第19話 魔界大戦争2
〜 暴食族vs死族〜
「オレは暴食族のガルモス!」
「私は死族のアズリエル! 今日も激しくぶっ壊していきましょう!!」
「!?!」
アズリエルは大剣を握った拳を振り上げて、思い切り地面に刺す。
ズコォン!!!
地面に強く突き刺さる。
「てめぇ、天使らしくねぇな……」
ガルモスはドン引きである。
「私のスキルは、死宣告!!20分以内に5回の攻撃を当てて、貴方を殺します!!」
「絶対それ言わない方が良かっただろ!?」
「はっ……たしかに」
「〜〜ッ、調子狂うな!! オレの能力は、暴食捕食!! 噛み付いた分だけ、魔力を奪う!」
「乙女の肌に噛み付くのですか!?」
「敵なんだから仕方ねぇだろ!?」
まるで、痴話喧嘩。2人はなぜか息ぴったりであった。
「それでは、始めましょうか!!」
「!! あぁ!」
ガルモスは大きな爪を。アズリエルは大剣を構える。
ドンッ!
2人が飛び出した。
アズリエルの大剣が振り下ろされる。
「うおっ!!」
避ける。
ゴォン!!!
「ひっ」
大剣がぶつかった地面が割れた。
(こんなん当たったら一溜りもねぇ! 10回と待たずに死んじまう! だが……)
大振り! 隙だらけだ。
ガブッ!!
「いったぁ!!」
「もらい!」
「!! 魔力が……! 吸われた!」
ガルモスは唇を舐める。
「てめぇは大振りすぎんだよ!! そんなんじゃオレには当たんねぇよ!」
「はっ、たしかに!!」
アズリエルは剣を構え直す。
「今度は小振りに!」
「そうだそうだ、その調子……って、」
(なんでオレは敵を応援してんだ!?!?)
ガルモスは頭を抱える。
(くそっ、調子狂うな!!)
「来ないのならば、こちらから行くぞ!! はっ!!」
アズリエルが突撃する。
カキーン!!
爪で受ける。
「1回目!」
「あ!? 武器にも適用されんのか!!」
「そうです!!」
「だから言わなくていいって!?!」
「続けて……2回目!!」
「っ、くそ!!」
小振りになった攻撃により、受ける回数が増える。
何度か、体にも受けてしまった。
2回目、3回目、4回目……と受けていき。
「5回目っ!!」
バキィッ!!
「!! オレの爪が!!」
「さぁ、どう戦うのです?」
「それは……」
ガブリ!!
「っあ!」
魔力を吸ったガルモスが、新たに爪を生やす。
「これでやり直しだな!」
「いいや、やり直しではありません! なぜなら────────」
「────────貴方は既に、3回、私の攻撃を受けているから! あと2回で、貴方は絶命します!」
「っ!!」
「続けましょう」
お互い、再度構え直す。
「がぁっ!!」
ガブ!!
ちゅー、と魔力が吸われていく。
「くそっ!!」
バキッ!!
吸っている隙に、一撃当てる。
「あと、1回、なのに……!」
「魔力が、足りない……!」
(このままでは、死宣告が発動できない!)
「ははは! もう終わりか!?」
「いえ、まだです……!」
だが、死宣告は発動できそうにない。
「もう一口だ!!」
ガルモスが迫り来る。
「間に合わないっ……!」
すると、そこに現れたのは
「ラーー♪」
「!!」
「!?! 誰だ!!」
オペラ歌手、アリア!! そして、死だった。
「オペラ歌手、アリアです〜♪」
「あぁ!? オペラ歌手だと!?」
「なるほど! 応援してもらうのですね!」
「違うが……」
死は目隠しを外す。
「私の目を見るなよ」
「!! はい!」
赤い目が晒される。
(死!! 目が合ったら死ぬ!! 戦いづれぇが……目を見なきゃ問題ない!)
瞬間
「ラーー♪」
意識とは裏腹に、視線が無理やり引き寄せられる。
「やめ────────」
赤い目と、目が合った。
「っ、あ」
心臓が止まる。
「く、そ……なんだよ、それ……」
バタリ。
「私のレアスキル、注目の歌は、強制的に視線を集めるスキル〜♪」
「私の能力と合わせれば、強大な力となるわけだ」
「っ!! っ!! スゴいです!! 流石死様!! と、アリア様!!」
「あぁ」
「ありがとう〜♪」
「……」
アズリエルは、倒れてしまったガルモスの遺体を見る。
「……ガルモス、良い敵でした」
「? 何か言ったか」
「いえ、死様。何でもありません。あ、あそこにいるのは!!」
「? !!! あいつは……!!」
死が全力で走る。
「見つけたぞ!! ザドキエル!!」
「貴方は……誰ですか?」
消えたNo.2。ザドキエルがいた。
〜〜
「ザドキエル!! 私のことを覚えていないか!?」
「さぁ。全く分かりません。私の心にあるのは、リリス様のみです」
「っ……」
死の心が抉られ、ズキズキと痛む。
「仕方ない。力ずくで思い出させるしか……」
「私と、やりますか?」
そう言って、ザドキエルは大鎌を召喚する。
「お前を傷つけるのは、気が引けるが……」
「おや、奇遇ですね。私は貴方を傷つけるのに躊躇いはありません」
「……」
死も、大鎌を召喚する。
全く同じ武器。
(それはそうだ。お前が私の同じものが欲しいと言ったから、それを渡したのだ)
死は奥歯を噛む。
「……いくぞ」
先に飛び出したのは、ザドキエルだった。
キーン!!
