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異世界迷宮の追従を  作者: えぁりん
♯第四章 資金
46/394

§045 金欠

昼食を終えホドワに赴く。


前回、既に迷宮に入っていたので、

例によって旅亭の裏の木から直接ホドワの迷宮へ飛ぶ。


「ご主人様、ここは?」


「ホドワの迷宮だ」

「ここがホドワと言う所ですか」


アナが物珍しそうにキョロキョロとする。

殺風景な外壁に興味津々のようだ。


「ホドワを知っているのか?」

「いえ、前にも申しました通り、

 私はトラッサから出た事がありません、話に聞いているだけです」


ホドワの迷宮はトラッサの迷宮と違って、

石畳のレンガ造りなので迷宮感が強い。

トラッサは壁の模様がアラビア調だった。

迷宮にも個性があるようだ。


迷宮の意思?おしゃれ度?

彼らにもファッションセンスがあるのだろうか。

ミチオ君は迷宮は生き物であると伝えられていた。

意思や個性があってもおかしくはない。


今は特に用事が無いので、そのまま迷宮の外に出た。


「ナズ、ホドワだ。覚えているだろう?」

「はい、懐かしいです。ええと、去年、いえ1年半ぶりです。

 再び訪れる事ができるとは思いませんでした」


「世話になった酒場を案内してくれないと家探しが困るのだが」

「そ、そうでした。酒場はあちらです」


すぐそこに見える店をナズが指した。


迷宮から出たばかりで移動はしていないので、

ずいぶん近くにあるようだ。

ここの探索者はあそこで血気盛んに騒ぐのだろう。


「じゃあ案内してくれるか」

「かしこまりました」


ナズが先導して店に入って行く。


「マスターいらっしゃいますか?」

「まだやってないよ、酒場は夜・・・あっ」


恰幅のいい女将が中で掃除していたが、

ナズの姿を見て気付いたようだ。


「ナージャ!帰って来たんだね、そちらの人が主人かい?」

「はい、ユウキ様です。とても良くして頂いています」


「そうかい、そりゃあ良かったねぇ。

 ・・・どうも、ナジャリを引き取って頂いてありがとうございます。

 迷宮に入られるお方ですかね」


帯刀をしていたので探索者と思われたのかもしれない。

町人なら武器は持たないし、富豪ならもっと身なりのいい服を着ている。


「どうも初めまして、ユウキです」

「女将さん、ユウキ様は騎士なのです」


そういえば2人にそう宣言した気がした。


「騎士様ですか!そりゃあどうも。お世話になっています。

 今日は非番ですかね?」


騎士に世話になる?

酒場のトラブル客を押さえて貰ったり?


「いや、騎士と言っても流れ者だ。ここの騎士団に所属する騎士では無いな」

「そうなんですかい?

