0200・妖精の洞に帰還
服なども含め、全て綺麗にしたミクはアレッサをベッドに寝かせる。次に自分も服や下着などを全て脱ぎ、肉塊で綺麗にしつつ、分体の汚れを取る。といっても汚れの殆どは服であり、分体に汚れは殆ど付いていない。
さっさと終わらせたミクは下着と服を着ると、最後に【浄滅】を数回使って綺麗にしておく。全て終えるとベッドに寝転び、夕方まで瞑想の練習を始めた。
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夕方になりアレッサを起こしたミクは、酒場に行って大銅貨7枚を支払って注文する。酒に関してはミクが出したので、適度にミードを飲んで酔っ払うアレッサ。
大人が飲まずに子供が飲むという奇妙な構図だが、周囲は全員スルーしている。別に指摘しなければいけない訳ではないし、ツッコむ程の事でもないからだ。わざわざ突っ掛かるのは唯のバカである。
酒と食事を楽しんだ後は宿に戻り、入り口の従業員に朝早く出る事を伝えた。これで何も言っては来ないだろう、そう思いながら部屋へと戻る2人。
酔っているアレッサはベッドに寝転がり、ミクは再び【浄滅】を使ってからベッドに寝転がった。後は時間が来るまで瞑想の練習に励む。
……夜。宿の入り口の従業員が居なくなったタイミングで、ミクは起き上がり準備をする。アレッサとレティーにアイテムバッグを本体空間に移し、ムカデの姿になると屋根へと移動。
ピーバードの姿になると飛び立ち、一路ゴールダームへと飛んでいく。フィグレイオの王都よりは近いので、そこまで時間も掛からずに着く。現に前回は王都ブランから飛んだのだ。今回はそれより近い。
そう思いながら飛んでいると、遠くに大きな飛行物体が見えた。形状からおそらくドラゴンだろうと思われるが、ミクは興味が無いのでスルー。ゴールダームへと急ぐ。
<妖精の洞>の屋根に着地したミクは、素早く自分がとっている部屋に入り美女の姿に戻る。その後はベッドにアレッサを寝かせ、レティーとアイテムバッグを戻したら、自身もベッドに寝転がる。
後は瞑想の練習に励むのだった。
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朝。いつもと同じく日の出と共に起きたアレッサに挨拶し、ミクもベッドから起き上がる。一応ゴールダームに帰って来ている事を話すと、驚いた後に思い出したらしい。
「そういえば、そうだったわね、今はゴールダームに戻ってきてるんだった。それにしても戻ってきた感が無いのは仕方ないのかな、寝てたし」
「仕方ないんじゃない? そもそも本体空間だった訳だし、そこに居たんじゃ外は分からないでしょ。一応は帰ってきた事の挨拶をしておかないとね」
「そうだね。今日はどこにも行かずにゆっくり休む?」
「それでいいよ」
2人が雑談しながら食堂に行くと、何故か既にシャルが居た。2人は挨拶してから注文、大銅貨6枚を支払って席に座る。
「いやー、戻ってきてたんだね。昨日それなりに飲んでさ、すぐに寝たんだけど、そしたら朝に目覚めちゃって。結局、寝られなくなったから起きたのさ」
『お酒、美味しくない! あれは飲まなくていいもの!』
「まあ、酔う為に飲むものであり、それを美味しいと言ってるだけだからね。料理の美味しいとは違うさ。それはともかく2人ともおかえり。ジャンダルコの方はどうだったんだい?」
「面倒臭かったわ。とにかくエルフ、エルフ、エルフ。何処まで入り込まれてんのよ、って言いたくなるくらいエルフに入り込まれてたわ。王城の中にも12人居たし、貴族家を乗っ取って奪ってる連中も居た」
「ミクから聞いてたけど、貴族家の連中が乗っ取られるって相当の事だよ。おそらく裏の連中がやったんだろうけど、それにしたってメチャクチャだ。やってる事は完全に蛮族だよ。乗っ取る際に一族皆殺しにしてる筈だしね」
