152:語らい
サキちゃんは可愛い
演舞と違って今回のファッションショーに関しては時間があまりにもなさ過ぎた。
気疲れした翌日も朝から遅くまで何度も着替えをしていたせいか俺もサキも疲労困憊になってしまった。
流石にこんな状態で家に帰らせるわけにはいかないというヒトミさんの一声で急遽またサキたちの家にお泊りすることが確定してしまった。
いつの間にかママにまで連絡が行っているせいで断るに断れない状況にさせてくるのは手が込んでいると言えよう。
ルナは最後まで自分も泊まると宣言していたのだがどうやらユエさんからの許可が下りなかったらしく夕食を食べた後とぼとぼと家に帰っていった。その背中には哀愁が漂っているのがなんとも言えない。
風呂から上がり今回もまた俺はサキの部屋にお邪魔している。前回と違うのはアカリはすでに自分の部屋に戻っており今現在部屋には俺とサキしかいないというところくらいだろうか。
ベットの上で胡坐をかきながら先程から静かにサキは俺をじっと見つめている。
下に布団を敷きつつその視線を気にしていたのだが最初に口を開いたのはサキの方だった。
「悪かったな今回は。道連れにしちまって」なんだかんだサキは気にしていたらしい。
「気にしないでください・・・とは言えませんが今回は多めにみますよ」
下手に言いつくろう必要はないだろう。なんだかサキとの会話はそんな風に感じる。
「言うじゃねーかユイ。もうちょっと寛大に答えてほしいんだが?」
歯を出しながら笑いながらサキは言葉を続ける。
「逆の立場だったらサキさんそんなこと言えないでしょ?」
「ちげーねーや!こっちだったらめっちゃキレてるからユイの方が穏便だな」
俺の返答が満足いくものだったからかサキは機嫌よくけらけらと笑う。
「あ~おもしれ~。やっぱお前は良いやつだな。アカリとルナとはまた違っておもしれ~」
「幼馴染なんですよね?付き合いは長いんですか?」
ちょうどいいと思ってサキに問いかけるとサキは少しだけ難しそうな顔をした。
「俺は後から紹介されただけだからそこまで長くはねーよ。アカリがルナと知り合ってそっからの付き合いだ」
まあ同年代であるアカリとルナの方がそりゃ付き合いは長くなるし仲良くなる接点も多いか。
「それよか今回のコーデ。なんでこっちが妹側なんだよ。そっちの方が妹だろ」
話を強引に切り替える様にサキはぼやく。ヒトミさんの説明で今回は俺が姉役らしい。
「ヒトミさんが言ってましたけどギャップ萌えでしたっけ?私が綺麗系でサキさんが可愛い系でしたね」
おかげで着せ替え中ずーっとサキの機嫌は悪いままだった。
「ユイは似合ってるからいいけどこっちはどうも肌に合わねー。あんなの似合わねーだろ」
サキの評価自体は低いが傍目から見ても似合っているとしか言いようがない仕上がりだったと言える。
「そうですかね?サキさんの内面みたいにとても可愛らしかったですよ」
俺が正直な感想を言えば上から枕が飛んでくる。見上げれば顔を赤くしたサキが唸るようにこちらを睨んでいる。
「んな歯の浮くようなセリフ言うじゃねーよ!妹の癖に生意気だぞ!」
本人は怒っているのだがその姿もまた可愛らしいとは流石に俺も空気を読んで言えなかった。
そのままサキは強引に部屋の電気を消してしまったので俺も素直に布団で横になることにした。
なんだかんだ一番女の子らしいのがサキなんですよね




