§168 補充
ベッドの軋む感覚で目が覚めた。
ええと、昨日は何がどうだったかすら覚えていない。
二日酔は無いから、昨日飲んだのは悪い酒では無かったのだと思う。
記憶を辿る。
・・・帰って来るなりベッドに倒れてそのまま寝た。
服がそのままだからだ。
ナズやアナとお楽しみをした場合は下着になっているはずだ。
何でだっけ、・・・昨日はお酒を飲んだ。
そうだ、ナズの歌の日だった・・・。
酒場?いやもっと沢山の人がいたような気が。
・・・ハッ。
そうだ、騎士たちの宴席に参加したのだ。
記憶の再構築が始まり、昨日の事を少しずつ思い出す。
朝から騎士と共に56層へ行き、そこで魔物の部屋を討伐した。
刑を執行する手続きを見せて貰い、帰って宴会に参加した。
そこでタコスとナズの歌を披露し、ホドワの酒場を宣伝したのだ。
決闘の立ち合いは・・・ええと、もっと前に約束した、それは良い。
ナズ関連で何か約束したな・・・ええと──。
思い出して気分が悪くなった。
シルクス騎士団の隊長が、ナズと手合わせをしたいと申し出て受けたのだ。
その場にナズはいなかった。
拙い事をしたなあ・・・。
ナズを抱き寄せて撫でながら昨日あった事を説明した。
「えっ?手合わせですか?私などで宜しければ・・・」
「そうか、まあ、いずれの話なので大丈夫だ。それよりも挨拶だな」
(ちゅっ・・・ちゅっ・・・)
大胆だが激しくなく、優しさの籠ったナズらしいキスで目を覚ました。
アナはそこにいるのが判っているので、抱き寄せて待てをしつつ牽制する。
ナズから口を離して、ゆっくりアナとキスをした。
(んちゅ・・・んむ・・・はふ・・・ぷはっ)
「アナもおはよう。昨日はご苦労だった今日はゆっくりして良いからな」
「おはようございます、ご主人様。今日はお休みになさるのですね」
「ああ、ゆっくりしてくれ。後で小遣いを出そう」
「いえ、この前頂いたばかりです。
私達は大した仕事をしておりませんので大丈夫です」
「え?そう?」
ナズの方を見たが、ナズも特に疲れた素振りを見せないので平気らしい。
笑顔で返された。
「そういえば、エミーちゃんに服をお与えになったのですね?」
そういえばそうだ。
昨日の夕方に給仕服、所謂メイド服を2着買い与えた。
濃い目の黒色で、多少汚れても目立たないので、家事作業には最適な服だ。
コスプレ衣装なんかとは違って、
しっかりした分厚い布地で縫製されており、
丈夫で長持ちしそうな感じであった。
ミチオ君はルティナ以外すべての奴隷に買い与えていたようだが、
こういうのはメリハリがあって欲しい。
ずらっと並ぶメイド軍も確かに見応えはあるが、
ナズやアナはともかくヴィーは・・・お察しだ。
ドジって花瓶を割るタイプのメイドは要らん。
ウチには陽を浴びて華を飾るナズ、闇に隠れて諜報活動をするアナ、
メイドのエミーに、お転婆のヴィー。
こういう構成で行かせて頂きたい。
ジャーブはうちの用心棒だし、パニは執事がぴったりだ。
こうしてみると、
結構豪華な世話人に依って支えられているのだなとつくづく思った。
休みとは言ったものの、特にする事は無い。
料理・・・はこの前カレーを作ったし、
昨日のアレでは色々な材料が枯渇しているだろう。
「ナズ、そういえば食材は大丈夫か?」
「そ、そうでした。
色々無くなっておりますので、また買いに行きませんと」
「何が無くなった?」
「ええと、アリーチェの壷が空になりました。
それから唐黍粉、小麦粉、パーンとラム肉は全て使用しました。
ご主人様のお作りになった赤辛い調味料も無くなりました。
辛パセリも残り僅かです。葉物の野菜は全て使ってしまいました」
ほぼ全部じゃねーか。
やり過ぎである。
50個分だし仕方無いか。
・・・いや、仕方無くは無いだろ!
