§086 救出
サラセニアから出た附子は、
薬に変換すると滋養丸が3つ生成される。
つまり、1つで3つ分。
アイテムボックスの負担を考えると変換しない方が良い。
効率的には必要な時に変換するのが最も良いのだろう。
ピンチの時は滋養剤、時間の余裕がある時は変換しながら滋養丸で良い。
今日はこれをアイテムボックス一杯にした後、
ボスのドロップアイテムである半夏も一杯にしたい。
「アナ、どんどん探してくれ」
「かしこまりました、・・・この階層は人があまり居ませんね?」
「そうなんですよ。
この階層のアイテムは一般市民が扱えないので不人気です」
「何で用が無いんだ?」
「薬草は薬学ギルド員しか扱えませんからね。
薬学ギルドに在庫が少なくなると冒険者ギルドで依頼票が貼られるので、
その時が絶好の狩り時なのです」
なるほど・・・。
一般市民では薬草を扱えない、食品と違って生活にも必要が無い。
だから自分達のために採ろう、注文しようって事が無い訳だ。
ギルドの在庫が不足すると割増しで買い取るのだろう。
その時を知っているから、更にみんな来ない。
「逆に俺たちのパーティは普段からここで集めて置いて、
依頼があったときに纏めて捌いてました」
賢い。
ジャーブのアイデアでは無さそうな気がするが、
人でごった返すと効率も悪くなるしな。
「ご主人様、左です。また3匹います」
アナの合図で再び臨戦体制を取る。
今度はサラセニアが3匹だった。
手前2匹の間に隙間があったので、
オーバーホエルミングで素通りして、奥のサラセニアの後ろ側に回った。
これなら酸の攻撃が誰かに当たる事はあるまい。
「ナズ、身を屈めたら酸を飛ばして来る。
先に避けて、発射のタイミングで戻れ。ジャーブの動きに注意しろ」
「はいっ」
先程、オーバーホエルミングを使わない動き方を練習した。
もう動きの大体は掴めたので、ここからはどんどん使用しても良いだろう。
本当は順序が逆である。
オーバーホエルミングで動きを良く観察し、
十分避けられると感じたら無しの方が安全だ。
またやらかした。
スキルを使いながら、根を避け、葉を避け、体当たりを避ける。
酸を打つ構えの際は、密着してデュランダルを叩き込んだ。
オーバーホエルミングを駆使すればどんな敵だって余裕だ。
・・・そう思っていたが甘かった。
いつの間にか根蔓が足元を覆い、
前にも後ろにも逃げられないように包囲されていた。
そういえば、今回の根の動きは元に戻って行った形跡が無い。
あの根は包囲をする事もあるのか。
根ごと抱きしめられ、サラセニアの体と密着する。
体当たりと言うより、これは抱擁だ。
サラセニアの体には毒がある。
捕まえて毒にするのだろう、食虫植物らしい行動だ。
とはいえ、感心している場合では無い。
オーバーホエルミングで後ろの根蔓を刈り取り、退路を確保した。
逃げながら突くと、ようやくサラセニアは煙になった。
これはつまり、ボスもやって来る技だと言う事だ。
ボスならば根を飛ばした後、
そのまま足や体を縛ったりする可能性も高い。
つまり、根は躱した後も危険なのだ。
このあたりに言及が無いのは当然だ。
ミチオ君は既に低階層から魔法で戦っていて、
ロクサーヌが全部避けたのだ。
そもそも彼には壁魔法がある。
回避の女神・・・恐るべし。
自分も早く魔法が欲しい。
自分が対峙した1匹を倒すと、後は楽勝だった。
植物の敵は前後が判り難いが、
サラセニアにはちゃんと前と言う概念があったようだ。
自分が真後ろに立っているにも拘わらず、
アナの盾に向かって酸を飛ばしたり、
ジャーブの剣に向かって葉を振っている。
