第9話 |王座評議会《ラウンドテーブル》
王座評議会、会場はシャーペンダー王宮、会議の間。
使いの者は3名までとのことで、私はマグティアとライム、ミーナを連れてきた。
ミーナはとびきりオシャレをしてきて、ピンクのロリータファッションで身を包んでいる。これはベータリア社製ということで商品化もしている。
「胃が痛い気がする……」
「まぁまぁ、気楽にやれば大丈夫! なんたって魔神だし!」
「大丈夫だよ、ベリア様! ぼくが皆のことメロメロにしちゃうから!」
「皆で頑張りましょ〜♡」
私は思わず、マグティアとライムの手をきゅっ、と握った。
ふと、声をかけられる。
「おやおや……ここは幼稚園ではないのですが……来る場所を間違えておられるのかな?」
「っ、誰だ!!」
振り返ると、背中に十字架を背負った、灰色の長髪の男がいた。
「我が名は磔。天使の磔族の王でございます」
「磔……。私はベリアール国の国王、ベリアだ」
「ほう、貴方が……」
上から下まで見定めるように見られる。不愉快だな……。
「ふむ、その服はどこ製のものかな?」
「私の経営するベータリア社製の服だ」
「ほう。まぁ、及第点という所ですか。隣の少年少女も中々可愛らしいですな? ワタクシの侍従にして差し上げても構いませんが……笑」
「……遠慮します〜♡」
「やだねー!」
なんだコイツ……。
「マグティアもなんか言ってやれ!」
「え? ボクが参加したら一辺倒でつまらないじゃーん笑」
「マグティアまで……!」
歯ぎしりをしていると、磔の後ろから人が現れた。
目隠しをした、白い髪の男。
「磔。お前、また人をからかっているのか? 程々にしろ」
「死殿。いえいえ、これは洗礼ですよ。若輩者が調子に乗らないための……ね」
「そうか。お前はいつも人を煽りすぎる。気をつけろ」
死?ということは、この人が……。
「失礼した。私は天使の死族の死だ。貴方は……」
「私はベリアール国の王、ベリアだ」
「……今回の議題の。よろしく頼む」
握手をする。
「こんな若輩者と握手などしなくてもいいでしょう、死殿」
「なに。マニャータに聞くに、ベリアールは中々文化の発展した国だと聞くが」
「……ほう? まぁ詳しくは、王座評議会で聞かせて頂きましょう。さぁ、中へ」
会議の間には、白い円卓が置いてあった。椅子は9つ。
「ガーッハッハ! オヌシが新入りか!!」
鬼族より、紫鬼のギオン。
「よく来てくれた」
蛇族より、白蛇のマニャータ。
「まぁ! あちらの殿方、なんてカッコイイのかしら!」
人魚族より、ウァルナ嬢。
「ペンペン! もー、待ちくたびれちゃったペン!」
南極のペンギン族より、ぺち丸。
「おせぇぞ〜」
悪魔の強欲族より、マモン。
「あら〜? 可愛らしい子が三人も……♡」
悪魔の色欲族より、リリス。
「お待たせしてすみません……笑 若輩者の洗礼をしておりまして」
天使の磔族より、磔。
「待たせてすまないな」
天使の死族より、死。
「この度はお初にお目にかかる。ベリアという、よろしく頼む」
そして、私。魔神ベリア。
「これより、王座評議会を始める」
マニャータの宣言により、ついに王座評議会が幕を開けたのだった。
〜
「それで、議題のベリアールについて。ベリアから自国のアピールがあるそうだが。ベリア、頼む」
「あぁ。私の国、ベリアールの産業だが──────」
「そんなことより〜!! そこの2ペン!! このぺち丸とかわいい勝負をしろ〜!!」
「はっ?」
ライムとミーナが顔を見合わせる。
「ぼく……たち、かな?」
「そうですかね?♡」
立ち上がり、ザッ、と足を踏み出すぺち丸。
「勝負は簡単! アピールタイムをした後、ここの、9引く1足す1は……えっと、10?」
「9だ」
「9ペンに投票してもらうペン! いっぱい勝った方が勝ちペン!!」
私の話を遮っておいて、算数もできないのかコイツ。
ぺち丸によるカスみたいな説明だったが、うちのライムとミーナが勝つに決まっている。
「聞こえてるペンよ!!」
「まずい、声に出ていたか」
咳払いをする。
「まずは、ぼくちんから!」
ピキーン!