もう少し計画的にやって欲しかった。
今日何を食べるんだよ。
「し、食費はまだ残っているよな?流石に」
「ええとはい。
まだ4000ナール程余りがございますので、そちらは大丈夫です」
「では、高級食材は買って来る。
あ、いや、エミーも連れて買い物に行こう。
ナズも付いて来てくれ。ユーアロナの店に行きたい」
「それでしたら、私も警戒のためにご一緒させて下さい」
うん?何で?と思ったけど、そうか。
ボルドレックの牙城に、ナズとエミーを連れて行くのだ。
多少は警備もあった方が良いだろう。
「それから、アリーチェだっけ?
あれはトラッサの市にしか無いんだよなあ」
「ご主人様、ご安心下さい。本日のトラッサは市の日です」
「ええ?そうなの?」
良く覚えてるな、流石はアナ。
アリーチェの話をされるまでトラッサは市が立つ事すら忘れていた。
壷を返却すれば返金されるんだっけ?
ついでに色々買うか。
「では朝食後にみんなで出掛けるから宜しく」
「はい、購入したい食材をエミーちゃんと相談して記して置きますね」
「では私は筆記具を持って行きます」
「んー、良い。自分の筆記具を貸すから。外で羽根ペンは使い難かろう」
「もしや、あのご主人様がお持ちの綺麗な筆記具でしょうか」
「そうだが?」
何か拙い?
そんな高級品をエミーに使わせるなって事?
ヒエラルキーの争い、今まで見た事無かったけど実は起きてた?
「い、いえ、以前ご主人様からは見られては拙い物だと、
そう仰っていたような気が致しましたので、
外でお使いになられるならばお気を付け頂きませんと・・・」
言われて気付いてハッとした。
そうだよ、見られる訳には行かないじゃないか。
何してるんだ自分、面倒事が1つ片付いただけでこの体たらくだ。
気を引き締めないと。
「あ、ああ、そういえばそうだな。じゃあインクとパピルス、宜しく」
まったく、拙いのは自分の頭だった。
うっかり外で使って店員に見られたらひと騒ぎ起きてしまうかも知れない。
アナには本当に頼りになりっぱなしである。
朝食には葉物の野菜こそ無かったが、芋と豆のスープにパンとハムエッグ。
何とかなるのが凄い。
そういえば卵はどこで買っているんだ?
「卵は毎日買っているのか?」
「ええと・・・、
近所にいつも私を贔屓してくれるお客様がお住まいなのです。
その方は鶏を沢山飼っておいででして、
いつも夕方に余った分を分けて頂いております」
「えっ!?タダ?」
「そ、そうですね」
「それは駄目だよ、もっと早く教えてくれなきゃ。
主人として一応礼を言わないと」
「も、申し訳ありませんでした!
昔からそこでお世話になっておりましたので・・・」
「良いかナズ、お前の主人は自分だ。
たとえお前が昔から受けていた施しであっても、
主人が一言礼をしないと、あそこの家は何様なのだと言われかねない。
そうだな・・・礼品を持って行った方が良いから、何か考えろ」
「かしこまりました・・・、申し訳ございませんでした」
「それでしたら、タコスやくれえぷなど、
ご主人様がお作りになった料理は如何でしょうか?」
「うーん、ナズが昔から世話になっているなら酒場にも行っているだろう?
正直女将さんのタコスの方が旨いからな。
クレープは不在だった場合に日持ちしないから難しい。
そうだな、この前作ったピザなんてどうだ?