 でも良い主人に出会えてよかったね、ナージャ」


騎士の信頼は厚いのだろう。良い主人と認定されて逆にこちらが良かった。


「それでだ、ナズにはここで家を紹介してくれると聞いたので、

 都合して貰えると助かるのだが」

「家・・・ですか?騎士様でしたら舎寮が・・・、

 ああそういう事ですか、ここの騎士団にはおられないのでしたね」


女将は腕を組んで首を傾げた。


「この町に住むとなると・・・」

「何か不味いのか」


「いえ、以前ナジャリに絡んで来た金持ちがね・・・。

 でも、騎士様でしたら問題ありませんかねぇ」


今の話から想像するに、

ホドワ一帯はナズがトラブルを起こした一家の支配権内なのだろう。

騎士なら絡まれても安全と言う事か。


「内装を変えても良く、庭を弄れる家がいい。街から遠くても構わない」

「そうですかい、町から遠くは人気が無いのでお安くできますよ、

 ナジャリに良くしてくれているようだし」


「ご主人様、良かったですね!」

「ああ、ナズのおかげで安くして貰えそうだ」


ナズを撫でた。


「ちょっと歩くけど、良いかね?」

「ああ、見せてくれ」


女将さんに連れられ、街の東側郊外へ歩き出した。

街に城壁は無く商店から民家になり、それがまばらになる。


「この辺りまで来ると買い物や水が不便だな」

「商店まではちょっとあるかもしれないけど、

 井戸は大体同じ位の間隔にあるから困らないよ」


そういえばこの国では迷宮ができると、

都市計画に沿って整備されるのだったっけ。

公共事業で井戸が掘られるのだろう。

人が増えれば拡張していく。

迷宮が資源と捉える国ならではの発想だ。


「着いたよ、ここなんかどうかね」


2階建てで、悪くないたたずまいだ。

1階に台所、リビング、大きな納戸、2階には2部屋。

そういえば排泄物の処理はどうなっているのか。


「この家はトイレはどうなっている?」

「階段の裏だよ。この町の家は大体下水が通っているから気にしなさんな」


下水?

下水道が整備されているのか。

思ったより近代的だ。


そうか。

迷宮ができた際に都市計画で道路と下水、そして井戸が掘られる訳だ。

区画整理が終わったら後は好きな場所に住め、と。


衛生管理に力を入れているのならば、住民の健康は担保される。

病気もある程度抑えられる。

そういえばルイジーナはゴミ1つなかった。

国を挙げて衛生環境に力を入れているのだろう。


この物件はまあまあ気に入ったが、

お風呂の設置ができそうもない。

納戸は・・・潰すと荷物が大変だ。


お風呂は大事だ。

絶対外せない。

バスはロマンでメロディだからな。†


「他には無いか?」

「もう少し先にも似たような家があるね。そっちはもう少し広いよ」


期待しようじゃないか。


女将は街道から外れた小道に入ると、

さっきの家より横に広い2軒目を案内した。


ドアを開けてすぐ納戸があったが、こちらはやや小さいようだ。

廊下を挟んで左右に部屋、突き当りにトイレ。

突き当りを右に曲がると奥にもう一部屋と台所があった。

L字型の住宅は、4部屋だが広く感じた。


「この家は奥を抜けると庭があるよ」


トイレ手前の扉を開けると、

家庭菜園ぐらいはできそうな小さい庭があった。

丁度、馬一頭が入りそうな馬留がある。


「あれは?」

「前の借主が商人だったらしくて、ここに馬でも留めていたのかね。

 そのままになってるけど、要らないなら退かしても大丈夫だよ」


作業道具を置いておく小屋にできそうなので、

有難くそのまま使わせて貰おう。


「庭は掘っても?」

「畑かい?2人もいれば、できない事はないね」


女将はアナをちらっと見た。


「ハーブ位はできないかな?」

「その位なら大丈夫だね。野菜だとちょっと井戸まで遠いから大変だね」


畑にしても大丈夫そうだ。

後は浴室を造るために、手前の大きな部屋に下水を通したい。


「この大きな部屋に下水を通したいのだが」

「別に構わないけど、何するんだい?そっちの女は料理人か何かかい?

 ナジャリも料理ができるし、店でも開くのかね?」


ナズもアナもつい先ほど髪結いで洗って来ているし、

服装も重労働奴隷の着るボロい服ではなく、

町人が着るような一般的な小綺麗な中古服だ。

それなりの仕事を任されていると思われていてもおかしくはない。


排水が必要なのは料理くらいなのだろう。

この女将さんは酒場で料理をするだろうし、そう思われても不思議はない。

ハーブも育てたいといった手前だし。


「いや、まあそう云う訳ではないのだが、いいなら改造したい」

「まあ構わないさね」


「2人も、この家はどうだ?」

「ご主人様がお気に召したなら良いかと思います」

「煮炊きは得意です、頑張ります」


ナズの返答はいつもちょっとピントがズレている気がするが、

2人が嫌がっていないのならばこれで十分なのだろう。


「じゃあこの家を借りたい」

「気に入ってくれたのかい、そりゃ良かった。

 酒場に戻って契約書にサインをして貰うんだけど、

 いつ頃越しますかね?

