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82:魔人考察①

 魔人リスト。

 俺の頭の中に存在しているエシュタルモンスター図鑑に搭載された機能の一つである。

 その名の通り”魔人”という存在の情報がリスト化されたものを閲覧することができる。つまるところ中身は《*モンスター図鑑》の魔人版といったところだ。

 これがどういうものなのかは実際に見てもらったほうが早いだろう。


《   ーエシュタルモンスター図鑑ー   》

《                    》

《      *全国図鑑         》

《                    》

《      *モンスター分布      》

《                    》

《     ▶*魔人リスト        》

《                    》

《      *メニュー新規作成     》

《                    》

《      *オプション        》



 図鑑のメニュー画面を開き、カーソルを合わせて魔人リストを選択する。



 ーーーーーー《*魔人リストを開きます》ーーーーーー



 すると、頭の中にモンスター図鑑と同じようなフォーマットでたくさんの文字列が展開された。

 ソートはNo.順。

 そしてその中のNo.135にはストレイン・アスガルドと記されていた。



【現在のソート:No.順です】            [134/135]


            ー

           ーーー

          ーーーーー

        ーーーーーーーーー

     ーーーーーーーーーーーーーーー

  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

《 No.127:g�んc@mっl�&fんk8 》

《 No.128:ks���mr�p59lft 》

《 No.129:d�,んvkじ�ょ�b�d9 》

《 No.130:bmぁ�p58rうぇp7�え 》

《 No.131:��z;あk��js4��� 》

《 No.132:?????????????? 》

《 No.133:?????????????? 》

《▶No.134:ストレイン・アスガルド     》

《 No.135:?????????????? 》



 No.1~131までは文字化けしたようになっていて読めない。

 それ以降のNo.は《???》という表記になっている。


 二年前のあの日。

 初めてこいつがエシュタル図鑑に発現したときのことを今も思い出す。

 クマ吉の死。その直後のストレインの堕転によって引き起こされたものだった。

 

 感情の強烈な起伏、そして邪眼や魔肢の人体への移植。

 これが魔人化に際してのトリガーとなるようだ。

 特に、怒りの感情によって生み出される力は底が知れない。

 それは俺自身実証済みである。

 

 魔人という状態は簡単に言えばバーサク状態……というのも逆にわかりづらいか。

 とにかく、魔人になった者は理性を失う代わりに、身体能力や魔力が大幅に強化され人外の力を手に入れることができる。

 二年前のリュミエの町で、洗脳された魔帝であるノアの強化魔法、その第十スペルがかかった黄金の兵士と闘りあっていたストレインの姿がまさしくそうだ。

 圧倒的な強さをもった黄金兵に対して引けをとらないほどの驚異的な力だった。

 

 ただ、やはり理性というのは人間を人間足らしめる為の必要不可欠な能力。

 これを失えば人なんて獣と変わらない。

 力を手に入れたところでそれを扱う者に理性がないのであれば、それはただの暴力、その力はいずれ我が身を滅ぼす凶刃となるだろう。

 今のストレインを見ればそう思わざるを得ないのは確かである。


 ストレインの失われた理性を取り戻す方法はないのか。

 俺もあれから色々と探ったが、確かな確証のある答えは一向に得られなかった。

 そもそも魔人に関する情報が得られるモノは現状魔人リストのみ。

 そしてソレが俺の脳みその中にある以上、物理的には手の出しようがない。

 エシュタルモンスター図鑑は神から授かった能力。

 解析など到底及ばない代物なので、正直どう手をつけたものかと言ったところだった。

 

 だがしかし、一縷の望みはあった。

 それがコレだ。

 俺は魔人リストに記された《No.134:ストレイン・アスガルド》のページを開いた。



《 No.134:ストレイン・アスガルド 》【楔:●○○○】   

    |

    |_____________

    |             |

    |             |

  【▶魔人 】        【 魔物 】

    |

    |__________________________

    |             |            |

    |             |            |

  【 魔刃 】        【 悪魔 】       【 魔物 】

    |             |

    |______       |______

    |      |      |      |

    |      |      |      |

  【 ?? 】 【 ?? 】 【 ?? 】 【 ?? 】

    |      |      |      |

    |      |      |      |

    |      |      |      |

    |      |      |      |



 これが何を意味するか、俺も最初はよくわからなかった。

ただなんとなく見覚えはあったのだ。

 もちろん前の世界で。


 進化……表……?

