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魔神ベリアの魔界幸福化計画(第1章完結)  作者: 砂之寒天
第1章 魔界編

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第10話 ギオンとベリアール

「では、後は恒例のお茶会だ。好きに話そう」


 なにやらプレートが出てきた。

 シャーペンダー産のフルーツか。


 私はそっと手を挙げた。


「天使の2人に聞きたいのだが。その……磔というのと、死というのは、本名なのか?」


 ・・・。


「……異名だ」

「はぁ……これだから若輩者は」

「早速それ聞いちゃう!?笑笑 流石ベリアだねぇ〜笑笑」

「……」


 空気がおかしい。もしや、私は変なことを聞いたか。たが、気になるだろう!


「本名は言えないのか?」

「家族にしか言えないのだ」

「そうなのか」


「……皆さんの国はどんな国なんだ?」

「はー……来月からの王座評議会(ラウンドテーブル)で各国を回るのですから、時期に分かりますよ」

「その時の楽しみにしておいたらどうだ」

「そうか、磔、死さん」

「なぜワタクシだけ呼び捨てなのですかな? 目上の人は敬うべきでしょう!」

「……すまない。どうも呼び慣れなくてな。磔さんでいいか?」


 初っ端から喧嘩売ってきた癖に、という言葉は飲み込む。敵を増やして良いことはない。


「ふん……磔殿()くらいは言えないのかね」

「では、磔殿」

「ふむ、及第点です」


 ……。何となく、目上の人?に褒められるとちょっと嬉しくなるのは私だけだろうか。複雑な気持ちである。


「ねぇ〜ミーナちゃん、ライムくぅん♡ セクシーな服には興味あるかしらぁん?」

「あります!!!」

「あら、ライムくん元気♡ ミーナちゃんはぁ?」

「私も気になります〜♡」

「なら……2人とも、私の国、エロージアに来るといいわぁ♡ 一緒にお洋服作りましょぉ〜?」

「その時は私も一緒に行ってもいいか?」

「もちろんよぉ! ベリアちゃんもいらっしゃぁい!」


「ベリア様、よろしいですか?♡」

「いいぞ。技術提供といこうじゃないか。うちには服用ポン蔵もある。細かくイメージした服をポンと吐き出してくれる機械だ」

「あら〜! なにそれぇ! 服飾界の革命じゃなぁい! ぜひウチにも貸してちょうだぁい!」

「構わない。だが、模倣が簡単になるからな。デザインの権利……著作権などについても話しておこう」

「あら、賢い子〜♡ そういう子、好きよぉ♡」


「ライムくんのカフェは、どこにあるんだ!?」

Lime(ライム) Beauty(ビューティー)は、火のスライム街お店通りの一丁目の1だよ〜」


 ライムは名刺にキスをして渡す。


「っぐふ……」


 ギオンは鼻血を出した。


 ライムがテコテコとこちらに走ってくる。


「ぼくのお色気が通じる相手ができて嬉しい!♡」

「そうか。良かったな」


 頭を撫でておく。……別に私にも通じてるけどね。絶対言わないけど。


「連絡先交換しませんこと!?」

「ごめぇん、そういうのはできないかな〜笑」

「そんな……!」


 ウァルナ嬢はマグティアにアピール中か……。


(私は国際関係安定のために、我慢するべきなのか……?それとも正直に嫌だと言っていいのだろうか……)


 こんなこと初めてなので、少し悩んでしまう。

 とりあえず、今はマグティアが断っているから放置しておこう。


「ねぇ、ベリア様」

「どうした? ライム」

「マグティア様と付き合ったの?」


 ギクッ!!!


 王座評議会(ラウンドテーブル)の全員の視線が集まる。


 ……ついに言われてしまったか。


「……あぁ、付き合った」

「……ぼくとは?」

「……告白してくれるなら」

「じゃあ、また準備する!」

「あぁ」


「ま、まてまてまてー!!! ライムくんはベリアとそういう関係なのか!?!」

「ギオン。悪いがそうだ」

「そんな……」


 ショックを受けているようだ。無理もない。


「……だがいいだろう!!! なぜなら、仕事とプライベートは別だからな!! ガーッハッハ!!」


 こいつ、なんとなく分かっていたが良い奴だな。


「この後、Lime(ライム) Beauty(ビューティー)に来店してもいいか!!」

「嬉しい〜! ぜひ来てよ!」

「構わない。歓迎しよう」


 スマホでゴブリンリーダーのリンダに連絡しておく。ギオンを歓迎する準備をしておくように。


「ギオンのその服は、和服か?」

「オヌシの所ではそういうのか? これは我が国、鬼山(おにやま)産の服だ。左胸のマークは、鬼山魂を表している」

「鬼山魂?」

「守るもののために、戦うことを決して諦めん、という精神だ!」

「それは……素晴らしい精神だな。私も大切にしよう」

「ふむ、ではワレとオヌシは、魂の友(ブラザー)ということだな!」

「……ふ、面白い。魂の友(ブラザー)か」


 どちらともなく、拳を差し出していた。


 コツン。


「よろしく頼む、魂の友(ブラザー)

