§085 本音
自室であれこれしていると、アナが呼びに来た。
注文していた机と椅子が来たらしい。
ジャーブの部屋に肩幅位の机が1つ、
椅子を2つ運んでもらう。
これで蝋燭を置いたり、
ちょっと作業をする際には捗るだろう。
ジャーブは裁縫もするようだし。
次に、自室には大きい机を運び入れて貰った。
1メートルがどの程度だったのか忘れてしまったが、
自分の身長よりはやや短い位なので、
多分160センチ位はあるはずだ。
部屋の角にぴったりと付けて椅子を並べて2脚置き、
インク壷にペン、そしてパピルスを置いた。
端に燭台を置いたら、もうどう見たって書斎机だ。
1つはもうちょっと見栄えの良い椅子を用意するべきだったかな?
まあ、それは追々でいい。
座り心地と、机での書き心地を確かめながら、落書きをしてみた。
午前中に描いた芋虫のデフォルメから糸が飛び出て、
ナズがグルグル巻きにされているシーンを追加した。
うーん、完璧。
アナに見せたら、驚かれた後で笑顔になってナズに見せに行った。
台所できゃいきゃいしている声が聞こえる。
どの世界でも、女子は変わらないのだな。
ナズの手が止まっているならと、
先程用意して置いた
モンスターカードを融合して貰おうと納戸へ向かう。
ジャーブとすれ違ったが、
水汲みの2杯目だと言う。
ヴィーもまだ帰ってくる様子ではないので、
今日の日課は3杯のようだ。
「ナズ、手が空いているならこれをお願いしたい」
先日ヴィーに倒させたグリーンキャタピラーから出た糸、
鋼鉄の槍にウサギとコボルトのカード。
そして、空きスロットができているミサンガと芋虫のカードだ。
混乱しないように、まずは身代わりのミサンガから作らせた。
最初の融合を終わらせ、
でき上がったミサンガを受け取ってアイテムボックスへしまった。
後でジャーブに渡せばいいだろう。
続いて、糸からミサンガを作らせる。
と言っても、ヴィーが倒したのは2匹だけだったので、
作成されたミサンガはどちらもスロット無しであった。
受け取りはしたが、ポケットにしまう。
これは後で蝋燭用にバラそう・・・。
最後に、ナズが常用する鋼鉄の槍に
ウサギとコボルトのモンスターカードを融合させる。
これでようやく、魔物のスキル対策が整ったと言う事になる。
最後の詠唱を終えて、ナズの手に握られた槍の光が失われる。
槍は・・・・残った、成功だ。
当然だ、槍には空きスロットが有ったのだし。
そして同時にナズが崩れ落ちた。
ん?
「ご主、神様・・・、申し訳ありません。
このような武器を・・・私が持っていてはいけません。
神様にご返却・・・致します」
「いや、それはナズの物だし、これからそれで魔物のスキルを頼むぞ?」
「私のようなさもしい者が・・・神様のお側にお仕えする事は・・・
あってはならないのです。お許し・・・下さい・・・」
ナズはいつになくシクシク、めそめそ泣いている。
あれか、MP枯渇だな。
2回の融合と2回の鍛冶はLv32では厳しかったと言う事だ。
それ以前にメンタル弱そうだし、
枯渇よりももっと手前でこうなっているのかもしれない。
思い返してみれば、最初から卑屈っぽかった。
「ナズ、大丈夫だ、これを飲め」
アイテムボックスから強壮丸を取り出し、ナズの口へ当てがった。
しかし、ナズは口を頑なに閉ざし、拒否をする。
「私のような者に、そのような物をお使いになる必要は無いのです。
ああっ・・・またお手間を掛けてしまった事を、どうかお許し下さい」
相当に落ち込むと何も受け付けなくなるのだな。
これは注意が必要だ。
強引に口を開き、口移しで与えようとしたが、ナズはそれすらも拒否した。
「私は御夜伽も・・・アナさんには及びません、
どうか神様は、アナさんと・・・ご一緒になって下さい」
「えっ!?いやそんな事は無いぞ、ナズ。お前は可愛い、自信を持て」
「私などは、神様のご寵愛を・・・賜る資格は無いのです。
迷宮ではいつも足手まといです・・・。
料理の腕前も・・・神様の前では到底及びません・・・。
私はここに居てはいけないのです」
うーん、これまでの色々な経験が
ますますナズを卑屈にさせていたのか。
神様神様って、
・・・もうナズの深層ではそう思われているのだ。
隠し事をし過ぎたせいでもある。
