権力者の秘密
「でも、貴族も魔族の血を入れてるみたいだし」
「聖女様……、今なんと」
「貴族も魔族の血を入れてるみたいよ」
「そんな……」
「ビックリするよね。私も最近聞いたの」
「それってかなり危険な情報なのでは?」
「しらない」
「しらないって、私が危険な目にあうじゃない」
「そうなの?」
「そうよ。知られたとあっては、生かしておけねぇなみたいな」
「死んだら、復活させてあげるわよ」
「屍でしょ。嫌よ」
スズが寂しそうな顔をする。
「あぁ違う、違う。スズが嫌って言ってるのじゃないの。死ぬのが嫌っていってるの」
「そうよね。死ぬのは嫌よね。でも誰にも言わなければ、バレないじゃないの?頭の中が覗けるわけでもないし」
「そういえば、そうよね。でも王族が龍族で、貴族が魔族って、それでなんで対立するのかしら」
「魔族の血を入れるのは、力が欲しいからみたいだから、力を独占したい。それには魔族が邪魔なんじゃないかな」
「聖女様、それさらっと言うけど、すごい事よね」
「普通じゃないの?」
「そうかもしれないけど」
「そうだと思うよ。私もこの前、焼菓子隠したら良かったと思ったもの」
「まぁそういうのあるよね」
……
「この地区の大型種も倒したし、そろそろ次に行く?」
「あぁ次はフミリアだな」
モナズは言った。
私達はフミリアに向かう。
「フミリアってどんな所なの?」
ヒソはモナズに尋ねた。
「なんでも、王国一の鉱山の街らしい」
「へぇそうなんだ」
ヒソは言った。
フミリアまでは馬車で三日かかった。
「ここだ!」
モナズは言った。
馬車を出ると、そこは一面の荒地だった。
私達は近くの街に向かう。
「俺らは冒険者ギルドに向かう。ちょっと待っていてくれ」
「わかったわ」
私達は、街の周辺に魔物がいないか探す。しかし魔物はいない。
しばらくして、モナズ達が戻ってきた。
「ここらへんは魔物いねぇわ。毒霧がでてるみたいで、人も魔物も被害が出てる」
「どうするつもり」
「ここはやめよう」
「ちょっと待ってよ。私も街にいくわ。宿に泊まりたいし」
「そうだな。仲間達はどうする?」
「外でお留守番してもらうわ」
「じゃあ行こうか」
私はスズに耳打ちをする。
「ここらへんに転がっている人の遺体を集めて」
スズは頷き、皆に指示を始めた。
私達は街の中に入る。
毒霧が出ているとはいえ、街には活気があった。
「ねぇ冒険者ギルドに行ってみたい」
「あぁついてきな」
ここが冒険者ギルドだ。
私達は中に入る。
私は受付に向かう。
「ギルド長いらっしゃいます?」
「しばらくお待ちください」
「はい。何か?」
大きな男が出てきた。
「ちょっと尋ねたいのですけど、毒霧はなぜ出てるの?」
「それを聞いてどうする?」
「出ないようにしようかと」
「はははは。姉ちゃん大丈夫か。毒の霧だぞ。たどり着く前に死んでしまう」
「いいから、どうして出てるの?」
「ここら一帯では、野堀りが多いんだ。その野堀りで運悪く、毒の霧の層にぶつかると、出てしまう」
「昔からなら対策のしようがあったのでは?」
「昔はしてたさ。しかしな。人が増えて、その知識も失われた」
「つまり毒霧が出てる層を防げば、いいわけ?」
「そうだ。しかし無数にあるぜ」
「毒霧の層を防げば、報酬はでるの?」
「そうだな。出そう」
「いくらぐらい?」
「二十か所で大型種一体分くらいは用意する」
「じゃあクエスト出して。この人達が受ける」
「おいおい。ちょっと待ってくれ。俺は受けるなんていってねぇぞ」
モナズは慌てる。
「大丈夫。策があるわ」
「わかった。姉ちゃん。依頼を出しておく。明日にでも来てくれ」
「わかる範囲で、毒霧の出てる箇所を地図に書いておいて」
「あぁ」
ギルド長は頷いた。
私達はギルドをあとにした。
「策ってなんだよ」
「ご飯を食べながら話しましょ」
私達は食堂に向かう。食堂はにぎわっていた。
「私骨付き肉」
「俺も」
「私も」
「俺も」
「俺も」
皆骨付き肉とエールを楽しむ。
「それでどうするの?」
ヒソは尋ねた。
「今スズ達にここらへんの遺体を集めてもらってるわ」
「それを復活させて、毒霧を防ごうという事か」
モナズは頷く。
「そうよ」
「でもあいつらの飯はどうする?」
「そうね。どうしましょう」
「ねぇちょっと待って」
ヒソが私の肩に手を置いた。
ヒソは店の店員と話をしている。
「だいじょうぶ。飯は手配したわ」
「どうしたの?」
「内臓と血をわけてもらうことにしたの」
「受けてくれたの?」
「そりゃお金払うっていったら、すぐにOKしてくれたわ」
私達は食事を取り、多量の内臓を持って、街の外にでる。
外では多量の遺体が並べられていた。
「皆食事持ってきたよ」
声を出すと、皆が駈け寄ってくる。
順番に並び、少しずつ食べる。
「いつもより少ないわね」
「ちょっと待ってな。俺らが買ってくる」
モナズ達は街に戻っていった。
私は遺体に近寄り、術をかけて回る。
モナズ達が戻ってくる頃には、
すべての遺体が立ち上がっていた。
「これで足りると思ったけど、また復活させたんだな」
「そうよ。新しい子達には、ここら辺の毒霧を担当してもらう」
「そういう事か」
「そう、土地勘もあるでしょ。だから新しい子達の分もお願い。これで足りるでしょ」
私はお金を渡す。
「あぁ行ってくる」
再びモナズ達は街に戻っていった。
私は新しい屍達に状況を説明した。皆、毒霧に恨みがあるのか、作業に参加できることを喜んでいるようだった。
私は結局外で野営をした。
次の日、ギルドに向かい、受注を確認し、地図も手に入れた。
埋めるための道具を購入し、街の外に向かう。
私は地図を見ながら、新しい屍達に指示をした。
「五人一組で各拠点を塞いで回って。終わったら、こっちに戻ってくる。いいわね」
屍達は頷く。
結局その日は十八か所の地点を塞ぐことができた。