花弁の蓋を持ち上げる方向には攻撃を仕掛けて来なかった。
残りの2体を煙に変えると、アナが歓喜の声を上げた。
「またモンスターカードが出ました、ご主人様!」
おお、今日いきなりなんて幸先が良い。
ウサギは全く出なかったが、欲を出さなければそんな物なのかもしれない。
物欲センサーって奴だ。
デュランダルをしまい、鑑定スキルを付けて鑑定を試みる。
・モンスターカード 壷式食虫植物
・・・また知らないのが出て来た。
確かに?食虫植物ではあるが挟み式では無い。
どうなの?セリえもん。
全部解説して置いて欲しかった。
ともあれ知らない物はしょうがない。
アリも何だったか思い出せないし、
纏めてジャミルに聞くしかあるまい。
サラセニアは後ろへ回り込むと一方的に攻撃ができると知ったので、
その後の討伐は楽に進んだ。
向きに合わせてグルグル回りながら、ガリガリ斬るだけだ。
アイテムボックス2枠を埋め切った所でステータスを確認する。
・フジモト・ユウキ 人間 男 21歳 探索者 Lv38
設定:探索者(38)英雄(29)騎士(31)賞金稼ぎ(31)
薬草採取士(29)
・ナジャリ ドワーフ ♀ 16歳 鍛冶師 Lv33
・アナンタ 猫人族 ♀ 20歳 暗殺者 Lv29
・ジャーブ 狼人族 ♂ 28歳 戦士 Lv28
騎士と賞金稼ぎがLv30を超え、
薬草採取士も直にLv30へ届きそうである。
探索者のLvも1つ上がったので、
この階層ではギリギリ経験値が入っているようだ。
・フジモト・ユウキ 人間 男 21歳 探索者 Lv38
設定:探索者(38)英雄(29)薬草採取士(29)
・BP136
鑑定 1pt 結晶化促進×4 3pt
キャラクター再設定 1pt 3rdジョブ 3pt
獲得経験値上昇×10 31pt 武器6 63pt
必要経験値減少/10 31pt 詠唱短縮 3pt
上昇と減少を均等に割って、倍率100倍だ。
薬草採取士をさっさとLv30に上げてしまおう。
これを外せるようになったら次は盗賊を上げて行きたい。
そろそろボスの周回を始めても良いだろう。
「ナズ、まだ昼には早いか?」
「そうですね、もう少しあるかと思います」
「ジャーブ、一度ボスと戦って置きたい。昼休憩を挟んだらボスの周回だ」
「分かりました、ボスの部屋はこっちです」
ボスまで行く道中で3グループのサラセニアを倒し、
経験値効率は100となっているお陰か、
あっさりと薬草採取士はLv30となった。
目標まで目の前だったと言う訳だ。
・フジモト・ユウキ 人間 男 21歳 探索者 Lv38
設定:探索者(38)英雄(29)盗賊(1)
・BP136
キャラクター再設定 1pt 3rdジョブ 3pt
獲得経験値上昇×10 31pt 武器6 63pt
必要経験値減少/10 31pt 詠唱省略 3pt
結晶化促進×4 3pt ワープ 1pt
これで盗賊が30となれば念願の博徒、そしてジョブ数20の達成だ。
兎に角、今は盗賊のLvを稼ぐために全てを注ぐのだ。
ウキウキしながらボス部屋まで歩く。
途中で3人組のパーティと擦れ違った。
1人は身長が低かったので、ドワーフだろう。
「お前さんたち、これからボスかい?」
ドワーフが気さくで陽気だと言うのは通説通りなのだろうか。
軽い感じで話し掛けられた。
「ああ、初めてだから緊張するな」
「そうか、頑張れよっ」
あちらさんは3人だったがしっかりとした武具を持っていて、
見るからに強そうである。
角を曲がった所で、ジャーブが吹っ飛んだ。
「ぐぁぁぁぁぁ!」
何だ、何が起きた?
アナは?
魔物の気配が判るのでは無かったのか?