ヴィーがチーズを追加で買って来た事だし、今日もまたピザを焼こうか」
「素晴らしい案だと思います」
「そ、それでしたら私も頑張ります」
「よしよし、ではそれで行こう」
ジャーブとヴィーとパニは置いてきぼりであった。
「そういう訳だから、今日まで卵をお世話になった方へお礼を兼ねて、
今日は皆でピザを作りたい。
捏ねたりするのでジャーブとヴィーは宜しく頼む」
「分かりました」「あれ、また食べられる!?」「が、がんばりますっ」
そういえば小麦粉も無いのだったな。
まずは小麦粉を買って練らせて、
トッピングのチーズを削って貰おう。
***
朝食を食べた後、3人と買い物に出掛けた。
まずはホドワの食料品店へ。
ここは野菜や果物が常に売られている。
ナズが5日分の野菜を買い込み、エミーのバスケットに入れた。
7人家族だし、ヴィーが結構食べるので大分な量となる。
以前買い物に付き合った際は3人分だったので倍以上だ。
ジャーブはデカい割にそんな沢山食べない。
貧乏生活で質素な食生活が染み付いたのだろう。
続いて製粉店へ。
ここで小麦粉と唐黍粉を買う。
ピザを作るので沢山使うだろうと、小麦粉は2袋を購入した。
これはアナが両肩に抱えて持った。
最後に肉屋だ。
ここで牛乳と肉を買うのだが、ソーセージも買ってみた。
現代地球で食べたような味付きのサラミなんかは流石に無いが、
腸詰肉はこの世界にもある。
ミンチは下賤らしいので細切れ肉だ。
以前トラッサの旅亭に泊まっていた際には何度か食べた。
原始的な手法で作られたソーセージは腸に詰める。
腸詰めソーセージは現代では高級品だが、ここの世界ではこれしか無い。
肉汁がたっぷりで美味しいが、匂いは相当キツイ。
流石は内臓。
これをピザのトッピングへ。
冷温桶もあるので、日持ちもする。
ナズやエミーは活用しているようで、
余った牛乳やチーズ、フルーツを切った物が既に入っていた。
野菜以外の大きな物は食費を圧迫するので、自分が出した。
結局は全部自分の金なのだが、
エミーに渡した財布から出すと補充が早くなって面倒だ。
燻製された肉の塊が500ナールだった事を考えると、
腸に詰めただけの加工肉は300ナールと、それほど高くは無かった。
いや、重量の問題かな?
ハムなら7人でも5食分あるが、ソーセージは多分2食分だろう。
そう思うとちょっと高め。
一旦家へ持って帰りピザ3枚分の分量の小麦粉を鍋に移して、
ジャーブとヴィーとパニに捏ねさせた。
モチモチになったら鍋に戻して納屋へ置くように頼み、再び買い物だ。
トラッサの市に、アリーチェの空になった壷を抱えて向かう。
以前発酵食品を扱っていた老婆の店を探し、
壷を返却して新たなアンチョビを買った。
「これは中々旨かった。他にこういうのは無いか?」
「うーん、魚はこれだけだねえ。
塩辛めの漬物なら、シェィザフの実なんかはどうだい?」
何だそれは。
もうここの食べ物の名前に突っ込みを入れては駄目だな。
余りにも言語体系が違い過ぎる。
壷の封を取って見せて貰ったが、プルーンのような、プラムのような。
黒い果実が酸っぱい臭いを放ち液体に浸っていた。
酢漬け?
「1つ貰っても?」「ああ良いよ」
食べてビックリ、これは梅干しに近い。
酢と塩で漬け込んだプラムだった。
甘い感じは全くしない、ピクルスの替わりとして使えそうだ。
これはピザの具になり得るし、パンに挟んでも良い。
「よし、ではこれも追加だ」
「へっへ、毎度あり。また壷持って来たら10ナール引くからね」
この老婆からは割引が効かないが、次回の割引券だと思えば良いのか?
290ナール支払って壷はアナが両脇に抱えた。
「他に何か買う物があるかな?」
「そうですね、ここですと中古の食器が購入できるかと思います。
ご主人様用に茶器などは如何でしょうか」
元トラッサ住民のアナがそう言うならそうしよう。
いつまでもコップでお茶も締まらない。
ただし全員分買うけど。
探してみたが茶器のセットは多くても4客で、全員分には程遠かった。
デザインが不揃いで8つあってもなあ・・・。
仕方無いので、できるだけ近い形の4客セット2つを買った。
これで少しはお茶を飲んでいる気分に浸れるだろう。
それから日用雑貨の店で小さい笊を買う。
木の細い棒で編み込まれた、こぶし大の物だ。
これはフライを揚げたり湯切りに使えるかもしれない。
ただし、笊なので取っ手が無い。
後で大工に頼んで付けて貰おうか?
