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98:サキの秘密

女子の部屋ってどんな風になっているんでしょうね?

夕食を終えて話は冒頭の危機へと戻っていく。


食事を終えた後ずっとリビングにいるわけにもいかず本日の寝床であるサキの部屋へと足を踏み入れる。


ここでなぜアカリの部屋ではないのかという疑問が生じるのだがアカリ曰く、


「私の部屋お姉ちゃんの部屋より狭いから全員は寝れないよ」


とのこと。元々サキの部屋とアカリの部屋は同じだったのだが年齢が上がったのを機に部屋を分けたらしい。


「まあアカリの部屋はこっちよりかなり本が多いせいで本の一角で寝ている感じだがな」


とサキは苦言を呈しアカリは否定することなく視線を逸らしたので詳しくは聞かないでおくことにした。


元々二人で過ごしていたという部屋は4人が寝泊まりしても問題ない程度の広さはある。


もっともそのうちの二人が俺とサキなので一般的な体格の場合は何とも言えない。


部屋の主であるサキはベットに胡坐をかいて座り、アカリは近くにあった座椅子に腰掛けている。


ルナに至っては部屋の中央に寝転がりごろごろ転がっている程度には遠慮がない。


こういう女子の部屋に入る経験なんてものは残念ながら男の時代に経験したことはなかった。


悲しいかな、男時代に女性と付き合うという経験が0だった俺はいわゆるチェリーボーイという扱いになってしまう。


そんな俺がいきなり女子の部屋に入ってどうしろと言うのだろうか。困惑しながら視線を動かしていると


「とりあえず適当に座りなよユイ。こいつほどだらけなけりゃ何も言わねーよ」


部屋の中央に寝転がるルナに厳しい視線を向けつつサキが言うのでおそるおそる俺も近くの床に腰掛ける。


男性の部屋では感じないなんだか甘ったるい匂いがただよう部屋にいるだけでも落ち着かない。


部屋の隅に置かれた本棚には漫画ではなくサキの趣味なのか文庫本サイズの本がきれいに整頓された状態で並んでいる。


本棚横には勉強机が置かれており、机の上はゴミのひとつもなく過去の教科書が教科ごとに設置されとても使い込まれていることが分かるレベルだ。


しかしながら意外なのは部屋のあちこちに置かれているぬいぐるみの数だろう。犬や猫などの定番ものからご当地キャラらしきなんとも言えない表情を浮かべている人形まで大小さまざまな人形が部屋のあちこちに飾られているのは少々落ち着かない。


「・・・そんな観察すんなよ。いいだろかわいいんだから」


責めているわけではないのに言い訳をするかのようにそっぽを向きながらサキが答える。


「さきっちま~た数増やしてない?そのうち人形に占拠されちゃうぞ~」


近くに置いてあったイルカのぬいぐるみをまくらにしながらからかうようにルナが呟く。


「雑に扱うなよ!わーってるけどやめられねーんだよ」


「お姉ちゃんお店で見かけたりするとすぐ買ったり取ってくるんだよね」


アカリもさすがにこの数の多さには少々苦笑いが出てしまっている。


「さきっちはむかしっから人形を抱いてないと眠れないかわいいところがあるんだよね」


ルナの言葉に反応して近くにあった小さめの人形をルナに向けて投げる。


「うっせー!それ以上言うんじゃねーよ!!!」


前々から思っていたことだがこの3人の中では実はサキが一番女子力が高いのかもしれない。


ついつい微笑ましいものを見たせいで笑顔を浮かべている俺にまでサキは人形を投げてくる。


「ユイもそんな微笑ましいもんを見る目で見るんじゃねーよ!!」


「むぅ!ツンデレなさきっちにはお返しだ!あーちゃんも応戦するのだ!」


アカリを巻き込んで人形投げ合戦が開始される。流石に乱暴に投げるという感じではなく軽く投げるのだがそれでも玉となる人形は部屋中に存在している。


その場の空気感からかなんなのか気づけば俺もその合戦に参加していたのが不思議な話だ。


サキちゃんの内面はとても乙女です。

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