氷の台座ができる。ぺち丸のレアスキルか。
「ベリベリのために言うと、ぼくちんのレアスキルは氷結!」
「そのベリベリっていうのは私のことか?」
「そうだペン、ベリベリ! いくペンよ〜!!」
「ぺち丸口上! この世で1番キュートなのは〜?」
「ぺち丸〜」
「この世で1番魅力的なのは〜?」
「ぺち丸〜」
「この世で1番ペンギンキングなのは〜!?」
「ぺち丸〜」
「そう! ぼくちんこそペンギン族の王! ぺち丸だペン〜!!」
テッテレーー!!
イマイチ観客にやる気がないな。意外と死さんが参加してるのが凄かった。あんな怖そうな人なのに。意外と優しいのか。
「あんまり盛り上がってないようだが」
「毎回これやるんですもの、飽きますわ」
隣のウァルナ嬢に話しかける。
「ねぇ、それより、そちらの殿方はなんて名前なの!? 私、ドキドキしちゃって仕方ないの……!」
「なにっ!?」
私の恋人を取るつもりか、こいつ!
「……マグティア。私の恋人だ」
「あら、あらあらあら! そうなのね! 失礼しちゃったわ。でも……奪う愛も燃えるわね〜!!」
「もう。勘弁してくれ」
本当にやめてほしい。そういう恋のイザコザは弱いのだ。
ほら、今思い出しても。人間の頃、私が告白した男には、全員こういうのだ。
「みくりさんには怖いお兄さんがいるから、ゴメン!!」
兄などいないのに。全く、誰と勘違いされていたのか。
「ちょっとちょっとそこの2ペン〜!? ぼくちんのこと見えてるペンか〜!?」
「すまん、興味がなくて」
「ペンペンペーン!!! そんな悪いペンは……こうだ!!」
ピキーン!
瞬間、私の首の寸前まで、尖った氷が迫った。
しかし……
後ろから手を伸ばしたマグティアによって、それは儚く折れた。
バキッ!!
「あっ! ぼくちんの氷が! 結構硬いのに!!」
怒りの波動を感じて、後ろを振り向く。
「あのさ〜、そこのペンギン風情? ボクの彼女に手ェ出したら、存在ごと消すよ〜?」
威圧が使われている。怒っているらしい。
この男が、例の怖いお兄さんだということは私は露ほども知らず。
「こ、怖いペンーー!!」
私はマグティアを制した。
「私がやる」
「おっと……流石ベリア♪」
私は天圧執行でぺち丸を地面に押さえつけた。
「頭を下げろ、ぺち丸」
「ぺ、ペンペン……! 負けないペンよ!」
ぷにょぷにょに潰れながら、氷結で攻撃してくる。
ひらりと身をかわして、それらを避けていく。
ドン!ドン!
追撃に次ぐ追撃。氷が落ちてくる。しかしどれも私には届かない。
サヌサ先生との特訓の成果が出ているのだ。
「おい、会議の間が壊れるだろう!! やめんか!!」
「じゃあ、早めに終わらせなきゃな」
息を吸う。
必殺!!
