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0177・第二王子への【真偽判定】




 その後、<白の壁面>が持ち込まれ、アレッサのスキルが間違いない事が証明される。ついでにミクが何のスキルも持っていないこと、にも関わらずスキルを再現できる異常能力者である事も証明された。



 「アレッサという子供以上に、ミクはメチャクチャだ。余もそれなりには生きてきたが、スキルを自力で再現する者など聞いた事が無い。この事実には頭が痛くなってくるな」


 「まこと、左様にございますな。理不尽の権化と言われるのも分かります。しかもジャイアントワームを倒していたなど……」



 理不尽の権化たるジャイアントワームを、理不尽の権化であるミクが倒す。アレッサからすると、「巨大ミミズ如きが、最強の怪物に勝てる訳ないじゃん」というところであろう。知っていれば誰しもが思う事である。


 アレッサの【真偽判定】も認められ、【真偽判定】用の紙が用意されたが、アレッサはミクの持っている紙を使うと言って拒否する。



 「何ゆえ左様な事を? 【真偽判定】用の紙に変わりなどあるまい」


 「えっと、言葉使いとか知らない事は先に断っとくけど、普通の【真偽判定】用の紙と、ミクが持ってる【真偽判定】用の紙は全く違うの。ミクのはワイバーンの魔石を使ってるから、結果が詳細に出るのよ」


 「「「「「「「ワイバーン!?」」」」」」」


 「やっぱりワイバーンって驚かれるよねえ。それはともかく、ワイバーンの魔石で作った【真偽判定】用の紙は、結果が凄く詳細に出るの。まるで嘘は許さないと言わんばかりにね。だからミクの【真偽判定】用の紙を使わせてもらうわ」


 「何を言うか! その紙を使い、私に無実の罪を押し付ける気であろう!!」


 「……面倒臭いなぁ。だったら両方使えばいいじゃん。何故か真偽官が居るみたいだし、私はミクの紙、真偽官は普通の紙でやればいいでしょ。どのみちミクの紙は曖昧あいまいを許さないから問題ないよ」



 最終的には王が決め、2人の【真偽判定】を同時に受けさせる事になった。王を始め、宰相も周囲の貴族も興味津々だったからだが。



 「貴方は第二王子アルトムですね? イヴィエルテに剣を下賜しましたね? それはオートレオ伯爵の用意した物ですね? 下賜した方がいいと言われましたね?」


 「青、青、青、青。アルトムの言っている事は正しい訳だが、光り方が変だな? アレッサの方はなんだか弱いのがあった」


 「4つ目の質問の時ですな。アレッサ殿の方だけ、何やら光り方が弱かったのは分かりました。それに意味があるのかは知りませんが……」


 「光が弱いのは、正しいけれども遠い場合の反応だそうです。より正しい質問の仕方をすれば、強く光ると聞きました」


 「下賜するべきと言われましたね? 下賜しろと言われましたね? この剣はどうですかと言われましたね? おっと、これが正解かー。随分とニュアンスが違うね? 下賜を決めたのは自分じゃん」


 「グッ……」


 「ほう、何かを下賜して自らの名を示そうと思ったか? ……青が強く光ったから間違い無いな。つまり前後が逆か。下賜する事が先に決まり、その後にオートレオが呪いの剣を持ち出したと」


 「どうやら、そのようでございます。おそらくオートレオ伯爵は剣を持って来た時に、この剣を下賜した方がいいと言ったのでしょう。だから先ほどの質問に対し、弱くとも青く光ったのだと思われます」


 「うむ。……それにしてもワイバーンの魔石という物は凄いな、今までなら明らかにならなかった事が明らかになっておる。……ぬ? 紫に光ったぞ?」


 「紫色の光は是であり否である場合の光だそうで、あのように光る質問を利用しているのではないかと、ミク殿はそう申しておりました。先ほど、普通の【真偽判定】の紙は青く光っておりましたので……」


