§076 難読
朝食を終え、トラッサの9階層へ向かった。
今日は日が傾く前まで迷宮で探索できそうだ。
以前迷宮へ初めて踏み込んだ際には、この先へ続く闇に恐怖した。
しかし今では迷宮に行っていないと何だか落ち着かない。
暫く前までは日銭を稼ぐ事に一喜一憂していたが、
色々な策略の下に白金貨が手元へ残った事で余裕ができている。
それこそ暫く迷宮に行く必要なんて無くなった訳だが、
何もせずぼーっと1日を過ごすのも何だか退屈だ。
何故だか「行かねば」と言う焦燥感に駆られている。
迷宮の魔力?
依存性?
迷宮は人を呑むだけでは無く、人を惑わすのだろうか。
ミチオ君だってそれまで培ったコネを使ったり、
30階層を楽に渡れる程度の実力があるのだから
迷宮討伐に向けた試験なんて無視しても良かったのだと思う。
帝国解放会の話を受ける気になったのは、
迷宮を攻略してみようと思ったからだろう。
討伐を目指す貴族の縁者である所のルティナを、
奴隷として手に入れた手前もあったとは思う。
自分はどうだろうか。
やはり異世界からやって来た超能力者としては、
迷宮の深部へ行くと言う好奇心や探求心が尽きる事は無い。
そうは言ってもガンガン突き進んで死んでしまっては元も子も無い訳で、
慎重に進んで行こうとするミチオ君の姿勢には共感できる。
現状ではそれなりの資産ができた訳だが、
たかだか白金貨1枚程度では5年も暮らせない。
これを維持しつつ将来への貯金も考えて生活して行くには、
もう少し深層に行って稼がなければならない。
やはり迷宮には行って置くべきなのだ。
迷宮の魔力などでは無く、これは仕方の無い事だった。
簡単に葬れる魔物を前に、気が大きくなっているだけなのかもしれないが。
あれこれ考えているうちにアナが最初の魔物を見付けて来た。
お決まりのスローラビットとエスケープゴートの牧場だ。
エスケープゴートに向かって駆けて行き、
3発叩き込んだ後オーバーホエルミングで追加の4発を入れる。
うん、やはりラッシュは必要無い。
ラッシュ、ラッシュ、ラッシュ、と考えるだけでも、
コンマ数秒はオーバーホエルミングを無駄にしていると思う。
自分の獲物を片付けた後は、前衛2人の受け持っている敵を叩く。
ジャーブは基本的にカウンター、アナはガードがメインだ。
先にジャーブのウサギを始末しないと経験値が不味い。
そんな事を言ってられなくなる日が来るかもしれないが、
今は手加減をして欲しいものだ。
自分達が今いる9層は倒し易く人気らしいので人は多い。
そんな中で見付けた隠し通路の更に奥。
5日前に全滅させた2つの小部屋には、また少し魔物が湧いていた。
秘密の扉をくぐった先々で全ての壁を手探りで探したが、
もうこれ以上未知の通路は発見できなかった。
仮に有ったとしたらアナが未到達の魔物に気が付くだろうけれども。
ナズの合図で狩りを中断し、昼食の準備に取り掛かるために帰還する。
午前中いっぱい掛けて人が来ないエリアを制覇した。
その甲斐もあって今回はスローラビット148匹を倒せたのだった。
以前話をしたコボルトハンターの話では、
モンスターカードは効率良く倒して4,5日に1つだと言っていた。
自分達がこの階層で狩りをしたのは4日間。
計算上では今日か明日出れば御の字と言う事になる。
午前中の狩りでは残念ながら出なかった。
しかし、考えてみたら内2日は午前中しか戦っていない。
初日のボーナスを除外して、半日を換算するとまだ丸2日だ。
効率はコボルトより悪い・・・、いや殲滅速度はさほど変わらないと思う。
だとするならば、まだまだ全然出るような確率では無かった。
大体、コボルトを200も倒して4、5日に1回なら、
出現率は0.1%だ。
0.5%だとか考えていたのは浅はか過ぎた。
