118:これから
真面目なお話です。
なんとか修羅場を終えてサキとアカリに見送られてルナと共に家への帰り道を歩く。
先程の会話を終えてからルナは俺から離れる気配もなく今も俺の腕にしがみつくように歩いているので正直歩きにくくて仕方ない。
かといってこういう場面で喋る話題を女性経験の薄い俺には思い当たることはなくただただ無言で歩いていく。
サキとアカリの姿が見えなくなるくらいまで歩いたところでルナがようやく口を開いた。
「ねえねえはーちゃん。ちょっと回り道してから帰らない?」
提案のようだがそこに拒否権を持ち出せる気配はない。真剣な表情のルナに引きずられるように小さく頷く俺を引きずるようにルナは俺と最初に出会った公園へと歩いていく。
相変わらず昼間だというのに俺とルナ以外の人気がないその公園にたどり着くまで再びルナは無言になる。
ようやく口を開いたのは公園のベンチに二人そろって腰を下ろしてからだった。
「ほい到着~。にっしっし、やっぱこの公園人気がなくてこういう時は便利だね~」
足をぶらぶらさせながら普段通りの軽い口調で喋るルナに俺は知らず知らずのうちに小さく息を吐く。
「そうですね。寂しい感じはしますけどこの静けさも悪くはないですね」
周囲から隔絶されたような空間に俺とルナの呼吸の音だけが響く。
「風流だね~。さっきまで慌てていた人とは思えないよ」
口を大きく開いて笑いながらルナは俺のことを攻撃してくる。
「勘弁してください。そんな意地悪なことを言いますと嫌いになってしまいますよ」
「それは困るよ!こんなにも僕ははーちゃんのこと愛しているのに!」
よよよとわざとらしく泣き真似をしだすルナ。そんなルナの反応に俺は思わず吹き出してしまう。
「冗談ですよ。夜桜さんのことを嫌いになるわけないじゃないですか。」
「む~、絶対次のテストで良い点とってルナちゃんって呼ばせてやるんだからね」
この間の勉強会でのご褒美の内容を忘れていなかったらしい。正直忘れていてくれると俺としてはありがたかったのだが。
「期待しています。夜桜さんはやればできる子ですから大丈夫ですよ」
感情豊かなルナと話していると自分もまるで同じ年頃のような感覚になってしまう。恋愛についてはまだ分からないがそれでも俺にとってはルナは大親友だと言っても過言ではない。
「はーちゃんは本当に褒め上手で照れちゃうよ~。」
頬を赤く染めながらルナは軽く鼻の下を指でこする。本当に人懐っこい性格をしていると思う。
だからこそ俺はどこか油断していたのかもしれない。気づけばルナは俺のことを真剣な瞳で見つめる。
「僕はあんまり難しいこと考えられない。あーちゃんやさきっちみたいにうまい言葉が見つからない」
「だから直接聞くね。はーちゃんはこれからどうしたいのかな?」
静かな公園にルナの問いかけだけが響いた。
ルナは直感で物事の本質を見抜くタイプです




