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魔神ベリアの魔界幸福化計画(第1章完結)  作者: 砂之寒天
第1章 魔界編

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20/21

第20話 神前

〜リリス軍vs磔〜


「……貴方達。不甲斐ないですね」


「リリス様……」

「リリス様ぁ……!」

「あらあらぁ♡ うふふ」


 磔は、リリスの愛の下僕(ラブ・ペット)により、下僕(ペット)にされてしまった、磔族(スタウロス)の天使軍を、哀れな目で見る。


「リリス殿……貴方には失望いたしました」

「あらぁ、私だって貴方達に期待なんかしないわ! もうっ、皆してワタシ達悪魔のこと見下して……」

「……つまり、悪魔の名誉復活が、今回の目的ですな?」

「その通りよ、磔ちゃん♡」


 艶かしい目線に、ゾワッ、と磔の肌が粟立つ。


「貴方……悪魔として一皮剥けましたね」

「あら、それなら貴方もよね? なんだか、前より雰囲気が洗練されてるわ♡」

「えぇ。貴方には、この戦争の責任を負っていただく必要があります。お覚悟を」

「その前に……この子達に戦っていただきましょうか♡ 天使たちぃ♡」

「はいっ!! リリス様!」


 天使達が前に出る。


「頼んだわよ♡」

「はいっ!!」


「ふぅ……困りますな、うちの部下を使われては」

「ふふん、これも戦いのうちよ♡」


 磔はシルクハットを直す。


「やってしまいなさい!!」

裁きの十字架ジャッジメント・クロス!!」


 十字架が立ち並び、天使達は拘束される。まるで集団墓地だ。


「ふん、それがなによ! 天使ちゃん達、窒息領域(サフォケーション)よ!」

「それが、リリス様……!」

「なぁに!!」


 天使達が動揺する。


「スキルが、使えません……!」

「はぁっ!?」


 リリスが叫ぶ。


 キッ、と磔を睨む。


「どういうこと!!」

「どうもなにも、ワタクシのレアスキルが、此度の戦いで進化したのです。十字架に拘束するだけでなく、スキルの使用を不可にする。残念ですが、貴方達には苦しんでいただきますよ」

「くっ……」


 天使達は苦しそうに藻掻いている。


「磔刑の恐ろしさは、横隔膜が伸びて息ができなくなるところ。死ぬのには数日かかりますが、構いませんね。さぁ、リリス殿」

「!! なぁに……!」

「貴方にも、同じ苦しみを味わっていただきます」


「〜〜っ、ぜったいイヤ!!」


「『抵抗をやめなさい』」


 磔を背負った天使達が動かなくなる。


「!?……なに、今の……!」

「いまの、は……?」


 お互いに動揺が走る。


(……分かりませんが、今の感覚を忘れぬうちに)


「『私を思い出しなさい』」

「〜!? !! は、磔様……!」


 有り得ない。天使の言葉だけで、人が動くなど。


「なに、なによ、それ……!」


 すると、上半身だけの天使が、宙に浮かんだ。


 警戒態勢に入る。


「貴方は……この世界の天使ではありませんね?」

「私は%¿∴○◇△。神の声を告げる天使」

「神の声を告げる……? ……まさか世界声(ワールド・アナウンス)天使(・エンジェル)!? 古い本で読んだことがあります」


「な、なによ?」

「だ、誰ですか? わ、わーるど?」


 リリスや天使達は、状況が理解できない。


「個体名:灰利。異名:磔。個体は世界法則に対し、規定値以上の改変を確認。スキル進化を確認。条件を達成しました。天使から『神前』に昇格しました。神養成学校、『神位昇天学園(バベル)』に招待します」

「っは……?」


 磔は、動揺を隠せない。


「……」


 リリスは状況を理解した。つまり磔は、天使からより神に近い存在へと進化してしまったのだ。


神権(ゴッズ)言律支配(ロゴス・オーダー)』を授与します。自らの十字架に囚われた者に対してのみ、2回まで言葉を絶対命令として与えられます。以上、%¿∴○◇△でした」


 天使が光に溶けていく。


「……」

「……」


 沈黙が流れる。


「リリス殿」

「……なぁに」

色欲族(サキュバス)一同、私達から手を引きなさい」

「……はぁい……」


 リリスは愛の下僕(ラブ・ペット)を解除し、他の場所で戦っている天使を解放する。


「……じゃぁね♡ 磔ちゃん……いや、灰利ちゃん♡」

「ぐっ……本名は教えてはいけないと言うのに!! あの天使!!」


〜〜


「あぁ!? 神前!?」

「えぇ。磔ちゃんが、神様に近い存在になってしまったの……♡」

「んだとっ!!」


 バァン!!


