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DIE A LOG  作者: さまー
1章 ~Voice From The Frontline~
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11.狙撃手より

立ち上がるひとりの勇気ある青年、芹沢崇人。

「…芹沢…」

神経を尖らせていた中井美和の表情が和らぐ。

「そうだな…こいつらを今すぐ殺すのはいくらなんでも酷いな」

中井がマシンガンを降ろし、ゆっくりと近寄る。

「抵抗しなければ殺すことはしない。しかし、お前らは私たちにとって貴重な情報を持っている。それを吐くことを約束してくれるな?」

「…」

中井の交渉に、二人の少年兵は思わず口を閉ざし、互いを見合った。

二人の目に強い意志が宿っているのを、中井の手先の三人は見逃さない。


「高見、マシンガンを降ろして」

その言葉を待っていたと言わんばかりにトロイとジョンが立ち上がる。ワンテンポ遅れて高見と後藤がマシンガンを下ろす。

牽制が解かれたのだ。二人は現在自由。

「うろああ!!」

トロイは手放したはずの短刀を拾い上げ、中井に斬りかかるが、彼女はそれを右足によって弾く。

「さっきの言葉聞かなかったのか? いくらガキでもそれくらいの理解力はあってもいいはずだろ?」

中井の顔に、冷徹な表情が戻った。

「少年兵だかなんだか知らんが、あんまり大人舐めてると、死ぬぞ?」

手持ち無沙汰な少年兵の顔は、じきに歪んでいき、畏怖の念を抱いているという様子は容易に見て取れた。

中井の強さは、この抜かりのなさだろう。

あえて隙を見せて行動させることで、圧倒的な差を見せつけたのだ。もうひとりの少年兵も、戦友の様子を目の当たりにして、固まるばかりだ。


末恐ろしい女だ。法寺理貴までもが畏怖している。

上空に旋回するヘリコプターが、彼らから距離を取る。

「あ、あれは敵の回し者である可能性が非常に高いな…打ち落とせるか高見」

「…あの距離は無理ですね…あの操縦士は、ホバリング相当うまいですし、小回り効かせるのも得意でしょう」

ただし、逆に敵からも狙いにくいとも取れた。

確かに確実に当てることは不可能だ。


――ターゲットを選り好んでいればの話ではあったが。


「乱射だ」

「二人の少年兵は?」

「構うな」

ヘリコプターの操縦席に座る二人はそんな会話をしていた。

窓に機関銃を構え、数人の集団に焦点を合わせた。

「撃ちます」


中井美和はヘリの窓が開いたことに気がついた。

「不穏だな。 逃げよう」

少年兵二人の装備を引き剥がしている最中だった後藤と柴田は大きく頷き、幼い体をひょいと持ち上げる。

「法寺、立てるか?」

芹沢の声に頷く法寺。ゆっくり立ち上がると、装備を持ち上げた。


一気に走り出した十数人。それを歯牙にもかけない機関銃の銃口は、逃げていく人波を撃っていく。

次々と発射音が響く。中途半端に濡れた荒野を走るいくつもの足音は一気にかき消されていった。


「ぐあっ!!」

特別班のひとりが撃たれて倒れた。助けに行く余裕もほかには残されていない。

「早く走れ!!」

中井の叫ぶ声。乱射された銃弾が彼らの行く手を遮る。

「あいつら!! 仲間をなんとも思わないのか!?」

芹沢の眉間にシワが寄っている。仕方ないと言わんばかりの表情を作る法寺。


その近くで、血飛沫の音。

しかとその光景を目の当たりにした法寺と芹沢。


目の前で、先程まで命懸けで戦っていた少年兵、トロイが撃たれた。

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