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世代

「それでは私は魔族の要人の元へ向かいます。その間の城のことはお願いいたします」

 アクストリウスは俺にそう言うと、エアリスを引き連れて城を後にした。現政権に不満を持つ魔族の有力者に話をつけて資金の調達に向かうのだ。

 アクストリウスはこんな感じで時々城を空けるので、その間は俺が城を取り持つ形になっている。

 

 俺は相変わらず新生魔王軍の軍事力の増強に努めている。

 魔物の軍勢はオーガが4部族。何体かの魔獣。

 黒魔法使いはそこそこの数が揃ってきた。ランク9が一人、ランク12が数人。

 黒魔法使いのための召喚体が欲しいのだが、その数がやや揃っていないのが現在の問題点だ。俺が以前使っていた魔の森への移動魔法陣は、50年の年月で使えなくなってしまった。

 俺はカレイドへ相談することにした。

「と、いう事なんだけど、何かいい方法はないかな?」

 カレイドは俺を見つめてしばらく考えてから言う。

「魔物の脊柱が必要なのでしたら、魔物に聞いてみたら良いのではないでしょうか?彼らなら同族の遺体の場所などにも詳しいでしょうし」

 カレイドの提案を聞いて俺は答える。

「それは俺も聞いてみたんだけど、アイツらは同族が死んだらその死体は喰っちゃうらしいから、残っていないみたいなんだよね」

 それを聞いたカレイドが露骨に嫌そうな顔をした。そして目を逸らしながら言う。

「であれば、自身で魔物を狩るか、魔物の脊柱を裏取引で手に入れるか、ですね」

 俺は頭を掻きながら答える。

「魔物は味方につけている最中だから、この辺りで狩るのは難しいな。そうなると買うしかないのか」

 その場をそさくさと離れようとするカレイドを俺は呼び止めて、もう一つのことを相談する。

「それとあともう一つ。多重召喚のための黒魔法使いの脊柱が欲しいんだけど、手に入りそうなところはない?」

 それを聞いたカレイドは、最早嫌悪感を隠さずに答える。

「黒魔法使いの脊柱?人の脊柱ですか!?……帝国の支配が広がるにつれて火葬が一般的になったので、手に入れるのは難しいでしょうね!」

 カレイドはそう言うと、話を打ち切ってその場から離れて行った。

 思った以上のカレイドの忌避感に俺は面食らった。彼には黒魔法も魔物にも抵抗感があるようだ。

「そうは言ってもな……戦うにはこれしかないしな……」

 カレイドを見送りながら、俺は一人呟いた。


 アクストリウスが戻って来たので、彼の部屋で俺は脊柱の購入についての相談をしている。

「そうですか……帝国の支配が及ぶにつれて、黒魔法で使う脊柱を確保するのが難しくなってきましたからね」

 アクストリウスがため息をつきながら言う。それを聞いて俺は気になったことを聞く。

「そういえば、モリガン……エメリアの脊柱はどうしたの?」

 50年前のアクストリウスはモリガン、貴族名はエメリア、彼女の脊柱を常に侍らせていたはずだ。だが今のとこは一度も目にしていない。

 それを聞いたアクストリウスが残念そうに答える。

「50年前に王国が敗北した際、彼女の脊柱は帝国に回収されました。それ以外の脊柱も、師から頂いたキマイラの脊柱も含めて、全て帝国に接収されました。残されたのは、エアリスの物のみです」

 アクストリウスが続ける。

「帝国は黒魔法を徹底的に禁止しました。火葬を徹底したのも、黒魔法での召喚を防ぐためという意味合いが大きいですね。帝国が支配した地域ではそれが常識となりつつあります」

 常識、それを聞いて俺はカレイドの反応を思い出した。

「カレイドは黒魔法にも魔物にも嫌悪感を示していたけど、やっぱり彼の世代では抵抗感があるってことかな?」

 それを聞いたアクストリウスが答える。

「彼は魔族が敗北してから生まれた新興貴族の生まれですからね。帝国の価値観と魔族としての誇りに挟まれた立場にいます。忌避感を示すのは、仕方がないかもしれませんね……」

(ジェネレーションギャップってやつか……)

 俺は嫌そうにその場を後にする、カレイドの後ろ姿を思い出した。

 

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