と言うか、自分が料理をしてしまった事が
ナズには相当応えたのだと言う事を改めて認識した。
気遣いや奉仕の仕方なども、
アナには及ばない事を気に病んでいる。
いつもニコニコ優しく接していたのはその裏返しだったのだ。
しかし、どうやって薬を飲ませよう・・・。
そういえばパーティー項目解除を付けると、
パーティライゼーションスキルがセットできるのだっけ。
パーティー項目解除をセット・・・と。
パーティライゼーションまで含めると2ポイント必要だ。
ジョブ設定のように勝手にスキルが切り替わるのではない。
パーティライゼーションと念じると、対象のカーソルが出現した。
これを強壮丸にセットする。
選ぼうと思ったか思わなかったか、軽い気持ちで見詰めたそれだけで、
手の掌の上からは強壮丸がスッっと消えて無くなった。
やってる事が神級に近いなこれは・・・。
日本で薬を飲ませず薬の効果を及ぼさせるような事をした奴がいたら、
そいつは神様だって・・・自分だってそう思う。
そういうスキルであると知っているから、
自分はやはり人間なのだと認識できるのだが、
生まれつきにこれが有ったら、多分自分は神だと思うんじゃないのか?
と言うかそれ以前に、こういったスキルで使ったアイテムは、
パーティ全員で分割されて効果が人等分割りするのが普通だろう。
今は自分とナズ、アナ、ジャーブとヴィーがいる。
ナズとヴィーを残してパーティーから外し、
強壮丸を2つパーティライゼーションで消費してみた。
「ご主・・・神様、申し訳ありません・・・
お手間を掛けさせてしまいました、それに・・・」
「大丈夫だ、こちらも無理をさせて済まなかったな。
もう1つこれを飲んで置いてくれ」
4つ目に取り出した強壮丸をナズが飲み込むと、
ナズの目は輝きを取り戻しいつもの調子に戻った。
ただ、その奥に潜む心の闇に触れた事は事実だ。
せめて優しく包んであげようと、力を込めてナズを抱きしめた。
「あの・・・ご主人様?」
「苦しかったか、すまん」
「い、いえっ・・・大丈夫です・・・あの・・・何でもありません」
何度か頭を撫でてやって解放した。
「お手数をお掛けしました、もう大丈夫です・・・。
あのっ、お食事の支度をしますね!」
ナズは仕事の続きをするからと腕を抜け、そそくさと鍋へ向かった。
気持ちは解らないでもない。
「ご主人様・・・今のは?」
アナが顛末を尋ねてきた。
すぐ近くにいるナズに配慮してなのか小声だ。
普段大人しく、自分の気持ちなど滅多に話さないナズが、
あれだけの豹変をしたのだ。
妹だと慕っていたようだし、姉としては気になるだろう。
「さっきのはMPの枯渇だ。精神力を使い過ぎたんだろう」
「枯渇ですか・・・もしや先程のカードの合成で?」
「そうだ、迂闊だった。
もう十分経験を積んでいると思って2回位は余裕かと思ったのだが、
思いのほか大変だったようだ」
「そうですか・・・もしや初心者の鍛冶師に自殺者が多いと言う話は」
「多分、そういう事なのだろう、大抵は失敗すると聞いているし」
セリーだって成功したのに人生真っ暗闇な状態だった。
ナズは最初に合成した時点ではある程度Lvが高かったから
合成1回分のMPには余裕があったのだろう。
今回は・・・ちょっと色々させ過ぎた。
次に合成の予定がある場合は、
1回毎に強壮剤1つを飲ませる事を目安にしておこう。
多分ナズはミサンガを作成した時点で、
異変に気付いていたはずだ。
やれと命令されたから、
ちょっと苦しいけど頑張ろうと思ってやってしまったのだと思う。
「万能だと思っていた鍛冶師にも、こんな弱点があるのですね・・・」
「どのジョブにも、何かしらの不都合やら欠点があると言う事だな」
アナと話している間にナズは夕食の仕上げを終えて、
次々と盛られた皿がテーブルに並ぶ。
鍋を運んできた際に先程の事を詫びた。
「ナズ、今日の事はすまなかった。
次に合成を頼んだ際に気分が悪かったり、
行けそうもないと感じたら先に申告してくれ」
「かっ、かしこまりました」
「ただ今帰りました!」
「ご主人サマ、ただいまなさい」
ジャーブとヴィーが帰って来たようだ。
さっきのタイミングでなくて良かった。
いやヴィーと帰りに会わなかったら、さっきのタイミングなのかな?
