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魔神ベリアの魔界幸福化計画(第1章完結)  作者: 砂之寒天
第1章 魔界編

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1/21

第1話 スライムを仲間にしよう!

本日から、毎日22:00投稿します!


新作です。


公募の関係で、7/19 23:00に第1章が完結します!

 描きたい未来をひとつ、指先で描いた。


 森に清潔を、火山に川を、海に火を。


 私の守るべき存在達に、幸福を。


 私はただ、その為に生きているのだから。


 その未来は、まだ誰も知らない。


ꕤ.。


「ん……ここは……」


 穏やかな光に包まれ、私は目を覚ました。


「やぁやぁ! 起きたかい、ベリア!」


 よく焼けた肌に、真っ白の髪。人間とは思えない高身長に、立ち上がった白い角。なんだコイツは?


「ベリア? 誰だそれは?」

「ん? キミの名前!ボクが名付けた!」

「なぜ? 私には坂本みくりとい名前があるというのに」

「あぁ、うん。みくりは、終わり!」

「終わり?なぜ?」


「なぜって、人間の君はもういないから。ベリア、君は今日から、魔神だ!」


 指さされる。


「ベリアには固有スキルをあげよう! はい、創像(イメージクリエイト)!」


 その瞬間──────────私の体は魔神のものに変貌した。


 足元から身体が引き伸ばされるような感覚。

 視界が高くなる。

 気づけば私は二メートルほどの身長になっていた。


 髪は深紅になり、長く、靡く。

 白い角が生えて、ぐるりと巻く。そして、牙と、赤い翼が生えた。


「これは……」


 変わった自分の姿に、目を瞬く。


「わー! 可愛いねぇ! 思った通り! キミにはこの格好が似合うと思ったんだ〜」

「近づくな!」

「厳しーい笑笑」


 男がスリスリ頬擦りしてくるので、必死に引き剥がす。


「そもそも、お前は誰だ!!」

「ボクは、魔神マグティア。この魔界マグティアを作った魔神さ!」

「な、なるほど?」


創像(イメージクリエイト)とはなんだ?」

「試すのが早いね! ここにリンゴをイメージをしてごらん!」

「リンゴ……」

「そして、願い、唱える! リンゴよ現れろ!」


 試してみよう。


「……リンゴよ現れろ!」


 ぽん! と現れたのは、ペンキでベタ塗りしたみたいな、りんご型の物体。


 マグティアがそれを魔法で綺麗に半分に割ると、中まで真っ赤だった。さわると、ふわりと指が沈む。到底リンゴではない。


「うーん、下手だね!笑」


 マグティアはカラカラ笑う。


「はぁ……。まぁたしかに、これはリンゴとは呼べないな」

「その通り! キミにはまだ想像力が足りない。だけど、この力を使って、魔界の民の幸福を目指してほしいんだ! もちろん、魔界では好きに動いていい。キミは魔神だからね! 楽しいこともいくらでもできるよ」

「……なるほど」


 本当に、夢の中みたいな話。


「楽しそうだな。引き受けても構わないぞ」

「ホント! ベリアってば分かってるぅ!! 各国と仲良くなって! そして、キミの国を作って、皆を幸せにするんだ!」

「皆を、幸せに……」


 私の力で、皆を幸せにする?


