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魔神ベリアの魔界幸福化計画(第1章完結)  作者: 砂之寒天
第1章 魔界編

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第5話 蛇族の国シャーペンダー、建国祭

「……そろそろゴブリンを出迎えてもいい頃か。ライム、集合。マグティアも来てくれ」

「はーい!」

「いや〜、ゲームってやばいね。超楽しそう!」

「……まぁいい。好きにしろ。マニャータの所に行くぞ。計画始動だ」

「!! はいっ!」

「お、遂にやるの〜?」

「あぁ」


 諜報部が既に向かって、情報収集してくれた。そうそう、諜報部には、レアスキル:隠密(ステルス)を渡した。温度が空間と同じになり、物音が立たなくなる。


 市場調査もしてもらった。まぁ、何を売ってるかは行けば分かる。後ほど話そう。


 私は服飾部に作ってもらった特注スーツ(ベータリア製)を着て、蛇族の国、シャーペンダーへ向かった。



「どうも。魔神ベリアだ」

「こんにちは〜笑 魔神マグティアで〜す」

「スライムのライムです!」


「ま、魔神様ご一行が入国します!!」


「意外とチョロかったね〜笑」

「お前が威圧(プレッシャー)を使うからだろうな」


 入国した。


 天幕が並び、香辛料と果物の香りが漂う。


 色鮮やかな布が風に揺れ、宝石商や薬師が軒を連ねる。


 人間の国よりも派手な色彩が多く、市場全体がどこか妖艶な雰囲気を纏っていた。


「おい、この服、ミーナが見たら卒倒しそうだな。おっ、こっちは香辛料。料理部に買ってやりたいな。この瓶は? 痺れ毒? おい、ライム! 痺れ毒だって!」

「わぁ〜、めっちゃはしゃいでる笑」


 マグティアはサングラスをかけて、ケラケラ笑っていた。


「ほんとですか、ベリア様〜!! 毒! 飲みます! 効果体験したいです〜」

「あぁ、好きな時に無効化しろよ」


「あ、そういう使い方もしてるんだ。ふーん、有能じゃんカスライムくん……」


 そういうマグティアの片手には、たった今スった財布が収まっていた。


「あれ、マグティア? ここの通貨を持っているのか?」

「あぁ、うん。そんな感じ」

「どんな感じだ……?」

「で、どれ買う? 武器とかもあるね」

「うーん……香辛料と服にしよう!」

「おっけ〜、適当に買っとくね〜。おじちゃん、これ安くならない? うんうん、なるよね、ありがとう♡」


 うわ、怖……なんだあの笑い方。皆が値切りしてく。


魅了(チャーム)だよ〜、お色気隊にも教えたけど」

「おい、勝手に……まぁいいか。魅了(チャーム)、なるほどね。相手が好感をもつのをイメージすればいいのか?」

「そうそう、そんな感じ!」


 試しに、服屋のお姉さんに魅了(チャーム)をかけてみる。


「お姉さん、このお洋服、安くならないかな……?」

「あらあら、いいですよぉ〜」

「っしゃ」


「使ってるねぇ〜笑」


 笑っていると、ライムが小突いてくる。


「ちょっと、ベリア様に何教えたの!」

「おっと、カスライムくん。毒はもういいの?」

「うん、まだお金ないから買えないし!」

「じゃ、稼いでからのお楽しみだね〜」


「二人とも! 服を買ってみたぞ」

「じゃ、それ服飾部にお土産ね」

「あぁ。そろそろ行くか、マニャータ王の所へ」


 真っ直ぐ行くと、王宮に着いた。

 金で塗装されたアラブ調の宮殿だ。


「魔神ベリアだ」

「魔神マグティアで〜す」

「スライムのライムです!」


「ま、魔神様ご一行〜!!」


 仰々しい扱いを受ける。


「またこれか……」

「まぁ、これが早いでしょ?」


 サラッと王の元へ辿り着いた。


「魔神様が、我らに何の用だ?」


 王マニャータ。白蛇人。

 彼は宝石をふんだんに使った王冠をしていた。


「貴方達が困っている、ゴブリンの衛生問題。私達が解決して見せましょう。その対価に、私達を国と認めて、王座評議会(ラウンドテーブル)へ参加させて頂きたい」

「ふむ。国と言うが、領地は?」

「私の作った異空間だ。見るか?」

「……いいだろう」


 立ち上がる。


 私は扉を作り、街へと案内した。


「これは……」


 まず、大きなバロックの門が入口には立っている。


 街の様相は、バロックを中心に、たまにアール・ヌーヴォー、和風など、様々な家々が立ち並ぶ。だいぶ改築してるな。


 街灯はバロックで揃えているらしい。


(私が描いたことのある建築が多彩で良かった)