でかしたヴィー。
「ヴィー、今日の成果はどうだったか?」
「ええっと、挨拶を教えて貰った」
「そうか、頑張って来たな」
「うん、アタイちゃんと勉強してきたよ、
ちょっとなら分かるようになった」
ヴィーにヨシヨシして、夕食にした。
***
今日の夜のお勤めはたっぷりナズを可愛がった。
しかしあまりたっぷりし過ぎても、この後の仕事に障る。
今日もナズは歌いに行く予定なのだと聞いていた。
せめて最後は優しいキスで送り出した。
「それではご主人様、行ってまいります」
「ああ、気を付けてな。後でまた顔を出す」
「お待ちしております」
その後、アナと2回戦をこなす。
アナのMPが枯渇したら、この娘は一体どういう闇が現れるのだろうか。
興味はあったが、ただの好奇心でアナを絶望に叩き落すのは可哀そうだ。
そもそもナズに起こった事を説明したし、
自分の身に起こりそうなら流石に拒否するだろう。
そういうのは普段の状態で申告してくれる方が良い。
「アナは、何か不満や恐れている事は無いか?今のうちに聞いておきたい」
「ええと?・・・そういうのは、多分ありません」
いつもの冷静なアナだった。
優しいキスをしたのちに、ナズの酒場を目指す。
今日はヴィーも付いて行くのだと言っていた。
扉を叩いて様子を探るが、蝋燭は消されており2人の寝息が聞こえていた。
「駄目だな、寝てるようだ」
「今日は色々覚える事もあったようですしね」
「では2人で行こう」
「かしこまりました」
物音を立てないように裏口から退出し、
途中まで歩いたが、暗い道は何があるか判らなかったのでワープに頼った。
酒場に到着するとナズの歌声が響いており、
昨日酒樽が積んであったステージは片付けられていた。
前回と同じように酒と口受けを注文して、
アナと2人でその時間を楽しんだ。
しかし毎回夜遅くに歌わせて、
更に朝早く食事の準備をさせるのは忍び無い。
いつか体調を崩すかもしれない。
ここで働いていただけの頃と違って今は迷宮に入っており、
それは体が資本なのだ。
基礎体力が無いナズには相当大変だろう、言わないだけだと思う。
歌か、早起きか、どちらかの負担を軽減する必要がある。
ヴィーが言葉を覚えたら朝食の支度をさせてみるのはどうだろうか。
アナでも良い。
時折、何かしら教えて貰っていたようなので。
***
次の朝、ナズに起こされて起床する。
相変わらず早いと言うか元気に見えるようだが、先日の事もある。
ナズは限界が来てもそれを申告しない可能性が高い。
「ナズ、これからアナと一緒に朝食を作ってみてくれ」
「ええっと、かしこまりました?」
「アナは極力ナズの朝の仕事を手伝ってくれ、負担を減らしたい」
「かしこまりました」
「えっ、大丈夫です、ご主人様。ちゃんとやれますので」
「倒れてからでは遅い、現に昨日は限界を超えたようだ。
ああなってからでは困るので、これはお願いではなく命令だ」
「か、かしこまりました・・・」
家事用のメイドが必要なのかもしれない。
今のままでは全員が全員戦闘をするのだ。
その後に夕食、夜のお務め、夜遅くまで酒場で公演。
ナズだけに負担が集中する。
ナズは詠唱キャンセルを持った戦闘の要に昇格した。
寝込んだりしたら大幅な戦力ダウン、朝夕の食事だって困る。
ミチオ君達のメンバーのように、
全員が全員どの仕事もこなせる賢い子達ではない。
ジャーブに料理は危なそうだし、ヴィーは生活そのものが怪しい。
アナは何でもできそうに見えて、意外と知識不足だ。
ナズは自身の仕事を取られて不服かもしれない、
何かフォローを与えないと。
頭をひねりながら台所に行くと、ヴィーは既に座っていた。
