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プリンセスタ☆ステラローグ -女児向けアニメ大好きな一八歳の私が変身ヒロインになった話-  作者: みづき木積
第八章 日香里と凛子の大決戦

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第五話 初陣

 ついに、凛子ちゃんが変身した。プリンセスタ・カプリコンに。

 ターコイズブルーのシュシュでツインお団子を作り、そこからさらに膝下ほどまで髪が伸びている。眼鏡は外していた。

 気になるドレスのほうは――トップスは、シアンと水色とを基調にしたビスチェ。編み上げ部分の留め具は星形で、これは私とも共通だ。水色のフリルデタッチドスリーブが、大人っぽさを強調する。バックリボンはブルー。ボトムスも三つの段差が付いたミニのティアードスカートで、これも色はシアンと水色。私のとは色違いだ。ソックスはネイビーのレギンス。シューズはブルーのリボンで飾られた水色のロングブーツで、折り返しの部分がアザーブルーのスカラップだった。

 この上なく美しかった。素材がいいし。自分よりも洗練されて見えるのは、彼女の印象によるものだけではないと思う。一応、私のほうが身長は五センチほど高いんだけどね。

 キライーヤが出たのは、駅前駐輪場の敷地内だった。自転車は周囲に投げ飛ばされていた。

 ワニ人間は、私達の姿を見て愕然とした。

「プリンセスタが二人になっているぞ。どうすんだ⁈」

 本日はメイナも彼の右隣に立っていた。

「とうとう変身してしまったか」

 ワニ人間が不安そうにたずねる。

「いいのかよお。勝てるのか?」

「そのためにデータ分析をしてきた。やるしかないだろう」

 キライーヤが私達二人のほうを見る。私がしゃべった。

「凛子ちゃん――じゃない、プリンセスタ・カプリコン。基本は相手の攻撃をよけながら近づいて攻撃。あとはそのときに応じて教えるね」

 まだ、呼び方に慣れていない。カプリコンが返事をした。

「わかりました。参考にします」

 キライーヤはこちらの様子をうかがっている。メイナだっているし、相手も何かの能力を有しているのかもしれない。

 跳躍して相手に接近する。そして、キライーヤの右脚にローキック。だが、彼は足をさっと上げてかわした。

 後ろからカプリコンも続いてきていた。手には白い光を放つ空色の剣が。武器があるなんて、うらやましいぞ。彼女はそれで斬りつけたが、相手が身体をひねってよけた。

 その瞬間、私はキライーヤに蹴り飛ばされる。地面に叩きつけられた。

 カプリコンもいったん間合いを取る。

「大丈夫ですか?」

「平気。見た目よりも痛くないから」

 星の力のおかげでね。私が立ち上がると、カプリコンは提案を持ちかけてきた。悪くなかった。自分も賛成した。

 彼女が先にキライーヤへと斬り込む。しかし、相手は身体を右にずらして回避した。そこを狙って、私がパンチを浴びせる。だが、キライーヤが二歩下がった。そして、パンチはむなしくも外れてしまった。