 「つまり曖昧あいまいを許さぬとはそういう事か。曖昧あいまいな質問の時には紫色の光を返し、曖昧あいまいである事を示す。今までの【真偽判定】用の紙ではそれが出来ぬから、あの紙を使うと言うたのだな」


 「貴方は実際に殺されたところを見たわけではありませんね? 貴方はオートレオ伯爵の言う事を鵜呑みにしていましたね? ……貴方はこのネックレスを見た事がありますね?」


 「青だと!? アルトム、そのネックレスを何処で見た!? 答えよ!!」


 「え? これはオートレオ伯爵のしていた物と同じ物だと思います。何処の職人が作った物かは知りませんが……」


 「オートレオがだと!? おのれ、そういう事か!! アルトムを使ってニムフィスを亡き者にしようとしおって!! オートレオを直ちに呼び出せ! その間に屋敷を制圧せよ!!」


 「ハッ! 近衛騎士団長、聞いておられたな? すぐに動いてくれ!」


 「うむ。すぐにオートレオ伯爵に対し、陛下からの呼び出しだと文を送ろう。同時に向こうの制圧の為の人員もな。あまり多くは送れぬが、向こうの騎士を差配するだけならば十分だろう」


 「い、いったい何が……」


 「兄上、これはエルフが我らブラウンエルフに化ける為の魔道具なのです。つまりオートレオ伯爵はエルフだったという事。サデンの町の屋敷にも、エルフが入り込んでいました」


 「な、何だって!? エルフが王族用の屋敷に!? ……それにオートレオがエルフだって!? そんなバカな!!」


 「私もそう言いたかったのですが、これは事実なのです。屋敷ではミク殿とアレッサ殿が毒を盛られ、その犯人を捜していたら、よりにもよって執事長がエルフでした」


 「なんという事だ………」


 「私達はそれが分かったからこそ陛下に上奏する為、謁見をお願い致したのです。そうしたら兄上がオートレオ伯爵からの手紙で乱入したと、そうなります」


 「………」



 自分のやった事も思い出し、完全に頭を抱える第二王子。妹がとんでもない事をやった、すぐに陛下に伝えねば。そう思ってやってきたら、嘘で踊らされた自分がいた。


 そりゃ恥ずかしいし、騙されていたという失態は犯しているしで、頭を抱えたくなる気持ちも分かるというものである。穴があったら入りたい気分であろう。



 「陛下、いつ頃からコレを用いてエルフどもが我が国に入り込んでいたかは分かりません。しかし、このネックレス型しかないとは思えません。まずは王城内の者を全て調べ上げなければ、安全が確保できないと考えます」


 「そうだな。どこにエルフが潜んでいるか分からぬのでは話にならん。セイルディアにも言っておき、城内の全ての者を徹底的に調べ上げよ」


 「「「「「「「「ハッ!」」」」」」」」



 慌ただしく動き始めたのを見つつ、ミク達はやるべき事も終えたので謁見の間を出た。そのままミクとアレッサは王女と話し、後日イヴィエルテが持ってくるとして<砂の水瓶>という宿に泊まるように言われる。


 ミクとアレッサは了解し、さっさと城を出て貴族街へ。そして平民街へと出て、ようやく落ち着く。町の人に<砂の水瓶>という宿の場所を聞くと、すぐ近くだったので行き、一ヶ月の宿代である大銀貨1枚と小銀貨1枚を支払った。


 その後は適当にブラブラし、見つけた酒場に入ると大銅貨7枚を支払い食事をする。



 「香辛料が多いからか、大麦粥でも美味しいね。何故かブラウンボーアの肉があるけど、これは水ダンジョンで出てくるのかな?」


 「浅い階層なら、そんなもんじゃないの? 水が多いと言ってもダンジョンだし、いきなり強力な魔物は出てこないでしょ。それに新人の行ける範囲の物が出回るのは、何処も変わらないしね」


 「まあ、高ランクが獲ってくるのは高級品だから、酒場で出る物じゃないか」



 そんな会話をしつつも、香辛料が多い料理を美味しそうに食べる2人。口にあった様で何より、そう思って見ているレティーであった。


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