あとがき
最後までお読みいただきありがとうございました。
本作は作者の過去作、100文字ファンタジー集の一つが始まりです。
『ある日天空の城から古代文明のゴーレムが落ちて来た。見上げると隕石でもぶつかったのか土台に穴が空いている。次の日には金貨が振ってきた。村は天からの恵みにわいた。以来我らはこの城を追って生計を立てている。』
(解説)
『世界を定期航路で回るタイプで、年々微妙に届きそうな高度にまで下がってくるとドラマが生まれそう。塔を建てる帝国、山から投石機で飛んだ囚人、気球を発明した男、竜巻に巻き込まれ一攫千金掴んだ少年。夢広がる。』
(作品タイトル)
魔王です。勇者に倒されたはずが決戦前に戻ってて、勇者パーティーが内紛中。なんでもクリア後に結ばれるヒロインを全員分制覇しようとしたのがバレたとか。お前も隠しヒロインだと言われ私も参戦。悪は倒された。
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100文字の異世界ファンタジーが50作。その内の一つが上記のものだったのですが、当時からこれを長編化できないかと思っていました。夢広がるというのは作者が壮大な歴史ファンタジーを描きたいなという夢のことですね。
各時代に世界中で行われる天空の城へのアプローチ。
そういう歴史群像劇みたいなのを書きたいな、でもこの手のジャンルは難しいのは明らかだからと躊躇していました。ですが主人公を立てずに歴史上の既述の断片を集めたという形ならさほど労力はかからないだろうと思いつき、執筆に入りました。1万文字内に収めてカクヨムコンテスト短編賞に応募するつもりでしたが、結局膨らんで八万文字以上の中編になってしまいました。
落ち着いて考えると、空を周回する天空の島とか船なんてのはファンタジー定番ですし、雲に覆われた古代の宮殿も代名詞みたいな作品があります。でも雲をまとって周回するというのはあまりイメージないかもしれないですね。
周回設定だけ先に決まっていて、書き出したら例の作品のイメージのせいでいつのまにか雲をまとっていて、自分では違和感に気づきませんでした。
しかも膨らんだわりに各所で説明不足なのを分かったうえで放置しておりますが、最終ページまでお読みになった皆様が少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
本作は天空に浮かぶ宮殿の存在により人類の科学発展が地球と比べて進んだという設定で進めています。
規則正しい運行とサイクルを示す絶対的な存在が人類にどんな影響を与えるか。分かりやすいのが暦や惑星の形状の計測で、指針となるものが身近にあるのだから古代から現代と遜色ない数字が算出できるはずであり、それを元に科学的思考が早くに芽生えるだろうと想定していました。
この発想に関しては元ネタがあって、海外SFドラマ、スタートレックの一つ、スタートレック・ヴォイジャー第六シーズン12話「超進化惑星の煌き」がそれです。
宇宙艦隊所属のヴォイジャー号がとある惑星を観測中に、強力な磁場によってその軌道上に捕らわれてしまった。磁場の影響で現地とヴォイジャーの間には数千倍の時間の流れの差が発生している。そのためヴォイジャーは現地の未開文明に数千年のあいだ姿を晒し続けることになった。
当初は空高くに浮かぶ超常的な存在として神と崇められ、天文学など様々な科学的発展の動機となり、歴史上様々なアプローチが繰り返される。だが時間差によってヴォイジャーからは返答ができず、さらには磁場によって星に多発する地震がヴォイジャーの意思によるものと誤解されたことで、やがて現地文明は発展させた科学力でもってヴォイジャーの排除を決断した……
という1時間で星の文明の数千年の歩みを描いた傑作エピソードでした。
地震の発生源がヴォイジャーだと思われているので、それに対してのアプローチをすべく文明が一直線に進んでいくという。
本作5話の『天への請願の手紙の写し』などはドラマ中の電波通信を手に入れて嬉々として神へ応答を願ったメッセージを送ってきた牧師?のエピソードのまんまですね。
また本作の執筆においてはAIが大いに助けになりました。
天空宮の軌道に関する数字や各時代ごとのアプローチ手段の妥当性に関してはAIがなければ今と違う形になっていたでしょう。
最初はそれらは具体的な数字はあげずにぼかす予定でしたが、当時遊びや仕事で使っていたGeminiに試しに計算させたところ、あっさりと具体的な数字を叩き出してきたので、以降も各エピソードごとに天空宮の挙動や地上からの観測に矛盾がでないかをチェックさせながら進めてきました。
でもAIの進化に合わせて過去の数字を再計算させると、大抵間違っていることが判明していました。最初は地球と同等の陸地面積なら高度10キロを時速30キロでまわれば一年で全て観測できるよ、と言っていたのに三ヶ月後に確認したら平気で一年じゃ無理ですよとか言ってきます。
まあおかげで天空宮は北半球だけを移動していることにしよう、代わりに南半球担当の二号機があったはずだよなと発展していったわけですが。
他にも様々に誤回答が多いので途中で使用するAIをGeminiからclaudeに変更しました。claudeは解答の解説が賢そうなのと、こちらが検証用に渡した本分のこの言い回しがセンスがありますねと自分でも自信のある表現を的確に褒めてくれるので気に入っています。
チャットGPTも賢そうなのは同じくらいですが、こいつは人の文章に対して逆張りしたいという欲求が先に出ていませんか? 読者が混乱するので投入するネタを控えめにしましょうなどと敏腕編集者みたいなことを言ってくるので許せねえ。
とはいえ自分が気づくことができないだけでclaudeも平気で嘘を混ぜてきているはずです。途中から真偽の裏付けは諦めて、各エピソードごとに単位を変えて読者にばれないようにしようと工夫することにしました。
それと聞けば何でも答えてくれるし、資料を探してきてくれる(例えば大戦時のアメリカの戦意高揚プロパガンダ映画のパンフレットが見たいと言えばeBayで探してきてサンプル画像を翻訳までしてくれる)のはいいのですが、それらは今まで自力では限度があって、故に資料収集や精度向上はほどほどで諦めていたのが際限がなくなってしまった。
AIを使えば創作の時間短縮になるとよく聞きますが、自分に関してはむしろ確実に増大してしまっています。
ただAIが言っていたからを錦の御旗にすれば自分はSFが書けるんだと気づけたのは大きい。
いえ、科学考証だけでなく軍事や経済など様々に応用は効くでしょう。
異世界でチート能力で大活躍してこちらの世界に戻ってきたら座標がズレてて月だったハードSFや牧歌的なアマゾネス世界に無限のおちんちんを携えた主人公がやってきたことでハイパーデフレーションが起こる経済小説など、いろいろと次回作の夢が広がります。
なお実際の次回作はそういうのとは関係なく、
『催眠アプリは使用方・規約を守り正しくご利用下さい
~目隠れ系モブ男くんは地味メガネ美少女をNTRない!~』
になる予定です。カドコミ漫画原作コンテストに出したい。
それか明日思いつく新作です。




