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ZONE無しでもハンターになれますか?→可もなく不可もなし!  作者: 葉分
サバイバルフォレスト

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第134話 なぞなぞ

「さあーて、君達。彼を返してもらおうか―。」


 ガロウをぶっ飛ばした獣胴埃及(ししどうあいきゅう)は、一般人をその巨大な前足の爪で差し、眼前に固まる四人へと話しかけた。その姿はまるで生まれたての小鹿のようにプルプルと震え、蛇に睨まれたように足がその場から動けず顔面蒼白。クリーチャーなんて生温いほどに悍ましい顔のないスフィンクスに、圧倒的恐怖を抱いていた。


「これヤバいですよ!上位存在ですよ!!」


「俺ちゃん、こんなにも怖い存在を見た……こんなの初めて!!」


「山田さんに賛同です……勝てる気がしない。」


 ただ、一人を除いて。


「いいや、返しません!私達は、必ずこのエリアから彼を救い出す!それが私達一班の仕事です!ヒヒン!」


 それは馬場だった。一般人を抱えながらも鼻息を荒げ、馬場は言い放った。そして、シシドウは自らに立ち塞がる勇気あるモノに問いを投げかけた。


「ほーう。では、勇気ある者達よ。この問いに答えられることができれば、褒美をやろう。」


「問いであれ、障壁であれ、この馬場戦。超えてみせます、あの呂布のように!ブルフッヒン!!」


「さーて、問題だ。朝は軽く、昼は少し重く、夜には一番重くなって消えてしまう。形はないのに、誰もが背負っている。これなーんだ?1分で答えよ。」


「ヒヒン!?」


「「え……?」」


 出された問いというのは「なぞなぞ」だった。その拍子抜けな内容に、固まっていた他三名の緊張がほぐれた。しかし、シシドウはその回答を邪魔するかのように巨大な前脚で、馬場を潰しにかかった。馬場は咄嗟にバックステップでその攻撃を回避する。


「ヒヒン!?不意打ちとは卑怯な!?」


「誰も回答を妨害しないとは言っていなーい!」


「ヒヒン、一般人さん、捕まっていてください。少々乱暴な乗り心地になります!」


「わ、わかった。」


「……奪ーう!!!」


 再び巨大な前脚が馬場のところに振り下ろされる。馬場は瞬時に体の向きを灰色の壁の方へと変え、パカラッ!パカラッ!とアスファルトと蹄が擦れる音と共に全速力で走りだした。


「逃げるのなーら、追うまーで!」


 シシドウは逃げる馬場を追いかけようと走り出す。しかし、目の前に三人が立ちはだかる。そして、早苗は手鏡を持ち告げた。


「させません!死者との契約(ゴーストレード)!力を貸してください!ブラッティ・メアリーさん!」


 早苗が手鏡に向けそう言うと、早苗の体の中に一体の幽霊が入り込む。そして、それが入り込んだ早苗の服に一滴また一滴と血飛沫のような跡が浮かび上がり、手鏡はその形状を変え血の滴るナイフへと姿を変えた。目からはハイライトが消え、目元が暗くなっていく。


「ふあ~……まだ、昼間じゃないの。呼ぶなら真夜中にしなさいよ。ごめんなさい!今困っててどうしてもお力をお借りしたいんです!今度美味しいケーキを奢りますから!……わかったわよ、5分だけね。」


「え、早苗っち誰と話してんの!?」


「学校改造の時期に友達になった悪霊友達のブラッディ・メアリーのマリーさんです!仲のいい悪霊さんだったら手順を省いて呼び出せるんです!」


 死者との契約(ゴーストレード)は文字通りの死者との契約。その対価を支払うことで、霊をその身に降ろし、知識やZONEを使用する。このマリーに早苗が支払った対価は、友達になることだった。それにより、本来省略することのできない降霊の儀式を行わずとも、手鏡一つで呼び出すことが可能となった。


「状況は、面白半分で見てたから把握してるわ。そこのデカいやつの気を引いて馬場とかいうやつの脱出を手助けすればいいのね?あと、なぞなぞの答えを考えてください!わかったわ。」


空へと祈れ(てるてるボウズ)!馬場さんの行方は追わせません!」


 天野は、雲をまるで濃霧のように引き延ばして周囲を覆って馬場の追跡を一度解除する。しかし、それでも止まろうとしないシシドウを止めるため、マリーは刃物へと形を変えた手鏡をシシドウの体に突き立てた。しかし、シシドウはそれに抵抗する様子も見せずに地面に残った馬場の足跡と音から位置を特定し走り出す。


