34.嘆きの森影2[認めたくないものだな。私自身の……可愛さゆえに敵を呼び寄せる罪深さというものを]
最初の『称号』表示は、サクが”絶望にした”ことをトリガーに発動、そこから連鎖していった感じ
[※称号【歪ミニ囚ワレシ者】が解除]
[※称号【新タナ歯車】が解除]
[※称号【断絶ノ弱者】が発動]
⇒絶望に対し著しく弱くなる
[※称号【空虚ニ沈ム者】が発動]
⇒不安、絶望に対し強くなる
[※称号【天性ノ前進者】が発動]
⇒孤独、絶望に対し著しく強くなる
「(落下)――レン待ってっ!! 行かないでぇぇーーーー……!!――ハァ゛ッ、ハァ゛ッ!――あ゛ぁ゛ぁぁーーッどうしようぉっ! どうしよっどうしよッどうしよぉッどうシヨォォッ――――――ぁッ」
――それが“起きた”のは、私が空中へ投げ出され、レンの姿が完全に見えなくなった直後。
孤独、恐慌、絶望――胸の中で“勝手に暴れ回っていた感情”が急に――『すぅーー』っと引いていった。
荒れ狂っていた呼吸が静まり、涙と不安で滲む視界がゆっくりと晴れていく。
[【明鏡止水】を任意発動]
「ッ――――すぅぅーーーーッ……――――『摩多羅もーん』!!『開けぇーーっ』!!!」
――――(障子)スパァーーーンっ!
心が晴れた一瞬――ビビり散らかしていた“クッソダサっ泣き虫”を『明鏡止水』で蹴り飛ばし、思考をクリアに切り替える。
逆さまに落っこちながら冷静になった頭で周囲を確認――そして即座に、傍の“『黒い大木』を対象”に『技能』を発動した。
「(扉を潜る)――うぉ!……『阿修羅門っ』――(バタンッ)ィづっ!」
――『摩多羅門』で”大木の裏側”へ繋がる『門』を顕現。上向きに開いた『出口』から上空に吐き出される。
一瞬の浮遊感――その間にすぐさま『阿修羅門』を展開し、受け身も取れないまま全身を打ち付けた。
「――――ハァっ、ハァっ、ハァっ、ハァっ、ンっ、はぁぁ――すぅーー、ふぅーーーー……すぅーー、ふぅーーーー――」
暴れる心臓を深呼吸で鎮めながら、私は仰向けに空を見上げた……が。重なり合った枝葉のせいで、空は鬱蒼とした黒に塗り潰されていた。……超ガッカリ。
(ふぅ…………静かだな)
横になって聞こえるのは、自分の呼吸音と騒がしい動悸のリズムだけ。
そうすると――私に考える余裕が生まれてしまった……。
「(じぃー)――――――んぃ゛~~ッ……ン゛ン゛ッ゛ッ゛ッ゛〜〜〜~~///!!!??(――バタバタバタバタッ!!!)」
這いよるこの感覚は――羞恥っ……! 圧倒的羞恥っ……!
「――ン゛ン゛ン゛ン゛~゛~゛~゛~゛~゛~゛~゛~゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛//////!!!!?」(――zきfhgいfじぇ!l4gくぁwせdrftgyふじこlp!?goふぇぼっk――ッ!!!)
両手で顔を覆い、そのまま足をバタつかせる私。……その姿はまるで、恋に悩める乙女のよう!(思考放棄)
(――顔がっ! 頭がっ耳が熱いぃーーッ!?)
(――――火照るゥッ!? 全身がムズ痒いぃ~~っ!?)
(そんでっ――――――恥ずいんじゃァァァァァ~~~~ッ!!!)
――残っている“クソダサ泣き虫の記憶”が、冷静になった私を――遅れて羞恥死にやってきた!
「――ン゛ン゛ン゛~゛~゛~゛~゛~゛~゛――ッ゛///!!!」(――バタバタバタバタバタッッ!!!)」
(――誰だ“あいつ”はっ!? 誰なんダッ、あの泣き虫な『ヘタレ女』はッ!!?)
