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異世界迷宮の追従を  作者: えぁりん
♯第四章 資金
47/394

§046 2個

「アナ、今何回倒したか、数えていたりするか?」

「い、いえ・・・。

 こんなに沢山お倒しになるとは思っておりませんでしたので、

 申し訳ございません」


「ここに残れと言われるまでが119回でした。

 その後、ご主人様は74回入っていらっしゃいます」


「す、凄いなナズ。偉いぞ」

「あっ・・・・・(えへ)」


ナズを抱きしめて撫でた。


と言う事は193回か。200まではあと7回。

それよりボスの魔力値は正確に幾つなんだ?

2回よりは多い、大雑把にそれしか知らない。


そういえばアナに渡した魔結晶は黒色で、

記憶が確かなら一度も魔力を吸収していない。

実験をしよう、絶好の機会だし。


「ちょっとアナ、預けていた魔結晶を貸してくれ」

「かしこまりました」


アナがリュックを落として、魔結晶を差し出した。

黒い。

当然だ、0だし。


魔力値3なら2倍で6。

4なら2倍で8。

5なら2倍で10、赤くなるはずだ。


「ちょっと実験してくる。

 ナズ、この実験分はカウントしなくていい」

「かしこまりました」

「いってらっしゃいませ」


結晶化促進の倍率を×2に変えてボスを葬って戻って来た。


「ただいま」

「お帰りなさいませ、実験は如何でしたでしょうか」


「判らんな」

「そうですか」


魔結晶は黒いまま、ボスの魔力値は5ではない。

魔力値4なら8溜まっている。

魔力値3なら6だ。

次に結晶化促進を解除してみれば、答えが判る。


4なら8+4で12、赤くなる。

3なら6+3で9、黒いまま。

2なら・・・、いや、3よりは多いはずなのでそれは無い。


黒いままだったらもう一度戦えばハッキリする。

3回目で赤くなれば魔力値3だ。

そうでなければ魔力値2と言う事になる。

そんな事は絶対無いはずだが。・・・そうだよね?


「もう一度行って来る」

「行ってらっしゃいませ」


・・・・。

ボスを倒してみたら魔結晶は赤くなっていた。

ボスの魔力値は4なのだ。


193回戦ったと言うのならば、

200と多めに見積もったとしてえーっと・・・。


恥ずかしながら商人に付け替えた。


  ──193×4×64・・・49408!