「おう! ガッハッハ」


 そして王座評議会(ラウンドテーブル)は解散となり、ギオンはベリアールへとやってきた。



「ここがベリアール! 素晴らしい街並みだ!」

「最近、馬車も通し始めた。Lime(ライム) Beauty(ビューティー)までは少しあるからな、乗っていくか?」

「頼もうではないか!!」


 やろうと思えば車も作れる。デザインで言えば、ほぼ馬車と同じにするだろう。映えるから。

 でも、どうせなら馬車の方がカッコイイかなと思って。


「ほぅ〜、栄えているのだな!」

「あぁ。今度鬼山も見に行かせてくれ」

「構わん!! ガハハ」


 Lime(ライム) Beauty(ビューティー)に着いた。


 ちなみにマグティアは家に帰った。


 ライムがぴょこんと降りて、ドアを開ける。


「いらっしゃいませ! ギオン様! Lime(ライム) Beauty(ビューティー)一同、歓迎するよ!」

「うおぉぉぉ!! これは素晴らしい!! 美男美女がいるな!!」


 大興奮だ。うちの子が褒められると嬉しいね。


「今日のシフトは、モアとビビか」

「あ! ベリアサマ! いらっしゃいだぜ」

「ビビ。繁盛しているな」


「ギオン。このロックパンクっぽい雷スライムは、ビビだ」

「うおおぉ!!! ビビちゃん!!」

「ギオン様だったか? 来てくれてありがとな!!」


 ジャキーン! とウインクする。


「ベリアさま! お席にどうぞ!」

「ありがとう、モア。この子は土スライムのモアだ」

「うおおぉ!! モアちゃん!!」

「ギオンさま、来てくれてありがとう! 楽しんでいってね!」


 席に着く。


「のう、ちぇき、というのはなんだ!」

「写真を撮れるんだよ〜! これがサンプル!」

「素晴らしい!! 3枚ずつ撮っていこう!!」


「オススメはどれだ?」

「ぼくのオススメは、ライムアフタヌーンティー!」

「ぬ、ではそれをいただこう!」

「はーい!」


 プレートが並べられる。


 ドン! ドンドン! ドドドン!!


「なんか……前より増えてないか?」

「な、中々多いな!!」

Lime(ライム) Beauty(ビューティー)、歓迎の気持ちを込めて、沢山作ったよ! いっぱい食べてね!」

「そうか! 感謝する!!」


 だが、ギオンの冷や汗を見逃さない。


 目配せし合う。


魂の友(ブラザー)……!」

「死なば諸共、だな。食べるぞ、ギオン!!」

「ソイヤー!」



「うっぷ……」

「ガハ、ハ……」


 ライムが無邪気な目で見つめてくる。


「いっぱい食べれた? おかわりもあるよ!」

「「大丈夫だ!!」」


 これ以上は食べられない。


 パシャリ!


「素晴らしいな、チェキというのは!」

「そうだろう。そうだ、スマホにもついているが、カメラも輸出したいな。また商人と話しておこう」


「ここはワレが支払おう!」

「いや、いい。そもそも紙幣の交換がまだ済んでないだろう? 私の奢りだ」

「ぬ!! そうだったな。ガハハ! 恩に着る!!」


「この後はどうする? 泊まっていくか? 準備は済んでいるが」

「いいのか!! ぜひ泊まりたい!!」

「準備はできているからな。ホテルに案内しよう」


 一番サービスが良いホテル。その名も、王冠宮(クラウンパレス)。私が王冠を作った記念に作ったホテルだ。


「ここだ!」

「うおおおおっ!! これは!! 素晴らしい!!」

「奥の部屋では、王冠のレプリカも見れるぞ」

「それは素敵だ!! ガハハ、随分素晴らしい文化を持っているな!」

「お褒めに預かり光栄だ」


「なにか土産でも持ってくればよかったな!」

「いい、気にするな。代わりに、今度私も鬼山に泊まらせてくれ」

「もちろんだ! 決定だな! ガハハ!」


 夕飯はビュッフェ。


「む、この和食コーナーとやら、ワレの国の料理と似ているな!」

「本当か。じゃあ、日本と鬼山は文化が似ているんだな」

「ニホン?」

「あぁ。……私の故郷だ。私は魔神なのだが……」

「ま、魔神〜〜!?!?」


 ガチャーン!!


 ありゃ、ギオンがひっくり返ってしまった。


「と言っても、下位神なんだがな」

「謙遜するな! こんな立派な国を作っているのだから、実力は中位神以上あるだろう!」

「そうか。ありがとう。で、私は神嗣(しんし)というやつらしいのだが、つまり、魔神マグティアに下位神にされた人間なんだ」

「なるほど! それでオヌシの故郷が日本と言うのだな」

「ご名答」


「して……魔神マグティアって、まさか王座評議会(ラウンドテーブル)で後ろにいた者か? まさか、あの魔神マグティアか?」

「おそらく、その魔神マグティアだろうな」

「ぎょえ〜〜〜!!!」


 ガシャーン!!


