表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
113/124

王都-3

 アレクシオスが王城の廊下を何食わぬ顔で歩いている。時折城の者とすれ違うが、特に咎めらない。アレクシオスは事前に頭へ叩き込んだ城の見取り図を元に、アストライアが探知した兵の場所を避けて、目的の場所に移動する。

「ここか……」

 アレクシオスが辿り着いたのは、城の中にある宮殿。この中には王族や政府関係者が住んでいる。アレクシオスは壊れた探知魔道具を取り出すと、それに紐を結び付けてペンダントのように首からぶら下げた。そのまま宮殿の中を何気ない様子で歩き出す。

 アレクシオスは堂々とした態度で宮殿を歩いて行く。すれ違った貴族風の男が足を止めて後ろからアレクシオスに声をかけた。

「君、見ない顔だな。名前は?」

 アレクシオスはうろたえない。振り返って笑顔で答える。

「初めまして。ロウファと申します。王国と帝国の流通の調査結果のご報告のために参りました。貴方はフェリックス様ですね。ご高名はかねがね伺っております」

 アレクシオスは事前に王国の主要人物の顔と特徴を頭に入れている。彼が王国のボードゲームの王者であり、それを誇りに思っていることも知っている。

「ほう!私をご存じとは。もしかして君も結構いける口かね?」

 このボードゲームは兵の駒を動かして、相手の王の駒を奪った方が勝ちという王国発祥のゲームだ。上流階級も含めて多くの人達に親しまれているゲームなので、アレクシオスは実益と多少の趣味も含めて精通している。

「ええ!もしよろしければ一手ご教授願えないでしょうか?」

 こうして宮殿の片隅で試合が始まった。


「ほう!中々やるね、君」

 アレクシオスの一手に感服したフェリックスが唸った。と言いつつ、それをいなしつつ相手に切り込む一手をすぐさま放つ。

「いや……これは、お強い」

 アレクシオスは頭を掻きながら呟く。流石に王者なだけあって、実際に強い。アレクシオスはこれで結構負けず嫌いなので、真剣に悩んでいる。

 周りに勝負を覗き込む人が集まって来た。皆が勝負の行方を見守っている。誰もアレクシオスが部外者だという事を気に留めない。

 勝負はフェリックスの月影の駒を囮にしつつ放った、竜の駒の一撃が決めた。

「私の勝ちだね!いやーいい勝負だったよ。久しぶりに楽しかった」

 フェリックスが額の汗を拭いながら、勝利宣言を上げる。アレクシオスは両手で髪を掻きむしりながら天を仰いでる。演じているのではなく、本当に悔しがっている。

「くー、お強い。もしよろしければもう一手……」

 アレクシオスがそう言いかけた時、優雅な声を挟む者が現れた。

「おや、そのペンダントは……」

 それを聞いたアレクシオスはすぐさまモードを切り替えて、声の主にその顔を向ける。そこには濡れたような漆黒の黒髪を持ち、鋭い蛇のような目をした王国の王子、ローレンスその人がそこにいた。


 アレクシオスが宮殿の客間に案内された。金刺繍の施された布で飾り立てられた豪華な椅子に座る。目の前には高級木材で作られ、何重にもニスを重ねられた豪華なテーブルがある。テーブルを挟んだ先ではローレンスも同じ椅子に座り、アレクシオスを見つめていた。

「君が帝都の闇ギルドの使者か。白魔法使いの調査団に紛れ込むとは、大胆な真似をする」

 ローレンスが細い目をさらに細めて笑いながらアレクシオスを見つめる。

 アレクシオスはローレンスに会うのは初めてだ。この王国の王族は基本的に宮殿に籠もり、表には出てこない。政治の実権は大臣以下の重臣たちの手に握られている。

 アレクシオスもニヤリと笑いながら、ローレンスを見つめる。

(実権を握っていないが、かと言って傀儡扱いというわけでもない。重臣は王族を尊重しているし、重要な意思決定の際にはその選択を仰ぐという)

 帝国にとって、この王国の権力構造は謎に満ちたものだった。

 アレクシオスが単刀直入に切り出す。

「それでは、お約束していた探知魔道具の修理の件を進めて頂けるのでしょうか?」

 それを聞いたローレンスがそれを制するように、アレクシオスに静かに手のひらを向けた。

「まあ、待て。物事には順序がある。例の件を先に済ませてからだ」

 例の件と聞いてアレクシオスの頭に浮かんだのは、ルーデル。アレクシオスが答える。

「その件に関しては別の者が担当することになります。では、その者をこちらにお呼びいたしましょう」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