 ヴァルディスはテーブルを殴る。


「俺様がなるにはどうしたらいいんだ!?」

「さぁ、分からないわ……♡」


 リリスは一人思案する。


(天使は、「個体は世界法則に対し、規定値以上の改変を確認」と言っていたわね……つまり、何かしら"異常"を起こさないといけないのね。例えば────────)


愛の下僕(ラブ・ペット)

「あ? 何言って────」

「『跪きなさい』」

「っ、あ───────」


 瞬間、ヴァルディスの心に僅かな恐怖が芽生えた。


「目上に対して、能力を使う……とかね」


「僕は?%+@☆。神の声を告げる天使」

「!!! 来たっ!!」


 リリスは頬を上気させる。


「個体名:リリス。個体は世界法則に対し、規定値以上の改変を確認。スキル進化を確認。条件を達成しました。悪魔から『神前』に昇格しました。神養成学校、『神位昇天学園(バベル)』に招待します」

「っ〜〜〜、やったぁ!!!♡♡」


 招待状を握りしめて、リリスはジャンプする。


神権(ゴッズ)絶対服従(ドミニオン)』を授与します。相手の心に、恐怖もしくは好意が感じられた場合、能力を解除するまでの絶対服従を可能にします。」

「へぇ〜!♡ じゃあさ……」


 リリスは天使の頬に手を添える。


「貴方も、私に従うの?」

「────────」


 初めて、その無感情な表情に”戸惑い”が走った。


「……お答えできません」

「そう、じゃあ、従わせるわ。絶対服従(ドミニオン)


 ドクン。


 天使の心臓が高鳴る。


「……僕は、リリス様の下僕(ペット)です。なんなりとお申し付けを」

「何から聞こうかしら……♡」


 リリスの影が伸びた。


〜〜〜


「さぁ、ヴァルディス。ベリアちゃんに負けてきなさい♡」

「……いいのか、負けて?」

「え? えぇ。もうこの魔王の立場に用はないもの。私、見つけちゃったの」

「……何をだ?」


「魔王を作るより、面白いこと♡」

「……わかった」


「報告!! ヴァルディスがベリアール扉上空に接近しています!!」

「わかった。私が出よう」


 ベリアは立ち上がる。


 そして、勝った。


「……やけにあっさりだったな」

「……」

「おい、何か言ったらどうだ、ヴァルディス」


(やけに静かだな……こいつ)


「……この責任の全責任は、俺様が負う。リリスには責任を追求するな」

「……そうか」


 そうして、戦争が集結して、緊急で王座評議会(ラウンドテーブル)が開催された。


「ペンペン! ぼくちんを除け者にするとは、なんたることだペン!!」

「どうでもいいだろう、そんなこと。それで、ヴァルディス」


 立ち上がったのは、死、磔、ギオン、マニャータ、ベリア。


「「どうやって死にたい/ですか??」」


「……できるだけ、楽に」

「では、我ができるだけ苦しむ毒を作ってやる」

「……」


「なぁ、ベリア殿」


 ギオンがコソコソと話しかけてくる。


「なんだ」

「こやつ、こんなに静かだったか?」

「いや。戦争で負けて、意気消沈しているんじゃないか」

「そうか……」


(にしては、なんだかキナ臭いな……)