ミチオ君は序盤から魔法で倒していたのだから、
我々よりも遥かに効率が良かったにも拘らず、
それ程お目に掛かれてなかった様子であったし。
「ご主人様、昼のパンをお願いしますね」
「おっと、そういえばそうだったな。忘れる所だった」
昨日、ナズには昼も夜も自分がパンを買うのだと宣言した。
初日から忘れていては面目が立たない。
主人が忘れたなら笑って済ませてお終いだが、
逆の立場だったら折檻の1つもあるかも知れない。
この世界の契約労働者はうっかりミスが許されないのだ。
現代日本のブラック派遣も真っ青だ、恐ろしい。
朝はミニパンだったので、昼はちょっと良い奴を買った。
ついでに雑貨屋へ顔を出し、
盗られた小銭袋の替えと麻袋を5つ買った。
麻袋の中に麻袋を入れ、その中に麻袋を入れて、
更に畳んだ麻袋を入れれば・・・、
どうだろう?泥落とし用の玄関マットっぽくなった。
大工にお願いするまでもなかった。
100円ショップでDIYする人の気分がちょっとだけ解った。
***
昼食はパーンの肉を短冊状に切った物と合わせた野菜炒めだった。
そこにふわふわ食感のパンが加わる。
絶対にチョイスを間違えたと思う。
ここは普通のパンか、長パンで良かったのだ。
デニッシュでホットドッグを食べるような感覚に近い。
固く味気の無いパンの方が、今日のおかずには合致した。
「ちょっとパンの選別を間違ったな?」
「そんな事ありませんよ?どちらも美味しいです」
「ナズさんのお料理があれば何でも美味しく頂けます」
「俺には毎日肉が食べられるだけでも十分豪華です」
そうだった。
この世界の住人には一緒に食べると言う概念が無い。
パンはパンだけ食べてお腹一杯、おかずは別の豪華な何かなのだ。
三角食べとか、栄養バランスとか、そういう考えが元々無い。
パンが旨ければもうそれで十分で、気にも留めちゃあいない。
そういえば宿屋で配給されていた弁当も、
どう考えても一緒に食べればホットドッグなのに別々に分けられていた。
野菜炒めと一緒にするとパンが萎びてしまう関係もあるだろうが。
前回ナズの作ったラップ(パピルス)サンドの方が異常なのだ。
なるほど、食に関しては気にしたら負けのようだ。
調和とか、味の奥深さとか、そういうのは貴族の宮廷料理だけなのだろう。
そんな高貴な目線を持つルティナをして
食道楽と言わしめるミチオ君の食生活がちょっと羨ましくなった。
良いモノ食ってるんだな・・・。
それもそうか。
元一般人が3人、貴族が1人。
ミリアも魚料理には一家言持っていたようだし、
セリーもルティナも舌は肥えているのだろう。
こちらは・・・貧乏人が2人と根っからの奴隷が1人。
元料理人であったナズの手料理は美味しいが、
それも使用している材料は庶民の物に過ぎない。
ミチオ君達と比べたら失礼だった。
食事を終わらせるとナズからの申告があった。
「ご主人様、頂いたパーンの肉ですが、今晩の分で終わりそうです。
ハムはまだ沢山残っていますので、朝のお肉は大丈夫です」
「そうか、では午後はパーンを倒そう。
どの位有ればしばらく持ちそうかな?」
「ええと、1食1枚使わせて頂いていますので、5日分なら5枚必要です」
「以前、銀貨を20枚渡したと思ったが、どの位使ったか解るか?」
「小物と調味料で初日は使わせて頂きましたので、残りは銅貨91枚です」
「結構使ったな」
「いえっ、最初に購入した小物やハムが高かったので、
後4,5日は何も買う必要が無いかと思います」
「そうなのか、後でちょっと何を買ったか教えてくれ」
「あっ、帳面を付けておりますので、ご覧になりますか?」
家計簿を付けていたのは意外だった。
そういう所は流石と言うか、食堂の娘と言った所だろう。
ナズには以前パピルスを所望されて、数枚渡して置いた。