 たったの二歩。偶然なのだろうか。そう感じたときには、相手による張り手が自分の左脇腹に命中していた。

 カプリコンもキライーヤに殴りつけられ、吹っ飛ばされていた。

「なるほど。思ったよりもダメージはありませんね」

 そのように言えるうちは大丈夫。これが徐々に蓄積するとヤバくなる。

 次は私を先頭に。キライーヤの肩あたりまでジャンプする。相手の右胸を目がけてパンチ。彼の大きな手のひらで全身を弾き飛ばされた。

 同時に、キライーヤの背後にまわり込んだカプリコンがばさりと斬りかかる。今回は二人で戦っているのだ。どちらか一方だけでも、相手にダメージを与えられればいい。

 ところが、ぬっとキライーヤは振り返り、一歩だけ後退した。これだけだったけれど、カプリコンの剣先は相手に届かなかった。彼女へとキライーヤによる膝蹴りが直撃した。

 立ち上がると、カプリコンが私のほうに目をやった。

「攻撃が全然当たりません。まるでこちらの動きを読まれているようです」

 彼女の疑問は理解できる。私達の放ったすべての攻撃がキライーヤには当たっていない。二人がかりでの連続攻撃でも、背後からのものでさえもだ。

 カプリコンがつぶやく。

「動体視力が並外れて高いのでしょうか」

 私は返事をした。

「気配なのかもしれない」

 プリンセスタは星の力を利用して戦う。キャメルンのように、その動きが視認できるとか。

「こういったとき、どうすればいいのでしょう」

「色々と試してみるしかないね」

 二人でキライーヤへと近づく。私は両腕をクロスさせてガードする。彼の左横からカプリコンが剣で斬りつけた。しかし、相手は右側に逸れてかわした。

 私の存在は完全に無視されていた。攻撃するつもりがないことをわかっているのか。

 自分にとっては好都合だ。私は空高くにジャンプをする。上空からながめると、キライーヤは身体を左右に動かしてカプリコンの剣を連続でよけている。

 相手に向かって跳び蹴り。キライーヤがひょいと右に移動する。そのまま、私は横倒しになっていた自転車の列に激突した。

 どうしたらいいか。カプリコンにも上空から攻撃してもらうようにお願いはできるが。私の跳び蹴りも避けられてしまったのだ。おそらく効果はないだろう。正面も背後も上からもだめだった。

 だったら、残りは下からか。キライーヤの右足を狙って滑り込み。スライディングだ。ふんわりとしたイメージでやってみたが、動作自体は上手にできた気がする。小学五、六年生の頃だったか、雨の日に男子が教室でスライディングをしてドアを壊し、先生が激怒した記憶があった。プリンセスタの身体だから、アスファルトの上でしても全然痛くない。

 動作自体――つまり、攻撃としては失敗だった。キライーヤは半歩後ずさりし、惜しくも命中しなかった。相手に踏みつけられそうになったところを、とっさに両腕を伸ばす。これで向こうの脚をつかむことができれば、転ばせられるかもしれない。

 だが、キライーヤは、私の腕の届かない少し先をしっかりと踏みしめた。また読まれた。

 そのとき、カプリコンの剣先がキライーヤの左肩をかすった。

 ようやく攻撃が当たったのだ。うれしいことにはちがいない。けれども、どうして。

 私はカプリコンに声をかけた。

「ちょっと試してみたいことがあるの」

 話を聞いて彼女はうなずいた。そして、高くジャンプをしてもらった。

 その間に私はキライーヤへと駆け寄る。右手でパンチをするが、相手は左に横歩きしてかわした。想定していたことだ。

 すかさずキライーヤがカウンターパンチで反撃をしてきた。見切った。相手の腕をつかもうとする。

 キライーヤが身体を大きく反らした。瞬間、彼の背中をカプリコンが斬りつけた。

 効いている。自分の攻撃でなくてもわかるらしい。こいつも星の力のおかげだろうか。

 キライーヤはよろめく。私が踏み込んでハイキックを加えたが、当たらなかった。

 相手は身体をつかまれるのを特に嫌がっているようだった。なぜか。ここ最近のキライーヤは何かしらの能力を持っているものが多かった。たぶんメイナが関係しているのだろう。

 彼らも私につかまれるのには弱かった。ゼタキライーヤは自身へ能力を使うことができなくて、彼と接触していれば対象から外れた。光の弾を用いる個体も手強かったが、自身のほうへは撃てないことがポイントだった。空間をゆがませるものも、感触を頼りに投げ飛ばして倒した。目の前に今いるキライーヤも、同様なのかもしれない。

「なんとか相手をつかんでみるから、その間に攻撃を続けて」

 キライーヤにダメージを与える方法は判明した。あとは、あちらの能力を突き止められたらいいのだが。

 私が相手の脚をつかもうとすると、キライーヤが警戒したのか後ろに下がった。そのとき、倒れていた自転車の一台をぐしゃりと踏みつけた。シルバーのフレームでカゴ付きのやつだ。中高生が通学に使っているのではないかな。申し訳ないが戦いの後で復活するから、許してほしい。

 はっと思いついた。どこかの誰か知らない自転車の持ち主のことじゃない。キライーヤの能力についてだった。

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