「ぐぁぁぁあああぁッ!!!」

「お主は、この苦しみを三日三晩味わい、そして死ぬ。精々地獄で償うのだな」

「がぁぁぁあっ……」


 うわ、えげつないな。


 マニャータの使いが、ヴァルディスを連れていく。


 私は改まって、皆の方を向いた。


「今回の大戦で、悪魔界は私のモノになる。だが、今回の大戦で勝てたのは、皆の協力のお陰だ。だから、領地を分割して分けたいと思う」

「ふむ。異論なし」

「構いませんよ」

「うむ!」

「わかったわ!」

「わかった」


「よし。それでは、領地を配分する。 嫉妬族(インヴィディア)領は、シャーペンダーに」

「うむ」

傲慢族(スペルビア)領は、磔殿に」

「はい」

憤怒族(イーラ)領は、ギオンに」

「うむ!!」

暴食族(グラトニア)領は、死さんに」

「あぁ」

色欲族(サキュバス)領はウァルナ嬢に」

「はいっ!」


「そして、その総代表として、私は魔王になる。異論は無いか?」

「なし」

「ない!!」

「ありません」

「ないです!」


「よし。以上、領地の配分だ。それで、磔。話したいことがあるということだが」

「うむ。これを見ていただきたい。戦争中、近くの兵隊がスマホで撮った動画です」


 動画を視聴する。


世界声ワールド・アナウンス・天使(エンジェル)……?」

「あ! おめでとう! 神前になったんだ、磔!!」

「!! マグティア様……何かご存知で?」

「? いや、見たまんまだよ。磔と、それから──────リリスちゃんね! 神前になったから、神位昇天学園(バベル)に通えるよ!」

「「!?!?」」

「リリスが!?」

「うん、こっちにも天使来たから。あ、動画見る?」


 それは、また別の天使を真正面から撮った動画だった。まさかマグティア、天使が来ているのに動画を撮っていた。


「私は♪○♡✿☆。魔神マグティア様の支配する魔界にて、神前となった者が2名います。」

「あ、ルルミエルちゃん! へー! 凄いじゃん!誰?」

「2名とは、リリス、そして磔こと灰利です」

「へー! あいつ灰利っていうんだ。ありがと!」

「いえ。マグティア様も、ご健勝なようで何よりでした。失礼します」

「はーい」


「まて、マグティア。あの謎の言葉が分かるのか?」

「あぁ、あれ? 神位昇天学園(バベル)で習うよ」

「そうか……」


「そ、その者までワタクシの名前を……!」

「ま、いいじゃん! 良かったね! せっかくだからさ、ベリアも一緒に神位昇天学園(バベル)行ったら? 今だと、親のコネで入社したけど知識ない会社員みたいな感じだよ」

