150:道連れ
逃がさん・・・お前だけは
サキからのお願いを聞いて俺は猛烈に嫌な予感が全身をよぎるのを感じた。
なんだか分からないが猛烈に嫌な予想をした俺が席を立とうとするのを隣の席に座っているルナががっちりホールドする。
助けを求める視線を送るがその視線に答えてくれる存在はいない。むしろサキからは逃がさないという執念すら感じる。
「は、離してくださいよルナ。私はその・・・と、トイレに行きたいだけですから」
震える声で釈明をするがルナはにっこりと笑ってこちらを見る。その目だけは笑っていないが。
「まあまあはーちゃん。もうちょっとしっかりと話を聞いてからトイレに行けばいいじゃん」
ルナに掴まれているせいでそのまま素直に座るしかない俺。さっきから悪寒が走ってやばい。
「逃げんじゃねーぞユイ。お前も道連れだ。お前と俺でモデルやるんだから逃がすわけねーだろ」
やはり自分の勘は間違っていなかった。この間は演舞の主役で今回がモデルとか俺は一体どんだけ罪を重ねたらこんな罰を受けることになるんだろうか。
「でもなんでお姉ちゃんとユイちゃんがモデルなの?こういうのって結構幅を持たせるんじゃないかな?」
アカリが不思議そうにそう呟くとその返答はアイさんから返ってきた。
「だってヒトミちゃんの作る服ってこども・・・背が低い人向けだからね。」
今子供服って言いそうになったか?確かに俺とサキの身長は低いがもしかしてそれのせいか?
心底嫌そうなサキがよほど嫌なのか頭を抱えている。
「おふくろが新作を作ったのは良いけどそれに会うモデルがいなかったらしいからこっちに話を振りやがった。」
だからって俺を道連れにするのは勘弁してほしいものだ。自分に関係ないからか俺を着せ替え人形にできるからか分からないがルナもアカリもノリノリなのが最悪だ。
「だからと言ってなんで私なんですか・・・サキさんだけじゃダメなんですか?」
酷いことを言っているようだが地獄には是非とも一人で行ってほしいものだ。
「確かにユイちゃんの言っていることも一理あるんだけどそこらへんどうなのお姉ちゃん?」
アカリも援護するかのようにサキに尋ねるとサキは頭を掻きながら答える。
「姉妹コーデ?ってコンセプトで作ったらしいからもう一人いけにえ・・・もとい相棒が必要なんだとよ。いや~実に残念だったなユイ」
全然残念そうな言い方じゃなくむしろ嬉しそうにサキが答えてくるせいで俺の絶望感はさらに高まる。
姉妹コーデという言い方にルナの顔が少し歪むがそれでも俺の可愛い姿をみたいのか葛藤しているみたいに感じるのは俺の気のせいだろうか。
「それじゃあ覚悟決めてそろそろ行くぞユイ」
俺の肩に手を置きながら死んだ魚のような目で俺を見つめるサキ。そんな顔をするくらいならきっぱり諦めてくれれば良いのにと思いながら俺は深いため息をついた。
前回まではルナが主役の話で今回はサキが主役の話になります。




