第1話 スライムを仲間にしよう!
本日から、毎日22:00投稿します!
新作です。
公募の関係で、7/19 23:00に第1章が完結します!
描きたい未来をひとつ、指先で描いた。
森に清潔を、火山に川を、海に火を。
私の守るべき存在達に、幸福を。
私はただ、その為に生きているのだから。
その未来は、まだ誰も知らない。
ꕤ.。
「ん……ここは……」
穏やかな光に包まれ、私は目を覚ました。
「やぁやぁ! 起きたかい、ベリア!」
よく焼けた肌に、真っ白の髪。人間とは思えない高身長に、立ち上がった白い角。なんだコイツは?
「ベリア? 誰だそれは?」
「ん? キミの名前!ボクが名付けた!」
「なぜ? 私には坂本みくりとい名前があるというのに」
「あぁ、うん。みくりは、終わり!」
「終わり?なぜ?」
「なぜって、人間の君はもういないから。ベリア、君は今日から、魔神だ!」
指さされる。
「ベリアには固有スキルをあげよう! はい、創像!」
その瞬間──────────私の体は魔神のものに変貌した。
足元から身体が引き伸ばされるような感覚。
視界が高くなる。
気づけば私は二メートルほどの身長になっていた。
髪は深紅になり、長く、靡く。
白い角が生えて、ぐるりと巻く。そして、牙と、赤い翼が生えた。
「これは……」
変わった自分の姿に、目を瞬く。
「わー! 可愛いねぇ! 思った通り! キミにはこの格好が似合うと思ったんだ〜」
「近づくな!」
「厳しーい笑笑」
男がスリスリ頬擦りしてくるので、必死に引き剥がす。
「そもそも、お前は誰だ!!」
「ボクは、魔神マグティア。この魔界マグティアを作った魔神さ!」
「な、なるほど?」
「創像とはなんだ?」
「試すのが早いね! ここにリンゴをイメージをしてごらん!」
「リンゴ……」
「そして、願い、唱える! リンゴよ現れろ!」
試してみよう。
「……リンゴよ現れろ!」
ぽん! と現れたのは、ペンキでベタ塗りしたみたいな、りんご型の物体。
マグティアがそれを魔法で綺麗に半分に割ると、中まで真っ赤だった。さわると、ふわりと指が沈む。到底リンゴではない。
「うーん、下手だね!笑」
マグティアはカラカラ笑う。
「はぁ……。まぁたしかに、これはリンゴとは呼べないな」
「その通り! キミにはまだ想像力が足りない。だけど、この力を使って、魔界の民の幸福を目指してほしいんだ! もちろん、魔界では好きに動いていい。キミは魔神だからね! 楽しいこともいくらでもできるよ」
「……なるほど」
本当に、夢の中みたいな話。
「楽しそうだな。引き受けても構わないぞ」
「ホント! ベリアってば分かってるぅ!! 各国と仲良くなって! そして、キミの国を作って、皆を幸せにするんだ!」
「皆を、幸せに……」
私の力で、皆を幸せにする?
「面白い。やってみよう」
「そうこなくっちゃ!」
「お前も手伝え、マグティア」
「え、ボクも!? (めんどくさー……)」
「分かりやすく面倒くさそうな顔をするな。要は、国家建設、外交だな? 国家建設の為に必要なのは、……国民でいいだろうか?」
「うんうん! そうだよね! まずは仲間だ!」
「私でも配下に置けそうな森の者と言えば、何がいる?」
「スライムかな! 最弱も最弱! でも、キミの工夫で可能性は無限大だよ!」
「何はともあれ、まずはスライムだな」
私は立ち上がった。
「行こう、マグティア」
「ボクも?」
「私一人では心もとない。スキルも使いこなせてないのだから」
「そっか〜」
いつになるかは分からないが、出来るだけ早く自立したい。このよく分からんマグティアとかいう男に頼りっきりなのは癪だ。
そうして、私の国家建設に向けた冒険が始まった。
〜
「森はこっち! すぐそこだよ」
「見えてるね」
森に入ろうとする。花畑の端っこにいるのだ。
ぽよ、ぽよ、ぽよ
「ん?これはスライム?」
「あぁ、スライムだね!」
私はスライムの前に膝をつく。
「こんにちは」
「コンニチハ! ぼく、スライムだよ!」
「あぁ、存じ上げている。私は坂本みくり……いや、ベリアだ。良かったら、私の仲間になってくれないか?」
「ナカマ! ナカマ! いいよ! ぼく、ナカマいっぱいいる!!」
「そうか。紹介してくれるか?」
「ウン!! みんなー!!」
スライムが、ピー!! と叫んだ。
「ナンダナンダ」
「ヨンダ?」
森から、ぞろぞろ、ぽよぽよ、とスライムが出てくる。
皆透明なゼリー色。
「この人、ベリアさん! ナカマになりたいって!」
「オー!! イイヨー!!」
続々と私にハイタッチしていく。
ぽよたっち! ぽよたっち!
