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攻防

 旧魔王城の包囲軍の陣幕にいたメンデルスとアストライアの元へ、マリアとアレクシオスが合流した。

「状況はどうなの?」

 マリアからの質問に、その場にいた将軍が答える。

「現状では包囲したまま動きはありません。打って出てくる気配も、降参する気配もありませんね」

 メンデルスがそれに補足するように言う。

「時折交戦はありましたが、大規模な戦いには発展しませんでした」

 アストライアも口を開く。

「召喚体も時折見られましたが、全て私で解呪可能でした。城に居る黒魔法使いランクは最高で8なのではないかという見立てです」

 それを聞いたマリアが面倒そうな顔をして言う。

「もう勝敗は決しているというのに。力ずくで攻め込むにしても、そこそこ敵兵が揃っているのが面倒ね」

 貴族の城に居たのは魔族の兵が主だった。だが旧魔王城には魔族の他、魔物の兵が揃っている。魔物の兵に対して白魔法使いはやや不利だ。

 アレクシオスが口を開いた。

「とは言え、僕を含めてもランク7の白魔法使いが3人います。力ずくで行っても良いのでは?」

 他の方法があるわけでもない。考えるのに時間を使うほどでもない状況なので、最終的にはアレクシオスの言った通りになりそうなところだった。

 その時に伝令が将軍の元へ連絡に来た。それを聞いた将軍がマリアの元に来て耳打ちをする。

「それは……興味深いわね。ちょっと詳しく聞いてもいい?」

 マリアの目が捕食者のようにギラリと輝いた。


 

 旧魔王城の中の広場で俺は魔物たちに作戦を伝える。

「こういう白いローブを着たやつらを優先的に狙ってくれ!それ以外とはあんまり戦わなくていい!」

 魔物のリーダーが腕を振り上げたり、雄たけびを上げたりしてバラバラに了解の合図をする。

「本当にこんな感じで大丈夫なの?」

 アバウト過ぎて不安になった俺は、隣のルシルフに尋ねた。

「そんな感じで大丈夫です。魔物に細かい作戦を伝えるのは難しいので、魔王様もそんな感じでした!」

 ルシルフが笑顔で答えた。

 魔物に指示を与えた俺は、魔族の黒魔法使いの元へ向かって行く。

 

「お前たちの武器は召喚魔法だと思っておけ!それ以外の魔法は武器として考えるな!召喚体に白魔法使いが近づいたら即逃げろ!」

 俺の中のオルドが黒魔法使いたちに指示を出していく。兵として細かい運用は魔族の将軍たちにあらかじめ伝えてあるので、こちらは魔物とは逆の意味でこれくらいでいい。

 黒魔法使いたちが真剣な顔で城門の先を見つめる。その中の先日ランク9になった黒魔法使いが俺の元にやって来た。

「俺はランク9です。もっと前線まで出てもいいでしょうか?」

 それを聞いて俺は少し悩んだ。

 俺の中のオルドが答える。

「ランク9といっても成り立てだ。それほど変わらん。将軍の運用に従っておけ!」

 黒魔法使いが残念そうに下を向いた。

 俺の中のアクストリウスが言う。

「亡くなった君のお母さんの命を無駄にすることは無い。いずれもっと強くなれる日が来る」

 それを聞いた黒魔法使いが、納得したような顔をして隊列に戻って行った。


 

 新生魔王軍と帝国軍との戦いが始まった。


 城壁の上から魔族の射手が帝国兵を狙っていく。オーガも加わって投石を帝国兵に喰らわせている。それでも帝国兵は盾や白魔法使いの防壁魔法で投射攻撃を防ぎながら距離を詰めてくる。射程距離に入った帝国兵の射手が、城壁の上の兵士を狙い撃ちし始めた。

 今度はグリフォンに乗ったオーガを敵陣へ投入されていく。召喚体だと思った白魔法使いは慌てて魔物に解呪を使っていくが、当然だが魔物に解呪を撃ったところで何の意味もない。

 白魔法使いたちが防壁などで対抗していくが、オーガがぶん回していくこん棒が景気良く防壁を砕いていく。

 そのタイミングを見計らって、今度は黒魔法使いの召喚体を戦線に投入していく。召喚体はキマイラやマンティコアだ。

 帝国の寄せ手が崩れたところで、後続の白魔法使いたちが割って入ってくる。

 そこに俺がグリフォンに乗って飛んでいく。俺が帝国軍に向かって爆裂魔法を放っていくと、それを合図となり、オーガや召喚体が城に戻り始めた。

 味方の退却に合わせて、俺もグリフォンで城に戻っていく。


 城に戻った俺は城壁の広場に舞い戻った。味方も少しずつ戻ってきている。

「ありがとう。いい仕事だったよ」

 俺はグリフォンにそう言ってから降りる。以前の王国との戦いと違って、今度は生身のグリフォンに騎乗している。これなら俺よりもランクが上の白魔法使いにだって解呪されない。

 だが俺が死ねないことは隠さないといけないので、以前ほど爆裂魔法を連打することが出来ないのはネックだった。

(一人で好き勝手に暴れられたときは色々な意味で楽だったんだけどな。まあ、仕方がないか)

 そう思いながら広場を見つめる。そこには母を生贄にしたランク9の彼もいた。緒戦で戦果を上げたのか、喜んでいるようだった。


 戦闘を終えて背伸びをしている俺の元にベルフェがやって来た。ベルフェが耳打ちをする。

「カレイド様がお呼びです。いかがされますか?」

 少し考えてから、俺は近くにいたルシルフに向かって言う。

「俺は少しだけ席を外すから、この場で状況を見ておいてくれないか?」

 ルシルフは俺の顔を見上げて答える。

「分かりました。私にお任せください!」

 ベルフェが怪訝な顔をしながら、俺をカレイドの元へ案内し始めた。


 俺はカレイドのいる部屋に案内された。カレイドは焦った顔をしながら俺に早口で説明をし始めた。

「大変です!この城の秘密の脱出路がバレました。そこを通って精鋭がこの城にやってきます!」

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