「ここは服飾部」

「素晴らしい、貴国には様々な服があるのだね……。ぜひ我らと協力して服を作ろうではないか」

「本当か。助かるよ」


「ここは、食料倉庫。名をポン蔵マーケットと言う」

「ぽ、ポン蔵??」

「うん、ポン蔵」

「不思議な名前なのだな……」


「ここは料理部の部室だ。マニャータ殿はどんな料理が好きだ?」

「魔鳥ステーキのマンゴー添えだ」

「なるほど。料理に関しても共に研究できたら嬉しく思うが」

「構わんぞ」


 迎賓館に向かい、お茶を出す。


「「ぜひ国交を開きたい!」」


 私達の声は揃った。


「では、私の国を正式に国と認めてくれるのか?」

「構わんよ。あぁ、そうだ、ゴブリンの件だったか。あの街に住ませるつもりなのだね?」

「そうだ」

「構わんよ。ぜひ連れてってやってくれ」


 予想とは少し流れが違ったが、無事国だと認めて貰えたらしい。


「そうだ、国名は?」

「国名……考えてなかったな」

「どうするの〜?」

「ベリアだし……ベリアールとか、どうだろう?」


 マグティアとライムに振り向く。


「いいと思う!」

「いいんじゃない! 決定!」


 そうして後日、国交を開く署名をした。


 署名する前には、実に様々な準備をした。


 まず、交通をどうするか。これはシャーペンダーの近くに扉を設置することで解決した。


 商品化の計画を急ピッチで進め、商人達に値段や売り方について考えてもらった。


 王を私と正式に定め、最低限の法律を作る。


・殺人禁止

・窃盗禁止

・奴隷禁止

・貨幣偽造禁止


 通貨はどうするかだが、独自通貨ベリーを発行した。


 そして、国旗。

 二枚の魔神の翼を描き、そこに王冠をのせた。


 貿易品は、ポン蔵マーケットの食料、服、スマホ。


 特にスマホは革命的だった。


「スマホ?」

「遠くの人と、連絡ができるぞ」

「素晴らしい!!」


 扉の近くに窓口を設置し、商人から引っ張ってきた外交担当の者を置く。


 ゴブリンが入ってきたら、商売の仕事も手伝って貰いたい。


 いや、むしろ早急にゴフリンの力が必要だ。


 ということで、急いでゴブリン達に会いに行った。


「私の街に住めば、食料は手に入るし、清潔な生活ができる。仕事もある」

「スム!!」


 ゴブリンのリーダーの了承を得て、番号を振り分けて、頭脳向上のスキルと知識を渡して、見た目を人に近づけて、家に着いたら全員風呂に入ってもらった。


 ゴブリンは2000人いるので、国民はNo.3000まで増えたわけだ。


 商売の仕事を手伝って貰い、他の部にも人手を割いて……。


 目が回るような日々だった。


「お疲れのようだな、ベリア殿」

「国を作るって……大変なんだな」

「はっはっは。そうだな。だが、これからはもっと大変だぞ。なんたって国を経営するんだから」

「そうだよな……」


 マニャータ殿の助言も得ながら、国の経営に必要な部を増やした。そこにはゴブリンを配置した。


 財務部。税金、国庫、予算を管理してもらう。

 法務部。法律を担当。


魅了(チャーム)で値切るのは禁止です」

「あれぇ!?」

「嘘だろ!?」


 内政部。市民相談に乗ったり、各部署の要請を順に解決したり、人口、建築の管理。


 そして、内政部長として、ゴブリンリーダーのリンダを配置した。


「ベリア様の為に、全力で頑張ります!!」

「あぁ、頑張ってくれ!! 本当に!!」


 仕事に忙殺されていた私は、リンダの肩を掴んで揺さぶった。これからは国の仕事はリンダに任せよう。私は最終決定だけでいいや。


 市民の声から、文化部も増設。お祭り実行委員会、音楽隊はここに統一。絵を描くのが好きな人達も、ここに入ってもらった。


「それで、王座評議会(ラウンドテーブル)への参加は認めていただけるか?」

「構わんよ。お主も招待しよう」


 そんな感じで、少しずつ国が回るようになってきて。


「建国祭、してない!!」

「それはしなきゃだねぇ〜!」

「お祭り実行委員会、文化館に招集〜!!」


 各々の部に、館を設置してある。


 文化部長のサイくんに、お祭り制作を頼んでおいた。


「ベリア様をモチーフにした商品を発売して……」

「像を作って……」


 話し合いは進んでいるらしい。


 そして、三週間後、建国祭が始まった!


