第17話 魔界大戦争 作戦会議
「あ゙ぁ゙!? ベリアが魔王になろうとしてるだと!?」
「はい、ヴァルディス様」
「これは放っておけないわよね……♡ ザドキエルもそう思うでしょう?」
「はい、私の意思はヴァルディス様のご意思です」
ヴァルヘイム国、王城。
そこには、場に似つかわしくない天使がいた。
元死族No.2、ザドキエル。
彼は何故か、悪魔陣営にいた。
「決めた!! 俺様はベリアールに宣戦布告する!!」
ヴァルディスは大きな声でそう宣言する。
「ふふふ……♡ 賛成♡」
リリスは、クスクスと妖しく笑う。
(強欲族の仇……私達が討つわよ、マモン)
元々、リリスは気に入らなかったのだ。悪魔が見下される風潮に。
ベリアは悪魔となれば容赦なく殲滅する。リザードマンの時は生き残らせたのに。
死も磔も、悪魔にはどこか冷たい。
──彼らは、悪魔を見下している。リリスにはそう思えてならなかった。
ゆえに、新たな魔王誕生により、悪魔界を立て直す。
それが、リリスの目的だった。
そして、ザドキエルに何があったのか。
それは、リリスのレアスキルに要因がある。
(私のレアスキル、愛の下僕は、相手を操り人形にしてしまう……。ザドキエルも、すっかり操られているわ♡)
つまり、ザドキエルの死は偽造工作だったのだ。
「全面戦争だ!! ザドキエル、準備しろ!!」
「かしこまりました」
ベリアールに、魔の手が伸びる─────。
〜〜〜
「そうよぉ、そのまま……そのまま……。ここまで堕ちてきなさい♡」
「リリス、様……」
ガクリ。
「ふふ、また一人……下僕を手に入れたわぁ♡」
リリスは、愛の下僕により配下を増やしていた。
「おい! そこで何をしている!!」
「キャッ、バレちゃった♡」
リリスは羽ばたき、闇夜へと消えていく。
「おい、大丈夫か!?」
「……離せ! オレは悪魔界に行くんだ!!」
「!?! 何を言っている!!」
「どけっ!!」
「!?」
「報告です! 上位天使タウエル様が、リリスによる洗脳で悪魔界へと向かいました!!」
「……やはり、リリス殿でしたか」
磔は死に国際電話をかける。
「やはり、リリス殿による仕業でした」
「やはりか。こちらも、ザドキエルの件は偽造工作だと判明した。おそらく、リリスにより操られている」
「左様ですか……」
重苦しい空気が漂う。
「リリス、そしてヴァルディス。許すわけにはいかない。───────戦争だ」
〜〜〜
「リンダ。戦争の準備はできているか?」
「はい、順調に進んでおります。日頃の訓練の成果もあり、準備はすぐに完了すると思われます」
「よろしい」
だが、問題は戦力の差だ。
「ベリアールの国民は3000人、全員が戦える。リザードマンを合わせて500人。強欲族は改革に忙しくて戦争には出せそうにない。そして、傲慢族の軍は、他の悪魔種族も加えて最低でも4万。最悪そこに色欲族の軍が加わるから、私達では圧倒的に戦力不足だ」
「そうですね……」
リンダも不安そうな顔をする。
「さて、どうするか」
仲間ならいるが、どこに頼むか……。
「その話、聞き捨てならんな!!」
「!! この声は!!」
振り向く。
「ギオン!!」
「ガーッハッハ!! 魂の友、水臭いではないか! その戦争、我々鬼山も助太刀いたそう!!」
「!! 本当か」
これは、心強い味方だ。
「我も手を貸すぞ」
「!! マニャータ!!」
「娘の危機とあれば、駆けつけるのが父の役目だからな」
「私も参加します!」
「ウァルナ嬢!?」
「生き返らせていただいた御恩、忘れてないわ!」
「私も参加する」
「死さん!!」
「調査により、今回の犯人は色欲族と傲慢族であることが判明した。そして────────」
「──────No.2、ザドキエルが生きているかもしれん。見過ごす訳にはいかない」
「!!!」
「ワタクシも、手を貸して差し上げても構いませんよ」
「磔殿!!」
「新たな魔王の誕生は、我々にとっても脅威……。皆で力を合わせられるのであれば、合わせるべきですからな」
「みんな……」
ベリアは言葉を失った。
いつの間にか。
私は、一人ではなくなっていた。
(……本当に、心強い味方だ)
だが……
「……なぜここにいる?」
ズコーーッ
「もう! これを伝えるために来たのよぅ!!」
「そうだ」
「まさか、オヌシらも来るとは思わなかったがな!! ガハハ!」
「まったく……」
「娘が愛されていて嬉しいわ」
「そうか、そうだったのか……! ありがとう、皆!!」
「ふん」
「いいのよ〜」
「構いません」
「いいぞ」
目を合わせ合い、頷く。
「そうと決まれば、早速作戦会議だ!! 行くぞ、皆!!」
「「おう!!!」」
「「はい!!!」」
〜
「まず、戦力を確認したい。死さんから、王座評議会のいつもの順で頼む」
「私の方で動かせる軍は、死族1万人だ。固有スキルは、死宣告。20分以内に10回の攻撃を当てれば、相手を絶命させられる。もしくは、武器や装備を壊せる」
すっご。つまり、武器で防いでも、避けなければ武器もなくなるわけだ。
しかも、それが1万人。脅威的だ。
(怖いわ〜!)