「……それは困るな」


 だいぶ。恥をかくこと間違いなしじゃないか。


「じゃあ、3人は同期だね!」

「やったな」

「なにがですか」


「ワレも行きたいぞ!! 魂の友(ブラザー)だからな!!」

「……私も気になるな。神前になる条件とは、なんだ?」

「ん? あ、2人も興味ある? そこのペンギンは?」

「ぼくちんは……」


 ぺち丸は悩む。


「神なんか興味ないペン! 今ある国民の方が大事ペン!!」

「おっ、カッコいいじゃ〜ん!」

「意外と良い事をいうじゃないか」

「意外じゃないペン!!」

「流石ぺち丸殿だな!!」


「我も同意見だ。国民を放っておくわけにはいかん」

「おっけー!」

「私も……マグティア様に、お国を任されてるから……♡」

「そうだっけ? まぁいいや、わかった!」


 ぺち丸、マニャータ、ウァルナ嬢はいいらしい。


「じゃ、キミ達……ちょっと来よっか!」

「?? うむ!」

「? あぁ」


 来たのは、いつしかの真っ白な花畑。


「ここは……私が初めてこの世界に来た時にいた所か」

「そう! ギオンには、ベリアとひたすらここで戦ってもらいます! 死は、野生動物と戦ってもらいます!」

「ぬ! ベリタ殿と!」

「戦う……?」


「まて、私もやるのか?」

「だって、このままじゃ神位継承戦(アポテオシス)でボコされるよ? 知らないけど」

「知らないのか……」


「天使が言ってたのを見た通り、神前になる条件は、"世界法則に対する規定値以上の改変"。つまり────


──────異常(イレギュラー)だ」

「!!」


「2人には、ここで限界を超えてもらいます!」

「だが、どうやってだ?」

「えーっと、そうだねぇ……まず、ギオン!」

「おう!!」

「キミの特筆した点は、その()だね。鬼山魂、だっけ。それを磨いてもらうよ〜!」

「あいわかった!!」


「……具体的にどうすればいいのか聞かないのか?」


 思わずツッコミをいれる。


「聞こう!!」

「うん。とにかく、気合いで自分の力を高める!」

「わかった!!」


 カスみたいな情報しか増えなかった。これは聞かなくて良かったな。


「次に、死!!」

「はい」

「キミはね……」


 ごくり。


「考えるだけで、人を殺せるようになってもらいます!」

「!!」


「……危険じゃないか?」

「うん、危ないよ! だから、そこでこの人!! ゼロスくんです!!」

「……ゼロス様!?」


 そこには、死んだ顔をしたゼロスがいた。


 覚えているだろうか。スキル無効化のスキルを持った、神位継承戦(アポテオシス)でマグティアにボコボコにされた神である。


「なぜウヌがオヌシに力を貸さねばならぬのだ!!」

「仕方ないじゃん!! ()()()()()でしょ?」

「ぬぅっ……!」


「同じチーム?」

「あぁ、そう! 上位神って、神位継承戦(アポテオシス)に参加しない代わりに、神域淘汰戦(ゼロ・クルセイド)っていう集団戦があるんだ! まだ先20年は始まらないけど! 前回が80年前だからね!」

「100年ごとなのか」

「然り……そして、ウヌはこの憎きマグティアと同じチームなのだ」


「憎き? マグティアはゼロスさんに何をしたんだ?」

「あ、聞いちゃう〜?? えっとねー、まず神位継承戦(アポテオシス)でボコボコにして─────んむっ」

「だ、黙らんか!! ウヌから言うわ!!」

「んー! ちょっと! 手で口塞がないでくれる〜??」

「オヌシが余計なことを言うからだ!! そう、ウヌには好きな人がおる。マミリィちゃんという可愛らしき神なのだが──────」

「マミリィさんか。知ってるぞ」

「ナニッ!? 会ったことがあるのか!?」

「あぁ、ちょっと。マグティアを通じて」

「ぬううぅっ!! 羨ましい!! それで!!」


 ゼロスはマグティアを指さす。


「マミリィちゃんの好きな人が!! マグティアなのだ!!」

「あー……」

「それは……」

「……そうでございますか」


 皆、なんとなく察したような顔をしている。


「だが!!! 神域淘汰戦(ゼロ・クルセイド)で負ける方が大事なのだ!! なぜなら!!」

「なぜなら?」

「負けた神の持つ世界は、勝った神に統合されてしまうのだ!!」

「!!!」

「そう、つまり、今の自由な統治ができなくなるんだ! それは困るよねぇ、ゼロス!!」

「うむ!! よって、仕方なしに、協力してやるという話だ!!」

「なるほど……」


「という訳で、行くぞ、死とやら!!」

「はい」


「じゃ、ベリアとギオン! 頑張ってね〜」

「おい、マグティアはどこに行くんだ?」

「え? 家から見てるね!」

「ゲームする気だな?」

「ギクッ……ま、ボクにかかれば4人を見ながらゲームするなんてちょちょいのちょいだからさ!」

「……前、私に見とれて負けてたくせに」

「それは前の話! ボクも成長したの!」

「そうか……?」


 というわけで、ギオンとベリアは相対する。


 ギオンは刀を、ベリアは剣を。


「手加減なしだ!! 行くぞ、魂の友(ブラザー)!!」

「来い!! ギオン!!」


「はぁぁぁっ!!」

「ぬおぉおぉっ!!」



「はぁ、はぁ、はぁ……」

「つ、疲れたぞ……」


「ちょっと〜! そんなんじゃダメダメ! もっと限界超えてかないと〜!!」

「マグティア! ……の、声?」

「どこからしておるのだ?」


「ここだよ〜」


 ビクッ!!