この世界で一般人が書き物をするとなると、
直ぐに破れそうなパピルスが主流である。
それも買い物の度に商品をパピルスで包んで渡してくれるので、
それらの余りが貯まっていた。
書く物は鉛筆を渡している。
ナズにもアナにも書き易いと好評だった。
これは1ダース持って来たので当分困る事も無いだろう。
xx xx xx
xxxx xxx xx
xx x x
xxx x xxx
・
・
・
うん、読めない。
後でジャーブに聞こう。
「ご主人様からパンやお肉を提供して頂いたので、
殆どお食事にお金を使っておりません」
「そ、そうか。
じゃあ、また明日銀貨20枚を渡すから5日後に教えてくれ」
「かしこまりました」
ナズが食器を片付け、アナは装備の手入れに向かった所で、
ジャーブにこっそり聞く。
「読めんので読んでくれ」
「ええと、ユウキ様が文字を読めない事はお2人に秘密なのでしょうか?」
「いや、そういう訳でも無いんだが、
見せられた手前読めんと言って突っ返す訳にも行かんだろう」
「そ、それもそうですね」
「────・・・、
────・・・
────です」
「なるほど、純粋に食費としてはかなり少ないのだな」
「そのようですね、自炊するとこれほどまでに抑えられるのは衝撃です」
確かに、調味料や器具を除けば食費としてはかなり安い。
パンと肉を提供しているとは言え、調味料を抜けば銀貨6枚で5日分。
1食当たり10ナール程、これで3食4人分なのだ。
弁当や食堂の料理は贅沢なのだと言う事が良く判る。
そして旅亭、いや宿屋に泊まると言う事がどれ程勿体無いかと言う事も。
しかし料理をするには先立つ物や知識、技能、それから場所が必要だ。
迷宮暮らしではそこまで辿り着けない者もいるだろう。
或いは稼ぎが良くなれば宿でも十分なのかもしれない。
遣り繰り上手な元料理人だからこそ上手くできただけなのかもしれない。
「ああ、じゃあアナの準備が終、
「お待たせ致しました、いつでも行けます」
わっ!」
既に後ろにはアナがいた。
ジャーブも見えていたなら言えよ・・・。
「い、行けるか?」
「いつでも大丈夫です」
***
午後はパーンの周回を行った。
6層は人が多くボスの待機部屋でニアミスするのは拙いので、
中間部屋からの再スタートとなる。
ま、ボス自体は不人気であるらしいので待ち合う事など無い訳なのだが。
周回する道中も一度殲滅してしまえば2周目以降に出遭う魔物もおらず、
その後は無理に探させる事もしなかった。
このため比較的早くにパーン肉が5つ集まり、
ナズに預けて再び9層での狩りを再開する。
午後は早めに終わらせ、トリアへ赴く必要がある。
そうこうして午前中に入手したウサギの皮148枚分の半分、
72匹を狩った所で切り上げた。
「では今日はこのまま切り上げる。ナズは夕食を、ジャーブは一緒に来い」
「えっ?俺も行くんですか?」
「お前は囮だ」
「えっ、いやっ、大丈夫です!今度こそちゃんと捕まえますよ!ユウキ様」
完全に理解した。
これはフラグと言う奴だ。
「先に行くから、アナはタイミングを外してゲートに入ってくれ」
「かしこまりました」
まずはナズを家に送る。
その後、2人で例の怪しい商人の店の横へ移動し、
そこからパン屋に向けて歩き出した。
パーティ機能のお陰でアナの影が表示される。
2区画程離れた所でアナがこちらへやって来たようだ。
ポーチには銅貨の袋と、小石の入った袋の2つが用意されている。
そういえば今、幾ら位入っていたっけ。
ポーチから取り出して歩きながら数えていると、躓いて転んでしまった。
──チャリチャリチャリ・・・
銅貨がばら撒かれて四方に飛び散った。
「あっ・・・」
「直ぐ拾いますね」
ジャーブと手分けして拾っていると、
