126:神事
神事って大変そうですよね。
脱いでいた上着を着たのは良いのだが、正直身に着けている筋肉の鎧が厚すぎて上着がはちきれそいうになっている。
少しでも力を籠めれば上着はびりびりに破れまた上半身裸のマッチョマンが目の前に現れることだろう。
男としては筋肉に憧れを持つことはあったはずなのに今の俺には特に感想や感動が浮かぶことはなかった。
なんだろう、努力しているんだなぁくらいの冷めた感想しか出てこないところに感性が女性寄りになっているのを感じてしまう。
「っと、自己紹介が遅れてしまったね。私は夜桜朝陽ここの神主を務めているよ」
マッチョマンもといアサヒさんはそう言って俺と委員長のために頭を下げる。
そういう礼儀正しいところは神主らしいのだがいかんせん筋肉の圧が強すぎてふとした拍子に忘れそうになる。
呆然としながらも俺と委員長は礼儀としてきちんと挨拶を返す。そんな俺たちを苦笑いしながらサキが見ている。
「インパクトすげーけど良い人だぜ。町内会の催しとかにも良く協力しているし」
「まあでも見た目のせいでよく怖がれているみたいですけどね・・・」
フォローのつもりなのだろうがフォローになっているとは思えない発言だ。
しかしながらいつまでもこんな対応をするわけにはいかないので切り替えていく必要がある。
委員長もそれは同感なのだろうか黙っていた口を開いて会話を行う。
「それでバイトということでしたけれどもどんなことをすればいいのでしょうか?」
アサヒさんは頭を掻きながら申し訳なさそうな表情を浮かべている。
「設営とか販売とかは人手はなんとか確保しているんだ。ただ大事な事に関して集まらなくてね」
「今回みんなには祭りの神事のお手伝いをしてもらいたいんだ」
てっきり何かの販売なんかの手伝いかと思っていたので神事と言われてもピンとこない。
そういう神事に関しては専門の人が行うイメージでぶっちゃけバイトで賄えるものなのだろうか?
「そういうのはちゃんとした人がやるものではないんですか?」
俺の質問にアサヒさんではなくルナが答える。
「基本はそうらしいけどそれだと全然人集まらないからパパの代で普通の人でもできるように改良したんだよ~」
「流石に専門知識ばかりを求めても今の時代に合わないからね。そこでユエに人の選定を任せて今まで神事をこなしていたんだ」
専門知識を持つ人というのはなかなか難しい。需要があれば取り合いになるのは間違いないからだ。
ただでさえ専門職というのはなり手が少ないのにその中で取り合いになれば人手不足は加速するというものだ。
「ただ今年はそもそも人の集まりも悪いし、ようやく募集が来てもユエのお眼鏡に叶わなくて困惑していたんだ。だからこそ今回はルナに頼んで人を集めてもらったというわけさ」
そんな会話を行いながら本堂の脇にある小さな建物へと足を踏み入れていく。
「ここが稽古場というか作業場になるかな。後の詳しい話はユエに聞いてくれ」
扉を開けながらアサヒさんはそう呟いた。
見た目がすごいだけで中身はとてもまともなんです朝陽さんは




