128:拒否権なし
大人はずるい生き物なのです
「まあそろそろ本題はいろうか~。ユミちゃんの娘やさかいついつい愛でたくなってまうわ」
肌をつやつやにして満足げな表情を浮かべてからようやくユエさんは本題を切り出していく。
「毎年祭りの時期になると神様に奉納する演舞やるのが通例なんやわ。」
「毎年の恒例行事さかい、普段は知り合いに頼んどるんやけどしばらく前に怪我してもうてな」
「おまけに演奏お願いしとる衆らも病気にかかって祭りどころやあらへんらしいんよ」
「せやからルナちゃんに頼んで人手を集めてもろうてるんよ」
頬に手を当てて困った表情を浮かべるユエさん。神事に必要な人手が集まらないというのはかなりの大事だろうことは分かる。そのせいで本当に困っていることが伝わってくる。
「お話は分かりましたがそれではいそうですかとは簡単に頷けないですよ。」
「だな。めっちゃ責任重大そうだし」
委員長の言葉にサキは大きく頷く。そりゃ協力はしたいが内容が内容なのだからそう簡単に頷くことはできないだろう。
「せやろなぁ。でもここで断れてまうと祭り自体を中止せなあかんわ」
「もうお知らせくばってるさかい中止なったら下手しいうちらの神社も大変やわ」
「ちなみにどれくらい大変なことになるんですか?」
アカリが興味本位でユエさんに尋ねる。まあ一度のイベント中止でそこまで大事にはならないだろう。
「せやなぁ、ルナちゃんのおこづかいがなくなってこの神社も閉めなあかんわ」
「うぇ!?そんなの初耳なんだけど!?どうして僕のおこづかいがなくなるのさ!?」
ルナから悲鳴じみた声が上がる。まあいきなり自分のおこづかいがなくなるなんて言われれば誰でもそうなるだろう。
「流石にそれはおおげさではないですか?一回お祭りが中止になるだけでどうしてそんなに大事になるんですか?」
「お祭りやなくて神事ができひんことの方が問題なんよ。」
「元々後継者がいのうて潰れるところやったんをなんとか継続させたんよ」
「その時続ける条件として神事は必ず執り行うこという約束してもうてな」
「せやから神事できんくなったら神社潰さんといかんねん。そういう契約やからしゃあないねん」
それはまたとんでもない契約を交わしたものだ。そんな話を聞いてしまったら断るに断り切れないではないか。
「そんな話を聞いてしまったら断れないじゃないですか。まあ夜桜さんの頼みを断るつもりはなかったですが」
俺がため息交じりに呟くと他の三人もそれに倣うように頷く。
「感謝しますわぁ。ルナちゃんは良いお友達が多くてお母さんうれしいわぁ」
感謝の言葉を述べるが最初から断らせないためにあんな話をしたに違いない。
ルナは感情的で分かりやすいのだがユエさんはどうも一筋縄ではいかないしたたかさを持っているようだ。
ユエさんは最初から分かってこの話をしております