(うむ、敵に回したら終わりだな!)
(恐ろしい……)
「次、磔」
「はい。ワタクシの磔族で動かせる軍は、8000人。固有スキルは、窒息領域。3分間、対象の呼吸を奪うことができます」
3分。絶妙だな。ギリ死なないくらいか。
だが、戦闘ではかなり強い。なぜなら、戦闘中は呼吸が増えるから。それを奪えるとなると、かなり恐ろしいスキルだ。
「次、ギオン殿」
「感謝する! ワレら鬼族の戦力は、鬼が2万! 固有スキルは、鬼纏。付与できる属性は個人差があるが、刀に属性を付与できるぞ!」
「おぉ、カッコイイなそれは!」
「魂の友! そうであろう!」
めっちゃ鬼っぽい!! カッコイイ!
「……ボクも刀使ってみようかな?」
マグティアが素振りしている。
私がカッコイイって言ったから反応したんだな。
というか……
「マグティア。いつからいた?」
「え?『そうと決まれば、作戦会議だ!』から」
「始めからじゃないか」
マグティアって気配消せたんだ、と思った。
「次、リリス……はいないな、ウァルナ殿!」
「はぁい!」
「私の人魚族は、恐らく陸に兵は出せないわ。皆、陸での戦闘になれてないから」
そうだろうな。歩くのにも練習がいるだろうし。
「だから、ご飯係をやるわ! 海の幸を、無料で皆様に提供します!」
「おぉ、それはありがたいな!」
皆で同じご飯を食べれば、種族間の仲も深まるだろう。
「調理はどうする? 陸の火での調理は慣れてないだろう」
「私の方の兵を削って良ければ、料理部が300人いる」
元々スライム200人だったのが、ゴブリンが加わって300人程になっている。
「ワレからも、1000人ほど料理係を提供しよう!! 鬼族の母は料理が上手いのだ!」
「それは助かるな」
それだけいれば足りるだろう。
「次、マニャータ様!」
「感謝する。我ら蛇族の軍は、4000人。固有スキルは、毒牙。武器、爪、歯に毒を付与できる。効果は個人差がある」
「毒にも種類があるのか?」
「然り。我は100種類扱える。一般兵は10種類ほどだが」
「凄いな」
流石だな。マニャータは、王たるべくして、王である。
「最後、ベリア」
「ありがとう」
「私の方の軍は、料理部300人を除いた2700人、国民全員。そしてリザードマン500人だ」
「国民全員!?」
「国の守りは固めなくて……いいのだな。異空間だから」
「そうだ」
こういう時、異空間に国を作って良かったなとつくづく思う。
「以上、4万5200人がこちらの戦力だな。向こうの戦力は?」
「私の方から話そう」
「死さん。頼もう」
「向こうは悪魔全種族だ。 傲慢族 、1万。暴食族、1万。嫉妬族、1万。 憤怒族、1万。色欲族、2000。計4万2000だ」
「怠惰族は今回も不参加ですな」
「アイツらは基本、全く動かないからな」
「なるほど。人数的にはこちらが勝っているのか。良かった、ひとまず安心だな」
「そうかしら!? 相手は悪魔全員よ!?」
「……そ、そうか。すまない」
また変なことを言ってしまったらしい。
「では、どの国がどこを担当するかだが─────────」
そうして、作戦が決まっていくのだった。
そしてこれは、後に────────魔界大戦争と呼ばれることになるのだった。
〜
「料理部、総国民軍、準備完了しました」
「ありがとう、リンダ。よし、これで迎え撃てるな」
悪魔軍の動きを見るに、本日、悪魔軍がこちらに着く。
そうしたら、開戦だ。
最後に、総国民軍に発破をかける。
「本日の戦いは、我々ベリアールの存続をかけた戦いだ!! そして、今日勝てば私は魔王となる!! 勝敗はお前達にかかっている。全力で戦え!!」
「「はっ!!!」」
「ベリアールのために!!」
「新魔王様のために!!!」
「「ベリア様のために!!」」
「よし」
士気は上々。
ライムは料理部といる。
「ベリア様、頑張ってね!」
「あぁ。必ず勝つ」
マグティアは……
「刀って奥が深いね!」
刀で遊んでいる。呑気なことで。まぁ、マグティアだから仕方ない。
こんな大戦は、初めてだ。
だが、緊張というより───────
(ワクワクするな……!)
武者震いをする。
「悪魔軍、こちらに来ます!!」
「よろしい!!」
地平線が、真っ黒に染まっている。悪魔達の足音が、地響きとなる。
「開戦だ!!!!」
「オォーーーーー!!!」
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