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魔神ベリアの魔界幸福化計画(第1章完結)  作者: 砂之寒天
第1章 魔界編

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第2話 お家を作ろう!

「それで……まずは衣食住か? 君達、代謝はするのか?」

「その辺の草とか死骸とか食べて、エネルギーにしてるよ! 排泄はしない!」

「素晴らしい生き物だな。汗や垢は出るか?」

「出ない!」

「いや、本当に……素晴らしいな」


 素晴らしすぎる。配下にするのに一番楽な生き物かもしれない。


「お前達には、スキルを使う練習をしてもらう。戦闘訓練だ!」


 訓練にいい場所はあるだろうか。私は視界を広げるイメージで、遠くの景色を探す。


 そして、そこまでの空間を繋げるイメージで、すっと宙に縦線を引く。


 すると、そこを中心に空間が開いて、穴が空いた。


「スライムの皆、ここを通って向こうに移動してくれるか?」

「はーい!」


「え、ねぇすごいすごい!! ベリア、もう転移できるようになったの!? 千里眼も!? すごーい!」

「な、なに……そんなに凄いか?」

「うん、素質あるね〜!! 流石ボクが見込んだ子! いい子だねぇ!」

「頭を撫でるな!!」


 まったく、こいつは距離が近いのだ。


 実はここだけの話、夢の中で創像(イメージクリエイト)と同じことをしていたのだ。私は人間だったけど、魔法を使えるようになりたくって。夢の中だけでも、と思って遊んでいた。だからだろう。


 まさかマグティアはそれを知っていて……? いや、まさかな。


「それじゃあ、この岩場で各々魔法を練習してくれ!」

「はーい!」

「そういえば、ライム。スライムって切られたらどうなるんだ?」

「ん? くっつくだけ! それか、別の個体になる!」

「恐ろしいな……どうしたら死ぬんだ?」

「んー、状態変化が苦手! 例えば、冷たすぎるとか、溶かされるとか、熱すぎるとか!」

「え、マグティア!? あいつら大丈夫なのか!?」


 思わずマグティアに振り返る。


「やばいかも!」

「まずい! スライム、整列!!」

「はい!!」


 よし、言う通りに従ってくれた。よかった!


「君達に、状態変化の耐性をつける。マグティア、どうやるのがいいと思う?」

「えー? だから、どんな影響を受けても、健康にそこにある姿をイメージして、ポン、と付与するだけだよ。簡単でしょ?」

「……なるほど」


 まぁ、やってみるのが早いか。


「スキルよ、宿れ!!」


 そうして、スライム達に状態変化耐性をつけた。


「よし、練習再開!」

「はーい!」


「並列思考があると便利だな」


 頭の中に自分の思考がいくつもあるイメージをしてみる。


 ふー、と息を吐き、頭の中の思考を並列させる。


「思考よ、並列しろ」


 これは唱える方がやりやすいな。私は無事、並列思考を手に入れた。


「他に配下にできそうな者は?」

「ゴブリンとか? 不衛生な上に蛇族の家を荒らすから迷惑してるみたいだよ!」

「ゴブリンって何匹くらいいるんだ?」

「うーん、2000匹くらいかな!」

「に、2000……」


 中々多いな。


「そいつら全員に清潔な生活を送らせるのは……中々難しいか?」

「え、一個完璧な家作ってコピペすればいいじゃん!」

「確かに! 名案だな! 流石マグティア!」


 私はマグティアの背中を叩いた。


 マグティアはきょとん、と頬を染めてベリアを見る。


「も〜、いきなり褒められるとびっくりしちゃうね! ははは!」

「なんだ……?」


 焦ったように笑って誤魔化すマグティア。

 どうしたんだろう。


「まずは、綺麗なお家のイメージを作るところからだね!」

「あぁ!」



「こんなものか」


 ゴブリンの家は、白い壁に、差し色は緑。1LDKの家を作ってみた。

 スライムの家は、それぞれのスキルの色が差し色になるようにした。


「それ、お家?」

「ライム! そうだ。お前達も欲しいか?」

「うん! ぼく、ベリア様と同じ家がいい!」

「私と? ……なぜ?」

「なぜって……」


 ライムの身長がびよんと伸びて、こちらに顔を近づけてくる。ち、近い……。人型だからだろうか、スライム相手にドキドキしてしまう。かわいいし。


「ベリア様と一緒がいいから!」

「理由になってない。……だが、そうか……ふむ。ライムくらいはいいか」

「え、ずるい〜!! ボクも一緒に住みたい〜!!」

「マグティアまで……」


 私とマグティアの間に、ライムがずいっと割って入る。


「マグティアさんは別で住んだら〜?」


 悪い顔をしている。どうした!?