 御覧の通り空き家なので、今からでも構いやしないけども」


「今日の今では流石に準備もあるし、明日・・・いや明後日はどうかな」

「あいよ、明日でも明後日でもどっちでもいいさね。

 どうせ空き家なんだし、準備できたらいつでも酒場の方に来とくれよ。

 契約もその時にするから、代金もその時で」


「解かった、宜しく頼む」

「それから、一応ここの騎士団でカードのチェックをする決まりだから、

 騎士様でもそこはお願いね」


「それはいいんだが、結局幾らなんだ?」


この女将さんを鑑定してみたが、旅亭と出た。

旅亭ジョブならカルクがある。

何とかセットで割り引けないものか。


ミチオ君の場合は金物屋だったから、商品とセットにした。

この旅亭の女将は酒場だが、それは夜からだと言う。

流石にちょっと無理か。

ついでに一杯くれと言うのも変過ぎる。


「そうだったね、あの家はちょっと広めだからね・・・。

 5万ナール、と言いたい所だけどナージャがお世話になってるんじゃね。

 大奮発して4万ナールでいいよ」


5万ナールの3割引なら1万5千ナール引きだが、

この女将は知り合い価格と言う事で1万ナール値引いてくれた。

ここから更に値引くのは流石に申し訳無いか。

2割引きで手を打っておこう。


「それは助かるな」

「アンタらは今日はどこに泊まるんだい?」


「今はトラッサの旅亭に世話になっているな」

「何だ、ヴォルカンの所かい」


「知り合いなのか?」

「旅亭のメンバーならみんな知りあいさ」


「そうなの?」

「ギルドが経営する旅亭は転勤制だからね、皆家族みたいなもんさね」


そうなのか。

旅亭は個人の宿ではなくギルド運営なのか。


そういえばミチオ君が序盤に泊まった旅亭の店員エマーロは、

転勤があるから天職だとか言っていた気がする。


チェーン店とかではなく全てがギルド運営だとするならば、

各地にある旅亭は差し詰め旅亭ギルドの神殿なのだろうか。

可能性は高そうだ。


「それじゃまた明日か明後日で、店で待ってるよ。

 ナージャも、いつでも遊びにおいで」

「有難う御座います、リアナさん」


酒場の前に着くと、そう言って女将は掃除の続きを始めた。


さて、勢いで4万ナールの借家を注文してしまったのだが、

実際に4万ナールはない。

ジャーブを引き取る分に手を付ける訳にも行かない。

確か、残りは1万ナールちょっとだ。


今から稼がないといけない。

家具や雑貨も増えるだろうし、新しく加える奴隷の装備も必要だ。

最低でも10万ナール。


ウイスキーや琥珀のネックレスはすぐに換金できそうもない。

となると魔結晶だ。


今、手元には緑魔結晶がある。


現時点で幾ら溜まっているかは不明だが、今から頑張って黄色にする。

まだ昼を少し過ぎた所だ。

元々そういう算段で色々決断した。


明日でも明後日でも良いだなんて言う曖昧な予定なので、

タイムリミットは丸2日としよう。

ナズやアナには休みだと伝えた手前で申し訳無いが、

午後からはちょっと仕事をして貰おう。


数がこなせればいい。


同時3匹で、簡単、安全で、効率がいい場所。

4層のチープシープは初心者の狩場だった。

7層は人が多すぎるし、ミノを1撃では倒せない。

6層のエスケープゴートか5層のスパイスパイダー。

安全を取るならエスケープゴートだ。


「アナ」

「何でしょうか」


「今日は休みといった手前で申し訳無いが、

 早急にお金を工面する必要が出てきた」

「借家をご契約なさったから、ですね?」


「そうだ。とは言っても無理して狩りたい訳では無いから、

 効率よく敵を倒したい」

「かしこまりました」


トラッサの旅亭の部屋にワープで直接戻り、装備を身に着ける。

そしてスキルをセットし直した。


 ・フジモト・ユウキ 人間   男 21歳 探索者  Lv30

  設定:探索者(30)剣士(25)英雄(19)騎士(3)