「おっとー、そこまでだ。その奴隷はもう助からん。
大人しくその女を置いて行けば、主人の命までは取らねえぜ?」
角から3人組の男たちが現れ、1人はジャーブに追撃を掛けた。
「ぁあああ゛あ゛あ゛あ゛」
「や、止めろっ!」
このままではジャーブが拙い。
最初の一撃でかなり持って行かれているのだろう、起き上がって来ない。
「早くしろよ、俺は気が短いんだ。女を置いていけ?」
「じ・・・、自分が死ねばその2人も死ぬぞ」
「んな事は解ってるよ、だから置いて行けって言ってんだ。
お前が助かるか、女諸共全員死ぬかどっちかだよ。
どっちでも良いぜ~?お前ら中々良い装備してるみたいだからなァ」
こいつらは盗賊だ。
そういえばミチオ君達もハルバーの12層で盗賊に襲われた。
脱初心者で、ある程度小金を持っている中堅を狙うのは理に適っている。
それ以上強い奴だと返り討ちに合う可能性があるし
それ以下では金目の物を持っていない。
この階層は・・・、閑散期には殆ど人が来ないとジャーブが言っていた。
その時を狙ってセコセコと稼ぐ奴らを狙っているのだろう。
人があまり来ない所で出し抜いて儲けようとする探索者達・・・、
絶好のカモと言う事だ。
この階層に挑むパーティ相手なら余裕で勝てる強さを持っているハズだ。
Lv40やLv50は超えているのかもしれない。
鑑定を取って置くべきだった。
それよりも、早く助けないとジャーブが危ない。
オーバーホエルミングを念じ、歪んだ空間の中でスキルをセットした。
必要経験値減少を解除して、パーティー項目解除をセットする。
離れているジャーブを回復する手段はもうこれしかない。
アイテムボックスを開き、滋養剤を見詰める。
このままでは使えないようだ。
一度手に取るが、バレないようにグッと握る。
そしてオーバーホエルミングの効果時間が切れた。
「わ、解った、その男を離せ」
「見りゃ分かんだろ?もう助からん。お前はこのまま帰るんだ」
「ごふっ・・・ごへっ・・・」
頭目と思われる男が目で合図を送ると、
ジャーブを押さえ付けている盗賊は突き刺した剣を抉り、
口から血を吹き出してジャーブは悶えた。
まだ息はあるようなので、回復を急ぐべきだ。
握った手の中で、滋養剤を指の隙間へ移動させて見える状態にする。
パーティライゼーションで、見えている全てを選択した。
「ああああっ」
「くっ、申し訳ありません、油断しました」
振り返ると先程のドワーフたちがナズとアナの後方に回っており、
男のドワーフがナズを、他の2人がアナを羽交い絞めにしていた。
「ご、ご主人様・・・」
「申し訳ありません、人の気配にも気を付けるべきでした・・・」
どう動いても拙い。
何かあればナズやアナにも被害が及ぶ。
モタモタしていたらジャーブも危ない。
・・・考えろ、ここから逆転する方法を。
取り敢えずジャーブは致命傷から回復したはずだ。
突き刺さっている剣の負傷ダメージにも依るが、
盗賊の数を減らして看護の指輪を嵌めさせ、
さっき集めた附子から滋養丸を作って、
それをどんどん投入すれば多分大丈夫だ。
問題はアナとナズだ。
このまま立ち去る振りをしながら、
オーバーホエルミングで2人を救出する。
ドワーフの男がナズを羽交い絞めにしている以上、
こいつを倒さないとナズは絶対に動けない。
ナズはドワーフの中でも非力だと言っていた。
ナズが動けるようになれば、槍で牽制できる可能性がある。
「わ、解った、2人を、おお置いて行く、本当に助けても貰えるんだな?」
「あたりめえよ、この奴隷は売ったら金になりそうだからなあ」
「しゅ、主人を代える事はできないのでは無いか?」
「カァーーッ、お目出てぇな。知らねェンか?