(――気まずいだろっ!? 次レンと顔合わすの、ちょ〜〜気まず過ぎるだろぉぉッ!!?)
(――あいつの中で完璧な姉貴分だった(?)私が、あんな縋ってぇ!? 泣いてぇぇ……!!?――――っ)
「――ん゛な゛ゃ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛~~~~~~っ//////!!!!」(――バダッバダッバダッバダッ!!!)
――思いだすたび、羞恥が“痒み”となって全身を駆けずり回るっ。
背中がムズいっ!
頭が火照るっ!!
視界がぐるぐるしてくるぅ~~!
(これが……『虫唾が走る』ってやつなのか!? キツぅーーー!!!)
私は寝転んだ木の扉を『底抜けるんじゃ?』ってな勢いでバタつかせ――しばらく悶絶し続けた。
「――ン゛~゛~゛~゛~゛~゛~゛~゛~゛~゛~゛ッ゛ッ゛ッ゛//////!!!!!――――」
====================
[リンッ――【苦シテ楽ナシ】が発動]
[リンッ――〈赤面耐性〉を得ました]
[リンッ――〈火照耐性〉を得ました]
[リンッ――〈悶絶耐性〉を得ました]
[リンッ――〈体熱耐性〉を得ました]
[リンッ――〈体痒耐性〉を得ました]
[リンッ――〈追憶耐性〉を得ました]
[リンッ――〈羞死耐性〉を得ました]
――――――――――――――――――
[【自己暗示】を任意発動]
⇒『黒歴史は忘れてなんぼ』
「(疲弊)――ふぅーー……なんかドッっと疲れたな……あと眠い」
羞恥心を全部吐き出した私は……すっかり虚無っていた。
――“あの悲しい事件”については、いったん『暗示』で記憶の奥の奥の奥(~~~~)へと監禁……押し仕込めておいた。……出ないとレンが”理不尽な目”に遭うだろうしなっ。私のことだからたぶん……。
「(腕を枕にゆったり)――さて、記憶は葬った。次に何をどうするか。……あんな騒いでレンが来ないってことは、落ちた場所が遠いんだろうな……ぅわぁ゛ぁ゛~~……(あくび)」
私は寝転がったまま次の行動指針を考える。
あらかた周囲を見渡したが、辺りはデカい木ばかりが密集して見通しが悪い。
十数メートル下にはぐちょぐちょしてそうな地面が敷かれ、その上ゾンビみたいな連中が何人も徘徊して見えた。……降りる気がしねェー。
(ん~~もういっそのこと、大声出してレン呼ぶか? 待ってても会える気しないしな……森だと特に)
――っと、そんな野蛮極まりない案を考えていた時だった。
眺めていた真上――暗い枝葉の隙間で、”見覚えのある『光』”がチラついた。
(――? あれって確か――――――ッ!!!)
[【明鏡止水】を任意発動]
――瞬間、私は反射的に体を横へ転がしていた。
[リンッ――詳細判明、【戦技】〈針穿ち〉を開示します]
――――ッドッバァンッッ!!!
転がり落ちた直後、ついさっきまで私が居た扉をすごい勢いで“ナニか"が貫通していく。
「(落下)ぅっ――『阿修羅門っ』――(両足で着地)ッ!!――――『阿修羅門っ』『阿修羅門っ』『阿修羅門っ』――!!」(これっ、両手塞がるしダルいなァ!!)