     賞金稼ぎ(3)

  取得:村人(5)商人(30)戦士(30)色魔(1)奴隷商人(1)

     暗殺者(1)武器商人(1)防具商人(1)


 ・BP128

   キャラクター再設定   1pt   5thジョブ     15pt

   獲得経験値上昇×3   7pt   武器5        31pt

   結晶化促進×64   63pt   詠唱省略        3pt

   MP回復速度上昇×3  7pt   ワープ         1pt


必要経験値減少を解除、獲得経験値上昇を3倍まで減らし、

ボーナス武器も5段階に落とした。

どうにかやりくりして結晶化促進の64倍を確保する。

オーバーホエルミングやスラッシュを多用することになるので、

MP確保のために回復速度を盛った。


緑魔結晶が現在1万5千だと仮定して、残り8万5千。

64倍で1300匹以上か。

3匹ずつ出遭っても400回以上は魔物を探す計算になる。


・・・これは厳しいな。

400の魔物のグループに遭遇するのも厳しいし、

第一そんなに歩き回ってたら時間が掛かってしょうがない。

賃貸は早急過ぎたか?


そういえばミチオ君の雑な検証によると、ボスは2以上だと言っていた。

32倍で2匹倒したら100匹以上の紫になっていたはずだ。

あれはボスとお供1匹だったから、(χ+1)×32>100となる。

68÷32なら2より確実に多い。


流石に小数点などと言う事は無いだろうから

ボスの魔結晶充填値は3か4か5。

6は・・・無いんじゃないかな。


それにボスなら場所は固定。

魔結晶充填値だと面倒だから魔力値としよう、

確実に魔力値3以上は手に入るとなると、ボス戦を400回以内だ。

それならばボスを周回しようか。


そうするとパーンでは厳しい。


2層のコラージュコーラルならラッシュ・・・いやスラッシュ3発だ。

オーバーホエルミングと合わせれば数秒で終わる。

2層は敬遠される人気の無い層だし、ボスなら滅多に人は来るまい。


問題は1段階落としたボーナス武器のフラガラッハの攻撃力が、

Lvアップを含めた攻撃力上乗せでカバーできるかどうかだ。

3発が4発になる位ならまだ許容範囲内だろう。


ナズとアナの身支度が終わったようだ。

トラッサの2層の中間部屋に飛んだ。


「ナズ、今回は攻撃しなくていい。アイテムを拾って付いて来てくれ」

「はい、頑張ります」


「アナ、ボス部屋まで案内してくれ。

 その後はボス部屋のみを周回する。アナも手を出さなくて良い」

「かしこまりました」


アナの案内で、直ぐにボス部屋に辿り着く。

人気の無い層だけあって道中では誰とも出合わなかった。

代わりにコラーゲンコーラルとグリーンキャタピラーに何度か遭遇する。

アナが敵に追いつく前にオーバーホエルミングで蹴散らした。


「ご主人様、ボス部屋です」

「次からこの部屋に戻って来るので、どんどん回す」

「えっ?か、かしこまりました」


アナの反応を見る限り、

やはりこの部屋に直接飛んでくるのは常識外のようだ。

多分今の説明では理解が追い付いていないのだと思う。


「ここに戻って来る所を見られるのは流石にまずいと思うから、

 もしここに向かってくるパーティがいるようなら教えてくれ」

「かしこまりました。

 只今入り口付近で数名が交戦中のようですが、

 手古摺っているようですので、ここまで入って来そうもありません」


ここの階層に用があるのは本当に序盤の腕試しだろう。

この敵が十分に倒せる位なら4層へ行く。

