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0198・王都ブランのギルドマスター




 ミク達は探索者ギルドを出た後、宿をキャンセルする為に<砂の水瓶>へと来ている。入り口の近くに居る従業員に話してキャンセルしていると、何故か王女組がやってきた。


 何故か分からず首を傾げながらも話を聞くと、どうも用件があるのと【身体強化】を感じて慌てて来たらしい。前は王城内で気付かなかったそうだが、今日は平民街だったので気づいたそうだ。



 「いったい何があったのか分かりませんが、またミク殿がお怒りになるような事があったのですか?」


 「今回は国が関係している訳じゃないから気にしなくてもいいよ。今回ミクを怒らせたのは探索者ギルドだからね。まあ、私達がゴールダームに戻ったら、両ギルドで戦争になるんじゃないかな?」


 「ちょっとお待ちを! 何故そんな事に!?」


 「私達は今日、水ダンジョンの攻略を終えたんだよ。で、帰って来て探索者ギルドに行ったの、義務は無いけど義理はあるから一応ね。その結果、嘘吐き扱いされたの。まあ、そこはどうでもいいんだよ、別に信じる信じないは勝手だから」


 「ところが嘘吐き扱いだけじゃなく、私達をボコボコにでもしようと思ったのか囲んできたのよ。で、ミクが【身体強化】で威圧したわけ。それでさっさと出て行こうとしたんだけど、今度は上から筋肉ムキムキの奴が下りてきた」


 「筋肉ムキムキ………おそらくは、探索者ギルドのギルドマスターでしょう。私はあまりいい記憶の無い人物です。確かに筋肉量は多く体の大きい人物ですが、それに反比例するように心の小さい人物でして……」


 「騎士と探索者の一部が合同で訓練をする事もあるので、イヴィエルテ殿は会った事があるのですね。私は会った事が無いので存じませんが、そのような人物だったとは……」


 「それは分かりましたが、その筋肉ムキムキの割には心の狭いギルドマスターがどうかしましたか?」


 「ミクが威圧して騒がせたから、探索者証を取り上げるってさ。誰にもそんな権限は無いのにね。で、ミクが顔面に叩きつけたの、ランク11の自分達から取り上げたらどうなるのかなって」


 「「「ランク11!?」」」


 「あれ、知らなかったの? わたし達は両方ともランク11だよ。世界最高難易度のダンジョンである、ゴールダームのダンジョン。その第6エリアに行った内の2人だし。そもそも第5エリアを初めて突破したのはミクだしね」


 「えっと……まさか御一人で?」


 「そう。1人であっさりと突破。その後に私と一緒に突破しようってなったら、他の知り合いも一緒に行く事になって、<竜の牙>と<鮮烈の色>とカルティクとシャルも加えて攻略したの」


 「攻略者が増えてなければ、今でも私達だけだね。それはそうと宿はキャンセルしたから、話すなら食堂に行って話そう。ここじゃ、宿の邪魔になる」


 「あ、はい。そうですね……って、キャンセル!? 宿をキャンセルしたのですか? 何故!?」



 驚く第三王女を無視して、とりあえず宿の外に出る2人。邪魔になっていたと思い出し、すぐに2人の後をついて行く第三王女。少し歩いたところで話し始める。



 「何故も何も、そもそも護衛の仕事で来たのと、水ダンジョン攻略の為に来たんだよ? もしかして忘れてた? 既に水ダンジョンの攻略も終わったし、私達としては帰るだけだよ」


 「そうそう。そもそもわたし達のホームはゴールダームだし、<妖精の洞>に戻らないとね。<鮮血の女王>や<影刃>だって待ってるし、シャルも待ってるだろうから」


 「あ……」



 今さらながらにミクとアレッサが<鮮血の女王>や<影刃>と知り合いだと思い出した第三王女。流石に権力で無理矢理に引き止められる相手では無いと思い、仕方なく見送る事にしたのだが、そんな状況を壊すバカが現れた。