[【不撓ノ肉体】を任意発動]
[【不屈ノ精神】を任意発動]
[【感知】を任意発動]
[【隠密】を任意発動]
[リンッ――【暗月ヲ背負ウ影】が発動]
⇒〈暗視夜行〉を任意発動
⇒〈暗隠夜行〉を任意発動
⇒〈暗闘〉を任意発動
[【喧嘩上等】を任意発動]
⇒全能力上昇補正。[反動緩和]付与
⇒更に、全能力激化補正。[奮起]付与
[リンッ――【疵付イタ孤高ノ狼】が発動]
襲撃を回避して直ぐ、私は足場となる扉を連続で“乗り継ぎ“ながら移動する。
その合間に付けられる『技能』を片っ端から発動。気配を頼りに”動き回る襲撃者”を『視た』。
――――ポロンッ
[【名前】大殻針蚊
【種族】昆虫(深淵)、異形(巨大化、甲殻、角針)
【レベル】62
【属性】刺突・熱感・出血・感染・吸血
――――
――
【戦技】
・〈針穿ち〉:急降下から一直線に超高速の突進を行う。出血+感染
・〈???〉]
「――ぅけ゛エ゛ェ゛ッッ!!――キっモッッ!!!(溢れ出る嫌悪感)」
デカい!
黒光り!
変な口!
羽音ォ!
無理ぃッ!!
――そこに飛んでいたのは、率直に言って『バカデカい蚊』だった。
大きさは一.五メートルぐらい。見た目は……なんか全体をゴキb――カブト虫みたいな甲殻で覆っている。
蚊特有のストロー口は、パーティー用のクラッカーやとんがり帽子のように硬く尖り、腹部――赤黒い血の詰まった袋には、パイナップルみたいなギザがたくさん付いて刺々しい。……昆虫もファッションする世界なんだな~~HaHaHaッ!!(思考放棄2nd.)
――――ッフ゛ゥ゛~゛〜゛〜゛~゛ン゛――――ッッ!!!
私がその終わってるビジュに鳥肌を立たせていると、動き回っていた『デ蚊虫』が顔をこちらに向けて旋回――次の瞬間には、とんがり口から“大きな血玉”を放ってきた。
[リンッ――詳細判明、【戦技】〈血の砲弾〉を開示します]
[〈血の砲弾〉:ため込んだ血液を大きな塊として撃ち出す。感染+寄生]
「――ばっちぃヤツだなっ」
私は“開示された内容”から『血液』という単語だけを読み取り――砲弾に向けて(カッコいいから)片手を掲げた。
――――(“四散”)ッ、ッ、ッ、ッ!!!
放たれた『血液』を“赫血”で掌握。空中で四つに分割する。
「――――『摩多羅門』『開け』」
更に、その内の二つを螺旋状に形成すると――“扉経由”でデ蚊虫の背後へ撃ち出す。
――――(ギュリュンッ)――ッブ、ブヂュッ!!
狙ったのは両翅の付け根。
甲殻が完全に覆っていない接合部を“扉越し覗き”、正確に撃ち抜く。
翅をネジで固定されたデ蚊虫はその長い脚を蠢かせながら落ちていった。……最後までキモい奴だったな……。
「ふぅーー。さて――――っ、ダルいッ!!」
[【明鏡止水】を任意発動]
敵を倒して一段落……とは、どうやらまだいかないらしい。
『暗隠夜行』の上空に“不規則に動く二つの気配”を感じた私は、今いる足場から急いで飛び降りる。
――飛んだ直後、気配の一体が急降下するのが分かった――ソレへ瞬時に反応した“天才”、もとい私は、降下地点に“カウンター用の盾”――即席で考えた『門』を配置する。
「っ――(セット!)――『ラシル○ッ!!』」
――その『門』は、他者が見れば異様に映る”形状”をしていた。
空間に展開された鋼鉄製の門は、今までのような両開き式ではない。
四つの三角鋼を四角錐状に閉じ、“中央から十字に開く”よう設計した重厚な外観。
閉じた繋ぎ目が鋭利な先端を成し、それはまるで――――鉄板で作った『パックンチョ』みたいな“尖るデザイン”をしていた!!
(――ふんッ、私の想像力を体に刻めェ、虫ぃーー!!!)
――――ッギュンッ!!!――――ッッカ゛ァ゛(ッブジャァッッ!!)~゛~゛~゛~゛ン゛ッ゛……!!!