水汲みはジャーブと半分に分けたので、ヴィーの担当は1回。
既に終わったらしい。
それならばと、ヴィーにパンのお使いを頼む。
ブラヒム語をどれだけ覚えてきたかのテストだ。
「朝に食べるちょっと良いパンを3つ、
お前が昼に食べる丸いパンを1つ、合計4つ買って来い」
「あい」
銀貨1枚を渡し、送り出した。
「ナズ、夜遅くに歌いに行くのは毎日では大変だ。
日を決めるか、早く帰って来るか、
歌った翌日は朝の準備を誰かに任せて休んで欲しい」
「そ、それでは、2日置きではどうでしょうか」
「じゃあ歌った翌日はアナに朝食を任せる、良いな?」
「「かしこまりました」」
2日置きなら、それでもいいのではないだろうか。
生活にはメリハリが必要だ、全て取り上げるのは逆に良くない。
キッチンの様子を眺めながら皆の到着を待つ。
ヴィーはパンのお使い、ジャーブは水汲みと水やり、
ナズはアナに教えながら野菜とハムを炒めている。
こちらの世界に転移して今日で3週間。
日本にいる時に憧れた、平和な家族の団らんがここにある。
思えば、母親には恵まれなかった。
収入が不安定な事以外は、すべてがここにあるのだ。
ヴィーが駆け足で帰って来た。
手には丸パンを4つ抱えている。
おかしいな、ちょっと良いパンって言ったんだがな・・・。
「ちょっと良いパンを買って来て欲しかったが、解らなかったか?」
「えっ、アタイ何か間違った?
まるいぱんを下さいって、ちゃんと言えたぞ」
・・・・・。
そうだった、この場でちょっと良いパンと言っても、
ヴィーには竜人族の言葉で聞こえている。
ブラヒム語の対応する言葉はまだ習ってないのだろう。
アナやナズに向かって言うべきだった。
しょうがない。
今日の朝のメニューがスープだったことが幸いして、
問題なく流し込むことができた。
明日は、ちゃんと伝えるか・・・。
「それでは、今日の迷宮は12層へ行こうと思う、ヴィーは商館だな」
「「かしこまりました」」「分かりました」「あい」
ヴィーを送り出したのちに家の戸締りをして、12層入り口へワープした。
「ジャーブ、ここの12階層は何だった?」
「ええと何か気持ち悪い植物ですね、ツボみたいな」
食虫植物系のサラセニアの事だろう。
壺型の花弁を持ち甘い匂いで虫を誘い、閉じ込めて捕食する。
誰もが知っていると言う事ならウツボカズラの方が有名か。
そしてコイツからはHP回復薬の材料が出るはずだ。
と言う事は、ここでの狩りを行えば最下級の薬には困らなくはなる。
今はもう1つ上級の薬を一定数揃えてしまってはいるが、
下級の薬であっても沢山有ればそれだけ安心だ。
「よし、ではいっぱい狩ろう」
「かしこまりました、早速ですが真っすぐに行けば3匹いるようです」
サラセニアに交じって、ニートアントが2匹出てきた。
毒も持っているし、こいつが落とすアイテムは毒針だ。
やっぱりニートアントは頂けない、正直旨みが無い。
「サラセニアを取る、後は任す」
「「はい」」
ニートアントの横を通り抜け、サラセニアに突きを入れる。
その後、様子を確認しながら攻撃のチャンスを窺う。
頭の上の花弁を傾けたら酸攻撃、おどろおどろしい葉を振れば毒攻撃、
うねうねと動く根蔓がしなれば鞭攻撃だ。
サラセニアは多彩な攻撃法を持っている。
どう動くかを今ここで観察し、ボスに繋げなければならない。
全ての雑魚は、ボスへの布石となっているからだ。
サラセニアが体を縮めた。
葉でもなければ根でもない、それならば酸を飛ばして来るのだろう。
オーバーホエルミングを使用して、その動きをじっくりと観察する。
身を屈めたサラセニアからは、
花弁が少しだけ開いて液体が飛んで来た。
──ビュシャッ!