 「おい、いたぞ! あそこだ!! 知らない女どもと歩いてるが構わねえ、無理矢理にでも連れて行くぞ!!」



 そう言ってミク達の目の前に現れた男達。どう考えても探索者であるが、どうやら追い駆けてきたようである。どうしたものかと思い、ミク達が口を開こうとしたその時、横から第三王女が話しかけた。



 「貴方がたはミク殿達にいったい何の用ですか? 挙句、無理矢理にでも連れて行くなど、唯の犯罪者でしかありません。そんな事はお止めなさい」


 「何だと、てめぇ! 関係ねえヤツは引っ込んでろ!! 邪魔するなら覚悟し……」



 男が全て言う前に、イヴィエルテが男の喉に剣を突きつけていた。意外と言っては何だが、思っているよりも速く、優秀な人物だったらしい。活躍したところを見た事が無いので知らなかった2人。



 「第三王女殿下にその物の言い方、貴様こそ覚悟は出来ているのだろうな?」


 「だ、第三王女殿下……。な、なんで王族の方が、こんなところに……」


 「それは私がミク殿と知り合いだからですよ。それよりも、貴方がた探索者ギルドは御二人から無理矢理に探索者証を取り上げたそうですね? 事と次第によっては、軍を派遣した方が良いのでしょうか?」


 「い、いえ……そんな、事は……」


 「我が国はゴールダームからエクスダート鋼を輸入していましてね、その枠が減らされる事になりかねないのです。そんな芽は早く潰しておくに限るでしょう? そう思いませんか?」


 「「「「「「………」」」」」」


 「それ以前に、姫に対する口の利き方に謝罪の一つもありません。王族の方を侮辱したとして、首を落としておいた方が良いでしょう。勘違いされても困りますので」


 「申し訳ございませんでした!!」



 自分の首が合法的に切り落とされるとなれば、謝罪するのは当たり前であろう。それはともかく、その後は王女組もついていく事になり探索者ギルドへ。そもそもギルドマスターが悪いのだから、謝罪ならギルドマスターがするべきである。


 探索者ギルドの扉を開けると、開口一番ギルドマスターが早速バカな事を言い出した。



 「お前達やっと来たか、私を待たせおって! この探索者証は返してやる、私の温情に感謝するんだな!!」


 「何を言っているのですか、あの愚か者は? 勝手に取り上げようとしておいて、今度は温情? 探索者ギルドというものは愚か者でも運営できるのですね。初めて知りました」


 「何だと貴様! 今すぐにそのそっ首は……」


 「何と言った、貴様? 姫のそっ首を何と言った……? 答えろ」


 「………」



 喉元に剣を突きつけられ、そして<姫>と聞いてようやく理解したらしい。自分の首が今すぐ飛びかねない事を。そしてカウントダウンは迫る。



 「ほう、どうやら姫にあんな事を言っておいて謝罪の一つもないらしいな。ならば首を落とされても構わぬと見える」


 「申し訳ありませんでした!!!」



 再びの土下座だが、チンピラと同レベルとは……。呆れて溜息しか出ない第三王女。



 「そもそもミク殿とアレッサ殿は、ゴールダームで私が護衛として雇った方なのですよ。その御二人にいったい何をしているのです? そのうえ、御二人は世界最高難度と言われるゴールダームのダンジョンで、最前線の御二人なんですけどね?」


 「なっ!?」


 「何も知らず、気に入らないというだけで探索者証を奪おうとしたのですか? やっている事はエルフと同じ野蛮な事でしかありませんね。森の蛮族と同じとは……無様な」


 「………おのれ、汚い色つきがぶぇっ!?」



 ギルドマスターが立ち上がった瞬間、ミクがぶん殴って気絶させた。ブラウンエルフを色付きと言っている以上、こいつはエルフで確定である。


 探索者ギルドなので種族は関係ないのだが、それでもジャンダルコの探索者ギルドのギルドマスターがエルフとは……疑わしい事このうえなく、更には髪色や肌色を偽っていた。これは明らかに違法である。


 その方向で潰す事と介入を即座に決める第三王女。やはり王族としての素質は第二王子より上なのであった。


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