奴隷は主人の下を離れて10日すると契約が解除されンだよ」
そうなのか、知らなかった。
食事と住まいを与えなければとは、こういう事なのか。
商館主シラーからは義務を履行しなければ権利を停止されると、
2人を買った時に忠告を受けた。
それは自動的に、と言う訳だ。
このまま本当に2人を置いて行ったら、10日後には奴等の物となる。
いや盗賊は奴隷が持てないらしいので、
この中にいる探索者が一旦引き取るのだろう。
全体を見合わせて、ゆっくり後ずさりしながら準備を整える。
看護の指輪も取り出した。
「で、ではそこを空けてくれ」
「ご主人様・・・」
ナズが悲しそうな目を向けて来る。
許せ、ナズ。
今は演技が必要だ。
アナは・・・冷静だ。
多分、自分が何とかすると知っている。
だがアナを救うのは2番目だ。
ナズを抑えるドワーフが一番拙い。
盗賊たちが壁に寄り、その反対側の壁を伝いながら交差する。
そして、タイミングを計る。
オーバー・・・ホエルミン・・・・・・・・グ!
駆け出して男のドワーフの首をデュランダルで突いた。
首が・・・切れない!
硬いのだ。
Lvが高い?装備が良い?
いや、防御無視だったはずだ。
ガードが発動した?・・・そんな部位では無いはずだ。
それならば身代わりのミサンガか?
剣を引き、もう一度押し込むと今度はスルッと剣が通り、首を貫通した。
続いてオーバーホエルミングを使用して、横に振った。
アナを締めている2人組のうちの1人に当たり、その腕を切断した。
「おあぁぁぁぁぁぁ・・・腕がっ、腕がぁぁぁぁ!」
勘でこの位の距離だと振ってみたが、
アナにも当たらず効果的な部位を狙えたようだ。
それに、腕を落とした事でアナの拘束が解けた。
片手が自由になったアナはもう1人の男を振り払い、
勢いを付けてエストックを突き刺した反動で距離を取った。
「痛ってああぁぁ!」
「てめえ!」
頭目と思しき男が駆け寄って来る。
脇にいた2人はジャーブを囲み、再び剣を入れようとしていた。
くそッ、しまった。
さっきのパーティライゼーションで滋養剤は全部使ってしまった。
ジャーブにこれ以上の負荷を与えさせる訳には行かない。
オーバーホエルミングで頭目の一撃を避けて、
ジャーブへ馬乗りになっている奥の盗賊の1人を剣で貫いた。
そのまま薙ぎ払って、2人目に当ててみたが、
それは何とか手に当たったようだ。
オーバーホエルミングを再使用して、
看護の指輪をジャーブの腹へ落とし、
まだ動けるだろう盗賊の攻撃範囲から逃れた。
嵌めるには時間が足りない。
時間が戻る。
「アナ、隙を見てジャーブに指輪を嵌めろ」
「はいっ!」
解放されたナズに依って、頭目は後ろから突かれて踉いた。
「くそ、この女ァ」
頭目の男はナズの槍を剣で払い間を詰めて襲い掛かるが、
直ぐさまアナが横から盾でガードし、ナズを前線から遠ざけた。
「くそおおおおおぉっ!まだ死ぬ訳には行かねェンだよぉぉ!」
アナ目掛けて剣を振るが、アナはそれらをしっかりと盾で受け止めた。
ガンガンと音を立てて頭目の太刀筋が防がれる。
戦って勝つには厳しいかも知れないが、
防御をするだけならアナに軍配が上がる。
自分は倒し切れなかった2人目の盗賊に追撃を掛け、腕を刺した。
手と腕を負傷した盗賊は痛みで転げ回る。
止めを刺すのは簡単だった。
片腕を切った盗賊はナズが倒してしまったようで、
既に床へ転がされて動かなくなっていた。
負傷のダメージも進んだのだろう。
これであと2人。
3対2になったので、少しだけこちらが有利だ。
「入り組み惑う迷宮の・・・」
ナズに槍で牽制を受けていた盗賊が詠唱を始めた。
「ナズ! 止めろ! 刺せ!」
こいつが探索者だったか。
「勇士導、導、みち、チチチチチチいィィ・・・」
ナズの槍に依って刺された探索者は、
詠唱がおかしくなったのか変な言葉を発している。
後はナズに任せれば良い。
残るは頭目だ。
アナの盾を嫌ってか、こちらに向かって来た。
それもそうだ、あちらは盾持ちか長物を持つドワーフだ。
自分を倒せば奴隷は皆死ぬ、それに賭けて来たのだろう。
こいつをデュランダルで倒せばカードが手に入る。
しかし相手の方が強いと言う可能性もある。
ロクサーヌのような超回避技術を持っていたり、
オーバーホエルミングを目で追って来られるような奴ならば、
こちらが危ないだろう。
それにこんな所で初心者狩りのような事をしている連中が、