「え、なに〜?笑 スライム風情が笑 やる?」


 マグティアも乗り気である。


「いいけど! 溶かされて戻れなくなっても知らないよ〜」

「ははは! スライムの溶解なんか効かないよ〜」

「こらこら、喧嘩するな」


 私を挟んで喧嘩する2人。


「ちぇ〜。ねぇでもベリア様、ぼくこいつと住みたくないよ!」

「ボクもこのカスのスライムことカスライムとは住みたくないな〜」

「お、おまえ〜!!!」

「ははは〜笑笑」

「わかった。じゃあお前達はどっちも私と違う家に住んでくれ!」

「「えっ!!」」


 ライムとマグティアが見つめ合う。


「……」

「……」


 コツリ、と拳を合わせた。


「仕方ないなー、ぼく、こいつと住むよ……」

「まぁ、ペットくらい居てもいいよね!」

「誰がペットだーー!!」

「まったく。じゃあ、一緒にお家の内装を決めよう」


 私は大きな紙を作り、岩の上に置く。


「いいよ〜! ぼく、ベリア様と隣の部屋ね!」

「じゃあ反対側はボクね」

「私は角部屋がいいんだが」

「え?」

「は?」


 うわ、怖。コイツら目がガチだ。


「……わかった。防音をちゃんとするってことで、私が真ん中な」

「やったー!」

「ベリア様は優しいね!」

「仕方のないやつらだ」


 だが、なんとなく悪くないと思い始めている自分がいた。


「お家は広い方がカッコイイよね!」

「そうだねぇ、ボクも広い家に住みたいな〜」

「無駄に広くても掃除が大変なだけじゃないか?」

「オートクリーン機能をつければ、掃除はいらないよ!」

「そんなこともできるのか」


 そんな感じで、お家の内装を決めていく。崩れないようにする機能とか、家具とか、小物とかも。


「ぼく、写真? っていうのが欲しい! 見たことないけど!」


 私の与えた知識から知ったのだ。


「無限カメラと、写真立てと、ファイルね! ベリア、作ってあげて!」

「なぜ私が……」

「練習だと思ってさ!」

「それもそうか」


 デザインも少し凝ってみよう。ライムだから、柑橘類をイメージして……。


 ポンッ!


「できた!これで無限に写真が撮れるぞ。このボタンで印刷だ」

「やったー! ね、この素敵なデザイン、ベリア様が作ったの?」

「あぁ、そうだ。どうだ?」

「凄い素敵!! 早速一枚! 寄って寄って!」

「む……!」


 パシャリ。


「もー、ベリア様仏頂面!」

「あはは〜、ホントだ! ベリアは笑顔が下手だね!」

「む、そんなことは……」


 だが、写真に写っている私は確かに仏頂面だ。


「……まぁいいか」

「これも可愛いんじゃない〜?」

「ベリア様はどんな顔でもかわいいよ!!」


 まぁそんなこんなで、家のイメージが固まった。


「ぜったい、ぜったい素敵なお家だね!」

「間違いないな」

「いいデザインしてんじゃん〜! ベリアはデザインするのが得意だね!」

「いや、別に……。高校の時、美術部と生徒会を兼部していただけだ」

「部活だよね! 入ってきた知識にあった!」

「そうなんだ〜」


(ま、知ってるけど……笑)


 そんな風にマグティアが思っていたことを、私は知らないのだが。


「後は、どこに街を作るかだな」

「いっそ異空間に作っちゃう〜?」

「そんな事ができるのか?」

「例えば扉を一つ作って、そこに入ったら違う空間が広がってるようにする、とかね!」

「なるほど……。試しにやってみるか」


 私は一つ、綺麗な扉を作った。この先に異空間が広がるイメージで。


「開けてみるよ」


 ごくり……


 息を飲む。


 ガチャリ


 私達が見た景色は……


「わ、わ〜!! すご〜い! 真っ白な空間だ!!」

「無事、出来ているようだな!」

「すごい〜! すっかり使いこなしちゃったね! よしよし」

「あ、頭を撫でるな!」


(照れるだろ!!)


 やめてほしい。


「上から見てみれば? 空くらい飛べるよね?」

「まぁ、それくらいは……」


 背中の翼を使って、空を飛んでみる。ぎこちないので、創像(イメージクリエイト)で補助して。


「一つの家がこの大きさで、庭はこのくらいあればいいか?道路はこれくらい……」


 イメージを具現化して、下地として線を引いていく。


「マグティア! ライム! 街を作るぞ!」

「やってみなー!!」

「らじゃー!!」


 ふぅ、と息を吐く。集中して……


 頭の中の紙から、民家を取り出す。色味は5つ。ゴブリン用と、スライム四種。


 手前から、ゴブリンの家、雷、土、水、火のスライム、そして最後に私達三人の邸宅。


 一定区間で店を置くための空間や、予備の空間も配置しておく。


 その間に道を敷いて……。


 コピーアンドペーストで手前から並べていくと、大きな街ができた。


「完成だ! 見てみてくれ!」


 達成感マシマシだ。


 軽く汗をかいた私は振り返り、マグティアとライムを見る。


 きょとん……!


 私の顔を見た二人が、頬を染めてそんな顔をしていた。


「どうした?」

「……あ、いや! そんな顔もできるんだね〜!!」

「ベリア様、かわいい!!」

「かわいいか?」


 思わず眉をひそめて、照れてしまうが。


 ライムが悪魔の羽を生やして、空を飛ぶ。


「わー! 綺麗! 圧巻だね!」


 ゴブリンの街は、緑の屋根。

 火のスライムは赤、水のスライムは青、土のスライムはチョコ色、雷のスライムは黄色の屋根の家だ。


 碁盤の目みたいに、綺麗に整頓された街並み。


「ん? ライム、羽を生やせるのか?」

「うん! ぼく達は変化できるからね!」


「食事だが、お前たちは草でいいんだったか?」

「うん、そうなんだけど〜……」

「だけど?」

「料理!! 食べてみたい〜!!」

「えっ!!」


 ライムがキラキラと目を輝かせている。ぐっ……眩しい……。


「ボクもベリアの手料理食べてみたい!」

「はぁ? イヤだ!!」


(だって、私は料理が下手なのだ!)


 ガーン……!


「なんでお前に作ってやらんといけないんだ!」

「え〜!!」

「そうだよ〜!! ベリア様はスライムのリーダーなんだから! そんな簡単に手料理なんか振舞っちゃダメ!!」

「でも、ボク魔神マグティアだよ〜?? お偉いさんだよ〜??」

「えっ、魔神マグティア!? 魔神マグティアって実在したの!?」


 ────────え、そこから?


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