『戦技』で突っ込んできたのは、さっきと同種のデ蚊虫。
避けることなく『角錐門』へ衝突したソイツは――その自慢(?)の甲殻ごと派手に押し潰れた。
(ふむ……“刻む体”が木っ端みじんに……まぁいいか!――回収、回収っと!(異能発動))
――鴨が背負ってきたネギが如く……。
私は蚊がぶちまけた『血』から寄生虫などを取り除き、手際よく“バングル”へ回収していった。
そして、残るもう一体に意識を向けながら木々の間を乗り継ぎ移動する。
(あのデ蚊虫は私と相性がいいし、不意打ちされなきゃザコ――「――んな゛ッ!!?」
――刹那。
私が大木の真横を通り過ぎようとした瞬間、木陰の奥から眼前に―― “剛腕の爪”が伸びてきたっ。
[【明鏡止水】を任意発――――「『開けェッッ』!!!」
無意識に『技能』を発動。
それとほぼ同時に、私は反射で『解錠ワード』を叫んでいた。
足元の扉が瞬時に開き、襲う“爪”が流れる髪束を容易く切り裂く。
そして――
[【阿修羅門】が発動]
⇒『日輪』『月輪』が召喚されます
⇒状態異常[軽業]を検出
⇒状態異常[指示(輪俱)]を検出
⇒状態異常――[冷静]を検出
――意識が[冷静]に切り替わる。
「――――(ジッ)――『摩多羅門』『開』――――っ――(ッシャン――)ッッ!!!」
[リンッ――【喧嘩上等】が解除]
[【刀心桜花】を任意発動]
『――(異形の落ちる頭部)――???……――――』
――それは、一瞬の『狩り』だった。
落ちる[冷静]は“木陰の襲撃者”を視認した瞬間――既に『門』で背後を取っていた。
背中へ蹴り圧して乗り、晒された“毛むくじゃらの首筋”に『抜刀』――即席で創った”血の刀”を振り抜く。……ふっ、簡単に首を落とすことができた(ドヤ)。
そして顕現した扉に飛び乗ると、木肌へ爪を食い込ませた襲撃者――『死肉の亜人』の体だけが力なく落ちる。
[【名前】爛れた亜人(死体)
【種族】亜人(深淵)・亡者
【レベル】88
【属性】深淵・物理・噛ミ・忍猟・嗅覚・出血・感染
――――
――
【人間性(特性)】1/10
【戦技】
・〈???〉]
「――今の……不意打ちしてくるまで“気配がなかった”。『戦技』や『装備』でもないし……もしかして『種族特性』ってこと? だとしたら、っ――――へぇーー(感嘆)」
[冷静]が静かに思考を巡らせていると、“幻術が解けたみたいに”――地上を除く『暗隠夜行』の範囲内に、“無数の気配が現れだした”。
(――囲まれてた)「……バレたから、“隠れる必要”がないってこと? ハッ――――正直キツっ(キッパリ)」
環境と状況。
持ち札と敵の戦力。
そして――自身のヤル気。
[冷静]はそれら全てを淡々と分析し――素直に弱音を吐いた。……“『冷静』だから解ることがある”、これ一番言われてるからっ。
「ふッ――じゃあ私は逃げるんで皆さん追ってこないで――おい待てっ。一斉に来るな『亜畜生』ォーーっ」
空気が読めない亜人どもが[冷静]のお願いを無視して動き出す。
一番近くにいた個体が、高所から太い枝を踏み蹴り突っ込んできた。
(はぁ~~、わかった。切り替えます。……確か、[悟リ]私はこうしてたっけ――――)
「(目を閉じる)スゥーーー……――(極限集中)――――――――」
――世界から、“余分”が消える感覚。
色、雑音、緊張、恐怖、迷い……全部が遠ざかり、必要な情報だけが澄み切って浮かび上がる。……うん、いい感じだと思う。ふふっ。
「――――フゥーーーーーー……(ジッ――)」
獣みたいな脚力で枝を蹴り、迫る亜人が剛腕を引き絞る。
それに対し、“突きの体勢”で待ち構える[冷――――(二速――(ダンッ!))