・・・これが遠距離の酸攻撃か。
キャタピラーの糸のように広範囲には広がって来なかったが、
勢いがあるので直進方向には飛びそうだ。
これは避けた時に、後ろに誰かが居そうな位置取りはまずい。
身を屈めたら避けて、発射タイミングで元の位置に戻るのが正解だろう。
それよりも消化液が付着した武器はどうなるのか。
攻撃力が落ちたり、溶けたりするのだろうか。
次に機会があればデュランダルに当ててみようと思う。
いつでも新品に戻るのは便利だ。
次はオーバーホエルミング無しで、3連撃を入れてみた。
流石12層だ、まだまだ全然ピンピンしている。
1つ下のナイーブオリーブが15刀だったので、当然それ以上必要だ。
次に踏み込むタイミングは・・・この根蔓攻撃の後だ。
大きく撓って、さらには大きく伸びて来る。
「うわっ」
伸びる、と言う予想外の動きに体を打たれてしまった。
さして痛みは感じなかったが、音だけはビチィッ!と凄い音がした。
竜革の鎧様々である。
更新しておいて本当に良かった。
葉や体当たり以外では毒は無かったはずだ。
今の攻撃は、逆に言えばチャンスだ。
ダメージも大した事がなく、毒にもならないので安全に対処できる。
3連撃を入れて、念のために距離を取った。
次の攻撃では葉を振って来た。
距離を取って置いたので、完全に空振りとなる。
──パシンッ!
「う・・・」
・・・と思っていたら、余裕で避けられたつもりが胸に当たった。
葉が、撓って伸びて来たのだ。
注意しよう、葉も根も意外と伸びてくる。
毒は・・・大丈夫だ、何も感じない。
お返しの3連撃を加える。
「ご主人様ッ!?大丈夫でしょうかっ!」
アナが心配して声を掛けてきた。
「様子を見ただけだ、大丈夫っ!」
いや、そもそも痛いのは嫌だから、
初見で避けられれば、それに越した事は無い。
しかし今のを含めて変な動きが多い魔物相手では、初見完封は無理だ。
こと植物系の敵に関しては、その動きに対して全く見当も付かない。
地球では機敏に動く植物なんていなかったのだから仕方無い。
そもそも、あちらさんは真剣に殺しに掛かって来ているのだ。
悠長な事など言わず、攻撃は受けないに越した事はない。
サラセニアから、再び根蔓が飛んでくる。
やや距離があったので、自分の目には直線的に放たれたように見えた。
ところが、しっかり避けたつもりがまた胸に当たった。
──ビシッ!
「わぅ・・・」
ロープを真っすぐ投擲したとしても、
手元でほんの少し波状に撓れば、それは先の方まで伝播する。
これは突きに見せかけて、波状攻撃だったのだ。
撓り・・・植物はこれに注意するべきなのだろう。
よく考えてみたら、ウドウッドの回転攻撃も撓りが掛かっていた。
そして再びこちらのターンだ。
根が来た後に、連続して根は来ないのだと思う。
シュルシュルと根が元の位置に戻っていく。
スキを突いて5刀を叩き込めた。
サラセニアは身を低くした。
解ってるぞ、先に後ろに被害が及ばない位置に移動する。
──バシュ!