ほぼ5万か、半分まで来た。


元々どのくらい溜まっていたのかが判らないから何とも言えないが、

仮に1万5千位溜まっていたのだとすると、

残り3万5千なら後136回。


あと100回とちょっとか。

行けそうな気がする。


ワープを出して2人の下に戻って来た。


「おかえりなさいませ、ちょっと遅かったので心配しました」

「ご無事のようで何よりです」


この2人は本当に可愛いな。

心配して貰えると言うのはお世辞でも嬉しい。

ナズとアナを抱き寄せて撫でた。


「「あっ・・・」・・・・・(えへ)」


「ちょっと倒した後に考え事をな。それよりボスの魔力値が判った」

「魔力値?」

「どういう事でしょう?」


こっちの世界での正式名称が解らない。


「えーっと、魔物を倒すと魔結晶がだんだん色が変わるだろう?」

「そうですね」「はい、知っています」


「1匹に付き1回分、10匹で黒から赤くなるだろう?」

「そうですね」「そうなのですか?」


ナズは迷宮探索者では無かったのだから、

こういった知識は知らないのはしょうがない。


「ボスだとその量が違うのも知られているよな?」

「はい、少し多いらしいですが、一体幾つなのかまでは」


普通はボスを何度も倒すとなると、最寄で中間部屋だ。


ボスと再戦できるまでには通常の魔物と出遭う事が多いし、

その時点で黒魔結晶から検証するのは中々難しい。

普通の人は雑魚を一撃で終わらせる事もできないらしいし。

そもそもタコ殴りなので誰が倒したかはっきりと検証できない。


「その結果、魔物4匹分だと言う事が判った、ほら」


懐から赤くなった魔結晶を2人に見せた。


「そうなのですか、その実験だったのですね」

「ええと、まだ2回しか倒していらっしゃらないので、

 10回分溜まるにはまだ足りない気が致しますが」


くっ、ナズは頭が回るから2回なら8だろうと言う核心に触れてきた。

これだから賢い奴は・・・。


聞かなかった事にして赤魔結晶をアナに返す。


「と言う訳で、このボスと後130回位戦う事になりそうだ」

「そうなのですね、更に130回ですか・・・」


「所でナズ、今は何時くらいだ」

「ええと、もうすぐ夕暮れですね。

 130回が後どの位掛かるかは判りませんが、

 終わった頃には夜になりそうです」


そうか・・・。

今日中に売れなかったらギルドに持っていくのは明日だな。

大量のニカワもあるし、3割アップで儲けさせて貰おう。


「よし。じゃあ、休憩も済んだし残り頑張ってくる」

「かしこまりました。お気を付け下さい」

「行ってらっしゃいませ、ご主人様」


結晶化促進倍率を元に戻しながらステータスも確認する。

これまでに溜まった経験値でLvが上がっていた。

これでようやく鑑定が戻ってきたが、

あの部屋でうっかり鑑定すると、

アイテムだらけのウインドウでボスが見えなくなりそうだ。


残りが判ると、途端に楽になる。


合図があるまで延々と数えろ、と言われたら普通困惑する。

しかし130から始めて0まで数えろ、だと途端に楽になる。

人の心は複雑で単純だ。


・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・


あと80回だ。

もういい加減、下に溜まったニカワを拾わないと

攻撃がし辛くなってきた。


謎の競争心が芽生える。

意地でも拾わないで倒しきってやる、どこまでやれるか競争だ。


・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・


あと60回まで来たが、流石に、ちょっと。

地面がすごい事になっている。

子供が喜ぶビニールボールパークのようだ。

ニカワだからごつごつした半透明の物体だが。


拾い集めるのも面倒なので、

ボスの周りと攻撃に必要そうな範囲だけを、

足で蹴って動かした。


55回。

もうゴールが見えてきた。

お腹がペコペコである。

今日は夕食に1品追加しよう。多分足りないぞ。


50回。

大台に乗った。

どうだろう、期待して魔結晶を見たが、依然として緑だった。


45回。

もしかしたらもう終わりかもしれないと、気持ちが焦る。

魔結晶を見ても緑で、そう楽には行かないと戒めた。


40回!

どうだ、まだか。

まだだよね・・・。

残り40回分だけでも、えーっと64×4×40、

ええと128×2、256・・・の40倍だから

約1万匹分ある。

カ・・・カルクが無いと計算が。


最初に溜まっていた魔結晶が、魔物2万匹分以上と言うのは、

流石に甘く見過ぎではないだろうか。


35回。

頼む、終わってくれ。・・・無理か。


25回!

どうだ、10回は見なかったぞ!

偉いだろ。褒めてくれ。だから終わってくれ!


・・・緑。


もう無駄に倒したくないので、手に持ちながらボスを倒す。

どうせオーバーホエルスラスラスラッシュなのだ。

ハナクソほじりながらでも余裕だ。


18回・・・17回・・・16回・・・。

もしかしたら思い違いをしているのかもしれない。


実は結晶化は全然進んでいなくて、最初から1万も無かったら。

いやいや、あの時ムカつくパーティからせしめた魔結晶が紫で、

その時自分の魔結晶は緑だった。

最低でも11000以上は絶対ある。


その後は結晶化促進スキルを振って敵をかなり倒していた。

最低でも13000以上は絶対ある・・・といいな。


残りのカウントが10回になった。

そういえば、最初に計算した回数が136回じゃなかったっけ。

つまりあと16回だ。

一気に増えて、ゲンナリした。


あと13回・・・。

もうかなりしんどい。

増えた時に一気に心を折られた気がする。


あと12回・・・

もう、後はナズとアナにやらせたらどうだろう。

そうすればよかった。

交代でやれば疲れも回復できたのに。


・・・はっ。


そういえば結晶化促進は自分にしか無いのだった。

やはり1人でやるしか無いのか。


6回!

