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貴族

私は盗賊に命じて、周りの魔物を狩らせた。

もちろん私達と街の人が食える分だけ、狩らせる事にした。

あの女はマンガンと言った。

「暇だから」

と、肉の解体や、肉の運搬なんかを手伝った。

あの盗賊達と一緒に。


私達は、

兵士達の事を話し合った。


「兵士を解放させたいのだけど」


「それは難しいのじゃない?」

ヒソは目を落とす。


「なぜ?」


「薬物の中毒になっている」

モナズは太ももを叩く。


「中毒の兵士と、そうでない兵士。どう見分けるの?」


「隊長以上のクラスだけが、中毒ではない。それ以外は皆中毒だと思う」

ヒソは言った。


「じゃあ隊長と指揮官を始末すれば良いの?」


「まぁそうだけど。残りは中毒患者よ。どうするの?」


「浄化できないかしら?」


「できるの?」


「やった事ない」


「あそこの酔っ払い。浄化できる?」

ヒソは酒に酔った仲間を指さす。


「やってみましょう」

私は浄化を試みた。


「なんか暖かい。風呂に入ってるみたいだ」

男の顔は和らいでいく。


「なんか酒の臭いが和らいだわね」


「そうね。これお酒に効くって事は、薬物中毒にも効くんじゃない?」


「かもしれない」


「一番の問題は、軍が兵士を薬で支配しており、その軍の頭が私利私欲のために兵士達を使っているという事だから、まずその貴族を倒さないといけないのでは?」

モナズは言った。


「そうね」

私達は貴族の邸宅に向かう。


邸宅の周りは薬物中毒の兵士で守られていた。


「どうしましょう」


「指揮官や隊長クラスをまずは狙っては?」

モナズは指さす。


「ねぇ。あの指揮官とか隊長っぽいのだけ襲える」


ビスマスは頷き、走っていった。

そして隊長らしき兵士に噛みつき走り去る。


噛まれた兵士はピクピクと動き、意識を失っているようだ。

しばらくすると、噛まれた兵士は動き出し、

こちらに集まって来る。


仲間の屍は前に立ちふさがる。

隊長らしき男が膝をつき、こう言った。

「私はあなたの下僕。なんなりとお命じください」


「では、部下に武器と装備を捨てさせなさい」


「御意」


「武器と装備を捨てろ」


男の部下は武器と装備を脱ぎ捨てる。


さて、中に入ろうと思った時、

ビスマスは貴族と、その家族を引き連れやってきた。


貴族は膝をつき、こう言った。

「私はあなたの下僕。なんなりとお命じください」


「では隊長と指揮官を全て集めなさい」


「御意」


二時間程で全ての隊長と指揮官が集められる。

到着する度に、ビスマスは噛みついた。


私は薬物中毒の兵士達に浄化を始めた。

思った通り、中毒状態は解けた。

私達は、貴族の邸宅に入り、そこで浄化をした。

中毒状態を抜けた兵士達は、一人また一人と街に戻っていった。

三日かけて百名の兵士を解放した。


私達は、軍の装備を確認し、仲間の装備より良いものは交換した。

貴族とその家族にも装備をさせた。



スミレ区とグービアの商人を呼び、古い装備品や、邸宅で売れそうなモノを全て売却した。そして貴族の使用人に退職金を、そして兵士の補償として街の人々に再び分配をした。

もちろん冒険者達にも。


私は貴族の邸宅で一人紅茶を飲んでいた。


「どうしたの?浮かない顔をしているわね」

ヒソは言った。


「いえ。あの貴族……、家族まで従属させる必要があったのかと」


「それは私も考えた。罪がなかったのではと」


「首謀者じゃないものね」


「でも……、私使用人達に聞いたの。あの家族は狂っているって」


「どういう事?」


「使用人達の多くは貴族から法外な利息の借金のかたにとられたもの達なの」


「それで」


「使用人に対して、日常的な虐待があったそうよ。家族ぐるみでね」


「そう。じゃあ別に気にする必要なかったのね」


「そう思うわ」


私は貴族の屋敷を周り、債権などを見つけた。

そして、その全ての者達に文を送り、債権の証文は燃やしたと伝えた。


そして盗賊達と貴族達、そして軍の指揮官や隊長達を、街の護衛兼、肉調達係として配置した。


「じゃあ、次のところに行きましょうか?」


「あぁ、そうだな。ってちょっと待ってくれ。俺らの討伐は?」

モナズは立ち上がる。


「そうだったわね」

皆笑った。


それから、私達はこの付近の大型種の魔物を狩り始めた。

始めはあまり役に立たなかった村人の屍もなかなか強くなった。


そして肉を食う。

そんな事をくり返し、また付近の大型種を倒しつくした。


そういえば、マンガンは魔物の皮や骨を街に卸す商売を始めた。

その売上で孤児とかの面倒もみている。


マンガンは売上の一部を、私に渡すようになった。

受け取るつもりもなかったけど、断わる気もおきなかったので、

受け取った。




貴族の執事がやってきた。


「聖女様ご相談があります」


「どうしたの?」


「退職金は頂きましたが、我らこれから働く場所がございません。もしよろしければ、この邸宅を宿として使う許可を頂きたい」


「私の許可で良いの?」


「えぇ元の主はあなたの下僕。でしたら私はあなたの召使い同様です。それにあなたは私達を解放してくださった」


「わかったわ。でも。それだと何人か守る者がいるわね。じゃあ仲間を十人ほど置いておきましょう」


「お仲間というと、屍の?」


「そう。何か問題でも」


「いえ。お食事はどうしましょう」


「食事はね。魔物の血と内臓を食べるの。魔物を狩らせて食べさせる。残りの肉は屋敷で使って。あなた達も食べたらいいし」


「お肉を?私達が?いいのですか?」


「よだれ出てるわよ」


「これは失敬。想像したらつい」


「結構量多いから、宿に泊まる人にも、沢山振る舞ってあげて」


「かしこまりました」


私はモナズ達のところに向かう。


「ちょっと聞きたいのだけど」


「どうしたの?」

ヒソは不思議そうな顔をする。


「ここの区の兵営ってどうなってるのかしら」


「もぬけの空でしょうね」


「もったいなくない?」


「もったいないわよね。街に行って使い道ないか尋ねてみたら」


私は街に向かう。

街で話を聞くと、倉庫として使いたい。それに元兵士達の仕事もできるとの事だった。


「使ってよろしいのですか?」

と聞かれたので、

「私の許可でいいの?」

と返した。


「はい。聖女様の許可が大切なのです」


「じゃあ。有効に使ってね」

と言っておいた。



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