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魔神ベリアの魔界幸福化計画(第1章完結)  作者: 砂之寒天
第1章 魔界編

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第17話 魔界大戦争 作戦会議

「あ゙ぁ゙!? ベリアが魔王になろうとしてるだと!?」

「はい、ヴァルディス様」

「これは放っておけないわよね……♡ ザドキエルもそう思うでしょう?」

「はい、私の意思はヴァルディス様のご意思です」


 ヴァルヘイム国、王城。


 そこには、場に似つかわしくない天使がいた。


 元死族(ネクロス)No.2、ザドキエル。


 彼は何故か、悪魔陣営にいた。


「決めた!! 俺様はベリアールに宣戦布告する!!」


 ヴァルディスは大きな声でそう宣言する。


「ふふふ……♡ 賛成♡」


 リリスは、クスクスと妖しく笑う。


強欲族(アヴァリス)の仇……私達が討つわよ、マモン)


 元々、リリスは気に入らなかったのだ。悪魔が見下される風潮に。


 ベリアは悪魔となれば容赦なく殲滅する。リザードマンの時は生き残らせたのに。

 死も磔も、悪魔にはどこか冷たい。


 ──彼らは、悪魔を見下している。リリスにはそう思えてならなかった。


 ゆえに、新たな魔王誕生により、悪魔界を立て直す。


 それが、リリスの目的だった。


 そして、ザドキエルに何があったのか。


 それは、リリスのレアスキルに要因がある。


(私のレアスキル、愛の下僕(ラブ・ペット)は、相手を操り人形にしてしまう……。ザドキエルも、すっかり操られているわ♡)


 つまり、ザドキエルの死は偽造工作だったのだ。


「全面戦争だ!! ザドキエル、準備しろ!!」

「かしこまりました」


 ベリアールに、魔の手が伸びる─────。


〜〜〜


「そうよぉ、そのまま……そのまま……。ここまで堕ちてきなさい♡」

「リリス、様……」


 ガクリ。


「ふふ、また一人……下僕(ペット)を手に入れたわぁ♡」


 リリスは、愛の下僕(ラブ・ペット)により配下を増やしていた。


「おい! そこで何をしている!!」

「キャッ、バレちゃった♡」


 リリスは羽ばたき、闇夜へと消えていく。


「おい、大丈夫か!?」

「……離せ! オレは悪魔界に行くんだ!!」

「!?! 何を言っている!!」

「どけっ!!」

「!?」


「報告です! 上位天使タウエル様が、リリスによる洗脳で悪魔界へと向かいました!!」

「……やはり、リリス殿でしたか」


 磔は死に国際電話をかける。


「やはり、リリス殿による仕業でした」

「やはりか。こちらも、ザドキエルの件は偽造工作だと判明した。おそらく、リリスにより操られている」

「左様ですか……」


 重苦しい空気が漂う。


「リリス、そしてヴァルディス。許すわけにはいかない。───────戦争だ」


〜〜〜


「リンダ。戦争の準備はできているか?」

「はい、順調に進んでおります。日頃の訓練の成果もあり、準備はすぐに完了すると思われます」

「よろしい」


 だが、問題は戦力の差だ。


「ベリアールの国民は3000人、全員が戦える。リザードマンを合わせて500人。強欲族(アヴァリス)は改革に忙しくて戦争には出せそうにない。そして、傲慢族(スペルビア)の軍は、他の悪魔種族も加えて最低でも4万。最悪そこに色欲族(サキュバス)の軍が加わるから、私達では圧倒的に戦力不足だ」

「そうですね……」


 リンダも不安そうな顔をする。


「さて、どうするか」


 仲間ならいるが、どこに頼むか……。


「その話、聞き捨てならんな!!」

「!! この声は!!」


 振り向く。


「ギオン!!」

「ガーッハッハ!! 魂の友(ブラザー)、水臭いではないか! その戦争、我々鬼山も助太刀いたそう!!」

「!! 本当か」


 これは、心強い味方だ。


「我も手を貸すぞ」

「!! マニャータ!!」

「娘の危機とあれば、駆けつけるのが父の役目だからな」


「私も参加します!」

「ウァルナ嬢!?」

「生き返らせていただいた御恩、忘れてないわ!」


「私も参加する」

「死さん!!」

「調査により、今回の犯人は色欲族(サキュバス)傲慢族(スペルビア)であることが判明した。そして────────」


「──────No.2、ザドキエルが生きているかもしれん。見過ごす訳にはいかない」

「!!!」


「ワタクシも、手を貸して差し上げても構いませんよ」

「磔殿!!」

「新たな魔王の誕生は、我々にとっても脅威……。皆で力を合わせられるのであれば、合わせるべきですからな」


「みんな……」


 ベリアは言葉を失った。


 いつの間にか。


 私は、一人ではなくなっていた。


 (……本当に、心強い味方だ)


 だが……


「……なぜここにいる?」


 ズコーーッ


「もう! これを伝えるために来たのよぅ!!」

「そうだ」

「まさか、オヌシらも来るとは思わなかったがな!! ガハハ!」

「まったく……」

「娘が愛されていて嬉しいわ」


「そうか、そうだったのか……! ありがとう、皆!!」

「ふん」

「いいのよ〜」

「構いません」

「いいぞ」


 目を合わせ合い、頷く。


「そうと決まれば、早速作戦会議だ!! 行くぞ、皆!!」

「「おう!!!」」

「「はい!!!」」



「まず、戦力を確認したい。死さんから、王座評議会(ラウンドテーブル)のいつもの順で頼む」

「私の方で動かせる軍は、死族(ネクロス)1万人だ。固有スキルは、死宣告(デッドリミット)。20分以内に10回の攻撃を当てれば、相手を絶命させられる。もしくは、武器や装備を壊せる」


 すっご。つまり、武器で防いでも、避けなければ武器もなくなるわけだ。

 しかも、それが1万人。脅威的だ。


(怖いわ〜!)

