121:まわりまわって
自然な光景
結局しばらく話をしてから公園の入り口のところでルナとは別れた。
幼馴染という割にはアカリとサキの住んでいる場所とは少し離れた場所に住んでいるらしい。
どちらかと言えば俺の家の方が近いとのことなので下手をすれば家にまで押しかけてきそうだ。
流石のルナでもそこまで非常識な行動はしないだろうと思うが用心だけはしておくべきか。
家の玄関口をくぐりながら考えていた俺を少し具合の悪そうなママが出迎える。
「ん、おかえり。お泊り楽しかった?」
頭を押さえているところを見るにどうも二日酔いになっているみたいだ。
「楽しかったよ。ママこそ大丈夫?お酒飲みすぎたんじゃないの?」
俺の言葉に図星を突かれたのか下手な口笛を吹きながら視線を逸らす。
「そんな飲んでないはず・・・飲んでたとしてもゆえちゃんが勧めるのが悪い」
無表情なのだがその口調やしぐさで表情が読み取れるのがママの良いところであり悪いところでもある。
少し拗ねたかのように口をすぐめているのを他人が見た場合は俺の姉にしか見えないくらいには幼い印象を受けてしまう。
そんな子供らしい仕草のママを良い笑顔で見ながらパパは俺の頬にキスをする。
「あんまりママを責めちゃだめだよ。久しぶりにお友達とお酒飲んだからついつい興が乗ってしまったんだよ」
俺の記憶にはないのだが我が家族はしばらく前まで海外に居たという。そりゃ日本で暮らしている友達に会う機会なんてものは早々訪れなかっただろう。
だからこそ久しぶりの親友との再会に気分が上がったとしてもそれを咎めることはできないだろう。
「ひとみさんからお話は聞いたよ。パパもママもモテモテだったって言ってたよ」
俺の報告を聞いてパパもママも苦笑いを浮かべる。娘の口からはあんまり聞きたくない話だろう。
「ひーちゃんは口が軽い。今度あったらお仕置き」
ふんすふんすと鼻息を荒くしながらママが呟くがそんなに怒っている感じはしない。
手間のかかる後輩を指導する先輩のような独特な気配を感じた。
「何か変な事とか言ってなかったかな?我ながら黒歴史の時代だからね」
頭を掻きながらパパは探りを入れる。そこまで変なことは聞いてないと言えば安心したようにほっと一息つく。
「しかしながら不思議な縁もあるものだね。あの頃の知り合いと子供を通じてまた親しくするなんてね」
「ん、仲良しはいいこと。昔を思い出す」
「そうだね。ユイちゃんもお友達ができたようでパパとしては嬉しいよ」
「ん、友達は大事にする。約束できる?」
パパもママも俺に友達ができたことを心の底から喜んでいるようだ。
こうして一日だけのお泊り会の出来事を話している光景はとても自然な家族の光景だと言えることだろう。
お泊り会の話はこれでおしまいになります。
この章はある程度一まとめにして夏休み編に入る感じになります




