154:昨夜はお楽しみでしたねパート2
油断大敵
この家で朝起きると毎回人の顔を見つめているような気がする。
結局あれからすぐ寝付けるわけもなく、よくやく眠りにつけたのはサキが眠ってからだいぶ時間が経ってのことだった。おかげで現在絶賛寝不足中なわけではある。
目の前ではサキが俺にキスできそうな程の近距離で寝息を立てている。普段の言動でいびきをしていそうなのだが小さな寝息を繰り返すだけでそんな気配は微塵もなかった。
近くで観察してみると顔の作りなどは姉妹であるアカリに似ている部分を探す方が難しいくらいに違う。
しいて言えばこうやって俺を抱き枕にするという仕草なんかがそっくりなくらいだろう。
人は外見によらないとは言うがサキとアカリの姉妹は内面は結構似ているなと思った。
眠気に負けてこのまま二度寝したいところだがここで寝てしまったら絶対起きれないだろうし、何より前回の経験上ヒトミさんに見られたら何を言われるか分かったものじゃない。
ゆっくりゆっくりと抱き着いているサキから離れるように動く。アカリと違ってサキは寝ていると力が緩むのかそれともスペース的な余裕からなのかアカリ程苦戦することはなく離れることができそうだ。
ほっと一息つきそうになった時、自分の背後から猛烈な悪寒というか嫌な気配を感じてしまった。
振り返ったら絶対にろくな目にあうことがないと分かっているのに俺はぎこちない動きでゆっくりと背後を振り返る。
少しだけ開かれた扉の隙間からアカリとヒトミさんがこちらを見つめているのに気づく。場合によってはホラー映画のワンシーンのようにも見えるぞこれ。
アカリは顔を真っ赤にしながら手で目を覆っているのだがその指の隙間からちらちらとこちらを見つめている。何やらぶつぶつとお姉ちゃんも大胆なんてことを言っているみたいだ。
ヒトミさんはヒトミさんで俺に向かってサムズアップしているのはいいのだがその片手に持ったハンディビデオはなんでしょうかねぇ・・・
「いやー、煽ったのは良いっすけどまさかここまで手が早いとは・・・流石先輩の娘さんっすね」
ママに対する風評被害も甚だしい感想はやめてほしい。後ついでのビデオ撮影もやめてくれ。
「お姉ちゃんも私と同じことしてる・・・やっぱりそういうことなんだよね・・・」
そしてアカリはアカリで自分の中で何か納得したかのようにうんうんと頷いている。
そうやって騒いでいれば当然サキも気づくわけで。不機嫌そうに起き上がるのはいいのだが俺を抱きしめたまま離そうとしない。
「ふぁ、朝っぱらからうるせーな。なにさわいで・・・・」
自分の妹と義母二人に視線を向ける。よくわかっていなさそうな表情がだんだんと紅葉のように赤くなっていくのが見て取れる。
「な、なななな・・・・」言葉を出そうにも言葉が出てこないようだ。慌てて俺から距離を取るが既に手遅れとしか言えない。
「昨夜はお楽しみでしたね!今日は赤飯っすね!」煽るかのように満面の笑みでサキにヒトミさんは声をかける。
「さっさと出てけ!!!!馬鹿おふくろ!!!!!!」
静かだった朝にサキの悲鳴にも似た絶叫が鳴り響いた。
当然2回目なんでヒトミさんは狙っておりました。
アカリはついでに巻き込まれただけです。
なお混乱してもサキはアカリに絶対手を出しません。




