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命がけの討伐

近隣の弱い魔物達は、ビスマスとアカリアの騎士団に任せて、私達は大型種の討伐を始めた。


特になんという事もなく、大型種は討伐され、残りは一体となった。


「次の大型種はどんな魔物なの?」


「それがよくわからないんだ」

モナズは言った。


「よくわからない?ギルドはちゃんと調べているの」


「ギルドの情報網はすごい。そのギルドが把握できないのだから、かなりヤバイかもな」


「まぁ私達はもう亡くなってるから、これ以上死ぬことはないわ」


「そうだな。変な事が起きない事を祈る」


「もう縁起の悪い事を言わないでよ」

ヒソはモナズの背中を叩く。


「そうね。縁起が悪いからやめましょうか」


「おいおい。ちょっと待ってくれよ。これを倒せば、この区の大型種は討伐しつくせる」


「そうね。でも縁起が悪いでしょ」


「聖女様とあろう方が、縁起を担ぐなんて、アンデット使ってるし」


「聖女だから縁起を担ぐのだけど……、そうね。アンデット使ってるし、縁起が悪いもなにもないわね」

屍達がケタケタ笑う。彼らは自虐ネタが好きなのだろうか?


「じゃあ討伐決定だな!」


私達は、モナズの案内で森の奥深くに進んでいく。


「その大型種がいるのは、森の奥深くなんでしょ」


「あぁそうだ」


「ほっておけば良いんじゃない?」


「俺も少し思う」


「ほっときましょうよ」


「でも夜な夜な叫び声が聞こえると住民から苦情が出てるんだ」


「それで討伐?」


「倒しに行った冒険者も帰ってきてない」


「まぁ危険なのね」


「あと一時間ほどで着く」


森の中は霧が濃くなっていく。


「皆はぐれたらダメよ」


「出たぞ!」

モナズが叫ぶ。


ドラゴン?

いや……、肉が腐っている。


「おいおい勘弁してくれよ。これアンデットじゃないか」

モナズは指をさした。


屍達は剣を持ち、立ち向かっていく。

吹き飛ばされても、吹き飛ばされても、立ち向かっていく。


「皆撤退だ!」

モナズ達は逃げて行った。


「皆、ドラゴンから離れて!」

屍達はドラゴンから離れる。


「もっとよ!浄化するの!」

私が叫ぶと、屍達は一目散に走り出した。



逃げ遅れた屍が、ドラゴンの足元で倒れている。


「早く! 早く離れて!」


屍達が仲間を引きずり、ドラゴンから遠ざける。


ドラゴンが首を持ち上げた。


私は浄化を始める。

霧に閉ざされた森の中に、一筋の光が降りる。

その光はドラゴンを包み込んだ。


「人間よ」

どこからか声がする。

「誰?」

「私はお前が浄化しているドラゴンだ」

「そうなの?ごめん、浄化しちゃった。やめる?」

「いや……、そのまま浄化してくれ」

「わかった」

「うっあぁ~」

「なにか言い残す事とかある?」

「私の宝をやろうか?」

「別にいらない」

「じゃあ称号とかは?」

「別にいらない」

「欲のない人間よ。感心した。しかし何も礼もできぬとは」

「だいじょうぶ。ギルドから討伐の報奨金が出るから」

「そうか。じゃあ気を使わなくてもいいな」

「そうね」

「ここから数百メートル進むと、洞窟がある。その中に宝がある。見ず知らずの人間に取られるのも気分が悪い。悪いがお前が使ってくれ」

「わかったわ」

「ありがとう」


ドラゴンの声はそこで絶えた。


森の霧が晴れる。


「皆大丈夫。浄化したわよ」


屍達のほうを見ると、震えている。


「そう、ドラゴンが怖かったのね。でも大丈夫よ」

皆首を振る。


「そっかそっか。私の浄化が怖かったのね」

皆頷く。


「大丈夫。もう浄化しないから」

そう言うと、屍達は近くに寄ってきた。


「モナズ、もう倒したよ!」

私は大声で叫ぶ。


「モナズ、もう倒したよ!」

声が返ってきた。

モナズの声だ。


「やまびこの真似はいいから」


「すぐに戻る!」

声が返ってきた。


「しかし、よく倒せたな」


「浄化しただけよ」


「あれ?屍の人数減ってないか?」


「ウソ!浄化しちゃった?」


「皆確認して」


屍達は三人足りないという。


「いや。どうしよ!」


スズがやってきた。

「どうしたの?」


スズは指をさす。

そこにはボロボロになった屍の姿があった。


「どうしよう……スズ」


スズは仲間と手分けして、屍を修復しだす。

ナイフを取り、指を切る仕草をする。


「私の血がいるのね」


スズは頷く。


私は血を垂らした。

すると仲間の屍は再び修復された。


修復されて喜ぶ屍と、仲間達。

私は安心感に包まれた。


「この先にドラゴンのお宝があるらしいの」


「行こう!」

モナズの目付きが変わった。


しばらく進むと、洞窟があった。

ランプをつけ、中に進む。

そこには多量の金銀財宝があった。


「あの聖女様?」

モナズが言った。


「一割よ。運ぶのを手伝いなさい」


「ありがとうございます!」

モナズ達は、手分けして運びだした。

三時間ほどかけ、すべての財宝は運びだされた。


私は宝の部屋の奥に、隠し部屋があるのを発見した。

そこには古ぼけた一冊の書物があった。

私はそれを持ち出す。


帰り際、ドラゴンを浄化した辺りに、宝石のついた鍵を見つけた。

私はそれを拾った。


兵営に戻り、モナズ達に一割渡した。


私はドラゴンのところから持ち出した本を読もうとするが、鍵がかかっていた。

拾った鍵を差すと、鍵は開いた。



ーーーー

私は人族の女に恋をした。

龍族とあろう者が……、

人族の女に恋をしたのだ。

私と女との間には息子が産まれた。

女に頼まれ、私は息子に特別な力を授けた。

そして息子は人族の長になった。

……

息子は王国の王となった。

そして魔族と対立を始めた。

共存すれば良いものを、

息子は共存を拒み、剣を取った。

……

私は息子の従者によって、

殺された。

私の魂は地をさまよい、

不死の力を手に入れた。

人族に力を与えた罰なのであろう。

ーーーー


「そうか……、ポエムか」

私は本を机に置いた。


スズが必死で首を振っている。

「どうしたの?」


本を指さす。


「本がどうしたの?」


スズは頭をかき、どこかへ向かう。

そしてヒソを連れてきた。


「どうしたの?」

ヒソは尋ねる。


「なんか急にスズが」


スズはヒソに本を渡す。

「この本なに?」


「ドラゴンのところにあった本」


「読んでみていいの?」


「どうぞ。ポエムよ」


スズは首を振る。


ヒソは本を読みだした。


「なにこれ?王族が龍族の血をひいてるって事?」


「そうなのかな」


「これすごい事じゃない?」


「なんで?」


「だって混血でしょ」


「そうよね」



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