もうヤダ!

でももう終わるはず!

魔結晶は・・・緑・・・がっくし。



3回。

もういいでしょ。(チラッ)

駄目かな・・・。


2回!

いいよね?(チラッチラッ)


・・・ずーん。

次は期待しないで置こう。


1回、緑。


0回。やったー!・・・・・・緑だった。

もうちょっと足りないのか。


「ナズ、今何回だ」

「ええと、333回お倒しになったと思います。

 計算しなくても良いと言われました分を含めまして335回です」


つまり、えーっと何回だ。

また商人のジョブを付ける。


85248回分だ。


最初に14752回分は無かったと言う事だ。

1万以上あった緑結晶と、

1000以上あった紫結晶を合わせたのだから、

3752回分以下であろう。

もう誤差の範囲に入っているはずだ。


計算の度に商人スキルに頼る自分。

ちょっと情けなくないか、大学生だぞ。


「あと数回行ってくる、済まないがもう少しだけ待ってくれ」

「い、いえ、お役に立てずに申し訳ありません」

「最後まで気を抜かずにお願い致します」


ええ娘や・・・。

2人の優しさに感動した。


ロスタイム戦が始まった。

今はアディショナルタイムと言うんだっけ?

どうせ数回なのだ。気楽にいこう。


1回。やはり無理か。

2回・・・そう楽には行かない。

3回・・・ん?


ついに来た、黄色魔結晶だ!

これで10万ナール、いや3割アップで13万ナールを手に入れた。

長かった!そして疲れた・・・。


思えば、最初にこちらに来て3日間の行軍も相当苦労した。

その時の成果もこの位だったのだ。

やはり楽して儲かる事は無い。

地道に行こう。


「ナズ、アナ、ボスを倒すのは終わったぞ」


そういって黄色魔結晶を見せる。


「ご、ご主人様、凄いです!

 これを作るために回っておられたのですね」

「これが黄色魔結晶ですか、初めて見ますね・・・」


「私も初めてですよ!」


自分だって初めてだよ!