「早苗ちゃん、ちょっと血を使うわよ。ブラッディ・スパイク!」


 突き立てた刃物を引き抜き、そこにできた傷跡に躊躇なくマリーは左腕を傷つけ、シシドウの傷口の中に左手突っ込んだ。まるでえぐるように深く、二の腕まで深く傷口の中に腕を入れたことでその傷口からようやく血が溢れ出した。そしてそれが付着した腕を一度引き抜き、再度傷口に挿入した。すると、そこがまるで凍り付くように凝固し、一つの塊になって破裂した。


「中々に痛ーい。だが、効かなーい!!」


 破裂する血を諸共せず、シシドウは馬場の方へと走る。アンディーと天野は、走るシシドウを追いかけながら、なぞなぞの答えを考える。


「背負ったことがあるんだよな……背負ったことがあるのか。ちょっと俺ちゃん真面目に考えるか……」


「朝は軽く、昼は重く、夜には消える形のないもの……」


「ちょっと待った。俺ちゃん答えわかった!」


「そこの坊や、答えが分かったのなら、早く言いなさい。」


「答えはランドセル!朝は軽い気がするけど、昼になると教科書が増えて重く感じる。夜になると家に置くから消えるから!」


「不正解ーだ。回答時間が10秒減り、残り10秒ーだ。」


「山田さん、非物質を答えるのに、なぜ貴方は物質であるランドセルを答えだと思ったのか。その理由を簡潔に述べてください。」


「すびばぜんでじだ!!!!だから、足止めに全力する!」


 そうアンディーがチェンソーを振り回しながらシシドウへと斬りかかる。しかし、その時シシドウが告げた。


「時間切れだ。罰を執行する。「この問いに答えよ(ウィアード・リドルズ)」!」


 シシドウがそう告げると天野、馬場、早苗、アンディーの四人の体を青色オーロラのような半透明の何かが包み込む。その半透明の何かを見た一般人の千の貌持つ化身(サウザンツ)が呟いた。


「しまった。これは非常にマズいことになった。」


「何がマズいのですか?」


「もう、私は助からないということだ。」


 次の瞬間、四人の動きが鈍くなる。走る馬場の速度は、馬とは思えない人間のジョギング程度の速度へと落ち、アンディーの持つチェンソーすらその回転する刃の先に虫が止まるほどに遅くなっている。


「足が鉛のように重い……これは一体!?」


「これがシシドウの必殺技「この問いに答えよ(ウィアード・リドルズ)」。なぞなぞを吹っ掛け、時間内に解けなければ我々にペナルティとして様々なデバフ効果を与える。しかも、今回は最悪だ。なんせ、我々の動きの全てが鈍くなっている。」


「もう、出口は目の前だというのに……!」


 馬場の目の前には既に灰色の壁が見えている。後ろからは地響きに近い足音が迫っている。一歩一歩と前進すれど、あと少しだというのに先は長い。残り数メートルの距離が途方もなく長く感じる。そして、シシドウが馬場の背後から、一般人を覗き込む。馬場はその場から離れようと足を動かすが、シシドウの左前脚にガッチリと体を押さえつけられ、地面へと座らされる。三人は、シシドウを引き剥がそうと奮闘するが、あまりにも体の動きが鈍く思うように動くことができない。


「さあ、返してもらおーう。」


 シシドウの右前脚が、一般人へと迫る。そして、ガッチリと抑える馬場の腕を強引に引き剥がし、一般人を掴み取る。自分の腕から離れていく一般人の姿を見て、馬場は悔しそうに呟いた。


「くっ……私達では力足らずでしたか……」


「勇気ある者よ、我々は再び彼を収容する。また彼を解き放つのであれーば、再び相手になるーぞ。」


 シシドウはそう言い残し、一般人役の千の貌持つ化身(サウザンツ)を持ってその場を去った。そうすると、馬場達の体を取り巻いていたものは消えて自由に動けるようになっていた。そして、そこに星谷たちが現れた。


