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魔神ベリアの魔界幸福化計画(第1章完結)  作者: 砂之寒天
第1章 魔界編

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第9話 |王座評議会《ラウンドテーブル》

 王座評議会(ラウンドテーブル)、会場はシャーペンダー王宮、会議の間。


 使いの者は3名までとのことで、私はマグティアとライム、ミーナを連れてきた。


 ミーナはとびきりオシャレをしてきて、ピンクのロリータファッションで身を包んでいる。これはベータリア社製ということで商品化もしている。


「胃が痛い気がする……」

「まぁまぁ、気楽にやれば大丈夫! なんたって魔神だし!」

「大丈夫だよ、ベリア様! ぼくが皆のことメロメロにしちゃうから!」

「皆で頑張りましょ〜♡」


 私は思わず、マグティアとライムの手をきゅっ、と握った。


 ふと、声をかけられる。


「おやおや……ここは幼稚園ではないのですが……来る場所を間違えておられるのかな?」

「っ、誰だ!!」


 振り返ると、背中に十字架を背負った、灰色の長髪の男がいた。


「我が名は(はりつけ)。天使の磔族(スタウロス)の王でございます」

「磔……。私はベリアール国の国王、ベリアだ」

「ほう、貴方が……」


 上から下まで見定めるように見られる。不愉快だな……。


「ふむ、その服はどこ製のものかな?」

「私の経営するベータリア社製の服だ」

「ほう。まぁ、及第点という所ですか。隣の少年少女も中々可愛らしいですな? ワタクシの侍従にして差し上げても構いませんが……笑」

「……遠慮します〜♡」

「やだねー!」


 なんだコイツ……。


「マグティアもなんか言ってやれ!」

「え? ボクが参加したら一辺倒でつまらないじゃーん笑」

「マグティアまで……!」


 歯ぎしりをしていると、磔の後ろから人が現れた。


 目隠しをした、白い髪の男。


「磔。お前、また人をからかっているのか? 程々にしろ」

「死殿。いえいえ、これは洗礼ですよ。若輩者が調子に乗らないための……ね」

「そうか。お前はいつも人を煽りすぎる。気をつけろ」


 死?ということは、この人が……。


「失礼した。私は天使の死族(ネクロス)の死だ。貴方は……」

「私はベリアール国の王、ベリアだ」

「……今回の議題の。よろしく頼む」


 握手をする。


「こんな若輩者と握手などしなくてもいいでしょう、死殿」

「なに。マニャータに聞くに、ベリアールは中々文化の発展した国だと聞くが」

「……ほう? まぁ詳しくは、王座評議会(ラウンドテーブル)で聞かせて頂きましょう。さぁ、中へ」


 会議の間には、白い円卓が置いてあった。椅子は9つ。


「ガーッハッハ! オヌシが新入りか!!」


 鬼族より、紫鬼のギオン。


「よく来てくれた」


 蛇族より、白蛇のマニャータ。


「まぁ! あちらの殿方、なんてカッコイイのかしら!」


 人魚族より、ウァルナ嬢。


「ペンペン! もー、待ちくたびれちゃったペン!」


 南極のペンギン族より、ぺち丸。


「おせぇぞ〜」


 悪魔の強欲族(アヴァリス)より、マモン。


「あら〜? 可愛らしい子が三人も……♡」


 悪魔の色欲族(サキュバス)より、リリス。


「お待たせしてすみません……笑 若輩者の洗礼をしておりまして」


 天使の磔族(スタウロス)より、磔。


「待たせてすまないな」


 天使の死族(ネクロス)より、死。


「この度はお初にお目にかかる。ベリアという、よろしく頼む」


 そして、私。魔神ベリア。


「これより、王座評議会(ラウンドテーブル)を始める」


 マニャータの宣言により、ついに王座評議会(ラウンドテーブル)が幕を開けたのだった。



「それで、議題のベリアールについて。ベリアから自国のアピールがあるそうだが。ベリア、頼む」

「あぁ。私の国、ベリアールの産業だが──────」

「そんなことより〜!! そこの2ペン!! このぺち丸とかわいい勝負をしろ〜!!」

「はっ?」


 ライムとミーナが顔を見合わせる。


「ぼく……たち、かな?」

「そうですかね?♡」


 立ち上がり、ザッ、と足を踏み出すぺち丸。


「勝負は簡単! アピールタイムをした後、ここの、9引く1足す1は……えっと、10?」

「9だ」

「9ペンに投票してもらうペン! いっぱい勝った方が勝ちペン!!」


 私の話を遮っておいて、算数もできないのかコイツ。

 ぺち丸によるカスみたいな説明だったが、うちのライムとミーナが勝つに決まっている。


「聞こえてるペンよ!!」

「まずい、声に出ていたか」


 咳払いをする。


「まずは、ぼくちんから!」


 ピキーン!