 そこには、スピーカーとカメラを持ったスライム達がいた。


「スライム?」

「ピギィッ!! 怖い!!」

「はは、なに。ワレは怖くないぞ!」


「ギオン様!!」

「お主、リオンか!!」


「うん、連れてきてみた!」

「いつのまにそんなことを……」

「優しいな!!」


「や、優しい?? マグティア様が??」

「うむ、優しい!! 未来の者を育てるための、教育ということだろう!」

「……そうなの?」

「ピンポーン! ボクもちょっとはやるでしょ?」

「いい考えだな、マグティア。少し危ないが……バリアを張ればいいのか」


 ブォン、とバリアを張る。


 しかし


 パキン!!


「な、なぜ割る??」

「え! だって、危ない所にいないと、特訓にならないじゃん! 彼らはカメラマン!! 2人を撮影してもらうんだよ!」

「……だがな。薬は持ってきたのか?」

「ピギッ、持ってる!」

「持ってます!!」

「……ならいいか」


 医療班が作った薬は、致命傷すら治すのだ。


「じゃ、2人とも頑張れ!」


 ブチ。


「……いや自由か!!?」

「ふむ、なかなかだな!!」


「では、再戦と行こうではないか!」

「! あぁ!」


 再び構える。今度は、拳で。


「はぁっ!!」

「ぬぉぉっ!」


 ガチン!!


 拳がぶつかる。


(うおぉっ、迫力凄いです!!)

(ぴぎいぃ、怖いぃ!!)


 スライムは、2人を上手く撮影しようと、近くまで寄る。


「くっ、危ないっ」

「隙だらけぞ!!」

「っ!!」


 スライムを傷つけまい、と意識を割けば、相手から攻撃される。


「同時に見る、イメージ、か!!」

「うむ!! ワレも同じことを、思って、おった!!」


 殴り合いの合間に、会話をする。


 ゴォン!!!


「かはっ……」


 ベリアの腹に拳が突き刺さる。


「、まだだ!!」


 ベリアは踏み込み、勢いをつけて殴る。


「ガッ……!」


 ギオンの頬に入る。


 ギオンが蹴り技をしようとして……


(いかん、スライムがおる!!)


 踏み込みに変え、殴りにする。


 2人はボロボロになっていく、が……


「頑張ってください!!」

「ま、負けるなっ!!」


 リオンともう1人のスライムが応援する。


「……ガハハ、応援されては、諦められん!!」

「私もだ!!」


 2人は限界を超えるまで殴りあった。


「鬼山魂ぞ!!」

「あぁ!!」


 拳が腹に入る。


「か、は……」


 ベリアが倒れる。


「勝っ、た……!! 勝ったぞ!!」

「わーーッ!! ギオン様凄い!!」

「おめでとう、ございます……!」


「いやー、良くやったね! でも、まだ足りないみたいだね!」

「!?」

「だって、天使来ないでしょ? よし、今度はボクとやろうか!」

「!?!! いや、もう──────」

「はは、キミ達見てたら、殴り合いたくなっちゃった!」


 扉を開いて、マグティアが現れる。


「もう、限界────────」

「え?? 聞こえない!! いっくよー!!」


「私は♪○♡✿☆。神の声を告げる天使」


「カヒュ、カハ、」


「個体名:ギオン」


「カヒュー、カヒュー、カハッ」


 ギオンは、虫の息だった。


「個体は世界法則に対し、規定値以上の改変を確認。スキル進化を確認。条件を達成しました。鬼から『神前』に昇格しました。神養成学校、『神位昇天学園(バベル)』に招待します」

「うんうん!」

「カヒュー、カヒュー」

神権(ゴッズ)、『鬼山魂』を授与します。応援、そして本人の気合いに応じて、力が増幅します」

「うん! ありがとね、ルルミエル!」

「いえ。失礼します」

「カハッ、カハ……もう、こりごりだ……」


 バタン。


「あらら、倒れちゃった。カスライムくん、ご飯できた?」

「できたよー!」

「じゃ、そこのスライムくん達! ギオンのこと、食卓まで運んであげて!」

「はいっ!」

「えーっ」

「はい、支えて! ほら、いちに、いちに!」

「いちに! いちに!」


 ベリアはそれを見ていた。


(本来、神になるのはこんなに大変なのか……)


 それに比べて、自分は。


(何を、頑張ればいいんだ……)


 ベリアは、悩む。


「ベリアー? 行くよー!」

「あ、あぁ!」


(私だけの力って、なんだろうか────────)


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