誰かが素早い動きで土ごと回収し、ポケットに突っ込んで走り去った。
「あっ!」
「このガキ待ちやがれ!」
自分もジャーブも中腰である。
そんな瞬間的にダッシュできるような体勢では無かった。
「あー・・・」
止めようと思ったが、ジャーブもすっ飛んで行ってしまった。
ターゲットは既に角を曲がってしまっていたので、追うだけ無駄である。
まあ、例のスリがジャーブだけに気を取られて
アナの事を完全に意識しないでいてくれる事を祈るのみだ。
人間、飛び散った一番向こうから追い掛ける習性があるので、
今回は塊りが落ちている辺りを狙われた。
盗賊ながら、センスが良い。
とは言っても、今回は20枚あるか無いか位。
大した額でも無かろう。
拾い集められた銅貨が20枚だったので、
今日のパンを買うには両替が発生せずに済んだ。
そもそも前回は4つ買ったのだが、流石に量が多過ぎた。
パン1個で1食の文化、おかずがあれば半分で良かったのだ。
つまり2個あれば良い、20ナールだ。
「やあ、おばちゃん。揚げパンはあるかい?」
「ああ、昨日の。いつもこの時間なのかい?」
「いや、昨日と今日はちょっとたまたまでね。
明日からはもう少し遅いかもしれないよ」
「昼の残りなら今日も4つだね」
「じゃあそれを2つで。20ナールで良いんだっけ」
「ああ、ちょっと待っとくれ」
女将がパンをパピルスで包む。
またパピルスが増える。
やはりパンを買うならばバスケットが必要なのだろうか。
「はい、まいどありね」
「ああ、また宜しく」
ゲートを開いて台所へ繋ぎ、パンを置いて再びトリアに戻って来た。
やはりと言うか、案の定と言うか。
ジャーブはオロオロしているし、
アナはどうやって登ったのか民家の屋上から身を潜めて偵察していた。
「ジャーブ、もう良いぞ。お前は先に帰れ」
「も、申し訳ございません!ユウキ様、もう一度!もう一度俺に機会を!」
ジャーブに懇願されたが、もう君の役目は終わりだ。
十分働いたと思う。
本人の希望する働き方では無かったが。
「あー別に怒ってる訳でも無いし、咎めるつもりも無い。
ジャーブは今回十分働いたので、
家へ戻って水汲みと畑仕事をしたら休憩してくれ。
後はアナがやる」
「は、はいっ。申し訳ございませんでした」
「いや、だからジャーブは十分働いたんだってば、誇りを持て」
「ええ・・しかし・・・ユウキさ──」
ぶつくさ言われても邪魔なので、ゲートを開いて押し込んだ。
アナがこちらに気付いたらどうなったか聞こう。
そんな事を思っていたら直ぐにアナが駆け寄って来た。
ジャーブが帰るのを待っていたのか?
「ご主人様の計画通り、例の少女が現れましたね」
「い、いや、転んだのは計画外だ・・・」
「・・・そう・・・ですか、例のスリのアジトを捉えております。
中には子供が1人と、大人が1人いるようでした。
その者が首謀者で、子供に盗賊行為をさせているのだと思います」
アナの見立ては正しかった。
子供だけで生きて行く事は難しいし、
パン屋の前でスったお金でパンを買うのはもっと難しい。
とすれば、窃盗に手を染めない大人がいて面倒を見ているはずなのだ。
「その大人はどんな奴か判りそうか?」
「やせ形で中年よりは若く、ご主人様よりは上かと思われます」
「そんな事まで解かるのか」
「家の中から声がしましたので立ち聞きました」
ああそう。
例のかっぱらい娘はアナの事には全く気付かなかったのだな。
「2人で乗り込んでも平気そうか?」
「ご主人様のスキルがあれば、大人を捕らえる事はできるかと思います。
問題は子供の方で、多分逃げられるでしょう」
「両方捕らえるにはどうしたら良いかな」
「ナズさんの力が必要かと思います」
「どうして?」
「子供の方が竜人族のようでして、
恐らく私やご主人様の力では抑え切れません」
