49. 行政都市アウレリア
門まで近付くにつれ、
その巨大さがよく分かってきた。
「でか……」
城壁だけで何十メートルあるんだ。
見上げる首が痛くなるほど高い。
白い石で積み上げられた城壁には、所々に青い結晶が埋め込まれている。
「あれは……魔石?」
ぼんやりと魔力が流れている。
街全体を守る結界の一部なのかもしれない。
さすが行政都市だ。
門一つ取っても桁違いだった。
門前には長蛇の列ができていた。
商人、
旅人、
冒険者、
魔術師らしきローブ姿の人――
貴族と思われる豪華な馬車まで並んでいる。
「人気なんだなぁ」
いや、
行政都市なんだから当然か。
皇都とは違い、
ここは魔術と行政の中心。
いや、
皇都のほうが魔術の中心か?
でも、
ここが、皇国から人が集まる街だということに違いはない。
俺も列の最後尾へ並ぶ。
十分ほど待つと順番が回ってきた。
「身分証を」
「はい」
冒険者ギルドカードを差し出す。
門番が目を通す。
「サウベリアから?」
「そうです」
「目的は?」
「観光と……」
一瞬考える。
「石」
「……石?」
「鉱石市場です」
門番は少し黙ったあと、
吹き出した。
「ははっ!」
「変わった奴だな」
「普通は時計塔か役所なんだが」
「まぁ、通っていいぞ」
「ありがとうございます」
一歩、
街へ入る。
「……」
俺は完全に立ち止まった。
石畳。
サウベリアより何倍も広い道路。
道の両側には三階建て、四階建ての建物が並ぶ。
建物の壁は白い石。
屋根には赤や青の瓦。
空中には小さな光の球がふわふわ浮いている。
「魔導灯……?」
昼なのに浮いている。
夜になると街全体を照らすのだろう。
「すげぇ……」
人も多い。
耳を澄ませば、
いろいろな地方の言葉が聞こえる。
商人が値段を叫ぶ。
子どもが走る。
楽団が演奏している。
活気が違う。
「ん?」
ふと上を見る。
空を何かが飛んでいた。
「船?」
空に――
空に船が飛んでいる!?
「やっぱり行政都市ともなると違うな……」
俺はひとりで頷く。
「魔導船か」
魔石を利用して浮いているらしい。
初めて見たな。
「……」
欲しい。
いや、
買えないけども、
仕組みの詳細とか、
いつか研究してみたいな。
街の中心へ向かって歩く。
噴水、
時計塔、
大きな広場、
露店、
魔道具屋、
武器屋、
鎧屋――
そして、
「……」
見つけた。
石屋。
しかも。
一軒じゃない。
二軒、三軒、四軒――
「最高じゃん」
思わず笑ってしまう。
石英
アメジスト
サファイア
ルビー
見たこともない魔石まで並んでいる。
天国だった。
「落ち着け」
俺は自分に言い聞かせる。
「今日は街を見て回るだけ」
「石は……」
ちらっ。
「……」
いやいや。
我慢だ。
まだ旅は始まったばかり。
財布にも限界がある。
今日は宿を探して、
情報を集めよう。
「……」
でも、
あの青い鉱石、
すごく綺麗だったなぁ。
あっちの赤い結晶も――
「……」
十分後、
俺は、
石屋の扉を開けていた。
「いらっしゃいませ」
「…………」
「見るだけです」
たぶん。
前を見ても、後ろを見ても、左右を見ても、どこ見ても石屋さん♪
そりゃあそうだろう、
””鉱石市場””って書いてあるんだから。
皆さんだったら、
どんな石が欲しいです?
アメシストだったり、ルビーだったり、はたまたムーンライトであったり、
もしかしたらダイヤモンドとか!?
想像が広がりますね。




