123:提案
家柄はいいんですこいつ。
相変わらず混雑している食堂の一角に着席して定番となっているAランチを食べていると委員長が口を開く
「そういえばテストが終わればすぐに夏休みですね。妹に会えなくなるなんて悲しいですわ」
ため息をつきつつ優雅にドライカレーを食べているのがとてもアンバランスに感じる。
「委員長は何か夏休みの予定とかあるんですか?」
「そうですわね。基本的に家族の付き添いで会食や外出が多くて休みという感じがいたしませんわ」
なんともまあお嬢様らしい内容だ。一般人だった俺には到底想像できない世界が広がっている。
「私とお姉ちゃんはお義父さんのお店手伝ったりするくらいで特に忙しくはないかなぁ」
大きな体に不釣り合いな小さなおにぎりを食べながらアカリは夏休みの予定を話す。
一般人というのはこういうものだと少し安心する。それと引き換えにルナはめんどくさそうにため息をつく。
「こっちは夏休み初っ端にお祭りがあるせいでてんてこまいだよ~。それが終われば落ち着くけどそれまで大変なんだよ」
心底嫌なのかそれともテスト疲れなのかルナの箸は普段に比べれば勢いは弱い。食べる量は変わらないのは内緒の話だ。
「お祭りと夜桜さんにどんな関係があるんですか?」
正直ルナと祭りと聞いても参加者のイメージしかわかない。そのせいでついつい疑問に思って聞いてみた
その疑問にはルナではなくアカリが答える。
「ルナちゃんのお父さんはそのお祭りをやる神社の神主さんなんだよ。だからルナちゃんは毎年巫女さんとして働いているんだ」
聞き間違いだろうか。ルナからとてつもなく離れた職業の名前が出てきた気がした。
「この人が巫女とか何かの間違いではないですか?にわかには信じられませんわ」
とても失礼な言葉が委員長の口から飛び出してくる。俺も同じことを思ったのでどうやら同じ感想を抱いたのは俺だけではないようだ。
「しっけいな!これでもれいけんあらたかな巫女さんなんだぞ!うやまえ~」
頬を膨らませて抗議するルナ。そういう態度が余計巫女というのを否定するんだぞ。
「そういうところですよ夜桜さん。ですが神事というんでしたっけ?そういうのは大事なので頑張ってください」
俺がそんな話をしたタイミングでルナの携帯にラインの通知が届く。画面を見ているとどんどんルナの顔色が悪くなってくる。
「どうしましたか?何か大変な事でも起こったんですか?」
委員長が心配そうにルナに尋ねる。ただ黙ってラインの画面を見せると画面にはお母さんとのラインの画面が映っている。
『今回のお祭り人手ぜんぜん足りひんわ。せやから誰かバイト用意してーな』
『うまくいったらバイト代はずむからよろしゅう』
「・・・というわけで3人ともバイトとか興味ない?」
ルナの目の中にお金の絵が浮かんでいるのは気のせいだろうか・・・
ルナのお父さんが神主の家系なので小さい頃から巫女さんとして働いています。
その割にはどうしてこうなったかはそのうち分かるかもしれません




