143:熱に浮かされた代償
女の嫉妬は恐ろしい。
花火が終わって練習場に戻ってきて早々俺とルナは正座をして怒られる態勢を取っている。
その正面ではサキは腰に手をやり、アカリは苦笑いをして、委員長はなんだか複雑そうな顔をしてこちらを見つめている。
「言い訳があれば聞くが何かあるか?」サキが語気を厳しくしながら聞いてくる。
言い訳と言われても何を言ったところで絶対納得されることはないので無言になってしまう。
あの後結局3人に問い詰められた末にルナがげろった結果が今の状況である。
「き、聞いてよさきっち。これは誤解というかなんというか理由があるのですよ!」
しどろもどろになりながらもなんとか弁明をしようとルナはあせあせと訴えかけている。
「誤解と言われましてもやった事実は変わりないのではないでしょうか?というかぶっちゃけキスどうでしたの?」
ルナの必死の懇願も餌を与えられた委員長の前では無力である。アカリも顔を赤くしながらも気になるのか耳をそばだてている。
「ど、どうって・・・そりゃその・・・最高でした」
ルナの返答に今度はこっちの顔が赤くなる。もっと言いようがあるだろルナ。
「流石にその回答はだめだよルナちゃん。というかユイちゃんもユイちゃんだよ。拒まなかったということはそういうことになるんだよ?」
ルナを叱るついでに俺の方にまで飛び火してアカリから責められる。反論のしようもない。
「いやその・・・気が緩んでいたといいますか・・・なんだか流れで」
もはやそれしか言いようがないのだがもっとましな回答をするべきだったと反省せざるを得ない。
「つまりユイは押しに弱いと。へ~良いこと聞いたな」
口調は軽いのに目が笑っていないサキがものすごく怖いせいで俺もルナも震えることしかできない。
「まあまあ、ここは勇気を振り絞ったルナさんを褒めるところでしょう。やればできるんですね」
委員長は宥めているつもりなのだろうがそれはただ単に火に油を注いでいるに過ぎない。
しかしながら委員長の言葉にルナは少し複雑そうな表情を浮かべる。
「ん~でも僕としては正直あの時自分が自分じゃないというか・・・なんかこう熱に浮かされていた感じ?」
ルナの言葉に3人は頭に?を浮かべるが俺にはその言葉の意味が良く分かる。
正直あの時自分でその判断をしたかと言われると疑問が残る。
高揚感に包まれている中でその場の空気に流されてキスした結果がこのざまである。
「良く分からないけど。でもルナちゃんまた機会あったらキスするでしょ?」
アカリは納得してなさそうだが鋭い言葉を投げかける。
「は、HAHAHA。ヤダナーソンナコトナイヨー。メッチャキスシタイッテオモッテルワケナイヨー」
片言で視線を反らしている段階で語るに落ちるとはこのことである。
結局そのあと3人。主にアカリとサキから説教を受けて解放されるまでまだまだ時間がかかったことは言うまでもないことだろう。
ルナのキス騒動はこの後の夏休みの話に色々と引き継がれます。
アカリもサキも内心ではユイとキスしたいのは内緒の話です




