14.救出隊より
「せ、芹沢は…一体どうなったんですか?」
頭の処理が追いつかない。
それは、数多の銃創の残る芹沢崇人の遺体を見ても変わらなかった。
少年兵ジョンも、それ以上の銃弾を受け、凄惨たる様子で横たわっていたのだ。
「馬鹿な最期だよ…ったく」
直属の上司であった堂島曹長は唇を噛み締めると、舌打ちを一つ。
「畜生!!」
叫んだ声は虚空に響きわたった。
駐屯地は混乱していた。
「法寺理貴救出特別作戦隊がまもなく帰還する模様! 死傷者3名! 直に受け入れ態勢を整えろ!」
駐屯地の指揮を任されていた志場魁皇大尉は動き回る兵卒たちに指示を出す。
中井からの連絡を受けていたため、事はスムーズに運んでいたが、未だ不確かな被害状況に、不安は募るばかりだった。
「志場大尉! 只今帰還しました!」
ひとりの甲高い声がした。
高見蓮華特等兵を先頭に、頭を連ねて帰還してきた隊だった。
窶れきったその姿を見て、志場は絶句した。
「芹沢崇人二等兵卒、飯島俊哉一等兵が死亡いたしました!」
高見の声は駐屯地によく響いた。
聞きたくない訃報は、かえって周りによく聞こえるようだ。
先頭から少し後ろに、中井美和作戦隊長は立っていた。
彼女もほか同様に窶れていた。
「中井美和くん…」
志場の声が虚ろな彼女の表情にぼんやりと響いては消えていった。
「あ、大尉…申し訳ありません…かえって被害を…」
「…」
中井の声に力は無かった。普段の強気とは大違いである。
周囲もその様子を甚く不思議がり、そして案ずる。
「他、後藤晴久伍長重傷、法寺理貴二等兵卒軽傷です」
高見蓮華は以上全ての報告を終え、駐屯地のテントの中へと姿を消した。
それにつられるように、柴田恭則も後藤と共に去っていく。
芹沢の上司で曹長の堂島茂邦は、中井を一瞥すると、哀惜の念を浮かべながら空を見上げている。
――果たしてこれが、作戦遂行完了と言えるのだろうか。
捕えた少年兵はいずれも死亡した。
それどころか隊員二名も諸共殺されてしまったのだ。寧ろ被害の方が大きい。
一番責任を負っていたのは、救出の対象となった当事者、法寺理貴であった。
「芹沢…」
昼前に寝ていた木陰に座りかかり、影で暗くなる芝をただただ眺めていた。
―俺は…何がしたかったんだろう。