 氷の台座ができる。ぺち丸のレアスキルか。


「ベリベリのために言うと、ぼくちんのレアスキルは氷結(ゆきぽん)!」

「そのベリベリっていうのは私のことか?」

「そうだペン、ベリベリ! いくペンよ〜!!」


「ぺち丸口上! この世で1番キュートなのは〜?」

「ぺち丸〜」

「この世で1番魅力的なのは〜?」

「ぺち丸〜」

「この世で1番ペンギンキングなのは〜!?」

「ぺち丸〜」

「そう! ぼくちんこそペンギン族の王! ぺち丸だペン〜!!」


 テッテレーー!!


 イマイチ観客にやる気がないな。意外と死さんが参加してるのが凄かった。あんな怖そうな人なのに。意外と優しいのか。


「あんまり盛り上がってないようだが」

「毎回これやるんですもの、飽きますわ」


 隣のウァルナ嬢に話しかける。


「ねぇ、それより、そちらの殿方はなんて名前なの!? 私、ドキドキしちゃって仕方ないの……!」

「なにっ!?」


 私の恋人を取るつもりか、こいつ!


「……マグティア。私の恋人だ」

「あら、あらあらあら! そうなのね! 失礼しちゃったわ。でも……奪う愛も燃えるわね〜!!」

「もう。勘弁してくれ」


 本当にやめてほしい。そういう恋のイザコザは弱いのだ。


 ほら、今思い出しても。人間の頃、私が告白した男には、全員こういうのだ。


「みくりさんには怖いお兄さんがいるから、ゴメン!!」


 兄などいないのに。全く、誰と勘違いされていたのか。


「ちょっとちょっとそこの2ペン〜!? ぼくちんのこと見えてるペンか〜!?」

「すまん、興味がなくて」

「ペンペンペーン!!! そんな悪いペンは……こうだ!!」


 ピキーン!


 瞬間、私の首の寸前まで、尖った氷が迫った。


 しかし……


 後ろから手を伸ばしたマグティアによって、それは儚く折れた。


 バキッ!!


「あっ! ぼくちんの氷が! 結構硬いのに!!」


 怒りの波動を感じて、後ろを振り向く。


「あのさ〜、そこのペンギン風情? ボクの彼女に手ェ出したら、存在ごと消すよ〜?」


 威圧(プレッシャー)が使われている。怒っているらしい。


 この男が、例の怖いお兄さんだということは私は露ほども知らず。


「こ、怖いペンーー!!」


 私はマグティアを制した。


「私がやる」

「おっと……流石ベリア♪」


 私は天圧執行(ヘブンズ・プレス)でぺち丸を地面に押さえつけた。


「頭を下げろ、ぺち丸」

「ぺ、ペンペン……! 負けないペンよ!」


 ぷにょぷにょに潰れながら、氷結(ゆきぽん)で攻撃してくる。


 ひらりと身をかわして、それらを避けていく。


 ドン!ドン!


 追撃に次ぐ追撃。氷が落ちてくる。しかしどれも私には届かない。


 サヌサ先生との特訓の成果が出ているのだ。


「おい、会議の間が壊れるだろう!! やめんか!!」

「じゃあ、早めに終わらせなきゃな」


 息を吸う。


 必殺!!


悪夢(ナイトメア)