なるほど、捕らえても力尽くで逃げられてしまうと言う事か。
ならばナズに踏ん捕まえて貰おうと言う算段だ。
「ナズにできそうかな?」
「ナズさんの槍であれば叩き落としたり転ばせたり、
隙を突いて逃げ出そうとしても柄で押さえ込む事ができるかと思います」
「良し、ではまずナズを連れて来よう」
***
「と言う訳で、ちょっと盗賊退治に1つ手を貸して欲しい。はいこれ」
ナズにチェインメイルと鋼鉄の槍を手渡す。
「ええと、私にそのような事ができるでしょうか・・・」
「危険がありそうな盗賊は大人の1人だけだ。
子供の方は逃げようとするだけだろうから、
邪魔したり足を払ったり、脅かしてくれるだけで良い」
「か、かしこまりました・・・」
「問題はこの扉だが、どうしよう」
「少女がこの家に入る際に合言葉を聞いております。
私が開けさせてみますので、
その隙を突いてご主人様のスキルで侵入して下さい」
何から何まで、凄いとしか言いようのない段取りでびっくりする。
「では参ります」
アナは戸が開く角度から邪魔に成らないように、
向こう側から手を伸ばして扉を叩いた。
──ダンダンダン。
返答は無い。
これ以上は帰って来る者がいないのだろうか、
あちらさんも警戒しているのだろう。
──ダンダンダン。
やはり返事が無い。
と言うか、物音ひとつ感じさせない。
周りの民家も戸や窓が閉まり静まり返っているので、
この辺りに人が住んでいるかどうかも不明だ。
──ダンダンダンダンダン。
返事は無かったが、扉に手を掛ける音がした。
──ギィ・・・
ほんの少しだけ戸が開く。
その瞬間を見逃さなかった。
オーバーホエルミング!
少しだけ開いた戸から見えた目がこちらに合うと、
中の人物は慌てて戸を閉めようとした。
扉が閉まってしまう前にデュランダルを突き刺し、
梃子の原理で開扉させる。
急に扉の取っ手を持って行かれた男が表へ引き擦り出され、
そこへアナのボディブローが飛んだ。
自分もデュランダルの樋の部分で思いっきり叩きのめした。
「ナズ、行けっ!」
「はいっ!」
ナズを家に侵入させ、例の子供を追い詰めさせる。
相手が素早いとは言えナズの槍ならばリーチもあるし、
ナズの動きはベテランの戦士にも匹敵する。
エスケープゴートと戦った経験を生かせば、十分やり合える算段だった。
その間に、自分は男の身柄を確保する。
オーバーホエルミングで男のシャツを胸元から切り裂き、
両腕を後ろへ組むように引っ張り上げて緊く縛った。
次のオーバーホエルミングではズボンを切り裂き、
足元まで捲ってやはりこれも縛り上げた。
「アナ、見張って置いてくれ」
「かしこまりました」
部屋の中に侵入すると、
少女の喉元へ槍先を向けて牽制しているナズの姿があった。
身窄らしい格好の少女は涙目になっている。
チェックメイトだ。
「お前、覚えているな?さっき金を奪われた者だが」
「知らない、アタイじゃない!」
「お前が知らなくてもこちらは知っている。
盗賊は死罪だ。この場でお前を殺しても良いんだぞ?」
「ううっ・・・」
「悪いようにはしないから、まずは大人しくしろ」
「ホントか、殺さないか」
「お前次第だ。手を頭にのせて、ゆっくり床にうつ伏せになって寝ろ」
少女を床に寝かせ、ナズに上へ乗るように指示をして、
床に散乱している衣類を切って伸ばして手と足を縛った。
「さて、これからお前らを騎士団に突き出すか、
迷宮へ放り込むかはこちらの自由だ」
「嘘ツキ!殺さないって言った!」
「お前次第だと言っただろ、大人しく言う事を聞くならそのままだ」
「ううっ・・・」
ここで尋問したり金の返却を求めても地の利は悪い。
どこに何を隠しているか判らない以上、
自分の家に連れて行くべきだろう。
丁度風呂の部屋には桶以外何も置いていないし、