そうでなければ3層のコボルトだ。

そうアナは言っていた。


「そうか、では行くぞ」

「「はい」」


扉が開かれたのでダッシュして煙の袂に近付く。

ボスが形作られたと同時にオーバーホエルミングを唱え、

スラッシュで上から左下、左下から右上、右から左へと3回斬った。

ボスが煙になる。


Lv相応分の攻撃力が加算されたおかげなのだろう。

剣士と騎士と英雄のベースステータス上昇と、

ナズのパーティ補正効果が効いている。

3回で収まってくれて良かった。


「ナズ、拾ったらこっちに来てくれ」

「はっ、はいっ」


出口へとは向かわず、入り口の壁に向かってワープを唱える。


出る先は先ほどの待機部屋だ。

前から実験してみたかった。

・・・さてどうなるか。


待機部屋へ3人が移動すると、ボス部屋の扉が開かれた。


やはりそうだ。

ボス部屋から人がいなくなった時点で扉が開かれる。

いや、部屋が侵入者を見失えば判定があるのか?


ともかく、これを利用すればいちいち次階層まで行く必要はないし、

ピンチなら途中退出ができそうだ。


「えっ?えっ?・・・」


またアナが混乱しているが、もう放って置こう。

そのうち理解してくれる。


「いくぞ」

「はっ、はい」


ダッシュしてオーバーホエルミング、スラッシュで3回斬る。

4回目位からダッシュするのも息が切れるので、普通に歩いて近付いた。

ゆっくり進めば向こうから寄って来てくれるし。


MPも枯渇感は無い。

ワープも使用しているが、

恐らくダンジョン内での移動は殆どゼロ距離なのだと思う。

そもそもが扉を隔てて目と鼻の先の距離だし。


4回目のオーバーホエルミングを掛けた途端、

何故こんな面倒な事を始めてしまったのかと我に返った。

別に明日払う必要は無いのだろう?

ナズの時だってちょっと待って貰ったのだ。

あの男だってちょっと位待って貰えるさ。


・・・MPの枯渇か?

いや、たぶんそうだ。

既に3回ラッシュを入れてしまったためボスは消えてしまっている。

相当分のMPをデュランダルで賄っていたのだと改めて認識した。


ボーナス武器5のフラガラッハはMP回復が付いていない。

金策しに来ているため、都度強壮丸を飲むのは馬鹿げている。

これからこれを何度もやらなければならないのは明白で、

そんな勿体無い事できる訳無かろう。

大体そんな量を賄える程所持していない。


次にオーバーホエルミングを使用したら倒れるかと思って、

一先ずは薬を頼った。

次回からは4回に1回、

デュランダルで一発殴った後武器交換した方が良さそうだ。


8回。

ボーナススキルを再調整してデュランダルを取り出す。

構えながら駆け出して行ったのだが、

オーバーホエルミング無しだともうボスの懐に飛び込むに恐怖を感じる。

そこそこな大きさなのに素早しっこく、気持ちが悪い動きで飛び跳ねる。


鉄球を振り回すような頭部の攻撃も、中々避けられるような物では無い。

やっぱり盾が欲しい。

デュランダルは両手剣なので盾は持てない。

それに自分用の盾を持っていない。

そもそも盾の扱い方なんて知らない。


結局オーバーホエルミングして3回当て、

離れた後で改めてフラガラッハに交換した。

無駄も良いところだ。


次回はオーバーホエルミング中に2回当てて交換、

追加のラッシュ2回で倒したい。

オーバーホエルミングの持続時間的にもう一度使用する事になるよな。

2回分の回復量じゃ足りないかな?やっぱり3回分叩いてからかな?


