149:サキのお願い
ファッションショー
習い事があるという委員長と別れて俺たちはサキに案内される形で喫茶店に向かう。
俺たちが頭を下げたのを見て感謝されるのと同時に詳細な話は別の場所でということで喫茶店に案内されることになった。
歩いている時でさえ最近はルナが俺に抱き着いているのが定番になりつつある。ご機嫌なようなのでこちらがどうこう言うつもりはないが。
そんなルナの様子を怪訝な表情で見つめるアカリも反対側に軽く抱き着いているので人のことは言えないだろう。
サキもたまにこちらをちらちら見ているが今はしょうがないと我慢するかのようにため息をついているのが印象的だ。
喫茶店に到着すると違和感に気づく。この間は扉にかかっていたOPENという看板が今は準備中に切り替わっている。
店休日を確認するがどう考えても今日は店休日ではないので妙だなと思ってしまう。
サキは看板を無視して扉を開けるとカギがかかってなかったのか扉はすんなり開いてしまう。
中は冷房が効いているので外を歩いたことでかいた汗がどんどん引いていくのが分かる。
カウンターの所ではアイさんがこちらに軽く手を挙げて挨拶する。
適当な席に着いたところで俺たちにアイスコーヒーを届けながらアイさんが口を開く。
「いらっしゃい。今回は協力してもらえるみたいでありがとうね。」
アイさんも申し訳なさそうな顔をしているがここまで感謝されるなんてどんな内容なんだろうか?
アイスコーヒーを一口飲んで一息ついたサキがゆっくりと口を開く。
「今回は親父じゃなくておふくろの件なんだがな・・・はぁ・・・なんて説明すっか・・」
俺の頭の中であの元気そうなお義母さんがサムズアップしている図が浮かぶ。
「ひとみちゃんは在宅ワーカーってやつでね。ネット上で結構有名で正直パパんより稼いでるんだよ」
自虐を交えながらアイさんが軽く口を挟む。共働きなのかと思ったと同時にあの人結構稼いでるのかと驚きが隠せない。
「あの人どんな仕事してるんだっけ?僕何回か聞いたけどいっつもごまかされてるんだよね」
大量のガムシロップとスティック砂糖を入れたコーヒーもどきをストローでチューチュー吸いながらルナが呟く。そんなルナの言葉にアカリはただ苦笑いで返すのみだ。
サキは頭を何度も掻きながらいら立ちを隠せないでいる。よほどストレスが溜まっているようだ。
「・・・だよ」何かつぶやいたが小声だったので良く聞き取れない。
「なんですって?」俺が聞き返すと大きなため息を一つついてサキが答える。
「衣装デザイナーだよ!あいつ今回大きなイベントに参加するからモデルをしてくれって頼んできたんだよ!」
よっぽど嫌なのかサキの顔が歪んでいるのが分かる。ここまでくればサキが何を言いたいのか俺だって分かる。あのアカリですら嫌な顔をしているからどれだけ嫌なのかが分かる。
「つーわけで頼む!モデル役として協力してくれ!」
そんなサキの提案に俺は顔を歪めることしかできなかった。
いわゆる在宅デザイナーというやつです。
勿論平凡に終わるわけがないですよ