[【刀心桜花】が発動]
⇒〈紫電一閃〉が発動
――――ッシ゛ュ゛リ゛ン゛ッ!
「(淡々と……)――――ぁ、ごめん。遅いから“先に殺っちゃった”」
“待ちきれず”――『緩急操作』で足場を蹴り跳び、大きく開けた口内へ刀を差し込んでしまっていた。……反省。反省。
『――――ウ゛ォ゛ォ゛ォ゛オ゛ォォォオ!!!!』
「(わずかに眉を寄せる)――うるさっ。あれ、仲間意識とかあったの? 死んでるのに?」
[冷静]が二体目を刺した貫いた瞬間、その他大勢の気配が、こう……『怒りました!』って感じに変化した。……『亜畜生』のことだから気のせいかもだけど。……あと、“一体目”の時にキレてあげなよ? 可哀想じゃん首ちょんぱっ。
『――――――ッッッ!!!!』
『――――――ッッッ!!!!』
『――――――ッッッ!!!!』
「――ん――――(落ち着いた眼差し)」
空中で死体に張り付く[冷静]へ、今度は三体の亜人が飛び掛かってきた。
正面に大盾持ち。
左右は大長の剣持ち……うん、悪くない。けど――“無理だから”。
「――『日輪』、点火回転で左――」
淡々と――
「――『月輪』は欠けて右担当。その後は殲滅して――」
――処理する。
今まで待機させていた“二つの円盤”――『冷静』と一緒に召喚された『日輪』と『月輪』へ指示を飛ばす。
浮遊する“赤い円盤”からは“[冷静]に応じた焔”――『白焔』が噴き上がり、八枚刃が高速回転。
“白い円盤”はその体積を狭め、削り、鋭利に変化させ――。
――――ッッギュルルルッルルッルッルルル――――――ッチ゛ャ゛リ゛ン゛ッ゛!!!
――――ッヒュン――――シュリンっ!
――左右二体の亜人を、剣ごと呆気なく切り裂いた。……やるね。
「(血を回収しながら)――ッヨっしょ!」(――三速っ――ッ!)
指示を出してすぐ、[冷静]は落下し始める死体の肩へ片足を乗せ、貫通した刃先――から“変化させた血の柄”を握り――“抜刀”。
――――ッシ゛ュ゛リ゛ィ゛ーーーーッ!!
“頭蓋骨を擦って”解き放たれた刀身が、条件に従って――“加速”する。
[【刀心桜花】が発動]
⇒〈居合絶刀〉を任意発動
⇒〈紫電一閃〉が発動
⇒〈月華美刃〉を任意発動(抜刀蓄積数:7→0)
――――ッサ゛ァ゛ッ゛――ッジャギィィ――――ッ!!!
「ん――っ」(あ……っと、ズルっ)
『斬撃補正』によって亜人を“大盾ごと両断”。
泣き別れた上半身が空中でズレ落ちる。
――しかーしっ。
意外と賢かった亜畜生はなんとっ、“背中に一回り小さい『亜畜生2』を引っ付かせていたっ”。……コアラの亜人だったのかな?
両手に曲剣を持った『2』は、振り抜いた直後の[冷静]へ片方の刃を振り下ろしてくる。
(――二速)――――ッギィン!!
筋肉の急加減速を操作し、上段斬りを引き戻した血刀でそのまま受け止めた。……今のカッコいいかも。
『――――!!!』
うるさい咆哮に上げ、亜人の二撃目が横合いから迫る。
――――でも“遅いから”、試したかった事を実演することにした。
「(淀みのない手際)――ここを、こうして――――えぃっ」
――――ッドスゥ!――ッシュリン!!