・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・


15回あたりで何でこんな事をやっているのかと音を上げ出す。

酒を商館に売り付ければ良いじゃないか。


30回でもう良いだろと思った。

もうめよう、酒を売ろう。

あ、いや、でもなぁ。

あの酒は二度と手に入らないだろうしここぞと言う時に・・・。


くそっ、多分またMPの枯渇だ。

4戦に1回では十分回復しきれていないようだ。

3戦に1回にすべきだ。


45回で何も考えなくなった。

無心だ。


50回を超えたあたりから数えるのを止めた。

いや、正確には数が解らなくなった。


・・・。

帰ったら直ぐ寝よう。

今夜は2人とのお楽しみは無しだ。

もうだいぶ疲れた。


・・・・・・。

今何時だろう。

何時間位経ったのだろう。

単純労働は時間の進みが遅く感じるはずだ。

せめて時間効率位は出して置きたかった。


・・・・・・・・・。

あっそうだ、この世界だと正確に1時間が判らない。

砂時計でもあれば。

ガラス製品は高級品だったような気がした。


・・・・・・・・・・・・。

良く考えてみたら、

明日契約できる分の4万ナール貯めればそれで良い訳で、

後でゆっくり金策しながら買い足せば良かったのでは。

緑結晶4つを作って5万2千ナールで売れば済んだ話だ。

なんて勿体無い真似を。


再び数え始めた。

χ回+4回。

もう意地になっている。

ここまで来て今更、緑魔結晶を4つ作る気になれなかった。


χ回+12回。

気持ちを切り替えてリセットで良い。

12回だ12回。

多分100回は倒しただろうから、合計112回(仮)だ。

もうそれで良い。


18回。

そういえばナズとアナは付いて来る必要があるのか?

アイテムを拾って入り口に戻るだけだ。

拾わずに放置しても直ぐに消える事は無いんじゃないのか?


25回。

「アナ、ナズ、もう付いて来なくて良いから、入り口で待ってろ」

「よ、宜しいのですか?」

「いけません、お1人では。必要が無くともお供致します」


「2人が出るまで待つ時間が勿体無い」

「も、申し訳ありません。急ぎますので」


「アイテムを拾う必要が無いのだと思う。

 外で誰かが来ないように番をしてくれていた方が助かる」

「か、かしこまりました・・・」


26回。

足元に落ちたニカワを放置して出る。

ボス部屋に入ると、ドロップ品がボスの出現位置に落ちていた。

やはり再戦するなら拾う必要無いんじゃないか。


そりゃそうだよ、全滅したパーティの荷物が落ちっぱなしになるんだから、

拾わなかったら回収されてしまうって事にはならないと思う。

アイテムに関してはもっと長い時間掛けないと、

放置しても吸収されないのだろう。


31回。

ボスの足元にニカワの山ができ始める。

だんだん積み上がっていく山ができるのが楽しみになってきた。


45回。

ボスが出現すると、その巨体でニカワの山を崩した。

ああ、せっかくの楽しみが。

どこまで積めるか限界に挑戦したかったのに。


60回。

ボスの出現する場所だけ穴が開いて、

ニカワの山にカルデラができ始めている。

さっきは崩れてがっかりしていたが、

この天地創造に興味を持ち始めた。


80回。

ニカワ湖に新たな山が築かれ始める。

もう神の心境だ。

新たに創造された台地が、今度どう発展していくのかが楽しみになった。


90回。

お腹が空いてきた。

ずっと歩き通しで剣を振っている。

こんなに歩いたのはここの世界に来た時ぶりではないだろうか。


100回!

