83:魔人考察②
《 No.134:ストレイン・アスガルド 》【楔:●○○○○】
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【▶魔人 】 【 魔物 】
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【 魔刃 】 【 悪魔 】 【 魔物 】
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【 ?? 】 【 ?? 】 【 ?? 】 【 ?? 】
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魔人の進化先、【魔刃】【悪魔】、そしてそのとなりに並ぶ【魔物】。
この【魔物】に至っては、なんと経験値ではなく”残り:━────”とカウントバーが表記されるのだ。
バーは本当にゆっくりと、だが確実に動いている。
初めて見た時のカウントバーは”━━━━━”とゲージ一杯だったのに、二年経った今では”━────”これだけしか残っていない。
魔物。そして謎のカウント。
連想ゲームじゃないが誰だって察しはつく。
これはどう考えてもヤバイやつだろう。カウントの意味は容易に想像できる。
だから俺は決断したのだ。
ストレインを【魔刃】に進化させる、と。
この決断によって取り返しのつかないことになるかもしれない。
そのときまた俺は自分の選択を後悔するのだろうか。
だが諦めない。
必ず、元のストレインをこの手に取り戻すのだ。
そうして先程、残りの経験値を回収させにストレインには討伐に赴いてもらった。相手はここファルナシア大陸に生息する★8の魔物だ。
今のストレインであれば単独でもじゅうぶん討伐可能なはず。
あいつが帰ってきたらさっそく試すことにしよう。
魔人リストを探ってわかったこと。
その二つ目。
それは【楔】だ。
ちょっと魔人リストのページを見てくれ。
ストレインの名前の横に【楔:●○○○○】と表記がある。
なにそれ? って感じだよな。
どんな意味があるのかはもう分かっている。
ぶっちゃけると、これは魔人に対して行使することができる絶対命令権だ。
元々は【楔:●●●●●】と、このように五回分の権利があった。
今までに四回使用しており現在は【楔:●○○○○】となっている。
この楔は、言うなれば万能な命令コマンドだ。
実際、【魔物】のカウントゲージが短くなるにつれて、ストレインには発作のようなものが次第に現れていた。
俺の命令もきかなくなるほどの酷い破壊衝動だ。
だが、その際にこの楔を行使するとその発作を霧散させることができるのである。
他にも一回だけ試しで使用したのだが、発作を抑制する効果だけでなく、なんと離れたストレインを瞬時に俺の元に引き寄せたりすることもできた。
ワープ、あるいは召喚といった感覚だろうか。
とんでもないチートコマンドである。
この魔人リストで得た一番の収穫はまさしくこれだろう。
神から授かったこのエシュタルモンスター図鑑は本当に凄まじい。
魔人という手に負えない存在をここまで制御できるのは、世界中どこを見渡してもこの図鑑を脳内に持つ俺にしかできないことだろう。
この能力はシモンズに復讐を果たす上でも、奴らに対して確実なアドバンテージとなる。
とはいえ、残りの【楔】はあと一回だけ。
この先ストレインを【魔刃】に進化させた後も発作が起こるようじゃ、どうしようもない状況に陥るのが目に見えている。
今から強固な拘束具を作ったとしても、あのストレインをどこまで抑制できるものかどうか。
その点に関しても俺の頭を悩ませている。さてどうしたものか。
以上が、これまでで分かった魔人リストについての分析だ。
俺の推察でしかない部分も多いため、この分析がほんとうに正しいかどうかは分からないがな。
ストレインが【魔刃】になったらまた新しい判断材料が手に入るに違いない。
現状はそれ待ちってところだ。
だがちょっと待ってくれ。
なにか違和感。
ここまでで何かおかしいと感じたことはないか?
そう。
それは俺自身にとって最大の謎。
この魔人リストには、俺の名前がない。
俺の名前が載ってないのだ。
二年前のリュミエの町で自ら右目を抉りとった俺は、手にしていた幻惑の魔眼を装着することになった。
魔人に変わるトリガーとしての条件を満たしてしまったのだ。
当然、その時点から俺にも魔人化の予兆はたびたび現れていた。
現に今でも怒ったりすると、魔力のブーストがかかる代わり、頭にモヤがかかったような感覚に陥り破壊的な衝動に駆られることがある。
しかしなぜか魔人にはならないのだ。
最初は怒りが足りてないだけだと思った。
ストレインの時のように、限界まで怒りを募らせれば俺も同様に理性を失うのかと思い、恐る恐るも試してみたこともあった。
が、一向にその気配がない。
俺がどれだけ感情を高ぶらせても、闇に落ちる感覚は一切現れなかった。
俺の名が魔人リストに登録されることもなく、カウントダウンが存在するわけでもない。
ゆえにストレインのような発作もないので、俺にとってはちょっとした魔力回復手段になっている。
え? なんだコレ。
バグ?
我ながらちょっとズルくないか?
やはり転生時に色々と弄り倒されたこの体は、普通の肉体ではないのか。
この世界にとって俺は異物みたいなもの、もしかすると魔人化に対しての免疫力でもついているのかもしれんな。知らんけど。
とはいえ、いまさら目的の為に手段を選ぶつもりもない。
全ては復讐のため。
使えるものは使わせてもらうことにするさ。
以上で魔人リストに関しての考察を終える。
この世界の人間にとってイレギュラーすぎる魔人の存在は、必ずや俺の目的を遂げる力となるに違いない。
シモンズを確実に仕留めるためにも、一刻も早く魔人リストを掌握しなければ、な。




