選択の結果-2
ランク7のマリアを破り、魔王城を文字通り粉々に変えた、無所属の死なないランク6黒魔法使い。
これは緊急事態だった。
帝国は彼に関する今までの情報をかき集め始める。そして驚愕した。
・帝国貴族エメリアの殺害、死体損壊
・いくつもの墓荒らし
・遺体を使った娼館詐欺
・舞踏会での無差別テロ
・キマイラの脊柱の密輸出
・王国での戦争犯罪容疑
・新生魔王軍として反政府活動
・「千光」マリアの殺害
知られている容疑だけでもこれほどに上るという事に。
法を犯すことに躊躇なく、しかも徐々にその規模がエスカレートしている。その彼は既にランク6。おまけに今までの動向から、より高位のランクを狙っていることが明らかだった。
歴史上に残る黒魔法使いの最高ランクは4。当時の記録によれば、契約時の生贄は国家規模であったと記されている。
こんな存在を国家が看過するわけにはいかない。彼の情報は国際的に共有されることになる。
ドナルドは、ミストは、ファンズは、モリガンは、オルドは、アクストリウスは、その他の人達は
もはや、彼は人ではない。
彼はもはや災害だった。彼は世界の敵となる。
黒魔法使いはランク7で二つ名を持って警戒され、ランク6で歴史にその名が刻まれる。
歴史に刻まれたその名は、
「魔人」
帝国の玉座に白の着物を着用し紫の肩掛けをかけた男が座っている。彼は現皇帝。その彼の目の前に、銀髪の美青年が跪いている。
彼の名前はアレクシオス。
白魔法使いのランクは、その者の徳や名声を反映して何かの基準で突然決まる。誰かが決めるのではなく、超然的に決まる。故に皆はそれを神の閾値と呼ぶ。
先日、長らく無敗であった高名な黒魔法使いアクストリウスを打ち取ったアレクシオスのランクが、神の閾値を越えて上がった。
彼のランクは6となり、祖母でもある英雄ミリアと並ぶことになった。
皇帝がアレクシオスに告げる。
「そなたの任務は魔人の討伐だ。祖母であるミリアの意志を継ぎ、師であったマリアの無念を晴らせ!」
アレクシオスがその端正な顔を上げ、その青い瞳で皇帝を見上げる。そしてその決意を口にする。
「はい!必ずや魔人を打ち倒し、封印して参ります!」
アレクシオスが立ち上がり、そのローブを翻した。
白魔法使いはランク7で二つ名を持って敬意を払われ、ランク6で歴史にその名が刻まれる。
歴史に刻まれたその名は、
「天賦」
不死の黒魔法使いと継承する白魔法使いの戦いが始まる。