100まで数え切った。ある意味ヤケだった。

3桁の大台に乗せると言う信念で何とかここまで突き動かせた。

山とか台地だとか言って育ててきたニカワの山は、さながら絨毯だ。


「ふー、ちょっと休憩しよう。

 アナ、こちらに向かっているパーティは?」


「今のところ1人もいないようです。

 先ほど入り口付近で戦っていた2人組は直ぐに帰ったようです」

「そうか」


待機部屋に戻り、腰を下ろして水を飲む。

部屋の中央付近より奥に進まなければボスへの扉は開かない。

開いた所で侵入しなければボスは出ないけれど。


「ご主人様のその水筒は、変わった形をしているのですね」

「とても綺麗で、水も美味しそうです」


ペットボトルはこの世界には絶対無い。


「いいだろう?軽くて丈夫なのだ」


水筒は木をくりぬいて貼り合わせた後に皮で包んだ高級品か、

動物の腸を結んで縛り上げられた原始的な物だ。

雑貨屋で見かけた際に、

衛生的にどうなのかと思って購入を躊躇ためらった。


ガラス瓶の水筒などは割れてしまう。

金属製の水筒は技術的にもっと無理だろう。

ネジっぽい部品なんて見た事が無い。


しかるにキャップの技術は無いだろうし、溶接はもっと無い。

鉄板を曲げただけでは漏れる。


瓢箪ひょうたんや竹があった古代の日本や中国は

さぞかし遠出に有利だったのだろう。

この世界にもあるかもしれないが、気候的にこの国には多分無い。


期待はしていなかったが、魔結晶を見てもまだ緑色だった。

∽今日のステータス(2021/08/07)


 ・フジモト・ユウキ 人間   男 21歳 探索者  Lv30

  設定:探索者(30)剣士(25)英雄(19)騎士(3)

     賞金稼ぎ(3)

  取得:村人(5)商人(30)戦士(30)色魔(1)奴隷商人(1)

     暗殺者(1)武器商人(1)防具商人(1)


 ・BP128

   キャラクター再設定   1pt   5thジョブ     15pt

   獲得経験値上昇×3   7pt   武器5        31pt

   結晶化促進×64   63pt   詠唱省略        3pt

   MP回復速度上昇×3  7pt   ワープ         1pt


 ・ナジャリ ドワーフ ♀ 16歳 鍛冶師 Lv26

 ・アナンタ 猫人族  ♀ 20歳 戦士  Lv26


  ↓


 ・フジモト・ユウキ 人間   男 21歳 探索者  Lv32

  設定:探索者(32)剣士(28)英雄(20)騎士(7)

     賞金稼ぎ(7)


 ・ナジャリ ドワーフ ♀ 16歳 鍛冶師 Lv29

 ・アナンタ 猫人族  ♀ 20歳 戦士  Lv29



 ・異世界11日目(昼前)

   ナズ・アナ6日目、トラッサの市の日、宿泊8日目



 ・トラッサの迷宮

  Lv   魔物       /    ボス

  1 グリーンキャタピラー /  ホワイトキャタピラー

  2 コラーゲンコーラル  /  コラージュコーラル



 ・ホドワ地図概要


   僧| |館娼          館:商館   僧:僧侶G

   戦| |       借|   娼:娼館   戦:戦剣士G

  冒騎| |商酒     -+   酒:酒場   冒:冒険者G

 ───┘ └───     |   迷:迷宮   騎:騎士団G

     迷    -------- 旅:旅亭   商:商人G    

 ───┐ ┌───         宿:安宿   料:料理人G

  旅料| |探薬          食:飲食店  薬:薬草採集G

 雑食宿| |教           教:教会   探:探索者G

    | | ス          ス:スラム  借:借家

                   雑:雑貨屋



 ・借家の間取り

      ┌─┬───────┐

  ~~~~|Ω|□流  ■■■|

  ∫  ∫| |       |

  ∫庭 ∫| |  台所   |

  ∫  ∫├∠┤       |

  ~~~~| |  居間   |

      | |       |

  小屋  ∧ └∠──────┤

 ┌────|         |

 |    ∧ ┌∠──┬──∠┤

 | 部  | |   |   |

 | 屋  | | 部 | 部 |

 |    | | 屋 | 屋 |

 ├────┤ |   |   |

 | 納戸 ∧ |   |   |

 └────┴∠┴───┴───┘

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― 新着の感想 ―
そういえば バスロマンはわかったけど バスメロディはわからなかったw
[気になる点] 本文中) >「そうだったね、あの家はちょっと広めだからね・・・。 >5万ナール、と言いたい所だけどナズがお世話になってるんじゃね。 >大奮発して4万ナールでいいよ」 女将(リアナ)…
[良い点] 変な笑いが出ましたw
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