13:紹介あるいは挨拶
自己紹介なんて今も昔も緊張するものだ。
今の自分はきちんと名乗れるだろうか?
「ねぇねぇ!自己紹介しようよ。新しい仲間なんだしさ!」
黒髪の少女・・・ルナがテンション高く話す。
まぁ今まで3人だけで戦ってきたところに((私))の登場だ。喜ぶのも無理はないだろう。
「僕は夜桜月!夜の桜に月でルナだよ!」
月というには真逆の太陽のような明るさで名乗りを上げるルナ。
黒い髪を短く切りそろえ、自分の体より大きな剣を支えに胸を張る。
その体は均整の取れたバランスを取っている。
防具は武器に比べてとても軽装だ。
赤いジャケットを軽く羽織、内部には白い胸当てでガードしている。
下は短パンと足首を覆うような鉄製のブーツのみ、なおかつお腹を守るものはなく可愛らしいおへそが見えている。
防御よりも攻撃を重視しているのがとても良くわかる。
「それでこっちのちっこい方が森蔭冴姫」
「ちっさい言うな!まだ成長期なんだよ!」
今の((私))よりは少しだけ高い身長でルナを睨む。
衣装的には狩人のような緑の衣を装備している。
だがそれよりも目を引くのは両手両足を覆う巨大なガントレットとソルレットだろう。
腕も足もそれぞれ関節まで覆うほどの大きさをしている。
そのため彼女の褐色の肌の手足はその半分を赤色の金属に覆われていて見ることができない。
近接専門というには先ほどの槍を殴りつけるあたり一筋縄ではいかない構築なのだろう。
静かにしていれば深窓の令嬢に見えるが、喋るたびに鋭い犬歯が見えるせいでそのギャップに頭がやられることだろう。
「そして最後は僕の幼馴染のあーちゃん!森蔭朱莉|。アカリだからあーちゃん!サキちゃんの妹なんだ」
先ほどまでオドオドしていた少女が頭を下げる。
この3人の中では一番発育が良く、軽く見上げるように眺める。
いかにも魔術師と言うべきローブを身にまとい、緑色の宝石がついた杖を握っている。
「あの・・・アカリです。先ほどはお姉ちゃんとルナちゃんを助けてくれて本当にありがとうございます」
その所作の至る所に教養の高さがうかがえる。
本でも読みながら椅子に座っていれば文学少女にしか見えないことだろう。
その体格の良さには((私))も嫉妬せざるを得ない。
もとの自分の体格とは真反対の今の体は違和感の塊だ。
彼が受け入れ続けてくれればこの体も成長するのだろうかと考える。
その光景はとても楽しいものだろう。もっとも彼が喜ぶかは別の問題であるが。
「ねぇねぇ君の名前を教えてくれない?いつまでも名無しじゃかわいそうだしね」
ルナがいつの間にかこちらを覗き込むかのようにこちらの表情を伺う。
せっかく彼女たちが自己紹介してくれたのだ自分もそれに倣うとしよう。
満面の笑顔でルナを見ながら((私))は名乗り上げる。
「ユイ。それが((私))の名前。あなた達を助けに来たヒロインよ」
そう自信満々に声を上げるのだった。
3人の彼女たちの紹介。
これから物語に深く関わってくる彼女たちの初めての出会いの物語。
今日は次のページでひとまず更新はお終いの予定です