・・・ビシャッ。
放たれた直後に少しだけ移動して、剣先に当てた。
そこからオーバーホエルミングで3回斬るとサラセニアは散った。
散ったと言うか花弁が落下した。
多分最後の一撃で花弁近くの花柄を折ったのだろう。
サラセニアは合計18刀だった。
最後の3回は消化液をデュランダルに当てている。
ダメージが減算したような様子は無かった。
じゃあ防御力減少?
メッキがあるんだし、その逆なのだろうか。
どちらにせよ、もう受けたくはない。
ジャーブの方を見ると、ニートアントが消えていた。
アナの囲みに加わっている。
様子を見て時間を掛けたせいで、ジャーブに先を越されてしまった。
モンスターハウス以外で、通常の魔物を倒されたのは初めてじゃないか?
それだけジャーブの攻撃力が上がって来たのだろう。
元々ここで戦っていたのだ。
何年も戦ってきたのでスキルは自在に出せるし、
ここの敵はお手の物なのだろう。
そうか、ナズにはジャーブを手伝えと言っておいた。
ジャーブとナズの2人の力は、
自分がモタモタして戦う位には成長したのだ。
急がないとアナの敵まで倒されてしまう。
3人に退くように指示をして、ニートアントを葬った。
∽今日のステータス(2021/09/06)
・フジモト・ユウキ 人間 男 21歳 探索者 Lv37
設定:探索者(37)英雄(28)騎士(29)賞金稼ぎ(29)
薬草採集士(27)
取得:村人(5)戦士(30)剣士(34)商人(30)色魔(1)
奴隷商人(1)暗殺者(1)武器商人(1)防具商人(1)
農夫(1)錬金術師(1)料理人(1)村長(1)盗賊(1)
・BP135
キャラクター再設定 1pt 5thジョブ 15pt
獲得経験値上昇×10 31pt 武器6 63pt
必要経験値減少/5 15pt 詠唱省略 3pt
結晶化促進×4 7pt
・ナジャリ ドワーフ ♀ 16歳 鍛冶師 Lv32
鋼鉄の槍(++)
鉄の兜(-)チェインメイル(++)鉄の籠手(-)鉄のグリーブ(-)
・アナンタ 猫人族 ♀ 20歳 暗殺者 Lv26
・ジャーブ 狼人族 ♂ 28歳 戦士 Lv27
・ヴィクトラ 竜人族 ♀ 12歳 竜騎士 Lv7
↓
・フジモト・ユウキ 人間 男 21歳 探索者 Lv37
設定:探索者(37)英雄(28)騎士(29)賞金稼ぎ(29)
薬草採集士(27)
・ナジャリ ドワーフ ♀ 16歳 鍛冶師 Lv32
強権の鋼鉄槍(詠唱中断 +)
鉄の兜(-)チェインメイル(++)鉄の籠手(-)鉄のグリーブ(-)
・アナンタ 猫人族 ♀ 20歳 暗殺者 Lv26
・ジャーブ 狼人族 ♂ 28歳 戦士 Lv27
・ヴィクトラ 竜人族 ♀ 12歳 竜騎士 Lv8
・繰越金額 (白金貨2枚)
金貨 7枚 銀貨 68枚 銅貨129枚
パン代 (32й)
丸パン ×4 32
銅貨-32枚
------------------------
計 金貨 7枚 銀貨 68枚 銅貨 97枚
・トラッサの迷宮
Lv 魔物 / ボス
10 ニートアント / ハントアント
11 ナイーブオリーブ / パームバウム
12 サラセニア / ネペンテス
・異世界20日目(夕方)
ナズ・アナ15日目、ジャーブ9日目、ヴィー3日目
鍛冶G面会まで2日




