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47. 山脈越え

 朝日が顔に当たる。

 眩しさで目が覚めた。

「……朝か」

 寝袋から這い出る。

 昨日と同じ景色。

 昨日と同じ位置の鉱脈。

 そして、

「……」

 やっぱり掘りたい。

 見れば見るほど掘りたい。

 そんな俺の不変の気持ち。

 俺は崖の方へ数歩近付いた。

 銀色の筋は朝日に照らされ、一層輝いて見える。

「魔銀だったら……」

 いや、

 きっと魔銀だ。

 違ったとしても、何か珍しい鉱石に違いない。

「…………」

 掘ろう。

 ほんの少しだけ、

 少しだけなら。

 そう思った、その時だった。

 ふと、腰の地図が目に入る。

 アウレリア。

 あと少し。

 そこには巨大な鉱石市場がある。

 世界中の石が集まる街……

「……」

 俺はゆっくり息を吐いた。

「また来よう」

 今じゃない。

 この鉱脈は逃げない。

 でも、俺の時間は限られている。

 今は先へ進もう。

 そう決めた瞬間、不思議なくらい気持ちが軽くなった。

「よし」

 ようやく決心した俺は、リュックを背負う。

 そして、一歩踏み出した。



 山道は険しかった。

 足場は悪い。

 大きな岩を乗り越え、

 細い尾根を歩き、

 時には崖際を慎重に進む。

「ふぅ……」

 高い。

 下を見ると足がすくむ。

「疾風」

 刻印石を起動する。

 身体がふっと軽くなる。

 跳ぶ。

 大きな岩から岩へ。

 風が背中を押してくれる。

「便利だな」

 最近作ったばかりなのに、もう手放せない。

 旅にも、

 戦闘にも、

 最高の刻印石だ。




 昼頃、

 ついに山頂へ辿り着いた。

「……」

 言葉を失う。

 どこまでも続く山々。

 遠くには深い緑の森。

 さらにその向こう。

 白く輝く建物が見えた。

「……街?」

 あれが。

 行政都市アウレリアなのか。

 ここからでも分かる。

 とんでもなく大きい。

 思わず笑ってしまう。

「あと少しだ」

 目的地が見えた。

 それだけで疲れが吹き飛ぶ。




 山を下り始める。

 下りは上りより楽だ。

 ……と思っていた。

「うわっ!」

 足を滑らせた。

 身体が前へ傾く。

「しまっ──」

 疾風。

 反射的に刻印石を発動する。

 風が身体を支えた。

 体勢を立て直す。

「危なかった……」

 あと一歩遅れていたら転げ落ちていた。

「助かった」

 やっぱり作って正解だった。




 夕方、

 ようやく山を下り切る。

 目の前には、

 静かな森。

 木漏れ日が差し込む、美しい森だった。

「ここが……」

 アルボルの森。

 地図にはそう書かれている。

 その奥には、

 アウレリア。

 そして、まだ見ぬ出会い。

「よし」

 あと少しだ。

 俺は期待を胸に、森の中へ足を踏み入れた。

裏話ですが、

アルボルン山脈はこの大陸一の大山脈で、

例えると、ヒマラヤ山脈的存在ですね。

それをほとんど装備無しで越えるバルトくん――

すごいですね。

石に突き動かされた彼を止められるものはいない!!(maybe)

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