153:夜会話
眠い時に本音が漏れる
電気を消されて静かになった部屋の中で俺はなかなか寝付けないでいた。
やはり女子の部屋というのはどうにも緊張して仕方がない。自分の部屋ですらようやく慣れたというのに他人の部屋というのは慣れるわけがなかった。
何度も寝返りをうったり、強引に瞼を閉じてみたりするのだがいかんせん俺に眠気が訪れることはなくむしろより部屋の主であるサキの匂いに包まれている気がして逆に目が覚めるほどである。
そんな風に眠気を得ようと努力しているとベットに寝ていたサキから声がかかる。
「眠れないのかユイ?案外繊細なんだな」からかうような口調だが見つめる目は穏やかだ。
「すいません、起こしてしまいましたか?こういう経験に慣れてないもので」
寝ていたなら申し訳ないと返事を返すとサキはまだ寝てないから安心しろと言ってきた。
「眠れないならもうちょっと話そうぜ。ほら、こっちこいよ」
そういってベットに誘ってくるのだがこれは応じていいのだろうか?今の体は女だがさすがに二人きりで同衾なんてと考えているとサキに強引にベットに引きずり込まれてしまった。
「あいっかわらず軽いなぁお前。もうちょっと食べねーと大きくなれないぞ」
いたずらが成功したような子供の笑みを浮かべるサキ。俺はむっとして答える。
「これでも食べているつもりですよ。ルナやサキが食べすぎなんです」
俺だって食べる努力はしているのだが体が受け付けないのだから仕方がない。悲しいかな俺の体は横にも縦にも今のところ成長の兆しは見られない。
「別に俺だって大食いってわけじゃねーぞ。アカリもそうだがユイも食べたら全部胸に行きそうだよな」
そういって俺の胸を見つめるサキ。俺は顔を赤くしてサキに抗議の声を上げる。
「そういうこと言うとおじさんっぽいですよ。私は許しますけどあんまりそういうの言わない方がいいですよ」
俺の忠告なのか抗議なのか分からない声を受けて苦笑いをするサキ。
「わーってるよ。こんなことを言うのはユイだけだ。アカリにだって言ってねーんだぞ」
それは褒めているのかなめられているのか判断に困るところだ。難しい顔をして考えているとサキが俺を抱き枕にするかのように抱きしめてくる。
「ちょ、サキさん。急に抱きしめないでくださいよ。」
慌てる俺の胸元に顔をうずめるようにして抱きしめるサキ。そんな顔も見えない状態でサキは呟く。
「いいじゃねーか。今くらいは独占させろよ。」
一体どんな表情でそんなことを言っているのか分からない。でもなんだかここで断ってはいけないと感じた。
「ユイは良い匂いだし落ち着くぜ。アカリもこんな気分だったのかな・・・」
声に眠気が混じっているのが分かる。俺に付き合うのに少し無理させたみたいで申し訳なく思う。
「・・・今回だけですからね。頼りにしているサキさんだからしてあげてるんですからね」
抱き着いているサキの頭を撫でながら言い訳のようにつぶやく。
「本当に・・・いいやつだなユイは・・・だから・・・俺も・・・すきに・・・・」
眠気が混じった声はやがて小さな寝息へと変わる。相変わらず抱きしめられたままだが仕方ない。
「最後の最後にとんでもないこと言いすぎですよ・・・サキさん・・」
果たして俺はこのまま眠ることができるのだろうか。抱きしめたサキのぬくもりを感じつつ俺は再度眠るための努力を続けることにした。
サキは健康優良児なので早寝早起きが基本です。
アカリはその逆なので朝はめっちゃ弱いです。