なんだ、かわいいな。
「おぉ、壮観だねぇ! 笑笑」
「ホントだな」
「1000匹丁度だね!」
花畑の方に集まってもらったので、全体が見渡せる。壮観だ。
「なぁ、スライム。私は君たちのリーダーになりたい。いいか?」
「エ? ンー、ぼくたち、ナカマだから、みんなたいとうだよ」
「む、そうか……」
スライム達は難しい顔? なのか? 梅干しのように表面にシワを寄せている。
マグティアが私に耳打ちしてくる。
「ベリア! ぜひここで、レアスキルを贈呈をしよう!」
「レアスキルを贈呈?」
「うん! そうしたら、キミをリーダーだと認めてくれるかもしれない!」
「なるほど……スキルか。なぁ、スライム達。君達にレアスキルをあげると言ったら、私をリーダーだと認めてくれるか?」
「レアスキル!?」
「レアスキルだって……!」
「エ、いいの!? ぼくたちが!?」
「そんなに大事なのか?」
「ウン、だって、スライムがレアスキルって、とってもめずらしいんだよ!!」
「そうなのか」
「数でいうと、一億匹に一匹いるかいないかくらいだねぇ〜」
「ほう。じゃあ、私が君たちのリーダーとして、レアスキルを贈呈するよ。……で、マグティア。レアスキルってなんだ?」
「種族固有じゃないスキルが、レアスキル!」
「簡単だな。あげるとして、何をあげるか……」
国を作るなら、建設か? まぁ、なんでもいいか。火、水、土、雷にしよう。
こいつら頭は良くなさそうだが、国づくりとかできるんだろうか。
「マグティア、スライム達の頭はよくできるか?」
「スライムの知能を作り替えばいいんじゃない?」
「なるほど」
イメージすればなんだって出来るわけだ。
私は、頭の中に紙をイメージし、固定した。
これがあれば、細かいところまでイメージできるはずだ。
「ねぇねぇ、ぼくたちのレアスキルは?」
スライムがつついてくる。
「あぁ。まず、君達には番号を振り分ける。名前だと思ってもらっていい」
「なまえ?」
「あぁ。お前はスライムのまとめ役、ライムと名付ける!」
「らいむ! ぼく、らいむ! やったぁ!」
ライムはぴょこぴょこ飛び跳ねる。かわいい。よしよし。
「他の子達はここに四列に並んでくれ!」
「ハァイ!」
そうして、四列出来上がった。
「君は2!」
「ハイ」
「3!」
「ハーイ」
「4!」
……
「1000!」
「はい!」
「よし、付け終えたな!」
「いや〜、非効率だね〜、ベリアって! 日が暮れるかと思ったよ〜」
「なにを……」
マグティアが肩を組んできた。
「ボクだったら、こうする」
パチン、と指が鳴る。
ぶわり、と風が吹いた。
瞬間、並んでいたスライム達の体の左下に、各々白色の数字が現れた。
それは、先程私が振り分けた数字と同じ。
スライム達がぴょんぴょこ跳ねて喜ぶ。
「いちいち言ってかなくても、イメージでどうにかなるよ!」
「す、すごい……」
私はその時初めて、マグティアをカッコイイと思った。
「とにかく、イメージで全てを動かすこと。そうしたら、全部楽できるよ〜」
「わかった!」
スライム達がぴょこぴょこ跳ねて移動してしまったので、私はこの子達を整列させるイメージをした。
ライムを正面に、他は四列に。2~250、251~500……と。
「整列!!」
ぴし!!
