらと思いながらボロボロのローブをなびかせながら地面を思いきり蹴り上げる。
現実ではできないほどの跳躍をもってして空中に浮かび上がることでようやくその影もこちらを認識できたようだ。空中に浮かぶこちらに向かって頭を下げている姿が見受けられた。
周囲に人影はないから今回はどうも一人らしい。近くに降り立ち頭を下げてきたアカリに声をかける。
「アカリ一人なんて珍しいわね。ルナちゃんとサキはどうしたのかしら?」
そう声をかけるとアカリはよく見る困った顔で苦笑いをする。
「お姉ちゃんもルナちゃんもまだ見かけてはいないんです。多分まだこっちに来てないんじゃないでしょうか」
確かに周囲を見渡した際に彼女たちの姿は見えなかった。てっきりこの世界が発言すると全員強制参加だと思っていたがそういうわけではないらしい。そこらへん良く分かっていないからなんだかもやってしまう。
「そう。残念だけどいないのは仕方ないわね。二人が来るまで私が前衛務めるから後ろは任せるわね」
両手に2本の刀を構えながらアカリに声をかける。力が少し戻ってきたからか刀も輝きを取り戻しつつある。
「が、頑張ります。でもこういうこと初めてなんで緊張します」
サキとルナ3人で行動することが多かったせいか小人数というのは慣れていないらしい。
彼女の戦い方的にも単独戦闘は難しいと思うから仕方のないことだろう。
「心配しないでも問題ないわ。貴方の事はしっかり守ってあげる。だから私の事も守ってね」
小さくほほ笑んで一旦右手の刀を消してから彼女の方に拳を突き出す。
彼女は一瞬どうすればいいのか迷ったみたいだが恐る恐る俺の右手に自分の右手をこつんと当てる。
「ユイさんは口がお上手ですね。分かりました援護は任せてください」
しっかりと覚悟は決まったのか真剣なまなざしをこちらに向けてくる。
「嘘はつけない性格だもの。貴方の事本当に頼りにしているんだからね」
消していた刀を再度出現して握りしめる。二人ぼっちの戦場ではあるが今の私たちに恐怖というものは存在しなかった。
戦士1魔術師1とは少々パーティーバランスが悪い気がしますね