「っく」
(お互い死宣告があるから、切り合わせられるのは5回まで……)
切り合わせながら、死は問う。
「お前、自分の種族は言えるか?」
「……なんでしたっけ」
「死族だ。お前は死族のNo.2だったのだ」
「……知りませんね」
ザドキエルの大鎌が、死の頬を切る。
「っ……」
(躊躇がない。本当に殺しに来ている)
頬の血を拭いながら、死は思う。
「貴方、躊躇っていますか?」
「!!」
「戦いで躊躇ったら、死にますよ」
「……分かっている。だが、だが……!」
死は眉を困らせる。今にも泣きそうだ。
「私は、お前を傷つけたくないのだ!!」
「では、貴方は私に殺されるのみです」
ザドキエルの大鎌が、死の首スレスレを通る。
「くっ」
(躊躇うな……!)
死も覚悟を決めた。
最接近。
ザクッ!!
「っ……」
ボトリ。
ザドキエルの右腕が落ちた。
「……」
ザドキエルは何も言わない。死を見る視線は冷えきったまま。
「お願いだ、思い出せ、ザドキエル!!」
「何のことか、分かりません」
「っ……ザドキエル……!」
死は、大鎌を捨てる。乱暴に目隠しを外し、ザドキエルの胸ぐらを掴む。
「私の目を見ろ!!!」
────────それは、幼い頃の思い出。
「……ダメだ。私の目は、人を殺す」
「でも、貴方様の目が見たいです!」
「だが……」
まだ王になる前の死。白月と呼ばれていた頃の死。
「……スキル無効化のスキルでも持っていないと」
「……分かりました!」
「?」
「私は、ゼロス神と交渉して、無効化を借りてきます!!」
「っ、は??」
ゼロス神。スキル無効化の力をもつ神だ。
そして……
「ゴッ、バ……」
「マグティア選手、圧勝〜〜!!」
いつの日か、神位継承戦でマグティアにボコボコにされた神である。
「そんなこと、ゼロス様がお許しになるはずがない!!」
「大丈夫です、策があります!」
「策……?」
それは……
「ゼロス様! こちら、マミリィ様の限定フォトでございます!」
「ぬおおぉぉぉ!?!」
そう、マミリィの限定フォト。ゼロスはマミリィのことが好きなのである。
そしご存知の通り、マミリィはマグティアのことが好きだ。
つまり、最悪な三角関係なのだった。
「し、仕方ないの。1日だけぞ?」
「ありがとうございます!!」
そうして、無事無効化を借りてきて。
「……じゃあ、いくぞ」
「はいっ!」
目隠しが外される。
シュルリ……
「っ、!!!」
息を飲む。
「……どう、ってこともないだろうが……」
白月が、照れたように視線を外す。
「いや、いえ……!!」
言葉に詰まった後に。
「とても綺麗です!!」
「……そうか?」
「はい!!」
「私、貴方様の美しい瞳を、生涯決して忘れません!!!」
ザドキエルは興奮したまま、そうのたまった。
「ふ、そうか……では、目隠しするぞ」
「あの、もう少し……いや、もうしばらく! 今日1日、猶予がありますので!」
「1日も私の目を見続けるのか? つまらないだろう」
「そんなことはありません!! ずっと見ていられます!!」
「ふふ……」
「!!」
(笑った!!)
それは、双方にとって忘れられない思い出となり。
操られたまま、死の目を見たザドキエルは……。
「白月、さま……?」
死との記憶を、取り戻した。
「そうだ、ザドキエル。私だ」
「私、私……貴方様のことを、忘れて……」
「いい、話すな」
死は、ザドキエルを抱きしめる。
「ザドキエル。私は……」
「はい、白月様……」
死から、涙がポロリと落ちる。
「お前のことを、忠臣として愛していたのだ……」
ザドキエルの目にも、涙が。
「ふ、ふふ……この身に余る、おこと、ば……」
ザドキエルは安心したように目を細める。
ガクリ
「ザドキエルーーーーッ!!!」
ザドキエルは、優しい微笑みを浮かべていた。
べリッターの死のアカウント名、white moonは、白月から来ています
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