「森の蛮族って言ってたけど、本当にそれが正しいわよ。そういったやり口も流布されるだろうし、相当厳しい目に遭うんじゃないかと思うけど、それどころじゃないのがねー」
「王子3の王女4で揉めてるみたいだし、それどころじゃないだろうねえ。私達に喧嘩売ってきて牢に入った奴等はワザとだったんだけど、そいつらが本国では揉めてるって言ってたし」
「……どういう事だい?」
「私達を犯そうと兵士に金を握らせてた奴等が居たんだけど、そいつらはワザと牢に入って王族を暗殺するつもりだったみたい。兵士の中にも潜入している奴が居て、鍵を開けたみたいよ。最後には金を払って釈放っていう手筈だったんじゃない?」
「犯そうとしてたんだろ? とはいえ未遂で終わってたら罰金払って終わりかねえ。何も出来なくて失敗なら、間違いなく罰金で済まされるよ」
「元々そのつもりだったんだと思う。私が【陽炎の身体強化】で脅したけど、それが無くても悲鳴を上げさせるとかすれば、簡単に兵士が近付いてくるような所で犯行をしてるし」
「なら間違い無いね。とはいえ、王族の暗殺をする為に、ワザと捕まってからやるとは。内部に手引きする奴等が居るとはいえ、よくもそんな事を考えつくもんだ。非道で外道な連中だね」
「それが森の蛮族だと言えば、それで終わる話でしかないわ」
「そうね。流石にここ最近のエルフがやっている事は、蛮族呼ばわりされても仕方ない事よ」
イリュとカルティクが食堂に来たので大銅貨3枚を支払うミク。2人が注文した後、更に話を続ける5人。
「まずは辺境伯家かな? でもここでは何も無かったよ。精々が地方の話を王女に聞かせてただけ。後は怪しい連中の情報ぐらいかな。わたし達は聞いてないから知らない」
「聞いても仕方ないしね。その後は子爵領の村に立ち寄ったりしながら、砂漠の手前の町であるサデンに到着。そこで王族専用屋敷の連中から毒を盛られ、犯人探しの最中にエルフを発見」
「こいつがネックレス型の魔道具を持ってて、髪色とか肌の色をブラウンエルフの色に変えてた。そこからエルフが入り込んでるのが明るみに出て、以降はエルフに絡まれた?」
「砂漠で襲われたのは2回。1度目は砂賊だったけど、2回目は完全にエルフだったね。アレッサが粘られてたのは、焦ってたのと相手の盾が良かった結果だった」
「多分だけどエクスダート鋼だったんだと思う。それに焦ってたから【身体強化】とか色々忘れてた所為で、無駄に苦戦する羽目になったし、その所為でオルティマが毒にやられちゃったんだよね。ミクが助けてくれ良かったわよ」
「急激に唇が紫色になって、呼吸が浅く早くなってたからね。アレはマズいと思ったし面倒臭かったから【浄滅】を使って浄化しておいたよ。それが一番手っ取り早かったし、遅れれば遅れるほどマズいから」
「そうね。毒はなるべく早く治療しないと後遺症が残ったりするし、そうなると命が助かっても、まともに生きていけない可能性もあるわ。だからこそ早い治療が大事」
「無事に済んだし、その後は王都に滑り込んで王城に第三王女を届けたわ。わたし達も一緒についていったんだけど、王に謁見してエルフの事を報せようとしたら、第二王子の登場よ」
「そういえば、そんな話をミクから聞いたわね。第二王子がエルフの伯爵か何かに騙されてたんでしょ? 王子が他国に利用されるとか、色々アレ過ぎると思うけどね」
「それでも最後には頭を抱えてたから、現状認識は出来ていると思うよ。それすら出来ない、頭のおかしい王子ではなかったみたいだね。まあ、そんな王子なら病死か事故死してると思うけど」
「それはね。少なくともそこまでのポンコツならエルフだって使えないでしょうし、ある程度はまともな、それでいて騙しやすい奴を使うでしょう。あまりにもポンコツな奴って、そもそも使えなさ過ぎるのよ」
御輿にもならない者というのは、世の中に居たりするものである。大変に不思議な事ではあるのだが……。