 この系統図のような表示、前世においてゲームなどでよく見たソレに近い。

 種の進化系統を表し、選択した方に進化させるアレだ。

 つまり何か、魔人というのは人間の成れの果てではなく進化の可能性をもったまったく新しい別の種族ということになるのだろうか(それが進化と呼べるものかは不明だが)。


 なんなんだそりゃ。

 ますますどうしていいかわからんな。

 

 と、その当時は俺も頭を抱えたもんだが、ふとクマ吉のことを考えたのだ。

 邪眼をつけることによってクマ吉はフォレストクロウベアからイビルアイベアへと変貌を遂げた。

 ならば同じことが人間であるストレインにも起きただけ。

 そう結論づけるのが妥当なところじゃないか。

 以前、俺自身が仮説した「俺の作品を身に着けた者に、進化の可能性を与える」がやはり正しかったということなのかもしれない。

 

 とにかく。

 この魔人リストがストレインを救う突破口になるというのなら、俺も腹をくくるしかない。

 そうして自分なりに魔人リストをあれこれ探った結果、わかったことが二つあった。


 一つは進化の条件。

 これには経験値という数字が必要となる。

 ページ内の進化先の文字に意識を集中すると、その下にうっすらと”あと必要な経験値は:”という文字が浮かび上がってくるのだ。

 例えば今のストレインの状態【魔人】から、進化先の一つである【魔刃】に進化させるには”あと必要な経験値は:534”と出ている。

 つまりあと534の経験値が手に入れば魔人であるストレインを魔刃という形態に進化させることが可能となる、ということなんだろう。


 あのさあ、経験値て。ゲームじゃないんだから。

 わかりやすくて助かるが、少々気味が悪いな。

 とはいえ、《エシュタル図鑑》自体にメニューがあってオプションがあってと、明らかにこの世界と一線を画した特別な存在であるのは理解している。今さら俺が突っ込むのも野暮だろう。


 話を戻して説明を続けるか。

 要するに、ストレインがなった魔人という状態を変えるには、魔人リストに記された経験値というものを集めていかなくてはならないという話だ。

 ちなみにどのようにすれば経験値が貯まるのか、詳しいことは一切明記されていない。

 俺もふざけんなと思ったものだが、二年前からストレインと一緒に色々と試してみたところ、その条件はあっさりと判明した。


 魔物を倒す。それだけでいいらしい。

 しかも倒した魔物の★ランクが高いほど入る経験値も多いときた。

 なんてことはない、俺たちの元々の目的と合致していたのだ。

 邪眼を作る、そして図鑑討伐数の機能アンロックの為に魔物を狩る……そのついでで魔人の経験値も貯まるというのであれば、これほど楽なことはない。

 

 ただ一つ気がかりなのは、魔物を倒した時の経験値の入り方が【魔刃】と【悪魔】、そして【魔物】というそれぞれの進化先で違うことである。

 検証の結果、魔物を倒した時に一番経験値が伸びているのは【魔刃】だった。

 逆に【悪魔】は魔物を倒してもなかなか経験値が伸びていかなかった。

 

 条件が違う?

 経験値の貯まる方法は、魔物を倒す以外にも存在しているのか?

 

 疑念はつきない。

 とはいえ、とりあえずの指標ができただけでも俺には充分だった。

 世話になっていた亜人の居城で武器を作ったり邪眼を作ったりする傍ら、ストレインに素材調達も兼ねて魔物を狩らせに狩らせた。

 そうして現状、あと少しで【魔刃】の必要な経験値が貯まるところまできたのだ。


 しかし本当にストレインを【魔刃】に進化させていいのだろうか?

 魔刃がどのような存在かは未知数すぎる。

 正直選びたくない。

 できればこのまま【魔人】を維持しつつ、確実な解決策を探っていきたいところだったのだが……。

 

 だが、それでも俺には選ばなければならない必要があった。

 その理由はある一つの例外。

 さっきから触れてない【魔物】にこそあったのだ。

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