「面白い。やってみよう」

「そうこなくっちゃ!」

「お前も手伝え、マグティア」

「え、ボクも!? (めんどくさー……)」

「分かりやすく面倒くさそうな顔をするな。要は、国家建設、外交だな? 国家建設の為に必要なのは、……国民でいいだろうか?」

「うんうん! そうだよね! まずは仲間だ!」


「私でも配下に置けそうな森の者と言えば、何がいる?」

「スライムかな! 最弱も最弱! でも、キミの工夫で可能性は無限大だよ!」

「何はともあれ、まずはスライムだな」


 私は立ち上がった。


「行こう、マグティア」

「ボクも?」

「私一人では心もとない。スキルも使いこなせてないのだから」

「そっか〜」


 いつになるかは分からないが、出来るだけ早く自立したい。このよく分からんマグティアとかいう男に頼りっきりなのは癪だ。


 そうして、私の国家建設に向けた冒険が始まった。



「森はこっち! すぐそこだよ」

「見えてるね」


 森に入ろうとする。花畑の端っこにいるのだ。


 ぽよ、ぽよ、ぽよ


「ん?これはスライム?」

「あぁ、スライムだね!」


 私はスライムの前に膝をつく。


「こんにちは」

「コンニチハ! ぼく、スライムだよ!」

「あぁ、存じ上げている。私は坂本みくり……いや、ベリアだ。良かったら、私の仲間になってくれないか?」

「ナカマ! ナカマ! いいよ! ぼく、ナカマいっぱいいる!!」

「そうか。紹介してくれるか?」

「ウン!! みんなー!!」


 スライムが、ピー!! と叫んだ。


「ナンダナンダ」

「ヨンダ?」


 森から、ぞろぞろ、ぽよぽよ、とスライムが出てくる。

 皆透明なゼリー色。


「この人、ベリアさん! ナカマになりたいって!」

「オー!! イイヨー!!」


 続々と私にハイタッチしていく。


 ぽよたっち! ぽよたっち!


 なんだ、かわいいな。


「おぉ、壮観だねぇ! 笑笑」

「ホントだな」

「1000匹丁度だね!」


 花畑の方に集まってもらったので、全体が見渡せる。壮観だ。


「なぁ、スライム。私は君たちのリーダーになりたい。いいか?」

「エ? ンー、ぼくたち、ナカマだから、みんなたいとうだよ」

「む、そうか……」


 スライム達は難しい顔? なのか? 梅干しのように表面にシワを寄せている。


 マグティアが私に耳打ちしてくる。

 

「ベリア! ぜひここで、レアスキルを贈呈をしよう!」

「レアスキルを贈呈?」

「うん! そうしたら、キミをリーダーだと認めてくれるかもしれない!」


「なるほど……スキルか。なぁ、スライム達。君達にレアスキルをあげると言ったら、私をリーダーだと認めてくれるか?」

「レアスキル!?」

「レアスキルだって……!」

「エ、いいの!? ぼくたちが!?」

「そんなに大事なのか?」

「ウン、だって、スライムがレアスキルって、とってもめずらしいんだよ!!」

「そうなのか」

「数でいうと、一億匹に一匹いるかいないかくらいだねぇ〜」

「ほう。じゃあ、私が君たちのリーダーとして、レアスキルを贈呈するよ。……で、マグティア。レアスキルってなんだ?」

「種族固有じゃないスキルが、レアスキル!」

「簡単だな。あげるとして、何をあげるか……」


 国を作るなら、建設か? まぁ、なんでもいいか。火、水、土、雷にしよう。


 こいつら頭は良くなさそうだが、国づくりとかできるんだろうか。


「マグティア、スライム達の頭はよくできるか?」

「スライムの知能を作り替えばいいんじゃない?」

「なるほど」


 イメージすればなんだって出来るわけだ。


 私は、頭の中に紙をイメージし、固定した。

 これがあれば、細かいところまでイメージできるはずだ。


「ねぇねぇ、ぼくたちのレアスキルは?」


 スライムがつついてくる。


「あぁ。まず、君達には番号を振り分ける。名前だと思ってもらっていい」

「なまえ?」

「あぁ。お前はスライムのまとめ役、ライムと名付ける!」

「らいむ! ぼく、らいむ! やったぁ!」


 ライムはぴょこぴょこ飛び跳ねる。かわいい。よしよし。


「他の子達はここに四列に並んでくれ!」

「ハァイ!」


 そうして、四列出来上がった。


「君は2!」

「ハイ」

「3!」

「ハーイ」

「4!」


……


「1000!」

「はい!」

「よし、付け終えたな!」

「いや〜、非効率だね〜、ベリアって! 日が暮れるかと思ったよ〜」

「なにを……」


 マグティアが肩を組んできた。


「ボクだったら、こうする」


 パチン、と指が鳴る。

 ぶわり、と風が吹いた。


 瞬間、並んでいたスライム達の体の左下に、各々白色の数字が現れた。

 それは、先程私が振り分けた数字と同じ。


 スライム達がぴょんぴょこ跳ねて喜ぶ。


「いちいち言ってかなくても、イメージでどうにかなるよ!」

「す、すごい……」


 私はその時初めて、マグティアをカッコイイと思った。


「とにかく、イメージで全てを動かすこと。そうしたら、全部楽できるよ〜」

「わかった!」


 スライム達がぴょこぴょこ跳ねて移動してしまったので、私はこの子達を整列させるイメージをした。


 ライムを正面に、他は四列に。2~250、251~500……と。


「整列!!」


 ぴし!!


