116:羞恥心
そこになければ答えはないですね
自分の両親の恋愛事情なんててものはどうしてこんなにも恥ずかしいものなのだろうか。
ひとみさんが話した両親の話はとても新鮮に感じたのだがいかんせん周囲からの目が俺に突き刺さってくる。
「さすがはーちゃんの両親だよねぇ~。いや~いい話聞けたね」
ルナは満足そうに頷きながら俺を抱きしめている。しかしながらその視線はどこか俺を責めているように感じるのは俺だけなのだろうか。
「そうですね。なんとなくユイさんのことが色々分かった気がします」
ルナの反対側に座るアカリもどこか納得したような表情で頷いている。それは一体どういうことなのだろうか?
「血のつながりっつーかなんというか、油断できねーなこりゃ」
頭を掻きながらそんな二人の様子を眺めてサキがため息をつく。ため息をつきたいのはこっちの方なのだが
「ひとみさんとしてはあの二人の先輩のお子さんとひとみさんの娘が仲良しで満足っす」
元凶となったひとみさんはこんな状況ながら嬉しいのかニコニコしながら全員を見つめた。
「パパもママも昔のことはあまり話さないので新鮮でしたけど・・・やはり恥ずかしいです」
アカリとサキに抱きしめられ、サキに見つめられて俺は顔から火が出るほど真っ赤にしながらひとみさんを責めるかのように見つめる。
俺の視線に気づいてかひとみさんは肩をすくめつつ両手を上げる。
「誓って嘘はいってないっすからね。しかしまあ先輩たちが褒めるのも納得っすわ。こんだけ血のつながった娘がいればそりゃ可愛くて仕方ないはずっす」
「昨日も後半はお互いずっと子供の話ばっかりだったしね。愛されているんだねユイちゃん」
勘弁してくれ。自分の知らないところで自分のことを事細かく話す両親の姿を想像して頭を痛める。
普段の対応的に愛されているのは分かるがそれをほかの人に自慢されるのは恥ずかしいに決まっている。
かといってそのことで両親を嫌うという選択肢を俺は取ることはできない。彼らがそう考えても仕方のない過去の出来事を知っている以上愛おしさは感じても拒否感は生まれるわけもなかった。
「ふふ、3人ともユイちゃんのことが大好きなようだし本当に僕らのことお義父さんって呼んでもいいんだよ?」
「まあまあアイさんその前に一応確認しておくっすよ。」
気の早いアイさんに手で落ち着くように合図をするひとみさん。これ以上場をかき乱さないでほしい。
「ユイちゃん。ぶっちゃけこの中で誰が一番好みっすかね?」
ぴしりと空気が凍り付くような音が聞こえる。なぜか知らないがアカリとルナの抱きしめる力が強くなり痛い程だ。
サキも気づいたら後ろに立っており逃げられないように肩を掴んできやがった。
「な、なななななななんのことでしょうか?」
震える声でそう尋ねてみる。ここから入れる保険とかないだろうか?
「一緒に寝ていたアカリちゃんっすか?それとも先輩同士仲が良かったルナちゃんっすか?」
「いやいやひとみ。サキだって二人きりでデートしたし、いろいろ親しいしサキの可能性もあるよ」
先程から無言な3人からの圧がやばい。下手なことを言ったら俺の未来はないかもしれない。
「「で、誰が本命なのかな?」」二人が声を揃えて聞く。誰かこの場面を切り抜ける答えを教えてくれ。
血としては人たらしのサラブレッドになります。