「悪夢」
私の左目が光る。そう、厨二臭い効果付きである。
「っ、ぎゃーーーー!!!!」
ぺち丸が聞いたことないような悲鳴を上げた。
「ひっく……ぺん、ぺん〜……ぼくちんが悪かったペン……助けてペン〜」
「仕方ない。次はないぞ」
悪夢を解く。
ちょっと可哀想に思ったのはここだけの話だ。可愛いって得だな。全く、羨ましい。
「……それで! そっちの2ペンのアピールはいいペンか!? このままじゃぼくちんの圧勝だね〜!」
立ち直るの早いな。
「ふ。ライム、ミーナ、やってやれ!」
「はーい!」
「はい〜♡」
ライムはぺち丸が使った台座を蹴飛ばし、そこに立った。やるな。
「ぼくはスライムのライム! ベリア様の初めてのナカマ!」
「ちょっと、ベリアの初めてのナカマはボクでしょ〜?」
「マグティア様は黙ってて!!」
「私はミーナ!♡ 服飾部長です〜♡」
2人は可愛いポーズをとって、自己紹介をした。
「ぼく、ベリアールでカフェやってるよ! ベリアールまで来てくれたら、ぼく率いるお色気隊が、サービスしちゃうかも! ぼく達に、投票して〜♡」
「おおおぉ!!!!」
意外と食いついたのが、紫鬼のギオン。
「私達に投票してくれたら〜、貴方にお洋服、一着作ってあげます〜♡ 私達に投票してください〜♡」
「しますわ〜!!」
「欲しいわ〜ん♡」
ここで食いついたのは、リリスとウェルナ。
「なるほど。異国の服は興味がありますね。ね、死殿?」
「そうだな」
死さんと磔も服に興味があるらしい。
「なんでも寄越せ! ワシは貰えるもんは貰うぞ」
「我はベリア陣に投票しよう」
マモンは……服に興味があると言うよりは、貰えるなら貰いたい精神だな。
マニャータ殿は友達贔屓だろう。
「ボクはもちろんベリア側に投票するよ〜」
マグティアは言うまでもない。私も自陣に投票する。
「と、いうことは……」
「9:0で、私の勝ちだな」
「ペンーー!!!」
「ははは!」
地面を叩いて悔しがるぺち丸に、私は軽快に笑った。
きゅん!
マグティアがその笑顔に心臓を奪われていたのだった。
「いい気分だ。ということで、今度こそベリアールの産業を紹介させてもらう」
「よっ、ベリア様〜」
「待ってました〜♡」
ライムとミーナが紙吹雪を降らせてくれる。
私は創像でスクリーンを作り、投影する。
「まず、服飾については言うまでもないな。ミーナ率いる服飾部が、我が社ベータリアとして服を販売している」
「素敵だわ〜」
「ぜひ、ワタシ達と一緒に、セクシーな服を研究して欲しいわね……♡」
よしよし。掴みは上々。
「そして、食材は私固有スキルで作ったポン蔵で賄っている」
「ポン蔵!? ボクの氷結と被ってるペン!! 名前を変えるペンッ!!」
ペチペチ!
小さな手を必死に机に叩きつけている。
「すまない、お前のために変える気にはなれない」
「ペンペンペーン!! 生意気ペンよ!!」
「あ? 悪夢してやろうか」
「ゴメンなさいペンー!!!」
まったく。コリないヤツだ。
「……ともかく、私のポン蔵には限界がない。必要な食材をいつでも生産でき、皆に販売することができる」
「限界がねぇだと……? ほ〜……」
(ポン蔵……こりゃあ欲しくなっちまうなぁ……)
強欲族のマモン。族名の通り、何でも欲しがる強欲の一族。
嫌な目で私を見ているマモンに、私は気づかず説明を続ける。
「それから、スマホを開発した。遠くの者と連絡ができる。こちらもベータリア社として販売している」
サンプルを配る。
「面白い」
「これは便利ですねぇ……」
死さんと磔が早速連絡先を交換している。
「呟くアプリこと、べリッターでの各国交流が進めば、国際関係も良好になるし、輸出入も活発になるだろう」
「ほぉ〜、面白い!! 何よりワレはライムちゃんのカフェが気になるぞ!!」
「あの、ぼく男だよ!!」
ガーン……
「だが……それもそれで滾る〜!!」
ギオンはライムがいれば大丈夫だな。
「以上が自国の紹介だ」
「ありがとう、ベリア殿。では、決議に入る。ベリアールを国として認めることについて、異議を申す者はいるか?」
「ライムくんがいるなら、認めてやらねばな!! ガハハ!!」
「マグティア様がいるなら……♡」
「生意気だけど、国としてはいい感じペンね〜」
「異議なし」
「ふむ……精々調子に乗ることのないように」
「ワタシは賛成〜♡」
「ワシも構わん」
「という訳で……」
「王座評議会より、ベリアールを、正式に国として認める!」
「ありがとう! 皆様の賛成に感謝しよう」
私は頭を下げた。
「やった〜!!」
「やりましたね〜♡」
「ふーん、良かったねぇ」
皆でハイタッチした。
〜ブックマーク、いいね、評価、コメントのほど宜しくお願いします〜