『ッ――――!?……――――』
――首と体が別れた『亜畜生2』。
落ちていく死体を横目に、[冷静]は展開した足場へ軽く着地した。
「――うん。思い付きだったけど――やっぱり”弓”もいけるんだなぁ(笑)」
手に持ったソレ――血刀の背に”赤い弦”が張られた得物を眺め、[冷静]は満足げに頷いた。
――反れた刃先から鍔まで、”血紐”を張った即席の”弓”。同名である『バイオリンの棒』に似ている、といえば分かりやすい見た目の『刀弓』。
“鍔迫り合い”になったあの時。
[冷静]は”ゆっくりと迫る曲剣”を待つ間に、”思いついた武器“を試作していた。
黒煤製のネックウォーマーから”血の紐”を引き抜き、血刀の鍔から刃先へピンと張る。
そして――『ビュンッ』。
至近距離から放った“血の矢”が亜人の首を貫通する――で、終わりじゃない。
刺さった“血の矢”をそのまま傷口の内側へ潜らせ――操作。
“内部の血液まで使い”、薄く引き伸ばした刃――“円刃”が首を分かつように展開する――。
(――“頭を潰すか、斬るまで止まらない”……みたいなことをカラミディアが言ってたし、こっちの方が効率いいよ――ねッ(射かける))
――――ッビュン――(スルー)
「あれ――この距離じゃ当たらないか。練習……は、やらないだろうなー。サクは……(苦笑)」
――残りの亜人たちは、激しく動き回る“二つの円盤”と――背後や空中から襲い掛かる『デ蚊虫』に処理されていた。……後は任せてもいいだろ。
((移動しながら観察)――デ蚊虫と亜人が殺り合ってる……)
(『堕ちたヤツ』全員が味方同士、ってわけじゃないんだ)
[冷静]は大木の傍まで後退。
見通しのいい場所で戦況を静かに観察することにした。
それに、“赫血”も頻繁に使っていたから――というか今のメイン武器――少しでも休憩が取りたい―――
――――カ゛ッ゛ァ゛ァ゛ァ゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ー゛ー゛ー゛ーーーッッ!!!!!!
[リンッ――詳細判明、【戦技】〈獰猛な狩り〉を開示します]
「――――っぁ!!!(口を開けて耳を押える)」
[リンッ――【苦シテ楽ナシ】が発動]
――――
――
――――――(空間)ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛ッ゛~゛~゛~゛~゛~゛~~~~~……――――
――突如として轟いた“大咆哮”。
それは木々を。
空気を。
森そのもの震わせ、叩き抜けた。
音の振動だけで体が痺れる。
防ぎきれなかった轟音が、鼓膜の奥を無理やり掻き回す。
視界が微かに揺れ、平衡感覚がズレる。
「――スゥーー、フゥーーーー……」
[冷静]はゆっくりしゃがむと、目を閉じて深呼吸を繰り返す。
――“冷静に”。
――“淡々と”。
……一。
……二。
……三。
そして――いつもの[冷静]へと戻った。
(――今の咆哮は……あ~――間違いなく『アレ』だなぁ……まーた“大きい奴”)
『耐性』の力も借り、心身の調子をすぐに立て直す。
そして、素早く“騒音の主”を見つけようと立ち――ソイツはすぐに見つかった。
『―――――(唸り声)~゛~゛~゛~゛~゛~゛~゛ッ゛ッ゛ッ゛!!!』
――いつからそこに居たのか。
奥の離れた場所に三肢の爪を木肌に深く食い込ませ、“大きすぎる武器”を肩に担いだ“黒いデカブツ”がいた。
遠目からでも分かる巨躯は、UMAみたいに骨張っていて長い。
全身は壊れた黒鎧で覆われ、隙間から覗く体毛はほとんどが抜け落ちてボロボロだ。
なのに――『オレは王だっ!』とでも言いたげな『威圧感』だけは妙に感じ取れた。
――――ポロンッ
【名前】爛獣の戦王、リヴォス
【種族】亜人(深淵)・変異体・異形(巨骨化)・亡者
【レベル】137
【属性】深淵・物理・魔術・噛ミ・嗅覚・出血・感染
――――
――
【人間性(特性)】3/10
【魔術】
・〈???〉
【戦技】
・〈獰猛な狩り〉:咆哮と共に獣の構えをとる。脚力、移動速度が上昇し、壁蹴りを可能とする
・〈???〉]
(――亜畜生たちの『大将』ってとこか。……で、なんで[冷静]を見て唸ってるんだろう? 自分より、そこらのデ蚊虫のがいっぱい殺してはりますやん?)