黄色魔結晶は透き通る綺麗な黄色で、

緑魔結晶とは比べ物にならない程輝いていた。

白魔結晶にもなったらどうなってしまうのだろう。


ダイヤモンドさながら、

さぞかし透明で光り輝いて美しいに違いない。

いつか見てみたい。


それにしても魔力値10万まで溜める冒険者は少なそうだ。

オーバーしたら勿体無い。

1万ナールの緑で売るのが基本なのだろう。


「と言う訳で、アナに預けた魔結晶を貸せ。

 これからはこちらを育てる」

「まだお続けになるのですか?」


「いや、今日は後1回で終わりだ」

「かしこまりました」


再びボス部屋に入る。

煙に巻かれる前のその場所には大量のニカワが散乱していた。


「あれを全部拾って集めろ」

「かっ、かしこまりました」

「えっ・・・えっ?これはちょっと・・・初めて見ました・・・」


アナの顔が久しぶりに引き攣った。


煙がボスになって、その瞬間にまた煙に戻る。

ニカワの山に、更に1つが追加された。


ナズとアナが拾ってリュックに入れてゆく。

自分は適当に拾ってアイテムボックスに放り込む作業だ。

333回と3回、検証に2回行ったので、合計338個あるはずだ。

いや、今の分を合わせて339個だ。


ナズもアイテムボックスを持っているが、

鍛冶師は10×10の枠だから、最大で100個までしか入らない。

渡した毒消しと滋養丸、2人分の小遣いも入っているだろう。

多分60個位しか持てないだろうから、後はリュックだ。


いやー疲れた疲れた。

もう何度も伸びをしている。


早く帰って夕飯と、今日は髪を洗って貰おうか。

今日は2人とも洗髪屋で洗って貰ったのだから、

主人も洗って貰わないとな。


最初の100個前後はナズとアナが拾っていた。

残りのほぼ200個に近いニカワの塊は、

拾うだけでもかなりの時間を要する。


「ご主人様、これはモンスターカードではないでしょうか?」


ナズがニカワを拾うのを止めて、カードを見せて来た。


「ん、どうした?」

「膠の山の中に混じっておりました。何のカードなのでしょうか?」


ナズが見せて来たカードは表面(いや裏面か?)に装飾があるものの、

反対面は真っさらで只の白い面であるので、

どの敵から何のカードが出ると知っていなければ、

見た目で判断する事は難しいだろう。


 ・モンスターカード サンゴ


鑑定してみると、やはりサンゴのモンスターカードだった。

そうだ、珊瑚コーラルなのだからサンゴのカードだ。

ニカワの山に落ちて交ざったのだと思うが、

後半戦はアイテムの事など気にしていなかったので気付かなかった。


350倒して1つか。

出にくいのだなあ。

しみじみ思っていると、今度はアナが申告してきた。


「ご主人様、私も1つ発見致しました」


 ・モンスターカード サンゴ


おいおい、と思いながら鑑定したがやはりサンゴのカードだった。

2個か、一気に!


サンゴは何だったっけ、石化か。

アナが暗殺者になればこれは重宝するぞ。

できるだけスロットの多い武器に付けてやらねば。


結晶化促進ばかりに目が行ってしまっていたが、これは思わぬ収穫だった。

1つは高そうな武器に付けて売り払えばいい。


ナズとアナからモンスターカードを受け取り、

自分のアイテムボックスに入れた。

∽今日のステータス(2021/08/07)


 ・フジモト・ユウキ 人間   男 21歳 探索者  Lv32

  設定:探索者(32)剣士(28)英雄(20)騎士(7)

     賞金稼ぎ(7)

  取得:村人(5)戦士(30)商人(30)色魔(1)奴隷商人(1)

     暗殺者(1)武器商人(1)防具商人(1)


 ・BP130(余り2pt)

   キャラクター再設定   1pt   5thジョブ     15pt

   獲得経験値上昇×3   7pt   武器5        31pt

   結晶化促進×64   63pt   詠唱省略        3pt

   MP回復速度上昇×3  7pt   ワープ         1pt


 ・ナジャリ ドワーフ ♀ 16歳 鍛冶師 Lv29

 ・アナンタ 猫人族  ♀ 20歳 戦士  Lv29


  ↓


 ・フジモト・ユウキ 人間   男 21歳 探索者  Lv34

  設定:探索者(34)剣士(30)英雄(21)騎士(10)

     賞金稼ぎ(10)


 ・BP132(余り1pt)

   鑑定          1pt   5thジョブ     15pt

   ジョブ設定       1pt   武器5        31pt

   キャラクター再設定   1pt   詠唱省略        3pt

   獲得経験値上昇×5  15pt   ワープ         1pt

   結晶化促進×64   63pt


 ・ナジャリ ドワーフ ♀ 16歳 鍛冶師 Lv30

 ・アナンタ 猫人族  ♀ 20歳 戦士  Lv30



 ・異世界11日目(16時頃)

   ナズ・アナ6日目、トラッサの市の日、宿泊8日目



 ・トラッサの迷宮

  Lv   魔物       /    ボス

  2 コラーゲンコーラル  /  コラージュコーラル



コラージュコーラル周回の時間効率は、1匹平均1分20秒とした。

午後1時から始めて休憩含めて8時間、宿到着は夜10時前。


コラージュ~のドロップ品については本編未記載だったような気がします。

コラージュが張り合わせと言う意味で、

1段階下の魔物コラーゲン~のドロップ品がゼラチンだったことも踏まえて

同等品で張り合わせる様な物と言う目的アイテムからニカワとしました。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ナズが 「これは何でしょう」 と言っていますが モンスターカードは見たことがあるのではないですか ちょっと変では
[良い点] 本来なら一月毎に黄色魔結晶を作る予定を無理やり短日での作成となると精神的にきついボス周回となりましたが、ナズ達の労いや励ましが、途中で投げ出さない歯止めになっていたのが良かったと思います …
[一言] 1分20秒で周回? いや、今回の話、いろいろと無理がありすぎだろ
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