よもやLv99って事では無いだろう。
一撃必殺のエクストリームドロップデッドは使えない。
となると、確実に奴を倒す方法はMP全解放以外の選択肢が無い事になる。
MP全解放を使用して魔法使いを得るには打って付けだが、お金も欲しい。
やるなら下っ端を殺さず残して置くべきだった。
しかしここで欲を掻いて、自分が死んだら馬鹿みたいだ。
そうこうしている間にも頭目の攻撃は降って来る。
オーバーホエルミングを使いながら、
何とか距離を空けつつガードするのが精いっぱいなのだ。
ジャーブを一撃で沈める位には熟練の剣技を持っており、
英雄のスキルに付いて来られる上、剣の一撃が重い。
ジャーブも危ないし、
アナはともかく頭目の矛先がナズに向けられたらもっと拙い。
もう背に腹は代えられない。
アイテムボックスを開き、強壮剤を手に握る。
1つ、いや2つ・・・3つだ。
待て、これまでオーバーホエルミングを使い続けて来たのだ。
まずはMPの全回復が必要だ、そうでなければこちらが詰む。
追加で2錠を摘まみ、先にそれを飲む。
結晶化促進を解除してボーナス魔法のMP全解放を取得した。
ずっと盗賊相手に使いたいと思っていたんだ。
ジャーブには悪いが、折角の好機。
活用させて貰うぞ。
──MP全解放!
「うっ・・・何をし・・・おぐっ・・・・ぎぎ・・・ぶへぁっ!」
オーバーホエルミングを使用してMPが枯渇した時以上に視界は暗くなり、
頭がクラクラ床はグルグルと回る。
吐きそうになる程の気分の悪さと、負の感情。
・・・特に母親へ対して激しい憎悪を感じた。
即座に手に持った強壮剤を飲み込んだ。
頭目の男は血の塊りになって爆ぜた。
体中から泡のような、浮腫のような物がボコボコと集まって来て、
皮膚が沸騰するような感じなのかと思ったら、そのまま爆発したのだ。
探索者の男はナズの槍に依って壁へ押さえ込まれており、
観念したのか壁に項垂れ掛かっていた。
「アナ、エストックで緩く当てて捕縛しろ、殺すなよ?」
「かしこまりました」
アナに命令すると、優しく叩くようにエストックを何度も浴びせ、
暫くすると探索者は動かなくなった。
後はジャーブだ。
パーティメンバーリストにはジャーブの名前がある。
つまり死んではいないと言う事だ。
間に合った。
指にはいつの間にかしっかりと看護の指輪が嵌っていた。
しかし、死んでいるかの如く静かで微動だにしない。
何とか一命を取り留めている状態なのだろう。
ジョブ設定で薬草採取士を付けて、
先程大量に取った附子から滋養丸を量産した。
ジャーブは昏睡しているようなので、このままでは薬を飲ませられない。
やはりパーティライゼーションに頼るしかない。
「ナズ、アナ、パーティを一時解除する。
盗賊たちのインテリジェンスカードを集めて装備も回収しろ」
「はい」「あ・・・えっ・・・は、はい」
現在探索者はLv38。
アイテムボックスの2枠が附子で埋まっている。
一枠はLv37の時点で満載にしたので75個位あるはずだ。
これを全て滋養丸に変換すると凡そ225錠になる。
作ってはパーティライゼーションで消費し、ジャーブを回復させる。
30個変換した辺りでクラっと来た。
生薬生成もかなりのMPを使うのだろう。
緊急事態なのに自分まで気が滅入っては大失敗する可能性もある。
アイテムボックスから強壮剤を取り出して飲み、作業を続ける。
「ごふっ・・・ゴホッゴホッ・・・」
80近くの滋養丸を消費した辺りでジャーブの意識が戻ったようだ。
「おいジャーブ、おい!」
「ユ・・・ユウキ、様・・・申し、訳・・・あり、ません。
俺の・・・不注意・・・でした・・・」
「良いから喋るな!回復するぞ、これを全部飲め」
残りの滋養丸をジャーブの口に放り込み、飲み込ませた。
これでHPは大丈夫だろう。
負傷の方は直ぐにでもデュランダルで回復させた方が良いかもしれない。
ナズとアナを再びパーティに入れ、
インテリジェンスカードと装備を回収して納屋にゲートを開いた。
「荷物を置いて来てくれ」
「はいっ」「かしこまりました」
自分は石像になっている冒険者の男を担いで運んだ。
──ガンッ。
・・・ゲートに押し戻される。
石化しても、モノでは無く人間のようだ。
こいつを運ぶには石化を解除してパーティに入れるか、
歩いて運び出すしかないようだ。
外に連れ出すのは良いとして、階層選択画面とかどうするんだ?