 私の左目が光る。そう、厨二臭い効果付きである。


「っ、ぎゃーーーー!!!!」


 ぺち丸が聞いたことないような悲鳴を上げた。


「ひっく……ぺん、ぺん〜……ぼくちんが悪かったペン……助けてペン〜」

「仕方ない。次はないぞ」


 悪夢(ナイトメア)を解く。


 ちょっと可哀想に思ったのはここだけの話だ。可愛いって得だな。全く、羨ましい。


「……それで! そっちの2ペンのアピールはいいペンか!? このままじゃぼくちんの圧勝だね〜!」


 立ち直るの早いな。


「ふ。ライム、ミーナ、やってやれ!」

「はーい!」

「はい〜♡」


 ライムはぺち丸が使った台座を蹴飛ばし、そこに立った。やるな。


「ぼくはスライムのライム! ベリア様の初めてのナカマ!」

「ちょっと、ベリアの初めてのナカマはボクでしょ〜?」

「マグティア様は黙ってて!!」


「私はミーナ!♡ 服飾部長です〜♡」


 2人は可愛いポーズをとって、自己紹介をした。


「ぼく、ベリアールでカフェやってるよ! ベリアールまで来てくれたら、ぼく率いるお色気隊が、サービスしちゃうかも! ぼく達に、投票して〜♡」

「おおおぉ!!!!」


 意外と食いついたのが、紫鬼のギオン。


「私達に投票してくれたら〜、貴方にお洋服、一着作ってあげます〜♡ 私達に投票してください〜♡」

「しますわ〜!!」

「欲しいわ〜ん♡」


 ここで食いついたのは、リリスとウェルナ。


「なるほど。異国の服は興味がありますね。ね、死殿?」

「そうだな」


 死さんと磔も服に興味があるらしい。


「なんでも寄越せ! ワシは貰えるもんは貰うぞ」

「我はベリア陣に投票しよう」


 マモンは……服に興味があると言うよりは、貰えるなら貰いたい精神だな。

 マニャータ殿は友達贔屓だろう。


「ボクはもちろんベリア側に投票するよ〜」


 マグティアは言うまでもない。私も自陣に投票する。


「と、いうことは……」


「9:0で、私の勝ちだな」

「ペンーー!!!」

「ははは!」


 地面を叩いて悔しがるぺち丸に、私は軽快に笑った。


 きゅん!


 マグティアがその笑顔に心臓を奪われていたのだった。


「いい気分だ。ということで、今度こそベリアールの産業を紹介させてもらう」

「よっ、ベリア様〜」

「待ってました〜♡」


 ライムとミーナが紙吹雪を降らせてくれる。


 私は創像(イメージクリエイト)でスクリーンを作り、投影する。


「まず、服飾については言うまでもないな。ミーナ率いる服飾部が、我が社ベータリアとして服を販売している」

「素敵だわ〜」

「ぜひ、ワタシ達と一緒に、セクシーな服を研究して欲しいわね……♡」


 よしよし。掴みは上々。


「そして、食材は私固有スキルで作ったポン蔵で賄っている」

「ポン蔵!? ボクの氷結(ゆきぽん)と被ってるペン!! 名前を変えるペンッ!!」


 ペチペチ!


 小さな手を必死に机に叩きつけている。


「すまない、お前のために変える気にはなれない」

「ペンペンペーン!! 生意気ペンよ!!」

「あ? 悪夢(ナイトメア)してやろうか」

「ゴメンなさいペンー!!!」


 まったく。コリないヤツだ。


「……ともかく、私のポン蔵には限界がない。必要な食材をいつでも生産でき、皆に販売することができる」

「限界がねぇだと……? ほ〜……」


(ポン蔵……こりゃあ欲しくなっちまうなぁ……)


 強欲族(アヴァリス)のマモン。族名の通り、何でも欲しがる強欲の一族。


 嫌な目で私を見ているマモンに、私は気づかず説明を続ける。


「それから、スマホを開発した。遠くの者と連絡ができる。こちらもベータリア社として販売している」


 サンプルを配る。


「面白い」

「これは便利ですねぇ……」


 死さんと磔が早速連絡先を交換している。


「呟くアプリこと、べリッターでの各国交流が進めば、国際関係も良好になるし、輸出入も活発になるだろう」

「ほぉ〜、面白い!! 何よりワレはライムちゃんのカフェが気になるぞ!!」

「あの、ぼく男だよ!!」


 ガーン……


「だが……それもそれで滾る〜!!」


 ギオンはライムがいれば大丈夫だな。


「以上が自国の紹介だ」

「ありがとう、ベリア殿。では、決議に入る。ベリアールを国として認めることについて、異議を申す者はいるか?」


「ライムくんがいるなら、認めてやらねばな!! ガハハ!!」

「マグティア様がいるなら……♡」

「生意気だけど、国としてはいい感じペンね〜」

「異議なし」

「ふむ……精々調子に乗ることのないように」

「ワタシは賛成〜♡」

「ワシも構わん」


「という訳で……」


王座評議会(ラウンドテーブル)より、ベリアールを、正式に国として認める!」

「ありがとう! 皆様の賛成に感謝しよう」


 私は頭を下げた。


「やった〜!!」

「やりましたね〜♡」

「ふーん、良かったねぇ」


 皆でハイタッチした。


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