↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
20/22

【ルキハ視点】運命の捕獲劇

「えっと……? ほれたとは?」


目をくりくりと丸くさせ、首を傾げるリル。

彼女の頭の中で『え? 今、なんて言った?? 掘れた? 彫れた? ホレタ? え、それとも……惚れた!?』と大混乱の渦が巻き起こっているのが、僕にははっきりと手に取るように分かった。


愛おしすぎて、どうにかなってしまいそうだ。

本当なら今すぐ抱きしめて、この滑らかな頬に口づけを落としたい衝動をどうにか抑え込み、僕は誇らしげに胸を張ってみせた。


「ああ! その言葉の通りだ。僕はお前に心を奪われてしまったのだ」


僕がまっすぐに愛を告げると、彼女は驚きでオッドアイの瞳をさらに見開いた。

知ってはいるけれど、計画通りに会話を進めるために僕は問いかけてみる。


「なぁ、どうしてお前は孤児になったのだ?」


「えっと……両親が殺されてしまって」


しんみりとした表情を作り、儚げな声で答えるリル。

さっき父上に見せた『完璧な被害者』の演技を、僕の前でも健気に再現してくれているのだ。本当なら両親のことなんてとっくに割り切っていて、この劣悪な孤児院からどうやって抜け出すかしか考えていないくせに。


その強かさと悪知恵の働くところが、僕の心をどこまでも狂わせる。


「可哀想に。でも僕ならお前を助けられるな! 良かったな!」


ポンと手を叩いて見せると、僕はそのまま彼女の細く華奢な手首を握りしめた。


「よし、今から父上のところに行くぞ! ついてこい」


僕がぐいぐいと手を引くと、彼女の顔に明らかな焦りの色が浮かんだ。


『ちょっと待って!? 展開が早すぎるし、強引すぎない!?』


パニックになりながらも、彼女は持ち前の回転の速さで即座に『断る口実』を弾き出し、声を張り上げた。


「ちょっと待ってください。前々から養子縁組の相談は度々来るのですが、まだ両親のことが忘れられず難しいのです」


彼女が得意げに繰り出した『トラウマで養子縁組を撃退する必殺技』。

これで僕も父上と同じように罪悪感に押し潰され、「そうか、無理を言ってすまなかった」と引き下がると思い込んでいるらしい。


本当に、どこまでも可愛くて愚かな僕の女神。


貴族に引き取られて自由を失うのが嫌?

養子になってどこかの男に嫁ぐのが嫌?


――そんなもの、最初からさせるつもりなんてない。

僕が欲しいのは『妹』でも『保護対象』でもない。僕の生涯の伴侶であり、僕の所有物なのだから。


僕は溢れ出しそうになる喜悦を噛み殺し、最高の笑顔を彼女に向けた。


「じゃあ、大丈夫だな」


「え……?」


理解が追いつかず、ぽかんと口を開ける彼女。その無防備な唇に釘付けになりながら、僕は高らかに宣告した。


「僕がお前と婚約するから!」


「――は……??」


彼女の思考が完全にフリーズした。

『婚約……!?!?』という心の悲鳴が聞こえてくる。


養子縁組なら『父上の娘』になってしまうが、婚約なら話は別だ。

彼女は僕の「第一王子妃候補」として、僕の正当な権限と財産によって完璧に保護され、僕の腕の中に一生縛り付けられることになる。


「さあ、行こう!」


固まっている彼女の手を強く握り直し、僕は浮き立つ足取りで談話室へと向かって歩き出した。


もう二度と離さない。

君がどれだけ逃げ出そうと画策しようが、その賢い頭で僕を嵌めようと罠を仕掛けようが、すべて僕の掌の上だ。


僕を狂わせた責任を、一生かけて僕の側で果たしてもらうよ、リル――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。