「お前ら大丈夫か!」


「すみません、星谷殿。見ての通り、奪われていまいました……申し訳ない。」


 落ち込む四人に対し、ガロウはそれを励ますように言った。


「いや、俺達もだ。あのカイジとかいう野郎から撤退してきた。時間稼ぎも碌にできなかったのは俺達の落ち度だ。すまん。」


「ガロウの言う通りだ。あそこで分断された時点で俺達は詰んでた。また、こっから探さないとか……」


「星谷さん、その必要はないかと。」


「馬場が頑張ってくれたおかげで、シシドウってやつが情報をくれたんだよ。またあの体育館に収容するから、次来ても相手してやるって。これってつまりは、一度救出に失敗しても、もう一回やり直せるってことだろ?それも、今度は事前情報アリで。」


「それなら、まだやりようがあるな。」


「騒ぎを聞きつけて他校が漁夫を狙ってきてもおかしくない。パパッと情報共有して再戦するぞ!」



 共有中



「えっーと、情報をまとめると、シシドウの能力は相手になぞなぞを吹っ掛けて回答できなかったらデバフを与える。そして、おそらく正解を回答できればこっちにバフが入る能力か。」


「口ぶりからして間違いないかと。」


「カイジの野郎の能力は機械を操る能力。機械であれば車や戦車、本人もサイボーグだからその操作範囲内。そして、それに付随する自身の動きの倍速化。生半可な火力じゃ、ヤツを突破することはできねえ。」


 これでどうやって攻略するか……相性のことを考えるとガロウと天野はカイジにつかせたいが、俺含めたメンバーをどう振り分けるか。


「メンバーはどうしますか?たぶん、私のZONEだとカイジさんの相手にならないし、シシドウさんとならまだ戦えると思うのでシシドウさんがいいです!」


「わかった。早苗はシシドウな。となると、馬場とアンディーはどうする?」


「私はどちらでも構いませんが、一度はシシドウに破れましたし、リベンジを果たしたい気はあります。」


「俺ちゃんは肉盾以外に役に立たないことがここ数話で判明したので発言権はないですハイ。余ったとこに詰める程度でいいですハイ。カイジ相手にはゾンビ唾液は効かないと思うので、やっぱりシシドウの方でお願いしますハイ」


「ゾンビ化……?なにそれ?」


「いや、俺ちゃんの奥の手ではあるけど、格上というかあんな化け物相手に通用するかどうかすら怪しい。期待なんかしないでよね!」


 なんだ、そのむしろ期待しろと言わんばかりのセリフは!だが、シシドウの体から血が出たってことはゾンビ化とまでは行かないだろうが、効くかもしれないな。なぞなぞは、よく暇つぶしで図書館でなぞなぞ辞典みたいなのをいくつか読んだことがある。戦闘をしながらなぞなぞに思考を割け続けれるのは幽霊に体を明け渡せる早苗くらいか。


 問題は、あの二人の戦闘員を引き離す方法だ。恐らく一度脱走した一般人の牢屋には高確率で在中して警備にあたっているはず。一人でA級相当の実力のハンター、能力の規模だけで言ったら特級に近いそれを六人で二人を一度に相手するのは得策じゃない。それは向こうだって同じなはず。


 あの時にわざわざ俺達を分離したのは、俺達の中にあのどちらか一方を倒す可能性があると判断したからに他ならない。ZONEの相性はA級であれ出るはずだからな。でもどうやってやつらを引き離せばいいんだ……いや、あの方法を使えば行ける!


「アンディー、その能力。使わせてもらう。」


「星谷、なんか思いついた感じの顔だな。」


「ああ、牢屋から番人二人を引き離す方法もな。いいか、よく聞けよ作戦は……」

現地幽霊でなくても協力ができるあれだな、シャドウサイドのトウマみたいになってきたな。


マリーさんというか、ブラッディ・メアリーの正体は、我が子を殺した若い寡婦、幼い子供を亡くした母、若くして非業の死を遂げた女学生などという説がありまして、マリーさんの場合は若くして非業の死を遂げた元ハンターさんです。血を固めたりしてるのはマリーさんのZONE:ブラッディ・クイーンという自他の体外の血を操る能力によるものです。ようは体内の血を操れない代わりに相手から出た血も操れる赤血躁術みたいなもん。

で、どんな死に方したのかというと、クリーチャーに丸呑みにされて胃液で溶かされて死亡しました。

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― 新着の感想 ―
なんかぬるっと新キャラ来たな… 鏡が依り代なんか…?……壊したらどうなんだろグヘヘ …?途中からシシドウがカタカナになっている…? まさか…獣がシシの変換で出てこないからめんどくさくなった…?…まさか…
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