再び家へ戻り、漬物の壷を台所に置く。
練られた小麦粉は既に片付けられており、台所には誰もいなかった。
そして物音に気付いたジャーブが庭から戻って来た。
「ユウキ様、先程メモを頂きました」
「えーっと、ジャミルだな。判った」
「えっ、まだ何も読んでいないのですが、良くお分かりになりますね?」
「頼んでいる物は大楯だ。買って置いてくれと頼んだのでその報告だろう」
「おぉ!大楯ですか。ヴィーにですね?」
「ああ、上手く扱えるかな?」
「そこは(バンバン)訓練でしょう!」
ジャーブは胸を叩いて指導する気満々で答えた。
頼もしいな。
良い奴だし、面倒見も良いし、仕事も甲斐甲斐しくやってくれている。
最近は残念な感じもあまりないし、何かを任せても大丈夫だ。
責任感が芽生えて成長したのかな?
「では買い物の続きに行って来る」
「行ってらっしゃいませ」
次の目的地はユーアロナの高級食糧店だ。
辛パセリと魚醤の追加、
それからエミーはコリアンダーがあると言っていたのでそれも探してみる。
上層の冒険者ギルドの壁に移動し、そこから下って食材店に向かう。
前回は下から登ったので相当疲れた。
上から1/3の辺りの店だったので、こちらからの方が近い。
「ごめんくださーい」
「・・・何だ?」
以前と変わらず、明らかにやる気の無さそうな店員がやって来たが、
自分の顔を見るなりニコニコした顔付きに変わった。
「これはこれは、ようお越し下さいました。また何かご入用でしょうか?」
「ええと、魚醤の壷を1つ。あ、大きい奴な。
それから辛いパセリと、その実が欲しい。後は・・・」
エミーがメモをナズに手渡す。
それを読み上げた。
「ピノロを1袋、ピペールも1袋、コスパー1袋、
ムスカートの実を10粒、それから潰し機が1つ、をお願いします」
「おお、そんなに沢山!ありがとうございます。
直ぐに準備させて頂きます。お届け先は?」
「ああ?いや、彼女らが持って帰る」
「そうでございますか!ではただ今お持ち致しますね!」
そうか、こういった商店は注文を聞いたら屋敷に持って行くのだな。
以前は魚醤のみ、初見の客だったので手渡されただけだったが、
金持ちの買い物とはそういう物なのか。
召使や奴隷1人で買い物に行くのだから、
沢山は持って帰れないし当たり前だ。
この世界では冒険者と言う便利なジョブがあるおかげで、
商品のデリバリーサービスが浸透している。
勿論配送料はバカ高そうだが。
「お待たせ致しました。これだけ一度に購入して頂いた上に、
お持ち帰りと言う事で最大限割引させて頂きまして、
4900ナール頂戴致します」
と言う事ならば元値は7000ナール位か?
計算がパッとできないので憶測だが、やはり高い。
昨日の稼ぎがスポーンと消えた計算だ。
だがこれはあっと言う間に消える食材では無く、暫く使って行ける物だ。
それほど散財した感じはしない。
エミーはかつての屋敷で得た経験から注文をしたようだが、
金に糸目を付けず高級品ばかり注文されたらどうしようと冷や冷やした。
所詮は食材なので高いと言っても精々知れていると言う事か。
いやでもなあ・・・。
以前出会ったコボルトハンターたちは、
モンスターカードを4000ナールで売って、
20日は遊んで暮らせるのだと言っていた。
1か月以上遊べる位の金額を調味料に掛けるのは贅沢なのだろうな。
エミーは多分、自分をそういう類の金持ち主人だと認識している。
多分、ナズやアナ、ジャーブやパニも。
おかしいな、質素倹約では無かったのか?