逃げられるような事もあるまい。
「ではまずこちらのパーティへ入れ」
「パーティ?何だそれ」
パーティを知らないのか。
しっかり教育されていないと見える。
見た所幼そうだし仕方無い。
迷宮やスキルの事も解からない素振りだし、
色々やっても驚かれる心配は無さそうで安心した。
・ユウキ
・ナジャリ
・アナンタ
・ジャーブ
・ヴィクトラ
疑問など持たずに「決定」をしたようだ。
「ほー、お前はヴィクトラと言うのだな?」
「知らない、アタイはヴィーだ」
「そうか、表の男はお前の何だ?」
「兄ちゃんだ」
「そんな訳あるか。あいつは人間だったから、お前の兄では無い」
「そんなの知らない、アタイは兄ちゃんとずっと一緒だ」
うーん、ちゃんとした話ができそうなのは大人の方だけなのだな。
「では、その男と一緒にちょっと来て貰おうか」
「殺さないって言った!ウソツキ!」
「騎士団じゃないぞ、自分の家に付いて来て貰うだけだ」
「ホントか?付いて行って迷宮だったら許さないぞ」
うーん面倒臭ぇ・・・。
外でアナに蹴り飛ばされている男に声を掛けてパーティに入れ、
酷い事はしないと念を押して一緒に付いて来るよう言い聞かせた。
そして家探しをした結果、今日盗難された20ナールは戻って来た。
昨日金袋ごと盗られた分に付いては食事や支払いで消えたそうだ。
∽今日のステータス(2021/08/30)
・フジモト・ユウキ 人間 男 21歳 探索者 Lv37
設定:探索者(37)英雄(27)騎士(26)賞金稼ぎ(26)
薬草採集士(19)
取得:村人(5)戦士(30)剣士(34)商人(30)色魔(1)
奴隷商人(1)暗殺者(1)武器商人(1)防具商人(1)
農夫(1)錬金術師(1)料理人(1)村長(1)盗賊(1)
・BP135
キャラクター再設定 1pt 5thジョブ 15pt
獲得経験値上昇×10 31pt 武器6 63pt
必要経験値減少/5 15pt 詠唱省略 3pt
結晶化促進×8 7pt
・ナジャリ ドワーフ ♀ 16歳 鍛冶師 Lv32
・アナンタ 猫人族 ♀ 20歳 暗殺者 Lv21
・ジャーブ 狼人族 ♂ 28歳 戦士 Lv26
↓
・フジモト・ユウキ 人間 男 21歳 探索者 Lv37
設定:探索者(37)英雄(28)騎士(28)賞金稼ぎ(28)
薬草採集士(22)
・ナジャリ ドワーフ ♀ 16歳 鍛冶師 Lv32
・アナンタ 猫人族 ♀ 20歳 暗殺者 Lv23
・ジャーブ 狼人族 ♂ 28歳 戦士 Lv27
・繰越金額 (白金貨1枚)
金貨 14枚 銀貨 84枚 銅貨 40枚
雑貨購入 (52й)
金袋 2
麻袋 ×5 50
パン代 (40й)
いいパン ×2 20
揚げパン ×2 20
銀貨- 1枚 銅貨+ 8枚
------------------------
計 金貨 14枚 銀貨 83枚 銅貨 48枚
・異世界18日目(朝)
ナズ・アナ13日目、ジャーブ7日目、
防具回収まで1日、鍛冶G面会まで4日
・ナズのメモ (合計1909й)
ペッパーミル 一 100
コボルトミル 十 200
調味料箱 卅 200
オリーブオイル 十 200
スパイス 十 400
ソルト 廾 60
スクロース 廾 150
パン 卅 32
イモ 丗丗 20
タマネギ 丗卅 12
ニンジン 丗丗 15
キャベツ 一 10
ダイコン 十 10
燻製肉 一 500
・入手素材 18AM 18PM
兎の毛皮 ×148 ×72
ブランチ ×78 ×30
皮 ×20 ×8
スパイダーシルク ×2 ×0
・トラッサの迷宮
Lv 魔物 / ボス
6 エスケープゴート / パーン
7 ミノ / ハチノス
8 ニードルウッド / ウドウッド
9 スローラビット / ラピッドラビット