「ワッ!!」
びっくりしたスライム達が、綺麗に並ぶ。
「わらびもちみたいで美味しそうだな」
「ぴぎゃー!! たべないで!!」
「食べるわけないだろう!」
ぷるぷると震えている。
「いいか、お前達! 整列と言ったらこのように並んでくれ!」
「ハーイ!」
「では、レアスキル授与を始める!」
「ヤッター!」
「一列目の君達は、火のスライムだ!」
私はスライム達が火を自由に扱えるのをイメージした。
「レアスキルよ、宿れ!」
すると、スライム達は赤色に染まった。
「どうだ、使えるか?」
近くにいた一匹に話しかける。
「む〜っ、ぽん!」
ぶわ!!
大きな火が舞い上がった。
「おぉぉぉー!!!!」
スライム達は激しく興奮し、かわいい雄叫びを上げる。
「わくわく、わくわく!」
「ボクタチは!?」
「二列目の君達は、水のスライム! レアスキルよ、宿れ!」
「わーっ!!」
青色に染まったスライム達が、水を操る。
同じように、土のレアスキルを得たスライムはチョコ色に、雷のレアスキルを得たスライムは黄色になった。
「それから、君達に頭脳と知識を与えよう。……私と同じくらい? 普通の人間らしい頭脳と私と同じ知識なら、私の想像の範疇だから……」
スライム達が人と同じように話し、考える。それを想像して、新たに力を与えた。
「頭、良くなれー!!」
「わ、わわ!?」
「なになに!?」
「ぼく達……」
「頭良くなってる〜!」
わーい!!
スライム達はもちもち飛び跳ねて、喜びを表した。
「知らない知識がいっぱい頭に入ってきた〜!!」
「それは私の持つ知識だ」
「ベリア様の!? すごーい!」
「それから、人型になってもらう。いいか?」
「いいよー!」
「いくぞ。人型になれ!!」
にょきにょき!
スライムが変形していく。
「わー!ぼく達、人型だ!」
髪色は各々のレアスキルの色で、肌は日本人と同じ色。右の手の甲に各々番号が振られている。
だが……
「皆同じ顔だ!」
「ホントだー!」
皆同じ顔になってしまった……。私のイメージではこれが限界だ。これ以上は時間がかかりすぎる。
「仕方ない、順次顔をデザインしていくか……?」
「仕方ないなぁ〜、ボクが少し手を加えてあげよう!」
マグティアがそう言って、パチンと指を鳴らす。
すると、各々髪型や顔、肌色が変わっていく。
「皆の希望も叶えたよ。可愛いのがいいとか、性別はどっちがいいとか、かっこいいのがいいとか、ね!」
「どうやって!?」
「思念を読み取るだけだよ」
「唱えるのは?」
「ボクは省いてる! キミも慣れれば無詠唱でできるようになるよ〜」
「なるほど……」
「ベリア様!!」
「ライムか……ん?」
ライムはなんと、ライム色の髪に、濃い緑の目をしていた。
「性別は……どっちだ?」
どちらともつかない、中性的な顔をしている。可愛らしい顔立ちだが。
「男の子!!」
「そうかそうか」
「うん! 強そう?」
「いや、あんまり」
「むー! 強いもん!」
「ははは」
「ライム、君はどんな能力が欲しい?」
「え、ぼく、ぼくはぁ……毒を操れる能力が欲しい!」
法悦とした表情。
ライムのその危険な表情は、少し怖かったが。
「いいな。じゃあ、いくぞ。レアスキルよ、宿れ!」
ライムは手から粘液を出して、花に垂らす。
花は茶色く萎れて、溶けていく。
「凄い!毒だ〜!!」
「よし」
「これで君達は正式に私の配下だ! よろしくな、スライム達!」
「いぇーい!!!」
やっと初めての仲間が出来た。嬉しいな、ここまで順調だ!
私達は国作りに向けて動いていくのだった。
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なう(2026/07/05 22:32:02)
編集してる時に、テンポをよくするために結構削除したのですが、その際にマグティアの自己紹介も消してしまっていたみたいです。追加しました。