「な、なんだこれは……」

「ベリア様の旗です!!」


 私の上半身が中央に描かれた旗だった。国旗と一緒にはためいている。


「なんだこれは?」

「ベリア様の像です!!」


 建築部が勝手に純金風に仕上げたらしい。誰が許可した。


(変な趣味だな……)


「ここから見てもかわいい、こっちから見てもかわいい……!」


 ライムが色々な角度から写真を撮っていた。


「なんだこれは!!」

「ベリア様プレートです!」


 私の顔を模したオムライスだった。


「ふむ……トマト味が効いていて美味しいな」


 髪のところは全部トマトケチャップだったが、案外量が丁度いい。


 その日は至る所で私をオマージュしたものが売られていた。お面とかあった。ちょっと怖。


 子供がそれをつけて走っているのだ。ギョッとする。


(子供の頃、お祭りの般若のお面が怖かったなぁ……)


 懐かしい。まだ地元のお祭りはやってるのだろうか。シンミリしてしまった。


「わっしょい! わっしょい!」

「私の像が担がれている……」


 さっきの金ピカの像が担がれていた。


 だが、まぁ、そこまで大切にされるのも悪くない。少しそう思ってしまったのは、毒されているだろうか。


「ライムさま〜!!」

「ベリア様が365°……」


「あ、ライムが鼻血を出して倒れてるな……」


 無理もない。致死量の私を浴びたのだろう。ダイニングメッセージに、「幸せ……」と残っていた。


「マグティア様、お酒飲みすぎですよ〜!」

「ん〜? 聞こえなぁ〜い」


 マグティアは酒を飲んでいるのか。


 近づいて、腰の辺りを叩く。背が高いから、肩に手が届かないのだ。


「こら、マグティア。飲みすぎたら危ないだろう」

「ん? ベリアも飲む?」

「いや、私は……」

「ほら」

「んむっ!?」


 酒瓶が口にあてがわれる。思わず一口飲んでしまった。


(関節キス!?!)


 心臓がバクンバクンと激しく音を立てる。


「ぷはっ。やめろ、マグティア!」

「大丈夫、魔神って酒強いから!」

「本当か……?」


 ……嘘だった。


 私はライムとマグティアにべっとりくっついている最中に、正気に戻ったのである。


「はっ……」

「あ、起きた。もー、大変だったよ〜! ベリアがベロンベロンに酔っちゃって、『家に帰る!! コイツらと家で過ごす!!』って言うから連れて帰ったんだよ〜」

「あ、ベリア様おはよ〜」

「おはよ……ん゙ん、それは本当か? あとなんでベットの上にいるんだ、私達は?」

「それは、そーいうことだよ!」

「そういうことなのか……」


 酒は飲んでも呑まれるな、であった。


 ピコン


「あ、もうすぐ花火上がるよ!」


 文化部から通知が入ったらしい。


「どれ、見てみるか」


 カーテンを開ける。


 マグティアが、部屋の電気を消した。


 ひゅ〜、ドン!!


 深紅の花火が夜空に咲いた。


「綺麗だな」

「ね! 研究部が作ったんだって! 凄いよね〜」

「研究部? 爆発ばっか起こしてた所か〜! 花火作ってたんだねぇ」


「……」


 無言で花火に見蕩れる。


 ふと、視線を感じて隣を見た。


「……なんだ」

「綺麗だなーって。ベリアが」

「うん」


 頬が染まったのは、部屋の暗さで見えてないといいが。


「……ふん」


 私はそう言って、軽く俯いた。


「あぁ、そう。状態異常無効化のスキル、勝手に解いたから戻しといたよ」

「……通りで酔ったわけだ」

「まさかベリアがこんなに下戸だと思わなくって!笑 ごめんごめん!笑」

「はー……まぁいい」


 お前達が、花火より私を見てるのが面白かったから。

 

 ……なんて、言えないが。


 言ってないのに、マグティアがニヤニヤし始めたので、脇腹を小突いておいた。



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