咆哮を上げてからずっと、こちらに”強い敵意を飛ばしてくる大将”がいる件について。
(――ハっ、まさかっ……カワイイ[冷静]を見て“盛っているのか?” だから周りの亜人共も一斉にっ――――『ロリコン』だったらブちのめすゾッ(漏れ出るサク)――……)
「――フゥーーー。さて、ふざけるのはこれくらいにして――『摩多羅門』」
――どうせ狙われるなら――――“先手は貰う”。
「――『開
―――ッ(回避)!(――グヂャッ)……あちゃー」
――……初っ端やらかした。
――正直に言う。
――[冷静]こと『私』はすごく、油断してた。
――かーなーりぃー油断してましたね、はい。
――フラグ回収ですよこりゃ。
――『暗隠夜行』の上空から急降下したデ蚊虫に――“左腕を捥がれてしまいました"。……サク……!!! 腕が!!!(ドン!)
====================
[リンッ――【苦シテ楽ナシ】が発動]
[リンッ――〈絶叫耐性〉を得ました]
[リンッ――〈砲声耐性〉を得ました]
[リンッ――〈咆哮耐性〉を得ました]
[リンッ――〈獣哭耐性〉を得ました]
[リンッ――〈震撼耐性〉を得ました]
[リンッ――〈震響耐性〉を得ました]
[リンッ――〈轟音耐性〉を得ました]
[リンッ――〈轟震耐性〉を得ました]
[リンッ――【五門顕現Ⅱ】が【五門顕現Ⅲ】に上がりました]
⇒【婆娑羅門】が解放されました
⇒〈手印〉が解放されました
⇒以降『門』の効果で発現する二種以上の『感情』のみ混ざり合います
状態異常[(感情)]時の描写は、本来なら三人称視点で書く予定でした
ただ、書き進めているうちに楽しくなってしまい、気づけばそのまま一人称視点で最後まで書いていました( ˘•ω•˘ )
未来の赤べこ……わりい。おれ戦犯 (にいっ)
えりふぇいと・大図鑑
サク(プロフィール)・後書きから――
(――鉄板で作った『パックンチョ』みたいな“尖るデザイン”をしていた!!)
レン
「まさかっ――”あの時”の会話はこの時の布石だったのかッ!!?」
サク
「なはははっ――その通りだぁーーー!!!(ドヤぁ)」
赤べこ
「え――いや、たまたま思い……「あちょー!(裏拳っ)」――ぜぶらッ!?」
レン
「ん? いま赤べこなんか言った? サクの裏拳で聞き取れなかったわ(殴る事に疑問を抱かなくなった異常者)」
サク
「――(‘ ≖ω≖')じとぉーー……」
赤べこ
「――ハッ」(……笑止! ここで”ビビるテンプレ”にはしな――っ!?)
サク
「――ん? なんだなんだっ、面白いことでも考えてるのかぁ?(圧ッ)」(――お前、なにわろてんねん)
赤べこ
「…………なにも!!! な゛かった……!!!!!(血涙……ッ)」
サク
「ふんっ。勝った!」
レン
「――いや二人の反応で察したわ」
サク/赤べこ
「ハァ(´=ω=`)(´-ι_-`)ツマンネ」
レン
「――ん!? あれっ俺が"オチ担当"になってるッ!!?」
サク/赤べこ
『一体いつから――自分がオチ担当にならないと錯覚していた?』
レン
「――うっぜぇーーーーーー……!!!」