「ワッ!!」


 びっくりしたスライム達が、綺麗に並ぶ。


「わらびもちみたいで美味しそうだな」

「ぴぎゃー!! たべないで!!」

「食べるわけないだろう!」


 ぷるぷると震えている。


「いいか、お前達! 整列と言ったらこのように並んでくれ!」

「ハーイ!」

「では、レアスキル授与を始める!」

「ヤッター!」


「一列目の君達は、火のスライムだ!」


 私はスライム達が火を自由に扱えるのをイメージした。


「レアスキルよ、宿れ!」


 すると、スライム達は赤色に染まった。


「どうだ、使えるか?」


 近くにいた一匹に話しかける。


「む〜っ、ぽん!」


 ぶわ!!


 大きな火が舞い上がった。


「おぉぉぉー!!!!」


 スライム達は激しく興奮し、かわいい雄叫びを上げる。


「わくわく、わくわく!」

「ボクタチは!?」


「二列目の君達は、水のスライム! レアスキルよ、宿れ!」

「わーっ!!」


 青色に染まったスライム達が、水を操る。


 同じように、土のレアスキルを得たスライムはチョコ色に、雷のレアスキルを得たスライムは黄色になった。


「それから、君達に頭脳と知識を与えよう。……私と同じくらい? 普通の人間らしい頭脳と私と同じ知識なら、私の想像の範疇だから……」


 スライム達が人と同じように話し、考える。それを想像して、新たに力を与えた。


「頭、良くなれー!!」


「わ、わわ!?」

「なになに!?」

「ぼく達……」


「頭良くなってる〜!」


 わーい!!


 スライム達はもちもち飛び跳ねて、喜びを表した。


「知らない知識がいっぱい頭に入ってきた〜!!」

「それは私の持つ知識だ」

「ベリア様の!? すごーい!」


「それから、人型になってもらう。いいか?」

「いいよー!」

「いくぞ。人型になれ!!」


 にょきにょき!


 スライムが変形していく。


「わー!ぼく達、人型だ!」


 髪色は各々のレアスキルの色で、肌は日本人と同じ色。右の手の甲に各々番号が振られている。


 だが……


「皆同じ顔だ!」

「ホントだー!」


 皆同じ顔になってしまった……。私のイメージではこれが限界だ。これ以上は時間がかかりすぎる。


「仕方ない、順次顔をデザインしていくか……?」

「仕方ないなぁ〜、ボクが少し手を加えてあげよう!」


 マグティアがそう言って、パチンと指を鳴らす。


 すると、各々髪型や顔、肌色が変わっていく。


「皆の()()も叶えたよ。可愛いのがいいとか、性別はどっちがいいとか、かっこいいのがいいとか、ね!」

「どうやって!?」

「思念を読み取るだけだよ」

「唱えるのは?」

「ボクは省いてる! キミも慣れれば無詠唱でできるようになるよ〜」

「なるほど……」


「ベリア様!!」

「ライムか……ん?」


 ライムはなんと、ライム色の髪に、濃い緑の目をしていた。


「性別は……どっちだ?」


 どちらともつかない、中性的な顔をしている。可愛らしい顔立ちだが。


「男の子!!」

「そうかそうか」

「うん! 強そう?」

「いや、あんまり」

「むー! 強いもん!」

「ははは」


「ライム、君はどんな能力が欲しい?」

「え、ぼく、ぼくはぁ……毒を操れる能力が欲しい!」


 法悦とした表情。


 ライムのその危険な表情は、少し怖かったが。


「いいな。じゃあ、いくぞ。レアスキルよ、宿れ!」


 ライムは手から粘液を出して、花に垂らす。


 花は茶色く萎れて、溶けていく。


「凄い!毒だ〜!!」

「よし」


「これで君達は正式に私の配下だ! よろしくな、スライム達!」

「いぇーい!!!」


 やっと初めての仲間が出来た。嬉しいな、ここまで順調だ!


 私達は国作りに向けて動いていくのだった。

〜ブックマーク、いいね、評価、コメントのほど宜しくお願いします〜


なう(2026/07/05 22:32:02)

編集してる時に、テンポをよくするために結構削除したのですが、その際にマグティアの自己紹介も消してしまっていたみたいです。追加しました。

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― 新着の感想 ―
Xの企画から来ました。 テンポの良さと明るい空気感が心地よくて、するする読めました!ベリアの淡々とした対応と、軽薄なマグティアの掛け合いが面白いです(笑)。1000匹に手作業で番号を振ってから「非効率…
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