金持ちの生活をしている感覚がまるで無い。
日本で生活しているようなラインで考えるから、
そもそもそこが間違いなのだろう。
風呂、朝食のメニュー、毎日の肉や魚料理、服やベッド、装備品も全部だ。
前にも誓ったじゃないか、あの生活は忘れろと。
自分はこの世界の住民なのだ。
テレビも冷蔵庫も洗濯機も無いのだ。
何だったら時計すら無いのだから、苦労をしろと言う事だ。
ユーアロナの店を出て、階段を下りながらぶつくさと呟く。
もう上には登りたくないので下へ。
下の冒険者ギルドに辿り着いたので家へ向かってゲートを開ける。
ここで一先ず解散だ。
自分はついでにトラッサの迷宮へ。
午前中なら案内係がいるはずなので、今のうちに行かねばならない。
午後になると要求される割増し1万円はデカい。
スパイススパイダーの出る階層へ行きたかったのだ。
ええと、トラッサの迷宮ではスパイスパイダーは5層目だったので、
33を足すと38層目だな。
入り口でボケッと立っていた探索者っぽい格好の男に声を掛けた。
「済まないが38層へお願いしたい」
「あっ、済みません。僕はまだ駆け出しなので案内できません」
「え?どういう事だ?」
「いえ、僕は案内役じゃなくて連れが・・・」
確かに装備も貧弱そうだし、何より若い。
銅の剣をぶら下げているあたり、迷宮はこれからの初心者に見えた。
若者をじろじろ眺めていると、
ゲートから2人組の男女が現れてパーティを解散した。
「お待たせ、サン。じゃあ行こうか」
「は、はいっ」
女の方がパーティ編成の詠唱を行い、
サンと呼ばれた若い男を連れて入って行った。
完全に初心者だったか。
わざわざ案内を頼むと言う事は、
これから初心者に人気の3層辺りから始めるのだろう。
つまり彼女も初心者だった。
ヒエラルキー的に姉さん女房っぽかったし、まあ頑張れ。
と言う事はこっちの余ってる男の方が案内役か。
以前55層を頼んだ男とは違うので持ち回り制なのかな?
「済まないが38層へお願いしたい」
「ええと、スパイススパイダーですか?1人で?」
「いやまさか、今日は休日なのだ。自分は明日の準備のために」
「そうですか、びっくりしたなぁ。
連れがいない状態でそんな奥へ飛ぶ方はあまり居ませんからね」
「そりゃあそうだろう・・・1人で5匹も相手にしたら化け物だよ」
「それが、嘗て実際に居たらしいんですよ、そういう化け者が。
確か・・・タロスとか言ったっけな?」
ここでもタロスか。
1人で5匹も相手にできるならば、本当に強かったのだろう。
強引にボスへ挑んで無双してみたくなる気持ちも理解できる。
「ま、まあそういう訳だから。ほら」
銀貨を38枚渡して案内して貰った。
いやいや、流石に1人では行かないよ?
デュランダルで戦ったとしても何発当てなきゃならんのだ。
直ぐ案内の探索者と一緒に外へ出て、
礼を述べて近くの大木から自宅に帰った。
休みと言った手前、これから1日する事が無い。
レッドスパイスを入手しないとチリソースが作れないが、
これまた休みのためにそれは無理だ。
ピザの焼き方も既にナズとエミーへ共有させてしまったので、
これらの仕事もナズの手中に収まる事となってしまった。
手を出すとまた叱られてしまう。
暇だなあ・・・。
いずれは迷宮以外にも何か生きる道を考えなければならない。
その予行練習と言う事か。
アウトドアで遊ぶ趣味があったり、
DIYに長けていた地球人生だったのならば、
この世界でも暇は無かったのだろう。
しかしそれらに対して興味は持たず、
ダラダラと学校と病院を行き来する人生だった自分にはハードルが高い。
趣味は今後見付けるとして、今は・・・。
そうだっ!
56層の魔物の部屋を征したのだから、大量に経験を積んでいたはずだ。
どうなった?
アイテムボックスにドロップ品をしまった際に、
探索者のLvが上がっていた事は知っていたが、問題はその他なのだ。
・フジモト・ユウキ 人間 男 21歳 探索者 Lv54
設定:探索者(54)遊び人:水魔法/知力中(48)
魔法使い(50)英雄(47)細工師(49)暗殺者(36)
お、おう・・・。
殆どが48,49止まりで後ちょっとだけ足りない。
英雄も、なんて言うか判定が厳し過ぎる。
魔法使いだけが唯一50に成っていた。
・・・あれ?これ氷作れるようになったんじゃね?
魔法使いから魔道士に付け替えて風呂場でアイスウォールを唱えると、
風呂桶に蓋ができる位のサイズである氷の板が現れた。
割と分厚い。
30センチは無い位だから・・・25センチ位?