(うむ、敵に回したら終わりだな!)

(恐ろしい……)


「次、磔」

「はい。ワタクシの磔族(スタウロス)で動かせる軍は、8000人。固有スキルは、窒息領域(サフォケーション)。3分間、対象の呼吸を奪うことができます」


 3分。絶妙だな。ギリ死なないくらいか。

 だが、戦闘ではかなり強い。なぜなら、戦闘中は呼吸が増えるから。それを奪えるとなると、かなり恐ろしいスキルだ。


「次、ギオン殿」

「感謝する! ワレら鬼族の戦力は、鬼が2万! 固有スキルは、鬼纏(おにまとい)。付与できる属性は個人差があるが、刀に属性を付与できるぞ!」

「おぉ、カッコイイなそれは!」

魂の友(ブラザー)! そうであろう!」


 めっちゃ鬼っぽい!! カッコイイ!


「……ボクも刀使ってみようかな?」


 マグティアが素振りしている。

 私がカッコイイって言ったから反応したんだな。


 というか……


「マグティア。いつからいた?」

「え?『そうと決まれば、作戦会議だ!』から」

「始めからじゃないか」


 マグティアって気配消せたんだ、と思った。


「次、リリス……はいないな、ウァルナ殿!」

「はぁい!」


「私の人魚族は、恐らく陸に兵は出せないわ。皆、陸での戦闘になれてないから」


 そうだろうな。歩くのにも練習がいるだろうし。


「だから、ご飯係をやるわ! 海の幸を、無料で皆様に提供します!」

「おぉ、それはありがたいな!」


 皆で同じご飯を食べれば、種族間の仲も深まるだろう。


「調理はどうする? 陸の火での調理は慣れてないだろう」

「私の方の兵を削って良ければ、料理部が300人いる」


 元々スライム200人だったのが、ゴブリンが加わって300人程になっている。


「ワレからも、1000人ほど料理係を提供しよう!! 鬼族の母は料理が上手いのだ!」

「それは助かるな」


 それだけいれば足りるだろう。


「次、マニャータ様!」

「感謝する。我ら蛇族の軍は、4000人。固有スキルは、毒牙(どくが)。武器、爪、歯に毒を付与できる。効果は個人差がある」

「毒にも種類があるのか?」

然り(しかり)。我は100種類扱える。一般兵は10種類ほどだが」

「凄いな」


 流石だな。マニャータは、王たるべくして、王である。


「最後、ベリア」

「ありがとう」


「私の方の軍は、料理部300人を除いた2700人、国民全員。そしてリザードマン500人だ」

「国民全員!?」

「国の守りは固めなくて……いいのだな。異空間だから」

「そうだ」


 こういう時、異空間に国を作って良かったなとつくづく思う。


「以上、4万5200人がこちらの戦力だな。向こうの戦力は?」

「私の方から話そう」

「死さん。頼もう」


「向こうは悪魔全種族だ。 傲慢族(スペルビア) 、1万。暴食族(グラトニア)、1万。嫉妬族(インヴィディア)、1万。 憤怒族(イーラ)、1万。色欲族(サキュバス)、2000。計4万2000だ」

怠惰族(アケディア)は今回も不参加ですな」

「アイツらは基本、全く動かないからな」


「なるほど。人数的にはこちらが勝っているのか。良かった、ひとまず安心だな」

「そうかしら!? 相手は悪魔全員よ!?」

「……そ、そうか。すまない」


 また変なことを言ってしまったらしい。


「では、どの国がどこを担当するかだが─────────」


 そうして、作戦が決まっていくのだった。


 そしてこれは、後に────────魔界大戦争と呼ばれることになるのだった。



「料理部、総国民軍、準備完了しました」

「ありがとう、リンダ。よし、これで迎え撃てるな」


 悪魔軍の動きを見るに、本日、悪魔軍がこちらに着く。


 そうしたら、開戦だ。


 最後に、総国民軍に発破をかける。


「本日の戦いは、我々ベリアールの存続をかけた戦いだ!! そして、今日勝てば私は魔王となる!! 勝敗はお前達にかかっている。全力で戦え!!」

「「はっ!!!」」


「ベリアールのために!!」

「新魔王様のために!!!」


「「ベリア様のために!!」」


「よし」


 士気は上々。


 ライムは料理部といる。


「ベリア様、頑張ってね!」

「あぁ。必ず勝つ」


 マグティアは……


「刀って奥が深いね!」


 刀で遊んでいる。呑気なことで。まぁ、マグティアだから仕方ない。


 こんな大戦は、初めてだ。


 だが、緊張というより───────


(ワクワクするな……!)


 武者震いをする。


「悪魔軍、こちらに来ます!!」

「よろしい!!」


 地平線が、真っ黒に染まっている。悪魔達の足音が、地響きとなる。


「開戦だ!!!!」

「オォーーーーー!!!」

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