 またひっくり返ってしまった。


 こいつ、反応がいいから面白いな。


「ワレは、とんでもない者と魂の友(ブラザー)になってしまったようだな……」

「気を張るな。私だって、王座評議会(ラウンドテーブル)の新入りだからな。古参と仲良くなれるのは嬉しい」

「ガッハッハ! してどうだ、他の国王の印象は!」

「死さんは優しそうだな。磔殿は、姑っぽい、嫌な奴だと思った」

「ガッハッハ! そうだな、死殿は優しいぞ。磔殿は、別に嫌味でオヌシを虐めてるわけじゃないのだ。天使は優しいからな」

「本当か? すごくネチネチしてたぞ」

「ぬ、そのうち分かるわ。して、他は?」

「ぺち丸は頭が悪そうだったな。まぁ、可愛いから許されるんだろう」

「ふむ、アイツはやるときはやる男だと思っているがな!」

「まぁ、そうじゃないと国王なんて務まらないだろ。ウァルナ嬢は……マグティアを取ろうとしていた。困る」


 ガタンッ!!!


「ギオン、どうした? 席を立って」

「な、な、ウァルナ嬢が!?!?」

「おい、大声を出すな……」

「だって、一大事だぞそれは!? だって人魚は────────恋が叶わないと死ぬのだ!!」

「はぁ!?!?」


 流石に立ち上がった。


「おい、これってヤバいんじゃないのか、魂の友(ブラザー)

「あぁ、ヤバい、ヤバいぞ魂の友(ブラザー)


 しかし、目の前の美味しそうなご飯を見て。


 ……2人、席に座る。


「……まぁ、今はいいや。今日はお前が来てるんだから」

「そうだな。で、悪魔達はどうだったんだ!」

「リリスは優しそうだったが……マモンがな。私を見る目が怖かった」

「あぁ、マモン殿は……中々手強いぞ。なにせ強欲族(アヴァリス)だからな。昔から戦ばかりしていて、何でも手に入れないと気が済まないのだ」

「もしや、私の所に戦争をしかけにくるんだろうか」

「……有り得なくないな!!」

「ウワーッ、最悪だ……なんで良い人ばかりじゃないんだ!」


 項垂れる。


「外交とはそういうものよ。ワレらも、なんだかんだマモン相手に数百年やっているのだし」

「数百年!? ギオン、お前何歳だ?」

「543歳だ!」

「そうか……私は20歳だ」

「ガッハッハ! まだまだ子供だな! じゃあ、鬼山焼酎も飲めなんだ!」

「鬼山焼酎ってなんだ? 私は酒が全く飲めないぞ。……いや、もしかして今日は飲めるか?」


 マグティアがいないから。アイツといると、いつも状態異常無効化を取られて酔ってしまうのだ。


「鬼山焼酎というのは、鬼山で作っている焼酎だ! 火山のマグマで蒸留した特段濃いお酒を使っているのだ。鬼は100歳から飲めるのだが、特別にオヌシにも用意してやろうか?」

「……マグティアがいない時に、コッソリ飲もう!」

「だな!! して、今日は飲むか?」

「……飲む!」


 ワインを持ってきて貰った。


「乾杯!」


 慎重に、無効化を緩くする。


 ゴクリ。


 一口飲む。


「……美味しい!」

「おぉ! 左様か!!」


 やっぱり、マグティアのせいだったんだ。なんでいつも酔わせてくるのか。


(どうせ、「かわいいから〜笑」とか言うんだろうな)


 なんとなく、マグティアのことも分かってきたものだ。


「ぬ、恋しておるな! オヌシ!!」

「はっ!? な、何の話だ!!」

「頬を染めておったぞ!!」

「ほ、本当か!?」

「ライムくんか!? それとも?」

「……マグティアの方だ。アイツはいつも、私が酒を飲む時に酔わせてくるんだ。私の、状態異常無効化をなくさせる」

「ほうほう、まぁ酔った女子(おなご)は特有の魅力があるからな!!」

「まぁ、そういう話だろうなと思う。だが毎回やらかしてしまうから……」

「やらかし?」

「な、なんでもない!! 聞かなかったことにしてくれ。まぁだから、今日は好きなように飲めるわけだ!」

「ほうほう! ではもっと飲めぃ! 店主! もっと持ってくるのだ!」


 そんな感じで、ホテルなのにめちゃめちゃ飲んだ。しかし、泥酔はせず、心地よい酔い具合なのだから、素晴らしい。


「じゃあ、私は自宅に戻るからな。また明日、ギオン!」

「あぁ! 今日はありがとう、ベリア殿!」


 ということで、家に帰ったのだが……。


 ゴゴゴゴゴ……


「男と、飲んだ?」

「……状態異常無効化はした」

「ねぇ、浮気じゃない? 浮気だよね? ライムくんもそう思うよね?」

「え、いやぼくは……」

「思うよね!?!?」

「あ、うん!! 思う!!」


 姫抱きにされて、マグティアの部屋に連れられる。


「上書きだー!!」

「ぎゃーーー」


 結局こうなるのか……。


 そしてやっぱり、次の日は二日酔いもなく元気なのだった。


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