これなら遠距離攻撃の防御にも使えそうではある。
もっとこう、何ちゃらボールの魔法を止めたりもできると思う。
冷蔵庫、もっと効率が良くなるな。
だが、果たしてこれをどうやって砕こうか。
流石にこの厚さだと剣では厳しそうだから、鉄のハンマーが欲しい所だ。
それに自分が叩いた所でびくともしなさそうだ。
自分ならば精々隅っこの方を少しだけ砕く程度にしかできないだろう。
確かミチオ君はベスタにデュランダルを渡して、
ガンガン削って貰っていた。
ヴィー・・・はダメだ、危なっかし過ぎる。
まるで信用できない。
・・・ナズを頼るしかない。
元々ハンマーを扱えそうなのはナズだけだし。
ヴィーにやらせたら風呂桶ごと破壊しかねない。
うーん・・・。
氷を出せるのならば、氷冷庫も欲しくなって来た。
いずれは大幅に家を改造する必要があるのだろうな。
金が必要だ。
Lvも大分上がって来たし、中級職が揃いつつもある。
ここらで方針を転換して、これから暫くは稼がなければ。
勇者が取得できた時点で稼ぎに切り替えて、
家の拡張を真剣に考えてみよう。
よしっ、そうなるとまずは図面だな!
自分にしかできない新たな仕事が見つかった事へウキウキして、
自室の机に向かった。
∽今日のステータス(2021/11/11)
・フジモト・ユウキ 人間 男 21歳 探索者 Lv54
設定:探索者(54)遊び人:水魔法/知力中(48)
魔法使い(50)英雄(47)細工師(49)暗殺者(36)
取得:村人(5)戦士(30)剣士(34)商人(30)色魔(1)
奴隷商人(1)騎士(31)賞金稼ぎ(31)武器商人(13)
防具商人(1)農夫(1)薬草採集士(30)錬金術師(1)
料理人(18)村長(1)盗賊(30)僧侶(19)神官(1)
博徒(35)冒険者(1)魔道士(1)
・BP152(余り1pt)
鑑定 1pt 結晶化促進×16 15pt
キャラクター再設定 1pt 6thジョブ 31pt
パーティー項目解除 1pt 詠唱省略 3pt
パーティライゼーション 1pt ワープ 1pt
パーティジョブ設定 1pt メテオクラッシュ 1pt
獲得経験値上昇×20 63pt ガンマ線バースト 1pt
必要経験値減少/10 31pt
↓
・フジモト・ユウキ 人間 男 21歳 探索者 Lv54
設定:探索者(54)遊び人:水魔法/知力中(48)
魔道士(1)英雄(47)細工師(49)暗殺者(36)
取得:村人(5)戦士(30)剣士(34)商人(30)色魔(1)
奴隷商人(1)騎士(31)賞金稼ぎ(31)武器商人(13)
防具商人(1)農夫(1)薬草採集士(30)錬金術師(1)
料理人(18)村長(1)盗賊(30)魔法使い(50)
僧侶(19)神官(1)博徒(35)冒険者(1)
・BP152(余り5pt)
鑑定 1pt 結晶化促進×16 15pt
キャラクター再設定 1pt 6thジョブ 31pt
ジョブ設定 1pt 詠唱省略 3pt
獲得経験値上昇×20 63pt ワープ 1pt
必要経験値減少/10 31pt
・繰越金額 (白金貨2枚)
金貨 90枚 銀貨 97枚 銅貨 65枚
食品店 (740→518й)
小麦粉 ×2 240
唐黍粉 500
肉屋 (1200й)
牛乳(15ポット) 100
燻製肉 500
ソーセージ ×2 600
漬物店 (290й)
壷買取 △10
アリーチェ漬 150
シェィザフ漬 150
雑貨店 (1100й)
中古の茶器 ×2 1000
小さい笊 100
高級食材店 (7000→4900й)
ミノロ 1200
ピペール 1000
コスパー 1500
ムスカート ×10 1800
魚醤 1500
迷宮案内料 (3800й)
38層移送 3800
金貨- 1枚 銀貨-18枚 銅貨- 8枚
------------------------
計 金貨 89枚 銀貨 79枚 銅貨 57枚
・作中名詞注訳
ミノロ → 松の実(イタリア語)
ピペール → 白コショウ(ヘブライ語)
コスパー → コリアンダー(ヘブライ語)
ムスカート → ナツメグ(ヘブライ語)
・異世界46日目(朝)
ナズ・アナ41日目、ジャ35日目、ヴィ28日目、エミ21日目
パニ11日目