行きずりのパーティが石化していた場合、
石化回復薬が無ければ助けられないじゃないか。
後で実験だ。
ナズとアナが戻って来たので、男をひとまず放置し、
ジャーブの回復のために2層へ飛んだ。
「アナ、ジャーブを回復させたいので、魔物を探せ」
「えっ?あの・・・はい?」
そうだな。
HP回復が付いている事は明かしていなかったので、
回復のために魔物を倒させると言う行為はアナからしたら謎だろう。
ジャーブにデュランダルを手渡し、
とても良く切れるので気を付けろと念を押してコーラルを倒させた。
∽今日のステータス(2021/09/07)
・フジモト・ユウキ 人間 男 21歳 探索者 Lv37
設定:探索者(37)英雄(28)騎士(29)賞金稼ぎ(29)
薬草採集士(27)
取得:村人(5)戦士(30)剣士(34)商人(30)色魔(1)
奴隷商人(1)暗殺者(1)武器商人(1)防具商人(1)
農夫(1)錬金術師(1)料理人(1)村長(1)盗賊(1)
・BP135
キャラクター再設定 1pt 5thジョブ 15pt
獲得経験値上昇×10 31pt 武器6 63pt
必要経験値減少/5 15pt 詠唱省略 3pt
結晶化促進×4 7pt
・ナジャリ ドワーフ ♀ 16歳 鍛冶師 Lv32
・アナンタ 猫人族 ♀ 20歳 暗殺者 Lv26
・ジャーブ 狼人族 ♂ 28歳 戦士 Lv27
・ヴィクトラ 竜人族 ♀ 12歳 竜騎士 Lv8
↓
・フジモト・ユウキ 人間 男 21歳 探索者 Lv38
設定:探索者(38)英雄(29)盗賊(3)
取得:村人(5)戦士(30)剣士(34)商人(30)色魔(1)
奴隷商人(1)騎士(31)賞金稼ぎ(31)暗殺者(1)
武器商人(1)防具商人(1)農夫(1)薬草採集士(30)
錬金術師(1)料理人(1)村長(1)魔法使い(1)
・BP136(余り1pt)
キャラクター再設定 1pt アクセサリ4 31pt
パーティ項目解放 1pt 詠唱省略 3pt
獲得経験値上昇×10 31pt ワープ 1pt
3rdジョブ 3pt MP全解放 1pt
武器6 63pt
・ナジャリ ドワーフ ♀ 16歳 鍛冶師 Lv32
・アナンタ 猫人族 ♀ 20歳 暗殺者 Lv28
・ジャーブ 狼人族 ♂ 28歳 戦士 Lv28
・ヴィクトラ 竜人族 ♀ 12歳 竜騎士 Lv11
・トラッサの迷宮
Lv 魔物 / ボス
12 サラセニア / ネペンテス
・異世界21日目(10時頃)
ナズ・アナ16日目、ジャーブ10日目、ヴィー4日目
鍛冶G面会まで1日




